2015年2月定例会 代表質問 渡部譲議員
議員 | 渡部譲 |
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所属会派(質問日現在) | 民主・県民連合 |
定例会 | 平成27年2月 |
質問等 | 代表質問 |
質問日 | 2月24日(火曜日) |
57番(渡部譲君)民主・県民連合の渡部譲であります。民主・県民連合を代表しまして、質問をいたします。
知事は就任され3カ月となりました。この間、原発事故の早期収束と県内原発の全基廃炉、集中復興期間の延長と財源確保、福島復興再生特別措置法の改正を初め国や東京電力に働きかけを行い、大きな成果を上げられているところであります。
若さもさることながら、フットワークのよさ、スピード感とともに政策立案能力、決断力等まさに即戦力を存分に発揮され、今の福島県に必要不可欠のリーダーだと感じております。初心を忘れず、福島を覆う影の影響を吹き払い、見え始めた光を一層強め、県内の隅々まで行き渡らせてほしいと願いながら、以下質問に入ります。
初めに、平成27年度当初予算についてであります。
県は、集中復興期間の最終年度である新年度当初予算について、県政史上最大規模となる1兆8,994億円の予算案を今議会に提出しておりますが、厳しい財政状況の中、復興をさらに加速するための取り組みや新たな課題に対応するための新規事業を盛り込むなど、真の復興に向けた県の強い思いが一つの形としてあらわれたものと受けとめているところであります。
県はさきの12月議会において、平成27年度予算を復興・再生に向けた新たなステージへの一歩を踏み出すために編成する大事な予算と位置づけ、さまざまな施策に果敢に取り組み、魅力にあふれる豊かな福島を実現していくこととしておりますが、それぞれの地域が抱える課題にきめ細やかに対応し、復興を実感できる実効性のあるものとしていくためには、めり張りのある予算配分と着実な執行が重要であると考えております。
そこで、真の復興に向け、県は平成27年度当初予算においてどのような考えのもとで予算を配分したのかお伺いをいたします。
次に、復興・再生に取り組む県職員の意識高揚についてお伺いいたします。
東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故から間もなく4年が経過しようとしております。この4年間、県の懸命な取り組みにより、本県の復興・再生が徐々に具現化してきていると実感しておりますが、今後さらにスピード感を持って復興・再生事業を進めていく必要があります。職員が一丸となってさまざまな課題に取り組んでいくことが職員に課せられた責務であり、積極果敢に挑戦する職員の意識を高めることが重要であります。
そこで、復興・再生に取り組む県職員の意識の高揚を図るべきと思いますが、知事の考えをお伺いいたします。
次に、市町村への人的支援についてであります。
県においてはこの4年間、国内外から人的支援を初めとしたさまざまな支援をいただきながら復旧・復興に取り組んでまいりましたが、県内それぞれの地域の実情に応じた復興・再生の加速化に向けては、直面するさまざまな課題に市町村と連携し迅速に対応していくことが今後さらに重要であります。
市町村においても事業を実施していくための人員の確保が必要となりますが、震災から5年目を迎える今、全国の自治体からの派遣が非常に厳しい状況にあると聞いているところであります。
そこで、震災からの復興・再生に向けた市町村に対する人的支援について、これまでの取り組みと今後の対応をお伺いいたします。
次に、県外避難者への支援についてであります。
今なお県内外で約12万人の県民が避難生活を続けており、うち県外には約4万6千人の県民が避難をされております。避難の長期化により、心身の疲労や健康状態の悪化、孤立化、住宅を含めた今後の生活への不安など県外避難者はさまざまな課題や悩みを抱えております。
知事は先月埼玉県を訪問し、埼玉県内で避難者の見守り等の活動をしている県及び双葉郡各町の復興支援員と懇談されましたが、避難者のニーズが多様化している中で復興支援員の果たす役割は大変重要であると思っております。
そこで、県は復興支援員の活動を通し、県外避難者への支援にどのように取り組んでいかれるのかお伺いをいたします。
次に、避難地域における商工業の復興と商業機能の確保についてであります。
昨年10月1日に川内村で避難指示区域の見直しがあり、また、12月28日には南相馬市の特定避難勧奨地点が解除されました。それらの地区においては震災前の姿に一歩ずつ歩みを進めておりますが、被災者の方々にはまだまだ帰還後の生活に不安があると私は感じており、特に働く場の確保が強く求められているのではないでしょうか。
内堀知事は、副知事時代から仮設住宅や避難先などで多くの方々に接し、さらに知事就任後、原子力災害の直接の影響を受けた双葉地方の首長と活発な意見交換を行い、避難地域の復興・再生の核となる商工業に関したくさんの現場の声を伺ったものと思っております。
そこで、知事は避難地域における商工業の復興にどのように取り組んでいかれるのかお伺いをいたします。
また、復興庁が取りまとめた避難住民への意識調査では、商業機能の回復が帰還を決める要因の上位となっております。しかし、避難解除等区域での地元の商店などの事業再開は、グループ補助金などの復旧に向けた支援はあるものの、帰還した住民だけでは十分な利益を確保することができないなどから進んでいない状況にあります。
こうしたことから、田村市や楢葉町では県や中小企業基盤整備機構の支援を受けて仮設の公設商業施設を設置したと聞いております。このような取り組みが帰還した住民などの利便性の向上と避難している住民の帰還の動機づけにもなることから、県が復旧・復興を力強く進めるためにも積極的に取り組むべきと考えております。
そこで、県は避難解除等区域の商業機能の確保にどのように取り組んでいかれるのかお伺いをいたします。
次に、子ども・子育て支援新制度についてお伺いをいたします。
子ども・子育て支援新制度は、子育てをめぐるさまざまな課題を解決することを目的に本年4月1日から本格的に開始されます。本県でも都市部を中心とした待機児童の発生や核家族化の進行などを背景とした子育てに係る負担感の増加が懸念されているところであります。この制度が子供を望む家庭や子育て世帯にとって子育てへの期待や喜びを実感できるようなものとなってほしいと願っております。
そこで、県は子ども・子育て支援新制度をどのように進めていくのかお伺いをいたします。
次に、子供たちの社会体験活動についてであります。
東日本大震災後、子供たちの屋外活動が制限されたことから、これまで本県においては、ふくしまっ子自然体験・交流活動支援事業等で多くの子供たちの体験活動を充実させてまいりました。
また、震災以降これまでの間、他県からいただいた本県の子供たちに対する多くの心温かい支援や協力によるさまざまな体験活動を通じた子供たちの成長を日々感じているところであります。それらの経験を生かして、福島の子供たちが一歩前に踏み出し、さらによりよく成長するためには、これまでの支援に感謝の気持ちを持ち、ボランティア等の社会体験活動へ参画するなど新たな視点も大切であると考えております。
そこで、県教育委員会は子供たちによるボランティア等の社会体験活動への支援をどのように行っていくのかお伺いをいたします。
次に、子供たちの読書活動の推進についてであります。
昨今、子供の読書活動の重要性が改めて叫ばれております。子供の読書活動は、言葉を学び、感性を磨き、表現力を高め、創造力を豊かなものにし、生きる力を身につけていく上で欠くことのできないものであります。
さらに、読書活動と学力との関連については、読書量が多い児童生徒は学力が高い傾向が見られることが全国学力・学習状況調査の結果から明らかにされました。一方で、1カ月に1冊も本を読まなかった中高生の割合が学年段階が進むにつれ高い傾向があることも報告されております。
読書は全ての学力の基礎と言われており、子供の読書離れの傾向を私は危惧しているところでもあります。このような中、本県では新たな福島県子ども読書活動推進計画を策定していると聞いております。
そこで、県教育委員会は子供の読書活動の推進にどのように取り組んでいかれるのかお伺いをいたします。
次に、地域に貢献する人材の育成についてであります。
原子力災害という未曽有の体験をした本県にとって、復興をなし遂げるに当たって最も重要なのは人材の育成であり、そのかなめとなるのは高等学校における教育であります。また、震災後、人々の助け合いの中で多くの県民がふるさとや地域とのきずなを実感し、地域の復興に対する自己の使命を意識することにより、地域が抱えるさまざまな課題をみずから克服していこうとする機運も高まっているところであります。
さらに、震災後海外からも多くの支援を受け、多くの県民が世界とのつながりを意識しており、地域においても世界的な視野を持ち活躍できる人材が求められております。
そこで、県教育委員会は県立高等学校における地域に貢献する人材の育成にどのように取り組んでいかれるのかお伺いをいたします。
次に、知事と市町村長との意見交換についてお伺いいたします。
知事は、2月定例会の所信表明でもありましたとおり、「現場主義」を県政運営方針の一つとして掲げており、就任以来、県内外を精力的に回られております。その最たるものが市町村長との意見交換であり、就任直後から昨年末にかけて、双葉郡を皮切りに59市町村全ての首長と意見交換をされたと聞いております。
避難地域の復興に加え、全県下における根強い風評、人口減少問題など依然として困難な課題が山積する本県において、地元住民の声を直接聞いている市町村長からの意見に真摯に耳を傾け、スピード感を持って対応していくことが復興を前に進めるための一番の解決策であると思っております。
そこで、知事は市町村長からの意見をどのように県政に反映させていかれるのかお伺いをいたします。
次に、地域密着型プロスポーツへの取り組みについてであります。
昨年、サッカーの福島ユナイテッドがJ3リーグに加入し、初年度は8位の成績でシーズンを終えております。
また、バスケットボールでは、福島ファイヤーボンズがbjリーグに新加入し、現在もシーズン真っ最中ですが、その活躍は震災を乗り越えようとする福島県民を元気づけてくれております。
そして、ことしの4月には野球の福島ホープスのベースボールチャレンジリーグへの新加入が予定されており、元大リーガーの岩村監督を中心に県内出身者を多くそろえた新チームの活躍を多くの県内の野球ファンが心待ちにしております。
このように、新年度は福島県を本拠地とするプロスポーツチームが3つになり、県内外での対戦が行われることになりますが、我々県民もこれらプロスポーツチームを応援して、県民の期待を背に戦うチームを盛り上げ、福島の元気を日本全国にアピールしていかなければならないと思っております。
そこで、新年度を福島のプロスポーツ躍動の年とするためどのように取り組んでいかれるのかお伺いをいたします。
次に、歴史・文化を生かした地域づくりについてお伺いをいたします。
2020年に開催されます東京オリンピック・パラリンピックを大きな目標として、外国人観光客誘客を含めた交流人口拡大に向け、日本中の自治体がこれまで以上に地域の魅力を高めるため切磋琢磨することになってくるものと考えております。
地域創生の流れの中で地域間競争に負けない地域づくりを進めていく必要がありますが、そのためのキーワードとなるのが会津地域に代表される本県の持つ歴史・文化ではないかと思っております。
県ではこれまでにも地域づくり総合支援事業により、会津五街道を活用した観光振興や地域間交流、蔵の文化を生かしたまちづくり、さらには白河の歴史資源を生かしたにぎわいづくりなどの取り組みを支援してきております。既に地域創生の取り組みは始まっております。
そこで、本県の持つ歴史・文化の特色を生かした地域づくりにどのように取り組んでいかれるのか、県の考えをお伺いいたします。
次に、情報通信技術の活用についてであります。
スマートフォンやタブレット等の携帯端末の急速な普及、フェイスブックやツイッターを初めとするソーシャルメディア利用者の急増など、新たな技術開発やサービスの提供により、情報通信技術は今や日常生活の一部となっております。
また、東日本大震災においては、通信インフラの被害により、発災直後は情報伝達の空白地域が広範囲で発生した一方、マスメディアでは網羅し切れないきめ細かな情報を送ることが可能なソーシャルメディアなどを活用した情報発信が盛んに行われ、情報通信技術の重要性が改めて認識されたところであります。
人口減少、高齢化、グローバル化の一層の進展など本県を取り巻く社会経済情勢は大きく変化しており、医療・介護、産業振興、防災・減災などの分野において情報通信技術を活用してさまざまな課題の解決を図ることが求められており、とりわけ東日本大震災からの復興ではその加速化が急務であることから、情報通信技術を活用した積極的な取り組みが必要であると考えております。
そこで、県においては次期情報化推進計画の策定を進めていると聞いておりますが、情報通信技術を本県の復興にどのように活用されていくのかお伺いをいたします。
次に、太平洋・島サミットについてであります。
ことし5月にいわき市で開催される太平洋・島サミットは、本県で開催される初の首脳級会議として、国内のみならず海外からも福島が注目される絶好の機会になるものと思っております。風評を払拭するためにも、この機会を捉え、国内外に向けて本県の復興への取り組みや魅力を発信することが重要であると考えております。
そこで、太平洋・島サミットの開催に当たり県はどのように取り組んでいかれるのかお伺いをいたします。
次に、ツキノワグマとイノシシの管理についてであります。
鳥獣保護法の改正に伴い、これまでの特定鳥獣保護管理計画は、特に保護すべき鳥獣のための計画である第1種特定鳥獣保護計画と、特に管理すべき鳥獣のための計画である第2種特定鳥獣管理計画に分類することとされました。
本県においても、人身被害や農作物被害が深刻な問題となっているツキノワグマやイノシシに関しては、第2種特定鳥獣管理計画として策定を進めていると聞いております。生息数の著しい増加や生息域が拡大している有害鳥獣については、今後積極的な捕獲により生息数を適正な水準まで減少させるとともに、本来の生息域に戻す対策が必要であると思っております。
そこで、県はツキノワグマやイノシシの管理にどのように取り組んでいかれるのかお伺いをいたします。
次に、地域包括ケアシステムの構築についてお伺いいたします。
日本は、諸外国に例を見ないスピードで高齢化が進行しております。65歳以上の人口は昨年9月末現在で3,250万人を超えており、2042年の約3,900万人でピークを迎え、その後も75歳以上の人口割合は増加し続けることが予想されております。
このような状況の中、団塊の世代が75歳以上となる2025年に3人に1人が65歳以上となり、5人に1人が75歳以上になると予測されており、医療や介護の需要がさらに増加することが見込まれております。このため高齢者の尊厳の保持と自立生活支援の目的のもと、可能な限り住みなれた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、地域包括ケアシステムの構築が求められているところであります。
そこで、地域包括ケアシステムの構築に向け県はどのように市町村を支援していかれるのかお伺いをいたします。
次に、食育の推進についてであります。
本県は豊かな自然に囲まれ、地域の自然条件を生かしてさまざまな農産物が豊富に生産されていました。このような中において、県民は地域に根差した食文化を育むなどすばらしい環境にありました。しかしながら、東日本大震災以降、放射線の影響により、県内外から本県の食材等に対する安全・安心への不安の声や風評被害などふくしまの食を取り巻く環境は現在大変厳しい状況にあります。
また、本県の児童生徒には、放射線の影響による屋外での運動不足や食の偏りなどにより、肥満の問題が発生しております。学校保健統計調査においては、震災以降、本県の児童の各年代別における肥満の傾向は増加傾向にあり、また、避難生活を余儀なくされている方々を含め県民の健康状態は悪化しているとの報告もあります。このような中にあって、県は県民の健康づくりを推進する立場から食を通した健康づくりを進めるべきであると考えております。
そこで、県は食育の推進にどのように取り組んでいかれるのかお伺いをいたします。
次に、甲状腺検査についてお伺いをいたします。
東京電力福島第一原子力発電所の事故後、県は甲状腺検査を行わざるを得ない状況に置かれ、子供たちは甲状腺検査を受けざるを得ない状況に置かれております。平成23年度から25年度において行われた1巡目の検査結果では、これまで110人が悪性ないし悪性疑いと判定され、このうち87人が手術を受け、86人が甲状腺がんとの診断が確定しております。
また、今年度からの2巡目の検査においても、悪性ないし悪性疑いとの判定が8人、うち1人が手術を受け、甲状腺がんの確定診断となっております。このような中にあって、検査の結果手術等の治療が必要となったことにより、19歳以上の県民については新たに医療費の負担が生じることとなっております。
そこで、県民健康調査の甲状腺検査の結果生じることとなった医療費を公費で負担すべきと思いますが、県の考えをお伺いいたします。
次に、ものづくり産業についてお伺いいたします。
震災後4年を経過し、この間、県民の方々の御努力や御尽力により、本県の復興の姿が少しずつではありますが、目に見えてまいりました。この復興の流れをより確かなものとしていくためにも、本県産業のさらなる振興は欠かすことができません。
確かな復興を進めていくためには、本県産業の中でもとりわけものづくり産業を振興させていくことが必要であり、これを担う人材の育成が極めて重要であると私は考えております。
そこで、県はものづくり産業を担う人材の育成にどのように取り組んでいかれるのかお伺いをいたします。
次に、県産品の輸出促進についてであります。
先ごろ世界的な和食ブームや円安等を背景に、平成26年の農林水産物、食品の輸出額が前年比11%増の6,117億円となったことが国により発表されました。
輸出先の国、地域別では、本県において東日本大震災前の最大のマーケットであった香港、台湾等への輸出が多い状況となっていますが、本県の場合、これらのマーケットも含めいまだに多くの国、地域において県産品の輸入規制の措置がとられ、また風評も根強く残っております。
県においてはタイ、マレーシアのほか、今年度は新たにインドネシアや昨年6月に輸入規制緩和となったシンガポールなど販路開拓に向けて輸出に取り組み、輸出量もふえつつあると聞いておりますが、本県ではすぐれた県産品が数多くあることから、今後とも開拓したマーケットへの輸出拡大と、震災前の主な輸出先であった国、地域における販路の回復に積極的に取り組む必要があると考えております。
そこで、県は県産品の輸出促進にどのように取り組んでいかれるのかお伺いをいたします。
次に、農村地域の活性化についてであります。
県内有数の豪雪地帯である大沼郡の3町村では老年人口率が5割を超えていますが、高齢者ひとり暮らし世帯の除雪を集落住民が協力して行うなど、厳しい自然条件にあってもお互い助け合いながらたくましく生活し、美しいふるさとをしっかり守っております。
こうした農村地域においては、過疎化の進行と高齢化により担い手が不足している状況にありますが、今後とも地域コミュニティーを維持し、美しい田畑や山林、伝統行事などを次世代に引き継いでいかなければなりません。このため、地域の基幹産業である農業の振興を図り、住民の豊かな生活を支え、安心して暮らせる地域を維持し、地域の活力を取り戻していくことが重要であると考えております。
そこで、過疎・高齢化が進む農村地域について農業振興を通じてどのように守り、活性化していくのか、知事の考えをお伺いいたします。
次に、肉用牛生産の振興についてであります。
本県の畜産業は、農業の主要産業であり、とりわけ肉用牛生産は畜産業の基幹部門であります。肉用牛産出額は震災・原発事故前の平成22年に155億円ありましたが、震災・原発事故後は6割以下に落ち込んでおります。その後回復の兆しはうかがえますが、依然震災前の7割程度の状況が続いております。
一方、肉用牛飼養頭数については、震災前に比べ8割以下に減少しており、畜産農家の高齢化に伴う戸数の減少とも相まって、震災以降も飼養頭数の減少傾向に歯どめがかからない状況が続いております。私は、肉用牛生産が農業経営ばかりか地域経済の発展に大きな役割を果たしており、その再生を図ることが極めて重要であると考えております。
そこで、肉用牛生産の振興にどのように取り組んでいかれるのか、県の考えをお伺いいたします。
次に、ふくしま緑の森づくり公社についてお伺いをいたします。
東日本大震災以降、原子力発電所事故による放射性物質などの影響により、平成25年度における本県の民有林整備面積は約5千6百ヘクタールと、震災前の約半分に落ち込んでおります。森林整備の停滞は森林の荒廃を招き、水源の涵養や山地災害防止など森林の有する公益的機能の低下による県民生活への影響が懸念されるところであります。緑豊かな災害に強い森林を取り戻し、次世代に引き継いでいくためにも、森林の再生は本県の復興にとって最重要課題であります。
このような中、ふくしま緑の森づくり公社は、昭和42年の設立以来、県内各地域において計画的に森林整備に取り組み、森林の有する公益的機能の維持増進を図るとともに、地域振興や雇用の創出に大きく貢献してきたと考えております。
そこで、ふくしま緑の森づくり公社を活用し、停滞している森林整備を推進すべきと思いますが、県の考えをお伺いいたします。
次に、内水面漁業の復興についてであります。
本県の内水面漁業は、阿武隈川水系や阿賀川水系などの豊かな漁場に恵まれ、アユ釣りやイワナ、ヤマメの渓流釣りなど県内外からの多くの遊漁者を受け入れ、地域の振興にも大きく貢献してまいりました。
しかし、平成23年3月の原子力災害による放射性物質の影響により、一部の河川や魚種で出荷制限が指示されております。このため、県民の川に親しむ機会が失われるとともに、訪れる遊漁者も大きく減少し、内水面漁業の不振は観光業を初め地域産業に大きな影響を与えております。
そこで、県は内水面漁業の復興にどのように取り組んでいかれるのかお伺いをいたします。
次に、会津縦貫道についてであります。
会津縦貫道は、山形県や栃木県に連絡する会津地方にとって重要な幹線道路であり、産業及び観光の振興や救急搬送時間の短縮等が大いに期待され、早期整備が望まれております。本県の高速ネットワークは、常磐自動車道が3月に全線がつながり、東北中央自動車道についても整備目標年次が示されるなど、着実に整備が進められております。
このような中、会津縦貫北道路については平成21年度より随時供用され、残る湯川南インターチェンジから会津若松北インターチェンジ間についても平成27年度に完成の見通しであります。これにより全線開通することは待ち遠しい限りであります。しかしながら、会津縦貫道の全体としての整備は他の高速ネットワークに比べ大変おくれている状況にあります。
そこで、県は会津縦貫道の整備にどのように取り組んでいかれるのかお伺いをいたします。
次に、土砂災害対策についてであります。
昨年広島市内で発生した土砂災害を受け、国では土砂災害防止法を改正し、基礎調査の結果について公表することを義務づけるとともに、基礎調査が適切に行われていない場合には県に対して是正の要求を行うことを定めたところであります。
これは、広島市における土砂災害の反省から、県に対して住民に土砂災害の危険性を認識してもらうための知らせる努力を今まで以上に強力に促進させるため、基礎調査の進捗管理に国が関与し、具体的にはおおむね5カ年で完了させることを強く求めたものであります。
残念ながら本県の基礎調査の実施状況は、平成26年度末で土砂災害危険箇所数8,689カ所に対し約38%と全国平均と比較しても低い状況であることから、5カ年で完了するためには予算、人員の確保が大きな課題であります。
本県を取り巻く環境は、東日本大震災と原子力発電所事故に伴う被災者への対応が最優先課題であり、県予算も重点配分せざるを得ない状況でありますが、近年の地球温暖化の影響からか、新潟・福島豪雨等に代表されるような集中豪雨による土砂災害も多発し、喜多方や二本松地方での土砂災害による被害も記憶に新しいところであります。
そこで、土砂災害防止法の改正を受け、県はどのように基礎調査を推進していかれるのかお伺いをいたします。
次に、県警察の業務の方針についてであります。
県内の治安情勢は、昨年の刑法犯認知件数が12年連続して減少したものの、「なりすまし詐欺」による被害が過去最高となっているほか、危険ドラッグの県内への拡散が懸念されるなど、犯罪情勢は予断を許さない状況にあります。また、交通事故については、事故件数が減少する一方で、昨年の交通事故による死者が前年対比で増加したところであります。
加えて、本県はいまだ避難を余儀なくされている多くの県民のふるさとである被災地の治安が直接住民の帰還を左右する大きな要素となっております。さらに、昨年国道6号の自由通行が始まったほか、3月からは常磐自動車道が全線開通となるなど、被災地を取り巻く情勢の大きな変化が治安に及ぼす影響も少なくないと感じております。
さて、先月石田警察本部長が着任され、着任早々、避難指示区域等の被災地の視察や行方不明者捜索の指揮などを行っておりますが、ぜひ県警察には、現在の治安情勢や日々変化する被災地はもとより、県内のさまざまな情勢を見据えて、県民が安全で安心して暮らせる福島県の実現のための警察活動を求めるものであります。
そこで、県警察における本年の業務方針についてお伺いをいたします。
最後に、中間貯蔵施設についてであります。
中間貯蔵施設は、本県の一日も早い環境回復、復興のために大変重要な役割を担う一方、地元には長期にわたり大変重い負担を強いることになるという広域自治体として大変難しい課題でありますが、県はこの懸案事項に対しても鋭意取り組まれているものと思っております。
そうした中、昨年12月から1月にかけて、大熊町、双葉町からそれぞれ建設受け入れ表明があり、今月8日には県に対して国から5項目に対する回答がありました。
中間貯蔵施設については、地元自治体である大熊町及び双葉町、そして地権者の皆さんの理解を得ながら進めていくことが何より重要でありますが、一方では、これまで国がことしの1月を目標としてきた搬入開始時期についても見直しがなされ、県内各地域の仮置き場等での保管も継続せざるを得ない状況にあるなど、市町村では対応に大変苦慮されているという話も聞き及んでおります。
このような状況下においてこそ、まさに広域自治体として、それぞれ困難な立場にある市町村の間に立つ県が国の提示内容をしっかり確認した上で搬入受け入れに対する判断を行い、方向性を示すべきであると考えております。
昨日、知事は関係部局長会議を開催し、搬入受け入れについての考えをまとめ、本日の大熊・双葉両町、さらには双葉8町村との協議を踏まえて最終的な判断を行うとのことでありますが、県民は知事の考えを注視しております。
そこで、中間貯蔵施設への搬入の受け入れをどのように判断するのか、知事の考えをお伺いいたしまして、質問を終わります。
議長(平出孝朗君)執行部の答弁を求めます。
知事(内堀雅雄君)渡部議員の御質問にお答えいたします。
職員の意識の高揚につきましては、前例のない困難な課題が山積する厳しい状況の中、県民の皆さんのたゆまぬ努力と職員の懸命な取り組みにより、復興が着実に進んでまいりました。
本県の復興・再生をさらに進めていくためには、職員みずからが有事の状況にあることを常に念頭に置き、さまざまな課題に積極果敢に挑戦することが重要であると考えております。
私は、就任以来積極的に現場に出向き、市町村や県民の声に耳を傾けてまいりました。その中で改めて感じたことは、さまざまな意見を着実に県政に反映するためには、職員がそれぞれの持ち場でふるさとを思う熱い情熱と使命感を持って多岐にわたる困難な業務に挑戦し、最大限の力を発揮することが大切であるということです。
そのため、私自身が率先して現場主義の徹底を実践し、管理職員への講話や若手職員との意見交換の場を通じ、私自身の言葉で語りかけることにより職員のモチベーションを引き出すとともに、各部局等で実施している職員育成の取り組み、自主的な研修活動に対する支援などを通じて職員の意識改革に取り組んでまいります。
今後もあらゆる機会を通じてこうした私の考えを伝え、職員の一層の意識の高揚を図り、「ふくしまから“チャレンジ”はじめよう。」を合い言葉に職員一丸となって本県の復興・再生に全力で取り組んでまいる考えであります。
次に、避難地域における商工業の復興についてであります。
私は、震災や原子力災害により甚大な被害を受けている避難地域が一日も早く復興・再生し、震災前よりも発展していくことが県政の最重要課題と認識しております。
このため、これまで住民の帰還に向けた商業機能確保への支援を行うとともに、事業再開、事業継続に向けた施設復旧への補助や金融支援、さらに他地域より優遇した補助率の企業立地補助金による工場等新増設の支援を行ってまいりました。
その結果、事業再開が進むとともに、企業立地補助金の指定件数では96件を数え、1,200名を超える雇用の創出が予定されるなど、復興に向けた明るい兆しも見え始めております。今後これらに加え、福島復興再生特別措置法の改正法案に盛り込まれた新たな課税の特例等により、事業者の帰還に向けた支援を行ってまいります。
また、イノベーション・コースト構想の具体化による「ロボット関連産業革命の地ふくしま」を目指し、災害対応ロボットなどの技術開発への継続支援や制御システムなど要素技術開発への新たな補助を行うことにより、ロボット関連産業の育成、集積を図るとともに、広野・楢葉沖での浮体式洋上風力発電の実証実験や南相馬市における藻類バイオマスの技術開発支援を進めることにより、再生可能エネルギー産業の育成、集積にも積極的に取り組んでまいります。
私は、今後とも市町村や国、商工関係団体と緊密に連携を図りながら、避難地域における新しい福島型の産業復興モデルを構築し、研究分野全体の活力につながる復興・再生をなし遂げてまいる考えであります。
次に、市町村長からの意見の県政への反映についてであります。
本県は約12万人の方々の避難や各方面における風評が続いているなど、いまだに有事の状態にあります。この状況を打破し、復興をさらに加速させるためには、それぞれの地域が抱える課題に対してきめ細かに対応した施策をスピード感を持って進めていかなければなりません。
私は、このような考えから「現場主義」を県政運営の柱に掲げ、それをみずからも実践すべく、就任当初から昨年末にかけて県内の全市町村長等と意見交換を行い、地域の実情に即したさまざまな御意見を伺いました。
これらの御意見を踏まえ、国と精力的に協議を行い、避難地域の復興に向けた福島復興再生特別措置法の改正の閣議決定や風評被害対策、緊急雇用などの予算確保に結びつけたところであります。
また、県においても、応急仮設住宅における空き部屋の弾力的な運用を可能としたほか、市町村に対する自由度の高い補助制度の創設、教育旅行の回復、鳥獣被害対策、さらには子育て支援のための施策の充実など、多くの市町村から要望をいただいた項目について新年度予算へ着実に反映させております。
先月からは、各市町村に出向いて改めて状況や具体的な課題を伺っているところであり、今後も「現場主義」の精神のもと、市町村長との継続的な対話を重ねながら、その思いを的確に形にできるよう力を尽くしてまいる考えであります。
次に、農村地域の活性化についてであります。
農村地域は、本県の基幹産業である農業の生産現場であるとともに、国土保全や水源の涵養、地域文化の伝承の多面的機能を有しており、本県の均衡ある発展を図る上で農村地域の活性化は重要な課題であると考えております。
先日、女性農業者の方々と意見交換を行う機会がありました。その中で、からむし織姫体験生として昭和村に移住した女性が地域の特産品であるカスミソウを100年続く産地にしたいとの思いから新規就農し、今では県内外のイベントや商談会で産地の代表として活躍しているお話を伺い、感銘を受けました。
また、南郷トマト生産組合は、トマトの産地として長年高い品質と安定した出荷量を継続するとともに、研修・指導体制を構築し、Iターンを含めた新規就農者を育成する取り組みなどが評価され、先月日本農業賞の大賞を受賞しました。
このような地域の特色を生かした産地の形成を初め地元の農産物を活用した6次化商品の開発とブランド化、道の駅や農産物直売所における販売力強化などにより地域の潜在的な可能性を掘り起こし、過疎・高齢化が進む農村地域の農業振興と活性化に積極的に取り組んでまいる考えであります。
次に、中間貯蔵施設につきましては、搬入受け入れの判断に当たって確認することとした5項目について今月8日に国の考えが示されたことから、内容について精査確認を行い、その結果を踏まえて昨日関係部局長会議を開催いたしました。
その中で、県外最終処分の法制化については30年以内の処分完了に必要な措置が法律に明記されるとともに、最終処分の工程表の作成や国会への報告等を求める附帯決議がなされ、国の取り組みを監視していくことができること、交付金については補正予算で措置されたほか、27年度予算案に盛り込まれ、対象となる事業や事務手続について自由度が確保されていること、搬入ルートの維持管理等については県と国との間で確認書を取り交わし、県及び市町村管理道路等に関する維持管理の実施主体及び費用負担等の基本的な考え方を明確化することなど5項目については、おおむね県や地元自治体の意向を踏まえた対応がなされていることを確認したところであります。
こうした考えのもと、搬入受け入れに関しては、本日私自身が直接地元の意向を伺った上で最終的に判断してまいりたいと考えております。
その他の御質問につきましては、副知事等から答弁させますので、御了承願います。
副知事(鈴木正晃君)お答えいたします。
当初予算につきましては、県の総合計画に基づく13の重点プロジェクトを中心に、避難地域の復興・再生に向けた避難者の皆さんのふるさとへの帰還や生活再建につながる施策を最優先に、人口減少・高齢化対策を初め新たな産業の創出や中小企業の振興、本県の基幹産業である農林水産業の再生、県民の心身の健康を守る取り組み、未来を担う子供や若者の育成など事業の緊急性や費用対効果を見きわめながら、研究分野全体の発展につながる施策に優先的に予算を配分したところであります。これら一つ一つの施策を着実に実行し、新生ふくしまの実現に向けしっかりと取り組んでまいる考えであります。
次に、市町村への人的支援につきましては、県任期付職員の派遣や市町村独自で実施する採用試験への支援、被災3県合同による都道府県訪問を通じての職員派遣要請等の取り組みにより、2月1日現在で必要な職員数388名に対し370名が確保され、95.4%の充足率となっております。
新年度におきましては、県任期付職員の追加派遣、本県の要請による高知県任期付職員派遣の実現など、これまでの取り組みの充実に加え、新たに県退職職員による人的支援スキームを構築するなど、引き続き被災市町村と連携を密に、よりきめ細かに復興・再生に必要な人員の確保に努めてまいる考えであります。
企画調整部長(近藤貴幸君)お答えいたします。
地域密着型プロスポーツにつきましては、身近で高度な技術に触れることにより子供たちに夢を与え、競技力の向上やスポーツへの関心を高めるとともに、地元チームとして応援することにより地域の一体感や誇りが醸成されます。
そのため、県がメーンスポンサーとなるホームゲームの支援などの拡充に加え、新年度は各チームと連携したふれあいイベントや観戦ラリーの実施、入場チケットやグッズ、飲食に利用できるプレミアムつき共通商品券の販売などによりファンの増加を図り、県民の応援が選手を力づけ、チームの活躍が県民に勇気と元気を与える好循環につなげてまいる考えであります。
次に、歴史・文化を生かした地域づくりにつきましては、脈々と受け継がれてきた本県の歴史や文化を守り育むとともに、この貴重な宝を生かして交流人口の拡大などに結びつけていくことが重要であると考えております。
このため、新たに創設する地域創生総合支援事業において、市町村がよりきめ細かな地域づくりに対応できる自由度の高い補助制度を構築するとともに、国の地方創生の交付金を活用し、歴史情緒にあふれ、にぎわいのある地域づくりをさらに後押しするなど、市町村と一体となって歴史・文化資源を生かした地域づくりを積極的に支援してまいる考えであります。
次に、情報通信技術の復興への活用につきましては、これまでタブレット端末を利用したふるさととのきずなを維持する避難者への情報提供や避難指示が解除された地域における携帯電話通話エリアの拡大などを行い、人と人とを結ぶコミュニティーの再生に力を入れてまいりました。
今後は、現在策定を進めている次期情報化推進計画において、防災、医療、避難者支援等の住民サービスを一元的に提供する復興まちづくりモデル構築や、県や市町村が保有するデータを避難者へ提供し、帰還を支援するソフト開発などを施策の柱として考えており、住民に役立つ質の高い行政サービスの実現に向けて、本県復興に情報通信技術を積極的かつ効果的に活用してまいる考えであります。
生活環境部長(長谷川哲也君)お答えいたします。
太平洋・島サミットにつきましては、本県の元気な姿や魅力を世界に向けて発信する絶好の機会であることから、おもてなしの機運を盛り上げるため、昨年11月に3カ国の駐日大使等をお招きし、県内視察や高校生との交流、トークショーを開催したほか、中学生作成のポスターを巡回展示しているところであります。
サミット開催に当たっては、県内視察等を通じ、本県の今と魅力を発信するとともに、サミット後には島嶼国出身留学生を招いた意見交換会を開催するなど、3カ国との間に築かれたきずなを生かして交流のさらなる拡大に取り組んでまいる考えであります。
次に、ツキノワグマにつきましては、新年度において県内における生息状況調査を広域的に行い、調査結果をもとに生息状況に応じた対策を一層推進するとともに、市町村に移譲する捕獲許可権限をこれまでの銃器による捕獲に加え、わなによる捕獲にも拡大するなど有害捕獲を強化することとし、イノシシについては、農業被害等が防止され、適正な生息数となるようこれまでの捕獲対策に加え、新たに県による直接捕獲事業を実施するとともに、予察捕獲の対象地域を県内全域に広げるなど捕獲の強化を図ってまいります。
さらに、狩猟者の育成確保に取り組み、関係機関と緊密に連携しながら有害鳥獣の積極的な管理を行ってまいります。
保健福祉部長(鈴木淳一君)お答えいたします。
地域包括ケアシステムにつきましては、在宅医療・介護連携の推進や生活支援サービスの充実強化などが重要であり、市町村が地域の特性に応じてつくり上げていくことが求められております。
このため県といたしましては、先月にはトップセミナーを開催し、市町村長や地域の医師会長などに理解を深めていただいたほか、新年度には新たに地域の特性を生かし、限られた資源を活用して地域の支え合いやまちづくりの観点から市町村が実施するモデル的な取り組みに補助を行い、地域包括ケアシステムの早期構築に向けてしっかりと支援してまいる考えであります。
次に、食育の推進につきましては、子供の肥満傾向や生活習慣病の増加が問題となる中、極めて重要な取り組みであることから、関係部局と連携し、学校、保育所等における食生活指導、食育応援企業と連携した親子で学べる料理教室の開催などに取り組んでいるところであります。
新年度はさらに慢性疾患の発症や重症化を予防するため、市町村の栄養士等で構成する検討会を各方部に設置し、在宅療養における栄養管理等のサポート体制づくりを開始するほか、平成28年6月には食育推進全国大会が本県で開催されることから、食育による健康長寿の取り組みはもとより、本県の食文化や県産食材の情報発信により風評払拭にもつながるようしっかり取り組んでまいる考えであります。
次に、甲状腺検査に係る医療費につきましては、これまで県民に負担が生じることのないよう国に強く要望してきたところ、今般国の新年度予算案に県民健康調査を支援するものとして必要な経費が計上されたところであり、今後具体的な支援方法等について検討を進め、新年度早期に支援を実施できるよう取り組んでまいりたいと考えております。
商工労働部長(星 春男君)お答えいたします。
避難解除等区域における商業機能の確保につきましては、これまでグループ補助金等により商店の再開を支援するとともに、平成25年度には田村市及び楢葉町の仮設商業施設整備への補助を行い、また、国への強い働きかけにより、市町村の商業施設整備への補助制度が創設され、昨年3月に川内村が、今月には南相馬市及び広野町の商業施設設置が採択されております。
さらに、今年度から県において市町村が整備した商業施設の安定運営のため経費の一部を支援しているところであり、今後も市町村や商工団体等と連携しながら商業機能の確保にしっかりと取り組んでまいる考えであります。
次に、ものづくり産業の人材育成につきましては、震災からの復興に向け、産業界のニーズに的確に対応していくため、昨年8月、産学官の関係機関等で構成するふくしま産業人材育成コンソーシアムを立ち上げ、今月には就職前や在職中の各段階における人材育成の方向性や取り組み等をアクションプランとしてまとめたところです。
今後はプランに基づき、関係機関等と連携し、子供たちのものづくり体験イベントや教員の企業現場研修、企業の高校視察等による相互理解を促進するとともに、新年度から新たに企業等が共同で行う技術力向上を図る研修等への支援を行うなど、ものづくり産業を担う人材の育成に積極的に取り組んでまいる考えであります。
農林水産部長(畠 利行君)お答えいたします。
肉用牛生産の振興につきましては、これまで繁殖農家の規模拡大や避難農家の営農再開を促進するため、繁殖雌牛の導入事業を創設するとともに、県家畜市場等の機能向上を支援するなど総合的な対策を講じてまいりました。
今後は導入事業を拡充するとともに、担い手の育成にも対応した復興のモデルとなる和牛繁殖農場の整備を支援してまいります。
また、福島牛のブランド力回復のため、平成29年に開催される全国共進会で好成績をおさめられるよう、関係団体や生産者と一丸となって高品質な牛づくりを進めるとともに、肥育牛全頭検査やトップセールスを継続して県産牛の安全性やおいしさをアピールするなど肉用牛の生産振興に全力で取り組んでまいります。
次に、ふくしま緑の森づくり公社につきましては、県内31市町村においてこれまでに延べ21万9千ヘクタールを超える森林整備を行ってまいりました。
また、震災後においては、放射性物質に対応したふくしま森林再生事業にいち早く取り組むとともに、林業事業体への放射性物質対策研修会の開催や市町村が行う森林整備事業の技術的支援も積極的に行っております。
県といたしましては、今後とも公社の豊富な経験や技術力を活用し、公社造林地を核として市町村事業と一体となった間伐などの森林施業の集約化を図るなど、効率的な森林整備を通して森林再生の取り組みを推進してまいる考えであります。
次に、内水面漁業の復興につきましては、これまで釣りなどの遊漁対象魚や養殖魚の安全確認ときめ細かな緊急時モニタリング等を実施し、国と協議を重ねてまいりました。その結果、久慈川のヤマメや只見川水系のイワナとウグイの出荷制限が解除されましたが、いまだに多くの河川等で制限が継続しております。
今後は魚類の放射性物質に関する調査研究や緊急時モニタリングを強化し、遊漁等が可能な水域の拡大に努めるとともに、アユやヤマメ等の放流の支援や釣りに関する情報の提供など市町村と関係団体と連携して内水面漁業の復興を積極的に図ってまいります。
土木部長(松本英夫君)お答えいたします。
会津縦貫道につきましては、北道路として喜多方市から会津若松市間、さらに南会津町までを南道路として、国と連携し整備を進めております。
未着手区間のうち下郷町の国道289号から南会津町までの約11キロメートル間の事業着手と会津若松市内における北道路と南道路の接続区間及び門田町から芦ノ牧間の事業化に向けた調査着手について、新年度での新規採択を国に要望しているところであります。
今後とも関係機関と連携を図り、磐越自動車道と一体となる会津地方の高速ネットワークの早期形成に向け全力で取り組んでまいる考えであります。
次に、基礎調査の推進につきましては、土砂災害防止法改正を踏まえ、今年度において予算を増額するとともに、平成27年度当初予算においても調査の大幅な進捗を図る予算を計上しております。
引き続き居住実態の変化に伴う調査対象箇所の見直しと既存資料の活用や調査内容の精査による経費の節減に取り組むとともに、国に対して財政支援等を要望するなど財源の確保に努め、おおむね5年で基礎調査の完了を目指してまいる考えであります。
原子力損害対策担当理事(伊藤泰夫君)お答えいたします。
県外避難者への支援につきましては、昨年11月から南関東の4都県に復興支援員を配置し、県外駐在職員とともに戸別訪問や相談対応等の活動を展開している中、避難者からは「医療や介護、住宅、帰還などについてのさまざまな相談や悩みを打ち明けることができてよかった。」との声も寄せられています。
新年度は、関東全域、山形及び新潟等の各都県への配置を現在の22名から65名程度に拡充し、市町村設置の支援員との情報共有や専門家等との連携により課題解決のための効果的な活動を展開し、避難者の帰還や生活再建につながる支援に取り組んでまいる考えであります。
子育て支援担当理事(小林武正君)お答えいたします。
子ども・子育て支援新制度の推進につきましては、地域の実情に応じた保育施設等の整備、子育てを支える人材の確保や研修の充実など、幼児教育及び保育の量的拡大と質的向上を着実に進めることが重要であると考えております。
県といたしましては、福島県子ども・子育て支援事業支援計画のもと、地域に必要とされる子育て支援サービスが十分に確保されるよう、市町村と連携して子育て環境の整備に積極的に取り組んでまいる考えであります。
観光交流局長(五十嵐照憲君)お答えいたします。
県産品の輸出促進につきましては、震災により販路が絶たれ、大きく後退したものの、東南アジア各国における現地商談、各種販売促進活動等の取り組みを通じて県産果実、日本酒等の品質が高く評価され、輸出量は年々拡大しております。
また、東アジアの販路回復に向けては、輸出入事業者への訪問活動や関係機関と連携した現地メディアの招聘等に取り組んでまいりました。
今後はこれらに加え、取扱事業者の拡大やホテル、飲食店等への売り込み、プロモーション活動等を強化するとともに、取引の核となるバイヤーの招聘、さらには国と連携し、輸入規制緩和を強力に要請するなど県産品輸出の拡大、販路回復に積極的に取り組んでまいります。
教育長(杉 昭重君)お答えいたします。
ボランティア等の社会体験活動への支援につきましては、震災を経験し、たくましく成長する子供たちのみずから復興に貢献しようとする思いを具体的な活動につなげることが重要であると考えております。
そのため新年度から新たに発達段階に応じて避難者との継続的な交流を通して子供たちの元気を届ける活動や、これまでの支援に対する感謝の気持ちと福島の今を県内外に発信する活動などの社会体験活動を支援することにより、新生ふくしまを担う子供たちを育成してまいる考えであります。
次に、子供の読書活動の推進につきましては、読書に親しむ機会や読書環境を充実させ、その大切さについて広く県民の理解と関心を高めていくことが重要であると考えております。
そのため、年度内に策定する新しい読書活動推進計画において、学校司書の配置や読書ボランティアの活用等に関し、市町村と一体となって具体的な目標値を定め、取り組みを進めるとともに、社会全体で子供の読書活動を推進するために、学校、家庭、地域、それぞれの役割をわかりやすくリーフレットに取りまとめ、広く周知することにより子供が生涯にわたって望ましい読書習慣を身につけられるよう取り組んでまいります。
次に、県立高等学校における地域に貢献する人材の育成につきましては、地域社会が抱えるさまざまな課題と向き合い、幅広い視野からその解決に当たるリーダーの育成が重要であることから、新たに会津高等学校をモデル校として、生徒みずからが課題を設定し、大学や地域企業との連携による研究や海外研修等を通じて探求活動を行い、その研究成果を地域に発信することによりグローバルな視野を持って地域に貢献できる人材の育成に取り組んでまいります。
警察本部長(石田勝彦君)お答えいたします。
県警察における業務の方針につきましては、「福島を支える力強い警察」を基本姿勢とし、避難指示区域等の治安確保を初め復興に向けて歩む福島を治安面から力強く支えてまいります。
そのため、関係機関・団体や地域住民と連携しながら犯罪抑止対策を強化し、真に犯罪の起きにくい社会づくりを推進してまいります。また、街頭活動を強化するなど地域の安全と安心の確保に努めてまいります。
そのほか、「なりすまし詐欺」等の県民が不安を感じる犯罪の徹底検挙、危険ドラッグを初めとする薬物乱用の根絶、組織犯罪の封圧にも取り組んでまいります。
さらに、交通事故分析等を踏まえた総合的な対策による交通事故の防止、大規模災害対策、テロの未然防止、サイバー空間における安全と安心の確保にも努めてまいる考えであります。こうした方針のもと、本県の警察業務を推進してまいります。