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2015年2月定例会 討論 長谷部淳議員

印刷用ページを表示する 掲載日:2015年6月17日更新

長谷部淳議員

議員長谷部淳
所属会派
(質問日現在)
日本共産党
定例会平成27年2月
質問等討論
質問日3月20日(金曜日)

26番(長谷部 淳君)日本共産党の長谷部淳です。

 日本共産党を代表し、今議会に提案されている議案と請願への意見を述べさせていただきます。

 最初に、知事提出議案第1号、県一般会計予算にかかわってです。

 今議会は安倍政権の横暴きわまる暴走の中身が明らかになる中で開かれました。政府の最優先の課題は、原発事故の原因究明と事故収束、汚染水対策に全力を挙げることです。

 ところが、「政府が前面に立つ」とはかけ声だけで、現実には原発の再稼働・輸出政策であり、政府予算案は国民の声に反して海外で戦争する国づくりを目指して軍事費をふやし、医療や介護、年金などに充てる社会保障の予算は自然増さえ大幅に切り込む一方、大企業には減税する三悪予算です。

 社会保障の自然増予算の削減は、医療崩壊や介護崩壊をもたらした小泉内閣以来の方針で、「社会保障のため」という消費税増税の口実さえ完全に投げ捨てるものです。

 とりわけ原発震災から4年たっても、余計な放射線被曝を避けるために避難を余儀なくされている県民を含め、いまだ12万人近い県民が避難生活を強いられ、震災関連死、孤独死が続き、子供たちを含め、心のケアは極めて重大な課題となっています。

 こうした県民に真に寄り添い、現時点ではふるさとに戻れない県民を含め、一人残らず奪われた人権を取り戻し、心の復興を遂げ、生活と生業の再建、コミュニティー・社会生活の再生が復興の本質です。

 ことしは、阪神・淡路大震災から20年目の年ですが、開発事業優先で被災者が取り残される復興災害とも言える現実があり、その克服が課題とされています。

 その復興災害をもたらす要因は二つあり、一つは復興に名をかりた便乗型開発事業、もう一つは既存制度の範囲内での施策でしかないために、復興プログラムの貧困さや不作為があるとされます。阪神・淡路とはまた質が格段に違う原発震災のただ中にある福島県として、その同じ轍を踏んでいないかどうか厳しく点検されなければなりません。

 県が進める復興のためのさまざまな拠点整備事業や、国主導のイノベーション・コースト構想が被災県民置き去りの事業となってはなりません。こうした事業計画を知った避難者から、「自分たちの生活再建は後回しだ」との声が既に寄せられていますが、後回しにしてはならないのです。

 本来、国は「福島の復興なくして日本の再生なし」の立場を一層徹底させるべきところ、むしろ逆です。汚染水対策初め廃炉作業の前面に立つことはしないどころか、原発再稼働への前のめり姿勢、賠償打ち切りで福島切り捨ての姿勢が露骨です。被災県民の立場に立ち切った毅然とした県としての姿勢と被災県民の暮らしを支える施策の具体化が求められます。

 原発事故収束の見込みが立たず、放射能汚染に対する不安が払拭されない中で、避難指示があろうがなかろうが、避難する避難者全てに対して生活を成り立たせるための施策、戻りたくても戻れない人たちの住まいの確保、国と東電によって就労不能損害の賠償が勝手に打ち切られた人たちの生活再建施策などなど、知事が言う「将来の見通しを立て、自立的な生活再建の道を選択できる環境づくり」のための施策がまだまだ弱いと指摘せざるを得ません。

 また、消費税増税の強行とあわせ、国が責任を持つべき社会保障分野では、年金の削減、高齢者の医療費窓口負担増、入院給食費の増、介護サービスを要支援1、2認定者から奪い取る、生活保護基準を引き下げるなど次々と後退させる中、こうした悪政から県民の暮らしを具体的に守ること、賃金面を含め医療・介護の現場で働き続けられる条件整備も不可欠です。米価下落に加え、風評による深刻な影響を受ける家族農家を支える対策も求められます。

 来年度予算案として示された事業には、推進すべきものも少なくありませんが、被災県民からの切実な声に応え得る予算という点では不十分と評価せざるを得ません。被災者県民の視線で今後も厳しく指摘し続けることを表明するものです。

 次に、知事提出議案第71号県教育関係職員定数条例等の一部を改正する条例にかかわってです。

 原発震災によって学校を奪われ、先生から切り離され、家族、友人からも引き離され、県内外に分散せざるを得ない子供たちの現実を前に、スクール・ソーシャル・ワーカーやスクール・カウンセラーの拡充はもとより、一人の子供に一人の正教員が必要だと現場からの悲鳴があるときに、従来の標準に基づく定数で一人一人の子供たちにきめ細かく寄り添うことは不可能です。正教員の拡充こそ震災の教訓であることを肝に据えるべきです。

 次に、議員提出議案第343号国民に開かれた安全保障法制の議論を求める意見書並びに第344号集団的自衛権行使の閣議決定を撤回し立法化しないことを求める意見書及び第344号議案に係る請願330号についてです。

 そもそも日本国憲法は、一切の軍事力保持を禁じています。憲法九条を素直に読めば、自衛隊は違憲の存在であることは明らかです。しかし、歴代政府はあくまで日本防衛に限定し、他国の戦争に参加する集団的自衛権の行使は容認しないから自衛隊は合憲だとしてきました。海外派兵の場合も他国の武力行使と一体化しない、戦地に行かないという制約を設けてきました。

 ところが、昨年7月の閣議決定はこれらの歯どめを取り払いました。歯どめをなくして歯どめの議論をすること自体むなしいばかりです。案の定、自民・公明政権が取りまとめようとしている安全保障法制は、周辺事態法改定と海外派兵恒久法によって地理的に無制限で戦地派兵を容認し、PKO法改定によって武器使用基準も拡大するものです。

 まさに自衛隊員が戦地において殺し殺される危険が鮮明であり、そうなれば、日本の若者が戦地において命を落とすことも当然だとする国民意識に教育を通して変えていくことにもなります。憲法9条の存在によって国際的信頼を得てきた日本の国のあり方を根本から覆すものであり、許されるものではありません。

 集団的自衛権行使容認の閣議決定を撤回し、立法化をやめ、安全保障法制に関して国民に開かれた議論を進めることを国に求めることは当然のことです。

 次に、議員提出議案第345号政党助成金の廃止を求める意見書についてです。

 政党助成金制度は1995年、金権政治一掃を求める国民の声を受け、政治改革の名のもとに企業・団体献金を禁止するからという口実で、小選挙区比例代表並立制とともに導入、施行されました。以来20年間にわたり、総額約6,311億円の助成金がばらまかれた政党は、昨年まででも43党に上り、うち33党が解散、消滅したとされます。

 その一方で、企業・団体献金は温存され、政党助成金との二重取りが続けられ、金の力で政治がゆがめられているのが現実です。まさに有権者不在で、理念も政策もなく助成金目当てに政党・政治家が離合集散を相も変わらず繰り返し、政党の劣化極まれりの状況です。

 政党は何の苦労もなく巨額の税金を手にし、受け取ったら何に使おうが勝手放題で、国民には自立・自助を説き、社会保障を後退させ、消費税増税を押しつけておきながら、例えば自民党の本部財政は約6割、民主党の本部財政は約8割を助成金で賄う国営政党です。政治と金への感覚を麻痺させ、政党を堕落させ、大臣の辞任も相次ぐ腐敗政治をつくり出す根源がこの政党助成金です。

 国民は本来、みずからの思想・信条に従い、支持政党に寄附する自由と権利があり、政治資金の拠出は国民の政治参加の権利そのものです。ところが、政党助成金は国民がみずから支持しない政党に対しても強制的に寄附させられる制度であり、思想・信条の自由や政党支持の自由を侵す憲法違反の制度です。直ちに廃止を求めることは当然のことです。

 次に、議員提出議案第350号全国の原発を再稼働しないよう求める意見書及び請願331号についてです。

 福島原発事故が示したことは、安全な原発などはあり得ないこと、一たび原発が事故を起こせばその被害は時間的にも空間的にも社会的にも拡大し続けること、原発と人類とは共存し得ないことです。知事が今議会で、「さまざまなところで分断と矛盾とを引き起こし、複雑化した課題の解決には極めて多くの時間と労力を要する。」と繰り返し表明したとおりです。

 まして福島原発事故の原因すら究明されておらず、事故収束の見込みもない中、再稼働に走る姿勢は原発を重要なベースロード電源と位置づける国のエネルギー基本計画に基づくものであり、事故収束とは言わないと言いながら収束宣言を撤回せず、汚染水はブロックされているという認識も変えず、福島の事故は既に終わったものとして賠償も打ち切る方針も撤回せず、まさに福島切り捨てと一体のものです。再稼働は他県のことなどと人ごとのように言うことは、福島原発事故の教訓を酌み取る姿勢を根本的に欠いていると言わざるを得ません。

 昨年5月、大飯原発運転差しとめ訴訟において福井地方裁判所は、福島原発事故を受けこう述べました。「原子力発電所で一たび深刻事故が起こった場合の環境汚染はすさまじいものであって、福島原発事故は我が国始まって以来最大の公害、環境汚染である。」、「原子力発電技術の危険性の本質及びそのもたらす被害の大きさは、福島原発事故を通じて十分に明らかになったと言える。かような事態を招く具体的危険性が万が一にでもあるのかが判断の対象とされるべきであり、福島原発事故の後において、この判断を避けることは裁判所に課された最も重要な責務を放棄するに等しい。」と明快です。

 そして今日は、「全ての原発再稼働反対」、「原発やめろ」の141回目の首相官邸前抗議行動が行われ、県内各地、全国各地でこれに呼応した行動が展開されます。県議会としてもこの声に応え、再稼働はやめるべきだと発信する重要な責務があると思います。

 次に、議員提出議案第352号介護報酬及び障害福祉サービス等報酬の引上げを求める意見書並びに同第353号介護報酬の引下げを行わないよう求める意見書及び353号に係る請願333号についてです。

 介護報酬は3年に1度改定され、今回は直接介護に当たる介護職員の処遇改善の特別な加算を含めても全体で2.27%引き下げました。報酬全体を引き下げれば、労働条件改善などが絵に描いた餅にしかならないことは自明です。まして現在消費税増税やアベノミクスによる物価高などで介護事業の経費がふえる中マイナス改定を実行すること自体、介護のさまざまな分野で深刻な矛盾や困難を引き起こすこともまた自明です。

 厚労省は、団塊の世代が75歳を超える2025年には介護職員が約30万人も不足すると推計していますが、その背景には介護労働者の低賃金があります。賃金を含めた労働条件が人材不足の最大の原因であることがわかり切っているときに介護報酬の削減を実行すれば、介護現場の人手不足を加速させることは必至です。利用者に対するサービス内容の切り下げにも直結します。

 まして特養ホームの待機者は県内でも1万2千人を超え、家族の介護を理由に離職する現役世代も少なくなく、世代を超えた介護の危機は深刻です。しかも、現在県内平均が4,700円ほどの介護保険料はことし4月から5,500円を超えそうです。そうした中での介護報酬削減は政府の重大な責任放棄です。

 適切な介護報酬に引き上げること、介護保険財政に対する国庫負担割合を引き上げて、介護保険料の引き下げ、低所得者の利用料減免など利用者・国民の負担の軽減を図ることは、自治体からも強く求められています。
 これらの要望にかなうよう、求める意見書、請願の内容は県議会の意思として示すことが当然のことです。

 次に、議員提出議案第358号労働時間の規制強化と安定雇用の確立を求める意見書並びに同357号県最低賃金の引上げと早期発効を求める意見書及びこれらに係る請願335号、334号についてです。

 今、日本の労働者をめぐる状況は非正規雇用が約4割に拡大し、残業の上限規制がないために平均残業時間が例えばイギリスの78時間など欧州諸国と比べても突出して年182時間に達するなど、過労死、過労自殺を生む温床となり、懸命に働いても貧困から抜け出せない低過ぎる最低賃金など働く人を守るルールが余りに貧弱です。

 岩盤どころかずぶずぶの軟弱地盤であるにもかかわらず、安倍政権は岩盤規制打破を掲げ、さらなる労働法制の規制緩和に踏み込もうとしています。財界団体のかねてからの要求に応え、高度プロフェッショナル制度の名のもと、一定の職務や年収の労働者を労働時間の対象外とし、残業代や夜間・休日出勤の手当もなくしたり裁量労働制の対象業務の拡大やフレックスタイム制度の規制緩和をしたりすることは、労働者に長時間労働を押しつけるものです。

 また、過半数労働組合などの意見さえ聞けば派遣労働者を無制限に使用できるようにし、正社員を派遣社員へ大々的に置きかえることが可能な仕組みまでつくろうとしています。

 今必要なことは、労働基準法に基づく1日8時間、週40時間以内の大原則を守り、残業上限を月45時間などとする厚労省大臣告示を法律化し、拘束力のあるものにすること、派遣労働を臨時的・一時的業務に限定するよう抜本改正し、非正規から正社員への流れをつくることです。同時に、一般的な賃金の実態に見合った十分な最低賃金の引き上げも当然のことです。

 以上の理由から、知事提出議案第1号、第71号は否決、議員提出議案第343号から第345号、第350号、第352号、第353号、第357号、第358号の各号は可決及び請願330号、331号、333号から335号の各号は採択すべきことを表明し、討論を終わります。

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