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2015年12月定例会 代表質問 宮本しづえ議員

印刷用ページを表示する 掲載日:2016年2月15日更新

宮本しづえ議員

議員

宮本しづえ

所属会派
(質問日現在)
日本共産党
定例会平成27年12月
質問等代表質問
質問日12月15日(火曜日)

 

25番(宮本しづえ君)宮本しづえです。日本共産党県議団を代表して質問します。


 11月15日投票の県議選で日本共産党は、憲法違反の戦争法廃止、原発再稼働と一体の福島県民切り捨てを許さず、原発ゼロを目指すこと、暮らし破壊の安倍政治に抗して県民生活優先の県政への転換を訴えて戦いました。多くの有権者から安倍政権の暴走をとめてほしいとの共感と支持が寄せられ、得票、得票率を伸ばして現有5議席を守り抜くことができました。掲げた公約の実現を目指して全力を尽くす決意です。


 大震災と原発事故から4年9カ月が経過しても、今なお10万5千人が先の見えない不自由な避難生活を余儀なくされている現状のもとで、全国の原発の再稼働を進め、事故も被害も終わったことにしようとする安倍政権と東電の切り捨て政策には厳しい批判の声が渦巻いています。


 山積する国政の課題に対して、憲法に基づく国会開催要求にすら応じない安倍政権の憲法無視は許されません。県においては、県議選での県民の審判を真摯に捉えて県政運営に当たられるよう求め、質問に入ります。


 最初に、憲法違反の戦争法、いわゆる安保関連法の廃止についてです。


 選挙戦の中で有権者から寄せられた要望で最も大きかったのが、戦争の道に突き進む安倍政権の憲法破壊の暴走政治をとめてほしいということです。立憲主義を取り戻すことは、憲法と地方自治が生きる県政をつくる上で基本となる問題です。


 フランスで起きたテロ事件は、日本国民にも不安と恐怖を呼び起こし、共同通信の世論調査では、日本国内でも起きる可能性があるとの答えが79%に上っています。アフガン戦争、イラク戦争がテロ組織台頭の要因になった歴史に照らしても、軍事作戦は憎しみの連鎖を生み、テロと戦争の悪循環をつくり出してしまいます。


 日本共産党は、世界からテロを根絶するためには国際社会の一致結束した取り組みが求められているとして、テロ組織への資金提供の遮断、国際的移動の阻止、貧困や差別などのテロの土壌となる問題をなくす努力、シリア、イラクの内戦解決の政治的・外交的努力を尽くす、難民支援の強化などを提起しています。


 同時に、日本の自衛隊がIS対策の軍事作戦に参加する可能性も指摘されていますが、日本国民をテロの危険にさらすことになることは明らかです。そうした点からも、戦争法は危険であり、有害であることを認識すべきです。日本共産党は、戦争法廃止の国民連合政府の樹立を呼びかけ、その実現に努力しています。


 県は政治的な問題意識を明らかにしていませんが、法が施行されれば自治体にも協力を求められることとなるため、県民の命と安全にとっても不可分の問題です。


 そこで、憲法擁護の義務を負う自治体として、安保法制、いわゆる戦争法は廃止の意思を示すべきと考えます。知事の認識を伺います。


 2つ目は、福島原発事故に関してです。


 安倍政権は、8月の川内原発1号機に続き2号機も再稼働させ、愛媛県の伊方原発も来年早々に再稼働と伝えられ、再稼働に前のめりです。第3次安倍内閣で復興大臣となった高木氏は、就任会見の中で記者の質問に答え、被災地の原発再稼働もあり得るとの発言を行い、国民の怒りで言い直したと報じられています。


 福島第二原発を含めた県内原発全基廃炉は、県議会を初め全市町村と議会が一致して求めているオール福島の要求であり、本県復興の前提です。大臣発言に県民からは、県民感情を逆なでするものと怒りの声が上がっています。当たり前の暮らしもなりわいも奪われ、家族、地域が分断される苦しみのただ中に置かれている福島県民にとっては当然の気持ちです。被災県民の気持ちを全く意に介そうともしない人物が福島の復興に携わることに大きな不安を抱かざるを得ません。


 県内のある経済団体の幹部は「せめて福島県議会は再稼働反対を言うべき。」と述べたように、県民を代表する県議会や県当局が今言うべきことは、福島原発はもちろん、全国どこでも再稼動は許されないということです。


 福島原発は、第一原発の収束作業のトラブルが相次いでいるほか、第二原発でも1号機が冷温停止の健全性評価が最終確認されておらず、ケーブルのふぐあいも明らかになっています。


 そこで、県は復興大臣の発言に抗議し、直ちに福島県内原発全基廃炉の政治決断を国に求めるべきですが、県の考えを伺います。


 あわせて、国内原発再稼働中止を国に求めるべきです。県の考えを伺います。


 次に、富岡町にある管理型産廃処分場エコテックについてです。


 国は、原発事故により発生した10万ベクレル以下の指定廃棄物処理場として活用する方針です。しかし、住民からは帰還の障害になるなど反対の意見が根強い中で、県、富岡・楢葉両町は受け入れを表明しました。全国では反対があり進まない中で、苦渋の選択とはいえ最終処分場としては初めての受け入れです。


 国は自由度の高い交付金を富岡町と楢葉町に対して県が交付するよう求め、県もこれに応じて100億円を交付する考えです。これは、中間貯蔵施設を受け入れた大熊・双葉両町への150億円の県交付金に続くもので、国の責任を県に押しつけるものです。国がみずからの責任を棚上げする姿勢が中間貯蔵施設の地権者との用地交渉を困難にしてきました。


 指定廃棄物の最終処分場でまた同じ轍を踏むべきではありません。住民の要求に真摯に耳を傾け、問題解決のために国に毅然として責任をとらせることこそ県の責任です。必要経費は全額国に支出を求めるべきですが、県が措置することにした理由をお聞かせください。


 また、その交付金はどのような財源を充てようとしているのか伺います。


 次は、賠償についてです。


 営業損害賠償について、6月の福島復興指針の改定に基づき、東電はことし7月分まで合意されれば直近の年間逸失利益の2倍相当額を支払う方針を示していました。ところが、東電は7月までの合意を渋り、2倍相当分を値切る事例が相次いでいるのです。


 東電は、6月の説明会では、2倍相当の請求についてこれまで以上に必要書類の提出を求めることはしないと述べていました。しかし、実際には相当因果関係が認められないとの理由で、7月までの合意に応じない事例や2倍相当の請求をしたら打ち切りを通告され、個人的に交渉し半分や3分の1で合意を迫られているなど、次々と値切り、打ち切りを迫られる事例が県内各地で業種を問わず報告されているのです。


 県内事業者の4割に匹敵する3万8千の事業者が何らかの営業損害賠償を受けながら営業を存続させてきました。今回特に問題が指摘されているのは避難指示区域外の3万の事業者です。これが打ち切られたり値切られたりしながら賠償の終了となれば、少なくない事業者が営業存続困難に追い込まれることは必至です。


 11月26日に県損対協が行った国と東電の要望には、具体的な記載はありませんでした。商工業等の新たな営業損害賠償について、県の問い合わせ窓口に事業者からの苦情がどのくらい寄せられ、県はどのように対応しているのか伺います。


 地域経済や地域文化を支えてきた商工業者が廃業となれば、地域の崩壊につながりかねず、県内経済と県民生活に与える影響は甚大であり、本県復興の大きな足かせとなることは明瞭です。県は知事が会長の原子力損害対策協議会全体会を開き、事業者の意見を踏まえて営業損害に十分な賠償を国と東電に改めて強く求めるべきと思いますが、知事の考えを伺います。


 年間の2倍相当の賠償合意書には、将来にわたる賠償とするとの文言が記されており、5年間の清算条項もあります。今回の2倍相当分は将来分を先に支払うというもので、従来の賠償の考え方から大きく変わり、賠償の枠を超えた手切れ金に等しいものです。東電は従来どおりの実績に基づく逸失利益の賠償請求は認めないとしています。


 そこで、将来分の損害への賠償を含むとする合意書は賠償打ち切りに等しいことから、速やかに撤回するよう東電に強く求めるべきと思いますが、考えを伺います。


 原子力損害賠償紛争審査会の指針は、被害が続く限り賠償は継続すべきとしており、能見会長はことし11月、新たな賠償方針について、賠償の終期は決められない、最終和解のようなやり方はすべきでないとの考えを示しました。今回の賠償基準を決めたのが加害者である東電であることも納得できません。改めて原賠審に対して被害の実態に即し賠償を継続する指針の提案を求めるべきと考えますが、県の考えを伺います。


 福島県の妊産婦は全国平均との比較で鬱的傾向が強いと指摘されているように、放射能への不安は県民生活に重く暗い影を落としています。先ごろ県が実施した県民世論調査でも、福島原発事故による長期の健康不安を感じるという人は47.8%と半数近くを占めているように、県民は絶えず不安の中での生活を強いられていることが明らかにされています。


 同時に、放射能への不安は放射線量にかかわらず個人差があり、尺度を設けることが困難という厄介な問題でもあり、それが原発事故による放射能被害の実態だということを踏まえた対応が求められているのです。


 東電は、なりわい訴訟の裁判の中で、年間20ミリシーベルト以下は健康への影響はないとされているので、当該地域住民の低線量被曝は何らの権利侵害にも当たらないとの主張を堂々と行っています。被害の実態を認めようとしない加害者としてあるまじき発言と言わなければなりません。


 県民がこうむっている精神的被害については、全ての県民が被害者の立場に立つべきですが、その際県としてはどのような賠償のされ方が適切と考えられるかお聞かせください。


 次は、除染についてです。


 除染事業については、6割台まで進んだ住宅除染のフォローアップ除染のガイドラインを早期に示すよう県としても国に求めてきましたが、国がいまだにガイドラインを示しておりません。改めて追加的除染の具体的な仕組みを早期に示すよう国に求めるべきですが、県の考えをお聞かせください。


 除染事業の異常な多重下請構造のもとで、県労連の労働相談センターには除染労働者や事業者からの相談が相次ぎ、この3年間の相談件数は450件に上ります。今年度当初までに県の復興関連基金から支出された除染事業費は9千億円に上ります。民間同士の取引の問題で済ませず、除染事業の信頼にかかわる問題として対処すべきです。


 ことしの1月から除染特措法の規則の一部改正により、除染事業契約の条件が厳しくされ、共通の仕様書が示されたわけですが、それでも事態は変わらないというのが現場の実態です。民民間の問題解決には、公共事業発注者側の適正なイニシア発揮が不可欠だと考えます。県は発注者責任を果たさせるためにどのように国、市町村にかかわるのかお聞かせください。


 次は、避難者、被災者支援についてです。


 まず、自主避難者について、県は間もなく自主避難者へのアンケートを実施する予定であり、11月末には避難者を受け入れている都道府県の担当者を集めた生活再建検討会議を開き、協力を求めました。その際に今後の支援のあり方についてどのような説明がなされたのかお示しください。


 自主避難者への住宅家賃の支援は避難者にとっては命綱であり、継続すべきです。県の考えを伺います。


 避難生活が5年近くとなり、仮設住宅の劣化が指摘されています。今後総点検に基づく修繕にどのように取り組むのか伺います。


 また、今年度内までとされている避難指示区域及び旧緊急時避難準備区域の医療、介護の保険料、利用料の免除が継続できるよう国に求めるべきです。県の考えを伺います。


 次に、福祉型県政への転換についてです。


 国民各層に深刻な貧困が指摘され、県民生活も困難な状況が広がっています。わけても原発事故の被害を受け続けている福島県民には特別の困難が襲っており、これは今後も長期にわたり継続することは避けられない状況にあります。


 ことしじゅうに復興計画の見直し、人口ビジョン、地方創生の総合戦略策定などの長期計画策定作業が行われますが、本県においては大震災と原発事故による影響が長期に及ぶことに鑑み、苦境に立たされている県民の暮らしとなりわいの再建支援を柱にした計画づくりが求められています。


 まず、地方創生推進のための総合戦略の1つである人口ビジョンでは、県は現在の推計人口を193万人とし、手を打たなければ2040年には147万人に減少するとし、総合戦略の実施で162万人を維持したいとして、希望出生率も2.16を実現するとしています。


 そのために、企業立地の促進、理系大学生の県内就職支援などで若者の呼び込みを図る、事業所への保育施設の設置支援や不妊治療の助成などの支援策を検討しているとのことです。


 しかし、福島県にかかわらず、全国的な人口減少の一番の原因は、安心して働き生活できる賃金の保障が崩れ、若者が結婚、子育ての展望を持てなくされてしまっていることではないでしょうか。年収200万円以下の低賃金労働者が1,139万人、非正規雇用労働者が全体の4割を占め、若者では5割に上るなど、雇用環境の悪化は明らかです。若者が希望を持って働き、結婚、子育てができる環境をつくるための法整備は喫緊の課題であり、国に強く求めるべきですが、県の考えを伺います。


 同時に、子育て支援としては、保護者の負担軽減を図るための経済的支援は不可欠の課題と捉えるべきですが、県の考えを伺います。


 また、復興計画の見直しに当たっても、福島県の復興の基本が県民一人一人の県民生活となりわいの再建であるとの立場から、きめ細かな支援を行う視点が求められていますが、県の基本的考えをお示しください。


 来年度の予算編成に当たっては、暮らし破壊の安倍政治から県民生活を守り、県民の復興を進めるためにも、県が目標とした日本一子育てしやすい県、全国に誇れる長寿の県づくりに向けた具体化を本格的に進める観点からの施策展開が求められます。


 経済大国と言われながら大量のワーキングプアが存在すること、OECDがことし発表した日本の子供の貧困率が15.7%と加盟国中11番目に高い水準にあること、介護を苦にした無理心中や殺人事件が相次いで報道され、老人漂流、下流老人などの言葉が言われるように、高齢者の貧困化と国民各層で暮らし悪化が進んでいるのです。こうした国民生活を取り巻く厳しい状況を踏まえ、県民生活を守るために県は来年度の予算編成にどのように取り組むのか、基本方針を伺います。


 安倍政権は、昨年4月からの消費税8%への増税が国民生活悪化に拍車をかけているにもかかわらず、2017年4月からの消費税10%へのさらなる増税強行を前提として、庶民増税には変わりない軽減税率と法人税の実効税率の引き下げが検討されていることは重大です。被災県民の復興にとっても大きな影響を与える消費税の増税は中止を求めるべきですが、県の見解を伺います。


 次は、医療、介護についてです。


 健康長寿の県をつくるためには個人の努力に任せるのではなく、行政が前面に立って健康づくりを推進する姿勢を示すことが求められます。この間、我が党が一貫して求めてきたがん検診の無料化は、県も目標とする受診率50%達成のためにも不可欠の施策と考えますが、県の考えを伺います。


 受診率向上のためには検診体制の拡充が必要で、とりわけ看護師の不足解消は喫緊の課題となっています。いわき市の看護研究会が行った看護師へのアンケート調査の結果は衝撃的でした。働き盛りの20代の看護師の35%は仕事をやめたいと思っていると答えているのです。不足の解消どころか、ますます看護師不足が拡大することが懸念されます。県は看護職員不足解消のため、この結果を踏まえ確保対策に生かすべきと考えます。考えをお示しください。


 保健医療従事者養成施設の設置に向けた検討が進められ、4年制大学を基本とする新学部設置の方向です。県立総合衛生学院をどうするのかと一体の問題ですが、その際県内唯一の助産師養成機関である助産学科は当然県の責任で存続すべきです。また、養成施設は福島市のまちづくりとの兼ね合いを含めて検討すべきです。保健医療従事者養成施設の定員、建設場所についてどのように検討されているのかお聞かせください。


 県は地域の医療需要推計の考え方を示しました。国は地域医療構想で全国のベッド数削減を考えているようですが、介護型の長期療養ベッドをゼロにする方針も現場の反対があり棚上げされているように、施設から在宅への移行は医療も介護も簡単に進む話ではありません。


 しかし、ベッド削減が進められば、勢い患者の追い出しが行われるのではないかとの懸念も現実のものとなります。県は各医療圏内の住民の医療を受ける権利保障の立場で構想の策定に当たるべきですが、考えをお聞かせください。


 次に、介護についてです。


 年金だけで入れる特養ホームの増設は、高齢者や介護する家族の切実な要求です。特養ホームに入れない高齢者を受け入れる未届け有料老人ホームの存在が指摘されていますが、本県の実態をお示しください。


 ことし4月に全県では11,744人に上る特養ホーム待機者の解消が求められていますが、県はどのように認識しているのかお聞かせください。


 また、介護保険の報酬引き下げが事業運営に困難をもたらし、事業の廃止が本県でも生まれていることを重視し、県は介護事業者の現状を踏まえて報酬をもとに戻すよう直ちに国に求めるべきですが、考えをお示しください。


 次は、低所得者対策についてです。


 生活困窮者にとって冬の寒さは一層厳しいものです。県内の自治体では、福祉灯油を独自に実施しているところもあります。福祉灯油を県の制度として実施するよう求めるものですが、県の考えをお示しください。


 福島市が生活保護世帯の子供の奨学金を収入認定したことに対して、県に出された不服審査請求を県は棄却する裁決を出しましたが、厚生労働省はこのほど、福島市の奨学金の収入認定手続は不適切とする判断を行いました。県の判断は不適切だったということです。県はこの国の裁決をどう捉えて今後の生活保護行政に生かすのかお聞かせください。


 貧困の進行のもとでホームレスが増加しています。ホームレス支援法に基づくシェルターが本県には設置されていないことから、発見とともに住まいを確保するための支援が困難です。県は実態を調査し、適切な支援を行うべきです。県営住宅は保証人なしでも優先入居が可能ですが、抽せんによらなくても直ちに入居可能となるよう公営住宅法の見直しを求めるべきです。県の考えを伺います。


 次に、TPPについてです。


 10月5日、TPP交渉が大筋合意と伝えられました。重要5品目は関税撤廃に等しい大幅引き下げを受け入れました。国は完全撤廃ではないから国会決議は守ったとしていますが、違反は明瞭です。譲歩に譲歩を重ねた日本政府に対してJAを初め県内の経済団体からも強い批判が起こっています。


 原発事故により県内農産物価格が今もってもとに戻らない状況のもとで、TPP合意に基づき八割の農産物の関税が撤廃されて大量の食料が輸入されれば、本県農業が壊滅的打撃を受けることは必至です。


 大筋合意は最終文書ではありません。今後協定文の作成と調印、各国の国会承認が必要です。最大国のアメリカでは、ヒラリー・クリントン次期大統領候補が反対を表明、議会関係者や業界団体、アメリカ最大の労組も脅威のほうが大きいと反対の声明を出しており、アメリカ議会で批准されなければTPPは潰れるわけですから、簡単に決まる状況にはないのです。


 県は10月27日にTPP協定対策本部を設置し、翌日には最も影響が大きい農業分野の対策のため農林水産部対策会議を立ち上げ、国の政策大綱をもとに振興策を講じるとのことです。県のTPP対策本部は、影響額についても国の試算を待つのではなく、独自の試算で本県への影響を明らかにし県民運動を起こすべきです。県はTPP協定の調印、国会承認を許さず全面撤退を求めるべきですが、県の見解を伺います。


 次は、マイナンバー制度についてです。


 先月からマイナンバーの通知書とカードの申請用紙が届きました。この制度は、国が個人情報を一手に集めて管理するもので、個人のプライバシーを侵害するという本質的な問題があります。さらに、官民でこの情報を共有することから、情報漏えいの危険を回避することはできません。


 このまま実施を強行すれば、取り返しのつかない事態を生むことが懸念されます。届かないとか、なくしたらどうしよう、どう扱えばいいのかなど県民の不安も広がっていることから、マイナンバー制度は一旦中止を国に求めるとともに、県としても運用を中止すべきと考えますが、考えを伺います。


 また、個人番号カードの申請は義務ではなく自由意思であることなど制度について県民に徹底すべきですが、どのように取り組むのか、考えをお示しください。


 最後は、建築事業の偽装問題についてです。


 横浜市のマンション建設に係る基礎くい打ち工事を行った旭化成建材で偽装が行われていたことが明らかになり、県内にも同じ業者が工事を行った建築物があることが判明しています。この問題は業界全体の体質的問題との指摘がなされています。


 県として県民の不安に応えるため、公共事業にとどまらず、民間の建築物についても県が指導して安全性の確認を進めるべきと考えますが、県の取り組みについてお聞かせください。


 以上をもって私の質問を終わります。


40番(渡辺義信君)議長、議事進行、40番。

議長(杉山純一君)40番。


40番(渡辺義信君)ただいまの25番議員の発言のうち、安全保障法制に関する質問の部分について、あすの正午までに議事録を提出いただくよう取り計らい願います。

議長(杉山純一君)了解しました。
執行部の答弁を求めます。

知事(内堀雅雄君)宮本議員の御質問にお答えいたします。

 安全保障法制につきましては、我が国の防衛、安全保障政策にとって極めて重要な問題であり、国においては、国民の理解が深まるようしっかりと取り組むべきであると考えております。


 次に、原子力損害賠償についてであります。


 原発事故による深刻な被害を受けた福島の復興を果たすためには、地域経済の基盤となる商工業を初めとした産業の再生が極めて重要であることから、原子力損害対策協議会の全体会議において私から直接東京電力に対し、商工業等の営業損害について、事故による損害がある場合には当然に賠償を継続すべきことを申し述べたところであり、原子力損害賠償紛争審査会において能見会長も同様の発言をされております。


 また、先月には協議会として国、東京電力等に対し、事業者の立場に立った取り組みを徹底するよう改めて強く要求してまいりました。


 引き続き商工団体等と連携しながら、適時適切な協議会の活動等を通し、商工業等の営業損害の賠償が的確になされるよう取り組んでまいります。


 その他の御質問につきましては、関係部長等から答弁させますので、御了承願います。


総務部長(藤島初男君)お答えいたします。

 平成28年度当初予算につきましては、県民が安全に安心して暮らすことができる県づくりを推進する考えのもと、避難地域の復興や被災者の生活再建はもとより、安心して子供を生み育てやすい環境づくりを初め全国に誇れる健康長寿県を目指す取り組みや県民の心と体の健康を守る取り組み、人口減少を克服し、地域の活性化を図るための取り組みなどに重点的に予算を配分することとしております。


 今後とも復興・再生を確実なものにするためにも、これらの県民生活を守るための施策にしっかりと取り組んでまいる考えであります。


 次に、さらなる消費税の増税につきましては、我が国の最重要課題である震災及び原子力災害からの復興・再生への歩みが滞ることのないよう、国において被災地の復興に与える影響等に十分配慮の上、判断されるものと考えております。


企画調整部長(近藤貴幸君)お答えいたします。

 県内原発の全基廃炉につきましては、これまで国及び東京電力に対し繰り返し求めてきており、本年10月にも知事から経済産業大臣に対し改めて直接求めたところであります。


 引き続き県民の強い思いである県内原発の全基廃炉の実現に向け、あらゆる機会を捉えて求めてまいる考えであります。


 次に、全国の原発再稼働につきましては、東京電力福島第一原発事故の影響により、いまだ10万人を超える県民が避難を続けている本県の厳しい現状を踏まえ、何よりも住民の安全・安心の確保を最優先に、国及び事業者の責任において検討されるべきものと考えております。


 次に、既存管理型処分場を活用した特定廃棄物の埋立処分事業に対する自由度の高い交付金につきましては、当該事業が地元に大変大きな負担を強いるものである一方、福島県全体の環境回復に大変重要な役割を果たすとの観点から、富岡・楢葉両町が強く求めた具体的な地域振興策に対する国の福島再生加速化交付金等による財源措置と相まって、広域自治体である県としても、両町が地域振興に自主的かつ主体的に取り組めるよう、極めて自由度の高い交付金について措置する考えを取りまとめたところであります。


 次に、県の自由度の高い交付金の財源につきましては、両町が自主的かつ主体的に地域振興策に取り組むことができるよう、一般財源または県の厳しい財政状況を考慮し、中間貯蔵施設等影響対策及び原子力災害復興基金等の活用を考えております。


 次に、復興計画の見直しにつきましては、本県の復興を図る上で県民一人一人の生活基盤を再建することが基本であるとの考えのもと、生活再建に関しては、生活情報等の提供を初め生活支援相談員等による相談体制の充実、避難者の恒久的な住宅への移行支援などを推進するとともに、なりわいの再建に関しては、被災者の雇用支援や小規模事業者等に寄り添った相談体制の強化など、被災者の状況に応じたきめ細かな取り組みを推進することとしております。


 引き続き県民一人一人の生活基盤の再建を基本に復興を進めてまいる考えであります。


 次に、TPPにつきましては、本県の経済や県民生活の幅広い範囲に影響が及ぶことが懸念されることから、10月末に知事を本部長とするTPP協定対策本部を立ち上げるとともに、先月には国へ緊急要望を行ったところであります。


 引き続き国に対して、協定合意による具体的な影響、効果に関する十分かつ丁寧な説明を求めるとともに、TPP対策のための予算措置や平成28年秋を目途に政府において策定する予定の具体的な政策等において万全の対策を講じるよう強く求めてまいる考えであります。


 次に、マイナンバー制度につきましては、国民の利便性向上や行政の効率化などに資する重要な社会基盤となる制度であることから、国、県を初め関係機関では情報の分散管理や特定個人情報の保護、情報セキュリティー対策等に万全を期し、来月からの一部利用開始に向けて準備を進めているところであります。


 県といたしましては、さらに平成29年7月から始まる市町村等との情報連携に向けて、情報漏えい防止策の徹底など適切な制度運用に向け準備を続けてまいります。


 次に、制度の周知につきましては、国において本年11月にマイナンバー総合フリーダイヤルを開設したほか、テレビや新聞広告等による集中的な広報を展開するなど、制度理解に向けた取り組みを実施しております。


 県においても、これまでホームページや広報誌のほか、事業者向け説明会等において、ICチップが搭載された個人番号カードの申請は任意であることなど、マイナンバー制度について周知、説明をしてまいりました。


 引き続き国や市町村と連携して、県民にわかりやすい丁寧な対応に力を入れてまいりたいと考えております。


生活環境部長(長谷川哲也君)お答えいたします。

 追加的除染につきましては、国は除染効果が維持されていない箇所が確認された場合は個々の現場の状況に応じて個別に協議するという考え方を示しております。


 県といたしましては、除染特別地域において、雨どい下や水の流れ道など除染効果が維持されていない箇所について、国がモデル的に実施している追加的除染の実施状況を踏まえて、対象箇所や手法など具体的な仕組みを早期に示すよう引き続き強く国に求めてまいります。


 次に、除染事業の元請・下請関係の適正化につきましては、国に対し対策と仕組みの構築を求めてきた結果、元請事業者の管理体制、管理責任を強化する放射性物質汚染対処特別措置法施行規則の改正がなされ、県においては、これに基づき除染作業共通仕様書等の見直しを行い、市町村と連携して元請事業者に対する指導に努めているところであります。


 また、関係業界団体等に対し、元請・下請契約の適正化及び法令遵守を要請するとともに、国に対しては、直轄除染の元請事業者に対する指導の徹底を求めるなど、引き続き関係機関と連携し、元請・下請関係の適正化に努めてまいります。


保健福祉部長(鈴木淳一君)お答えいたします。

 避難指示区域等における国民健康保険税や介護保険料等の減免につきましては、現在行われている措置が継続できるよう国に要望しているところであり、今後も強く要望してまいりたいと考えております。


 次に、がん検診費用の無料化につきましては、実施主体である市町村の判断によるものと考えております。


 県といたしましては、がん検診啓発フェアの開催や県民の受診を促すボランティアの育成、市町村が行う個別受診勧奨への技術的支援に取り組むなど、積極的に受診率の向上に努めてまいる考えであります。


 次に、看護職員の確保につきましては、安全で質の高い医療を提供するために極めて重要な課題であると認識しております。


 そのため、特に浜通りの医療機関に対する住居の確保や修学支援などの補助を行っているほか、昨年度からは看護学生への修学資金の増額等により県内就業を促進するとともに、ことし10月からは看護職員の離職届出制度を活用したきめ細かな復職支援や潜在化の予防に努めているところであります。


 今後とも看護職員の確保にしっかり取り組んでまいる考えであります。


 次に、保健医療従事者養成施設につきましては、チーム医療の一翼を担うことができる専門職を県内で養成すべきとの有識者会議からの提言を受け、現在基本構想を策定しているところであります。


 施設の定員や建設地につきましても、この構想の中で、県内の需給状況や多職種が連携できる教育環境、学生や教員の利便性等の観点を踏まえながら検討してまいります。


 次に、地域医療構想につきましては、将来の医療需要を見据え、2025年の医療の必要量を推計するとともに、地域の特性や実情を踏まえ、在宅医療を初め地域で必要な医療の確保に係る対策を検討していくことが重要であることから、先月から順次県内6構想区域ごとに医療関係者等で構成する地域医療構想調整会議を設置し、議論を開始したところであります。


 今後は、調整会議での意見等を十分踏まえて構想策定に取り組み、効率的で質の高い医療提供体制の構築を図ってまいります。


 次に、県内における未届けの有料老人ホームにつきましては、県で把握している施設は本年6月末現在7施設であり、定員は143人となっております。


 次に、特別養護老人ホームの入所希望者の待機解消につきましては、施設入所の必要性が高い高齢者が入所可能となるよう、介護保険事業支援計画に基づき計画的な施設整備を支援しているところであります。


 次に、介護報酬につきましては、改定に当たり一律に削減しないよう国に対し求めてきたところであります。


 今回の改定では、報酬本体は引き下げられているものの、入所者の要介護度に応じた加算などが充実されており、改定の効果については今後国が経営実態等の調査により検証することから、県といたしましては、調査結果を注視し、必要に応じて見直しを求めるなど適切に対応してまいります。


 次に、福祉灯油につきましては、引き続き灯油価格の推移を見守るとともに、国や市町村の動向について情報収集に努めてまいります。


 次に、福島市の生活保護に関する国の再審査請求の裁決につきましては、原処分に関する事務処理の経緯を重視したものでありますが、県としてもこれを尊重し、今後とも生活保護行政の適正な運営に努めてまいる考えであります。


商工労働部長(飯塚俊二君)お答えいたします。

 結婚、子育てができる環境を整える労働法の整備につきましては、女性が働きやすい労働環境の整備を進める女性活躍推進法が本年8月に成立したほか、若者の労働環境の改善を図る若者雇用促進法の改正や子育てしやすい職場環境づくりを進める次世代育成支援対策推進法の延長など、現在国において労働環境を整える法整備が進められているところであります。


 県といたしましては、国の動向や改正の内容等を注視しながら、しっかりと対応してまいりたいと考えております。


土木部長(大河原 聡君)お答えいたします。

 応急仮設住宅につきましては、一斉点検によりふぐあいが確認された箇所を速やかに修繕することとしており、詳細点検を行った木ぐいのシロアリ被害や腐食については年度内の早い時期に、それ以外の木製スロープの腐食等については年内に修繕を完了させることとしております。


 今後も入居者が安心して暮らせるよう適切な維持管理に努めてまいります。


 次に、ホームレスへの県営住宅の入居につきましては、公営住宅法の規定により、災害等特別の事情がある場合は公募によらない入居が認められておりますが、これ以外は入居の機会の公平を確保するため公募を原則としていることから、県といたしましては、今後も法令の定めるところにより適正に運用してまいりたいと考えております。


 次に、民間建築物におけるくいの安全性確認につきましては、国が施工者の自主点検結果の報告を求めているところであり、現時点では横浜市の事案以外には傾斜等のふぐあいは認められておりません。


 また、国の有識者等による対策委員会では、これらの点検結果の分析を行い、くいの安全性の確認や再発防止策の検討を進めており、県といたしましては、国の検討結果を踏まえ、適切に対応してまいる考えであります。


原子力損害対策担当理事(成田良洋君)お答えいたします。

 商工業等の営業損害の新たな賠償に関する事業者からの苦情につきましては、東京電力による請求受け付け開始から昨日までの約2カ月間に県の問い合わせ窓口へ25件が寄せられております。


 県といたしましては、寄せられた苦情の内容について東京電力に申し入れ、事業者に寄り添った丁寧な対応を求めるとともに、相談者に対し、巡回法律相談における弁護士のアドバイス等を行っているところであります。


 次に、合意書につきましては、将来の損害を見込んで事前に賠償するという意味であり、相当因果関係が認められる損害が当該賠償額を超えた場合には、当然に賠償が継続されることを東京電力に確認しております。引き続き東京電力の対応を厳しく注視してまいります。


 次に、営業損害の賠償に係る審査会の指針につきましては、個別具体的な事情に応じて合理的に終期を判断することが適当とされているとともに、被害者への柔軟かつ誠実な対応が東京電力に求められているところであります。


 県といたしましては、今後も的確な賠償を国及び東京電力に求めてまいります。


 次に、精神的損害につきましては、原子力損害対策協議会の活動等を通し、被害者それぞれの実情を踏まえた賠償を行うよう国及び東京電力に求めてまいりました。


 引き続き個別具体的な事情への対応を含め、被害者の立場に立った賠償が的確になされるよう取り組んでまいります。


避難地域復興局長(伊藤泰夫君)お答えいたします。

 生活再建検討会議につきましては、仮設・借り上げ住宅の供与が平成29年3月で終了する避難者の方々に自宅等に円滑に移行していただくための取り組みを、受け入れ都道府県や避難元市町村とともに検討、協議するため10月に立ち上げ、これまでに3回開催しております。


 今後も避難元、避難先における公営住宅等の確保に向けた検討や住まいに関する意向調査の実施等に関する協議を行い、避難者の皆さんが生活を再建していくための取り組みを進めてまいります。


 次に、仮設・借り上げ住宅の供与期間につきましては、全県一律でさらに1年延長し、平成29年3月までといたしました。


 避難指示区域以外の状況は、除染の進捗、食品の安全性の確保等生活環境が整いつつあり、応急救助という災害救助法の基本的な考え方からも、国との協議を進める中でこれ以上の延長は困難と判断し、県による新たな支援策へと移行することとしたところであります。


こども未来局長(尾形淳一君)お答えいたします。

 保護者の負担軽減を図るための経済的支援につきましては、本県の子育て支援施策全般の基本指針となるふくしま新生子ども夢プランの行動計画に位置づけたところであり、子供の医療費助成や多子世帯の保育料の軽減等、子育て世帯への支援に引き続き取り組んでまいります。

25番(宮本しづえ君)何点か再質問いたします。

 最初に、知事に再質問したいと思います。


 先ほど答弁いただきましたけれども、今起きている事態というのは、6月に国、東電が損対協の全体会の中で説明したことと状況が違っているという認識が必要だと思うのです。


 今までの賠償のやり方を変えたわけですよね。これまでは実績に基づいて、過去の逸失利益について賠償する。しかし、これからは将来分についてやるということなわけですけれども、実際これで打ち切りになるのではないかという不安はあったのだけれども、それでも年間逸失利益の2倍相当分が支払われるということになれば、これで何とか事業再建の資金になるかもしれないという期待があったのですよ。だから、事業者の皆さんは受け入れざるを得ないかなと。これを受け入れて、何とかそれで再建しようかという気持ちになったのだと思うのです。


 そのときに東電は、新たな賠償の請求に必要な書類の提出を求めない、新たに証明するものは求めないのだというふうに言ってきたのだけれども、実際に起きていることは違う状況が今生まれている。2倍は余り文句なしに払われるとみんな思っていたのですよ。


 ところが、実態はそうではない。「もうあなたは相当因果関係がないから終わりです。」というふうにまず打ち切りを通告されてしまうのです。本人が頑張らないと継続がなかなか認められない。「では、半分でどうですか。」とか、「3分の1でどうですか。」とか、こういうことが次々と言われているというのが報告されている。これは、「あのときに説明したことと全然違うじゃないか。」ということで、今怒りの声が上がっているわけなのです。


 損対協の全体会で説明をされたことと違うことが起きているわけですから、これは重大な事態なのだというふうに考えるべきです。そして、損対協の会長である知事は改めて全体会を開いて、国、東電に「やっていることが説明と違うんじゃないか。」ということを、きちんと全体会の中で状況も把握しながら求めるべきだと思うのですよ。そういう立場に立たないと、これはもう守れない。事業者の営業損害賠償は継続が難しくなってしまう。こういう状況があるのではないかと思うのです。


 知事もおっしゃいましたけれども、41回原賠審の会議で能見会長も、「将来分がというふうな文言があれば、やはりこれで終わりじゃないかというような理解をされる可能性がある。」ということまで言っていますよね。ですから、改めて「もう終わりじゃないんだ。」ということをしっかり確認させるためにも全体会を開いて、そして説明を求めるべきだと思うのですよ。この点について改めて知事の見解を伺いたいと思います。


 それから、原子力損害担当理事にお伺いをいたします。


 県のほうに寄せられた相談件数は25件だということでしたね。この中で、私どもが伺っているような「もうあなたは終わりです。」と言われたとか「半分でどうですか。」とか「3分の1でどうですか。」というような打ち切りや値切りというようなものは、この25件の中で何件ぐらいあるのかお示しをいただきたいと思います。


 それから、避難地域復興局長に伺いたいと思いますが、自主避難者への支援の問題です。自主避難者の皆さんも今の住宅の家賃の補償というのは私たちにとって命綱だと。たとえ1万円でも2万円でも負担があれば、それはやはり大変なのだというふうにおっしゃっている。みんな好んで避難しているわけではないのですよ。避難せざるを得ないような状況に追い込まれた。その原因は原発事故にあるわけですから、これはみんな被害者なのだという立場に立った県の取り組みが求められていると思うのです。


 ところが、県が真っ先に打ち切りの方針を出して、それを国の子ども被災者支援法の基本方針で閣議決定で確認するという、こういう手続がとられたわけです。本当に異常な事態だと思います。県は避難者の立場に立つべきではないかと思いますが、改めて見解を伺いたいと思います。


知事(内堀雅雄君)宮本議員の再質問にお答えいたします。

 福島の復興のためには、商工業を初めとした産業の再生が極めて重要であると考えております。


 引き続き被害があれば賠償されるべきという基本的な考えのもと、適時適切な協議会の活動等を含め、事業の再建につながる賠償が的確になされるよう取り組んでまいります。


原子力損害対策担当理事(成田良洋君)再質問にお答えいたします。

 苦情の中身でありますけれども、多くが東電の対応が非常に丁寧さを欠いているというものが多かったわけでありますが、はっきりと50%という話になっているのは4件でございます。


避難地域復興局長(伊藤泰夫君)再質問にお答えいたします。

 仮設・借り上げ住宅の供与期間につきましては、宮城県、岩手県が来年の3月でおおむね終了する中で、国との厳しい交渉の中で29年3月まで延長としたところであります。


 先ほど申し上げましたように、国との協議の中でこれ以上の延長は極めて困難だというような状況でございましたので、県による新たな支援策に移行することとしたところであります。

25番(宮本しづえ君)再々質問いたします。

 今の知事の答弁ですけれども、適宜全体会を開いて対応していくというようなお話でしたけれども、事態は現在進行形なわけですよ。被害者が請求をしたものに対して、「あなたはもう相当因果関係がありません。」というふうに東電のほうが言って、それでもう諦めろというような事態を次々と被害者に対して東電が行っているという状況が今起きている。県のほうにもそういう件数は四件あったということでしょう。これはやはり非常に重いですよ。


 大体みんなしようがないなと思って諦めざるを得ないと思っている人もいるかもしれない。半分でしようがない、もう合意をするしかないかなと思う人だって実は賠償が切られたらもう営業は続けられないのだと言っているのですよ。


 そういう事態をどれだけ県が深刻に受けとめて、この事態は直ちに中止をさせる。東電にはそういう対応はさせない。こういう取り組みが今緊急に県として求められているのではないかと思うのです。そういう問題意識、現状認識が必要なのではないかと私は考えますので、改めて知事の認識を伺いたいと思います。


 それから、企画調整部長に伺いますが、原発の再稼働の問題です。


 福島県内の原発については、一致して求めてきたのはよく承知をしています。問題は全国の原発の再稼働にどう県として対応していくのかということです。全国の原発の再稼働のニュースが流れるたびに福島県民は深く心を傷けられているのですよ。結局、私たちのこの苦しみも痛みも不安も国はわかっていないのだな、私たちはもう見捨てられていくのだろうか、そういう不安、怒り、こういう気持ちに県民はなるのです。そういうことによって福島県民がどんなに深く傷ついていくのかということを県はもっと知るべきだと思います。


 他県のことについてはそれぞれ事業者が判断すべきことだということで県が物を言わないということになれば、県民にとってみれば、福島県当局も私たちの苦しみはわかっていないのだろうかということになってしまう。そして今、全国で世論調査やれば過半数が再稼働反対、これは揺るがないのですよ。どんな世論調査でも過半数は原発再稼働はやるべきでないという答えが返ってくる。これは全国民の思い、認識でもあるのです。


 そのときに、全国の皆さんにさまざまな支援を要請しながら福島の復興を進めましょうと言っている県が、全国の原発の再稼働については物を言わない、こういう姿勢で本当に福島の苦しみはもう繰り返させないで真の復興を進めましょうという立場に立ってもらえますか。福島県がそれを言わないで誰が言うのですか。


 今、全国の国民の皆さんもそのことを求めている。期待をしている。そういう役割が被災県だからこそ福島県にはあるのだということを深く認識すべきだと思うんです。それは県民に寄り添う、そして福島を応援したいと思っていらっしゃる全国の皆さんの気持ちにも寄り添うことになるのだ。そして、何よりも安全な日本をつくっていく、エネルギーの抜本的な転換を求めていく、こういう政策にもつながっていくのだということを改めて指摘をしたいと思うのです。


 そういう立場で、県は被災県として、もう全国の原発の再稼働は認めないということを明確に表明すべきだと思うのです。改めて部長の答弁を伺いたいと思います。


 それから、消費税の10%の増税について総務部長から答弁がありましたけれども、これは本当にまやかしですよ。軽減税率といっても、結果的には低所得者ほど負担が重くなるというこの関係は変わらない。むしろ軽減税率によってその関係は深まるのです。本県の復興にとって大きな障害になります。そういう認識に立つべきだというふうに私は求めています。改めて答弁を求めます。


知事(内堀雅雄君)宮本議員の再質問にお答えいたします。

 原子力発電所事故による損害については、これまで協議会の活動等、あらゆる機会において国及び東京電力に被害の実態に見合った賠償を求めてきたところであります。


 引き続き商工団体等と連携しながら、適時適切な協議会の活動等を通し、商工業等の営業損害の賠償が的確になされるよう取り組んでまいります。


総務部長(藤島初男君)再質問にお答えいたします。

 本県の復興はいまだ途上であり、依然として厳しい状況に置かれていることから、さらなる消費税の増税につきましては、国において本県の復興に与える影響に十分配慮の上、判断されるものと考えております。


企画調整部長(近藤貴幸君)再質問にお答えいたします。

 全国の原発再稼働についてでございますが、東京電力福島第一原発事故の現状と教訓を踏まえ、何よりも住民の安全・安心の確保を最優先に検討されるべきものと考えております。


 県といたしましては、引き続き県内原発の全基廃炉を国及び東京電力に対して求めていくとともに、再生可能エネルギーの飛躍的推進などにより、本県の原子力に依存しない社会の実現とその情報発信に全力を傾けてまいる考えであります。

議長(杉山純一君)これをもって、宮本しづえ君の質問を終わります。

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