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2015年12月定例会 代表質問 高橋秀樹議員

印刷用ページを表示する 掲載日:2016年2月15日更新

高橋秀樹議員

議員

高橋秀樹

所属会派
(質問日現在)

民主・県民連合

定例会平成27年12月
質問等代表質問
質問日

12月14日(月曜日)

37番(高橋秀樹君)民主・県民連合議員会を代表しまして質問させていただきます高橋秀樹であります。


 質問に先立ちまして、まずは一言述べさせていただきます。


 改めて今般の県議会議員選挙において、4年ぶりにこの福島県議会の壇上に立たせていただきましたこと、支援者の皆さんを初め関係各位に心から感謝を申し上げます。


 東日本大震災から4年9カ月が経過したわけですが、東京電力福島第一原子力発電所の事故の収束においてはいまだに不安定な状況下にあり、10万人近くの県民が県内外に避難をしている現状を鑑みると、大変切ない思いでいっぱいであります。


 少しずつ復旧・復興への努力が実を結んできているものの、復興道半ばの本県にとっては、多くの山積する課題を迅速かつ丁寧に、何よりも県民に寄り添った形で対応していくことが大切なことと思っております。


 改めて今後とも福島県の復興・再生に向けて全力で取り組んでいくことを私自身も、そして民主・県民連合議員会としてもお約束をさせていただきまして、以下質問に入らせていただきます。


 まず、内堀知事におかれましては、昨年の11月に初当選をされ、この1年間、福島県の先頭に立ち、復興・再生への取り組み、県政全般にわたる取り組みには多くの県民からも高い評価を得ているところであります。国内のみならず、国外においてもトップセールスを行い、また、県民との語らいを大事にするその姿勢は今後も継続をいただくとともに、さらに期待するところであります。しかし、本県が抱えている多くの課題については、これからも大変な困難が待ち受けているのも明白であります。


 そのような中、真のリーダーシップを発揮し、新たな福島県の創造のために、知事は就任2年目を迎え、今後の県政をどのような思いで運営していくのかお尋ねをいたします。


 次に、平成28年度当初予算編成方針についてであります。


 本年度は震災、原子力災害からの真の復興に向けて、さまざまな課題に果敢にチャレンジし、新たなステージに一歩を踏み出すための予算として過去最大の当初予算を編成するとともに、直面する課題に迅速に対応するため3度にわたる補正予算を編成してまいりましたが、原発事故による甚大かつ広範囲な被害という特殊な事情を抱える本県の復興はまだ道半ばであり、被災者の生活再建を初め産業の振興や風評・風化対策など、真の復興へ向けて取り組まなければならない課題は山積しております。


 また、歳入では、地方消費税や法人事業税などを中心に県税収入は増額が見込まれるものの、国の概算要求での地方交付税総額は減額となっており、依然として一般財源の確保は厳しい状況にあります。


 さらに、復興・再生に向けては、国の新たな復興の枠組みにより被災自治体にも財政負担が生じる中、広範かつ多額の財政需要に適時適切に対応しつつ、地方創生等新たな課題にも柔軟に対応していくための財源確保が重要となってまいります。


 このような中、福島県における復興・創生期間の5年間のスタートに当たる来年度予算は、本格復興を目指す上において大変重要な予算であると考えております。


 そこで、平成28年度当初予算編成に向けた知事の基本的な考え方についてお尋ねをいたします。


 次に、除染廃棄物等への対応についてであります。


 まず、東京電力福島第一原子力発電所事故で発生した県内の指定廃棄物を最終処分場で処分する国の計画受け入れを今月4日に環境省に正式に通告をした富岡町に立地する既存管理型処分場活用の決断については、知事を初め富岡町、楢葉町両町長にとっても苦渋の決断だったと述べているとおり、県民、町民心情を察すると苦しい思いの中での判断であったと認識しているところであります。しかし、この決断は本県の復興を大きく前進させるための重大な決断であるものと信じております。


 今後は国の責任において前進をさせていく事業ではありますが、容認した県としても、今後とも責任を持って国の対応をしっかり確認していくことを求められていくのは必然と考えておりますが、そこで、既存管理型処分場の活用を容認するに当たり国に申し入れた事項について知事の考えをお尋ねいたします。


 また、中間貯蔵施設の設置についてでありますが、現在、自治体における除染作業は公共施設等、住宅地、道路等の除染においては相当進んできており、仮置き場の設置、除染廃棄物の搬入へと移行しているところもありますが、いまだ宅地内や学校等を含む公共施設に除染廃棄物が埋め立て、山積みされているところも多数顕在しており、一日でも早く運搬を願う県民の皆様の我慢も限界に来ております。


 反面、立地予定地の地権者、周辺住民の心情を察すると、まさに苦渋の思いでいっぱいであると察するところでもあります。先ほど質問した既存管理型処分場と同様に、中間貯蔵施設は復興・再生には欠かせない重要な施設であるのも事実であります。


 そこで、中間貯蔵施設について輸送や地権者説明の現状を踏まえ、県としてどのように対応するのかお尋ねをいたします。


 また、除染作業においては、国、自治体ともに国が定めるガイドラインに沿ってその遂行をしているわけではありますが、中間貯蔵施設、管理型最終処分場においても、その運用についての見通しはこれからであり、当初計画よりも遅延が予測されます。


 また、作業で排出した除染廃棄物等の保管容器においては、その材質においても耐久年数が定められており、劣化、破損等による2次対策が今後予想されますし、仮置き場における収容容量の問題等についても既に危惧されているところであります。現状を考慮した場合、自治体への指導、国への提案、予算措置等あらゆる予測と想定をする時期に来ていると思われます。


 そこで、県は市町村除染における仮置き場の保管期間の延長に伴う適正管理にどのように対応していくのかお尋ねをいたします。


 次に、経済・雇用対策及び人材育成についてお尋ねをいたします。


 生活再建支援プロジェクトにおける被災者等の雇用創出においては、実効性のある施策としてその役割を果たしておりますが、本年度でこの施策は終了する予定となっております。現在福島県においては、全国でも際立つ求人倍率を誇る状況ではありますが、職種においては偏った傾向もあり、就労のミスマッチも多く見受けられているのも事実であります。


 福島県の復興・再生及び将来展望を踏まえても雇用の確保は大事な施策であり、被災者等を含む就労支援や安定的な雇用の創出は今後も強く望まれるところであります。


 そこで、緊急雇用創出事業終了後の新たな雇用対策について、県はどのように対応していくのかお尋ねをいたします。


 次に、10月9日設立したオールふくしま中小企業・小規模事業者経営支援連絡協議会についてお尋ねをいたします。


 県内に本支店を有する金融機関、商工団体、税理士や中小企業診断士の団体、その他各種支援機関等を構成員とし、それらの機関と連携し、震災や原発事故の影響を受けている県内中小企業、小規模事業者に対して今後経営支援に取り組んでいくと聞き及んでおります。


 正直時間的経過を考えれば、なぜもっと早い時期にこのような協議会をつくらなかったのか不思議に思うくらいでありますが、しっかりと県が仲介役、また牽引役として取り組むことに大きな期待をしているところであります。改めて県はオールふくしま中小企業・小規模事業者経営支援連絡協議会による実効性の高い支援にどのように取り組んでいくのかお尋ねをいたします。


 次に、福島県の復興・再生を前進させるために次世代の人材育成に力を注ぐことが大変重要であると考えます。実際に国際ロボットコンテストですばらしい成果を上げている郡山北工業高校を初め福島県内における子供たちはすばらしい潜在能力を持っており、今後ますます期待をしているところであります。


 そこで、そのポテンシャルを高めるには、県内大学や地域企業等との産学官連携は不可欠であり、継続的に施策の展開が重要となってまいります。そのような中、基礎教育の場で学ぶ高校生には大きな期待を寄せるところでありますが、県教育委員会は県立高等学校における地域企業が求める人材の育成にどのように取り組んでいくのかお尋ねをいたします。


 次に、ロボット関連産業の育成・集積等を初めとするイノベーション・コースト構想は福島県における復興・再生の大きな施策の柱でもあり、これからも実現に向けて取り組みを強化していかなくてはいけません。


 また、今後さらに産業創出、雇用確保の観点からも県は航空宇宙関連産業の集積に取り組み始めたと聞き及んでおります。


 余談ではありますが、つい先週、宇宙航空研究開発機構の金星探査機「あかつき」が金星を回る軌道に入ったとのニュースが報じられました。日本人における未知への飽くなき探求心に心が熱くなる思いでありました。


 本県においては既に航空宇宙関連産業に取り組んでいる企業もあり、ここ福島市においては2003年に打ち上げられた小惑星探査機「はやぶさ」用の通信機器の電源生産等を手がけた企業もあり、そのようなメリットを最大限生かすべきと思うところであります。


 そこで、県は航空宇宙関連産業の集積にどのように取り組んでいくのかお尋ねをいたします。


 次に、公共交通についてお尋ねをいたします。


 初めに、JR只見線の全線復旧についてであります。


 平成23年7月の新潟・福島豪雨により、会津地方の各地に甚大な損害をもたらすなど、東日本大震災とあわせて平成23年は本県全体が日本でも前例のないほどの被害を受けたところであります。特にJR只見線は、4つの橋梁が深刻な被害を受け、会津川口から只見駅間は現在代行バスが運行されておりますが、今なお鉄道復旧の見通しが立っていない状況であります。


 JR只見線は、地域住民にとって通勤、通学、通院を支える重要な生活路線であり、さらには本県と新潟県、首都圏を結ぶネットワーク路線として防災上極めて重要な役割を担っており、加えて、沿線地域は電力供給地として電力の安定供給に大きく寄与し、戦後の復興と高度経済成長を支えてきた歴史があります。


 また、JR只見線は全国有数の美しい景観に恵まれ、最近外国人観光客が訪れるなど観光誘客も期待されるところであります。しかし、赤字路線としてのJRの考え方、基金の取り組み等課題は多いと認識はしておりますが、本県の復興・再生にとっては大事な路線であり、全線復旧を進めるため多くの方に乗車していただくことが重要であると考えております。


 そこで、県はJR只見線の全線復旧に向けどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。


 次に、地域公共交通についてであります。


 近年のモータリゼーションの進展により車社会が形成され、便利になる一方で公共交通の利用者が減り、公共交通が脆弱になる傾向にありますが、車を運転できない児童生徒や高齢者などが不便を強いられるようなことがあってはならないと思っております。


 人々が自立した生活を営む上で移動は欠かせないものであり、通勤通学や通院などの移動手段として地域公共交通は必要不可欠であることから、車を運転できない児童生徒や高齢者などを含む全ての県民がひとしく使い勝手のよい公共交通サービスを受けられるよう、地域公共交通の維持確保を図ることが大変重要であると思っております。


 本来であれば、超高齢化社会における車の運転の危険性、人口減や経済による地域格差や観光誘客等あらゆる視点を踏まえても、地域公共交通の充実を望みたいところでありますが、運営する企業においては厳しい現状の中での経営と認識しております。


 そこで、県は地域公共交通の維持確保のためどのように取り組んでいくのかお尋ねをいたします。


 次に、医療、福祉についてお尋ねいたします。


 まず、県民健康調査についてであります。


 平成23年の調査開始から4年半が経過し、原発事故後の外部被曝の状況や甲状腺検査の結果などの情報が得られております。こうした結果とこれまでの科学的な知見からすると、放射線の影響については考えにくいということになるのかと思いますが、事故による追加被曝があったことの影響はないと明確に言い切れるものではありませんし、心からの安心を得るのは困難であり、時間も相当かかるものと思っております。


 現状、全ての県民が調査に応じたわけでもなく、その信憑性を疑問視している県民の方がいるのも事実であり、子供さんを持つ保護者の方やこれから子供を産もうとする方々には大変不安が拭えないのも事実であります。


 しかし、こうした中においても、県民健康調査は引き続き県の重要な取り組みの一つであると認識しておりますが、原発事故後5年を迎える前に改めて県民健康調査を県民の健康にどのように役立てていくのか、県の考えをお尋ねいたします。


 次に、小児医療についてでありますが、震災前より本県のみならず全国的にも少子化の影響を含め、小児科のある病院の減少が問題となっております。さらに、本県においては震災という特殊事情により大きな課題となっております。一方では、高度な治療を必要とされる子供たちは年々増加傾向にあり、その専門分野の拡充が望まれております。


 私は、高度医療、周産期医療等、最先端の小児医療を集約した県立こども病院の設立を目指すべきと思っているところでありますが、本県の復興に向けても、生み育てやすい環境整備は必要であり、若い世代が安心して福島県で暮らしていくためにも、さらに高度な小児医療の充実が必要だと考えております。しかしながら、現状としては本県には福島医大においてその役割を果たしておるところであります。


 そこで、県は小児医療提供体制の充実にどのように取り組んでいくのかお尋ねをいたします。


 次に、高齢者における課題についてであります。


 2025年には団塊の世代が75歳以上となり、介護が必要な高齢者の数が急増するのは明らかであります。これに備えるべく、国は介護保険法を改正し、介護保険は一部給付が縮小され、市町村が行う地域支援事業の重要度が増すなど大きな見直しが行われました。


 また、要支援を対象とする予防給付のうち訪問介護と通所介護について、2015年4月より3年かけて医療介護総合確保推進法をもとに市町村が取り組む地域支援事業に移されることになりました。これまでは全国一律のサービスだったものが市町村に移行することで、市町村の財政状況やトップの意識次第でサービス内容や利用料に差が出る可能性が出てまいりました。


 さらに、国は「新3本の矢」の一つとして、介護を機に仕事をやめる介護離職の解消実現へ向け、特別養護老人ホームの増設を行う方針を打ち出してきました。現状、2007年から2013年の間に家族の介護や看護を理由に離職した人は43万9千3百人にも上り、高齢化の進展で近年さらに増加の傾向となっているのも事実であります。


 反面、施設を運営、働く側の視点からすれば、介護職に従事する人の離職ストップに着手しなければ、肝心の介護をする人がいなくなり、施設にあきがあっても職員不足のために入所待機者が増加するとの危惧も指摘されております。従事する職員の待遇改善も強く望まれているのも事実であります。


 そのような中、全国における入所希望者は2013年度においては約52万4千人おり、本県においては現在約1万2千人の入所希望者がいると聞き及んでいるところであります。


 そこで、特別養護老人ホームの入所希望者の待機解消に向けてどのように取り組んでいくのか、県の考えをお尋ねいたします。


 次に、生涯スポーツの振興についてであります。


 我が国のスポーツ界においては、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会や最近人気急上昇のラグビーにおけるワールドカップ2019など大規模な国際競技大会の開催を控え、スポーツに対する機運が高まっております。


 つい最近も本県の富岡高校出身であるバドミントンの桃田賢斗選手が全日本総合バドミントン選手権大会男子シングルスで優勝を飾るとともに、男子ダブルスでは同校出身の保木卓朗選手、小林優吾選手が準優勝を飾り、福島県民としてはとてもうれしいニュースでありました。


 ちなみに昨年秋に私が当時PTA会長を務めていた中学校においては、バルセロナオリンピックの柔道の金メダリストの古賀稔彦さんを招いて、子供たちや保護者の皆さんに勇気と元気をいただきました。一流のアスリートが語る苦労話や前向きな言葉、何よりも実技で示した本物のわざには感動をさせていただきました。


 話がそれましたが、国においては10月1日にスポーツ庁が発足し、初代長官にソウルオリンピックの競泳背泳ぎの金メダリスト、鈴木大地氏が就任をしたことは記憶に新しいところであります。


 オリンピック・パラリンピックやスポーツ庁の話になると、メダル獲得数などが注目されてしまうのが本音でありますが、スポーツの関心が高まる中においては、誰もがスポーツを気楽に楽しめる生涯スポーツ社会の実現の取り組みを推進することも重要であると考えております。


 そこで、生涯スポーツの振興にどのように取り組んでいくのか、県の考えをお尋ねいたします。


 次に、福島県人口ビジョンについてであります。


 先般県で策定した福島県人口ビジョンにおいては、その冒頭で、現在約193万人の本県の人口が、避難者の動態予測を含めた県独自の人口推計では2040年には約147万人と、現在の約8割まで減少するという厳しい将来推計を示しております。


 さらに、就業者は2040年には60万5千人となり、2010年の約6割まで減少すると予測されており、地域経済の規模の縮小が大変危惧されているところであります。


 それに対し、県は人口の現状分析や県民アンケートの結果も踏まえ、2040年には県民希望出生率2.16の実現などを前提とし、人口160万人程度の確保を目指したいとの将来展望を打ち出しました。改めて日本全体が直面している超少子高齢社会の到来に果敢に挑まなくてはいけない中、一つの目標を示したわけですが、今後さまざまな分野、関係機関との連携を持つとともに、県民の希望の実現に向け、高いハードルを一つ一つ解決することが大切であります。


 そこで、県は人口減少について人口の現状分析や県民アンケートの結果を踏まえどのように取り組んでいくのかお尋ねをいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。

議長(杉山純一君)執行部の答弁を求めます。


知事(内堀雅雄君)高橋議員の御質問にお答えいたします。

 県政への思いについてであります。


 私は、知事就任以来、現場主義を県政運営の基本姿勢の一つとして掲げ、全市町村長との意見交換を初め避難を続けている皆さんとの懇談や復興に向け努力を続ける若者との交流など県内外を精力的に回り、苦しみや悩み、そして期待、希望などさまざまな思いを伺ってまいりました。


 そのような中、かつての美しく穏やかなふるさと福島を再生したい、傷ついた誇りを取り戻したいという県民の皆さんの根底にある願いに応え、復興をなし遂げることが知事としての使命であると改めて胸に刻んでいるところであります。


 震災から4年9カ月が経過をし、福島の未来を拓くさまざまな拠点整備の進展や出生率の回復、観光地のにぎわいなど、復興に向けたさまざまな光が強まりを見せる中、今後も広く市町村や地域との対話を重ね、国や東京電力に対しては、求めるべきことは厳しく求めるという姿勢を貫きながら、避難地域の再生や被災者の生活再建、産業の再生、風評・風化対策に加え、新年度から始まる復興・創生期間を見据えた長期的な財源確保など、復興に向け全力で取り組んでまいります。


 さらに、人口減少に歯どめをかけ地域を元気にしていくため、地方創生にもしっかりと取り組み、福島県全体の復興・再生につなげてまいりたいと考えております。


 福島の明るい未来を切り拓き、福島に生まれたこと、住んでいることを誰もが誇りに思える新生ふくしまの創造を私自身が先頭に立ち、県民の皆さんと一体となって全力で進めてまいります。


 次に、平成28年度当初予算についてであります。


 復興への取り組みが長期に及ぶ本県が真の復興をなし遂げるためには、中長期にわたる安定的な財源の確保が極めて重要であることから、私はこれまであらゆる機会を捉えて複合災害に見舞われた本県の実情を国に強く訴えてまいりました。


 その結果、復興事業への地方負担が導入される国の復興の新たな枠組みにおいて本県負担の極小化が図られ、また、国の来年度予算概算要求には本県独自の項目が盛り込まれたところであります。


 このような中、編成する来年度予算は新たにスタートする復興・創生期間の第一歩となる大事な予算であることから、避難地域の復興を最優先に、被災された方々の生活再建や帰還支援、県民の皆さんの心身の健康を守るための取り組みや子供や若者の育成、産業の再生・創出や国内外への正確な情報発信等による風評・風化対策などに進取果敢に取り組んでいくとともに、人口減少を克服し、地域の活力を取り戻すための取り組みにも力を注いでまいります。


 今後とも健全な財政運営に努めながら、これらの施策を総合的かつ着実に実行するための予算を編成し、誰もが復興を実感でき、魅力にあふれる豊かな「ふくしま」を築き上げてまいる考えであります。


 次に、既存管理型処分場についてであります。


 8月に県及び富岡・楢葉両町から、地元からのさまざまな意見を踏まえ国に対し申し入れを行い、先月、処分場やモニタリングに関する追加対策、国、県、両町による安全協定の締結、両町の地域振興策の支援等について国の考え方が示されました。


 これを受け、県として内容を精査確認し、今月3日に私から直接、富岡・楢葉両町長、両町の議長、さらには双葉郡の町村長の皆さんに、本県の一日も早い環境回復、復興を実現するため、苦渋の決断として埋立処分事業を容認する考えを伝え、御理解をいただきました。


 これを踏まえ、翌日には環境大臣、復興副大臣に対し、国が住民の皆さんの思いに真摯に向き合うとともに、帰還意欲の低下や風評を招くことのないよう、安全・安心の確保はもとより、地元への丁寧な対応、処分場の国有化と安全協定の締結、県、両町との協議を踏まえた輸送計画の策定、両町の地域振興策の具体化及び対応状況の報告・協議の4項目について責任を持って対応するよう申し入れました。


 県といたしましては、申し入れ事項について、地元と連携し今後の国の取り組み状況をしっかり確認するとともに、国は地元の理解と信頼が何よりも重要であることを十分認識し、施設設置者として責任ある対応を行うよう強く求めてまいる考えであります。


 その他の御質問につきましては、関係部長等から答弁させますので、御了承願います。


企画調整部長(近藤貴幸君)お答えいたします。

 人口減少への取り組みにつきましては、出生数の減少や進学期及び就職期の若者の県外流出等が本県の人口減少に大きく影響していることから、特に若い世代への対策が重要であると認識しております。


 人口の現状分析や県民アンケートの結果なども踏まえ、総合戦略においては、保育施設の整備や3世代同居・近居の支援による子育て環境整備、企業誘致や地域企業の競争力強化による雇用創出、魅力ある高等教育環境づくりによる若者の定着、還流などに重点的に取り組み、人口減少を克服し、持続可能な福島をつくり上げてまいります。


生活環境部長(長谷川哲也君)お答えいたします。

 中間貯蔵施設につきましては、パイロット輸送が31市町村で実施され、うち25市町村の作業が完了しております。


 一方、用地取得については、契約までに時間を要している状況にあり、先月国では、補償額算定作業の迅速化等の地権者説明の促進策を取りまとめました。


 県といたしましては、引き続き輸送が安全・確実に実施されるよう、国、市町村等と協議、調整を進めるとともに、国の促進策の取り組み状況の確認や県駐在員を通じた国との調整を行うほか、地権者説明のさらなる促進を図るため、必要な職員を来年度から新たに国へ派遣する考えであります。


 次に、仮置き場の適正管理につきましては、国の除染関係ガイドラインやそれに基づき具体的な方法を示した県の仮置場等技術指針を踏まえ、県においては市町村と連携して現地調査を実施しており、本年度は保管期間の延長などに対応するため調査回数をふやすなど、状況確認の強化を図っているところであります。


 また、仮置き場からのパイロット輸送時等に保管容器や防水シートなど資材の経年変化の状況等を調査しながら、市町村意見交換会等を通じて必要な対策について検討し、仮置場等技術指針を改定するなど、引き続き関係機関と連携して仮置き場の適正管理に取り組んでまいります。


 次に、JR只見線の全線復旧につきましては、利活用促進が重要であることから、地元において沿線住民を対象とした体験乗車ツアーや他県からの誘客ツアーを実施するほか、県では地元市町村と連携して只見線応援団を対象とした商品券事業やモニターツアーを展開するなど積極的に取り組んでいるところであります。


 今後地元市町村では、只見線を核とした地域振興にさらに取り組むこととしており、県といたしましては、市町村と連携し、引き続き地元の利活用のほか、観光誘客、交流人口の拡大によるさらなる利活用の拡充を図りながら、JR東日本や国と協議を重ね、全線復旧に向け取り組んでまいります。


 次に、地域公共交通の維持確保につきましては、地域鉄道事業者に対して関係自治体と協調して経営安定や設備整備等のための支援を行うとともに、バス事業者に対しては、国と協調して広域的・基幹的なバス路線を維持するための支援を行っているほか、市町村が主体的に運行するバス路線やデマンドタクシーに対し、県が単独で市町村に補助を行っているところであります。


 今後とも国や関係自治体と連携しながら、県民の日常生活に必要な交通手段が確保されるようきめ細かな支援に取り組んでまいります。


保健福祉部長(鈴木淳一君)お答えいたします。


 県民健康調査につきましては、現在検討委員会において中間取りまとめに向けた議論が行われており、この中で、放射線の直接的な健康影響の考察のみならず、避難等に伴う生活環境の変化やストレスによる健康指標の悪化や心の問題など、放射線の間接的な健康影響への対応の重要性が指摘されております。


 このため、健康診査データを分析し、市町村での保健事業に反映させているほか、心の問題に関して個別に電話等での相談支援を行っているところであり、今後も引き続き調査結果と連動した健康づくりを推進し、県民の健康の維持増進に努めてまいりたいと考えております。


 次に、小児医療の充実につきましては、不足する小児科医の確保が喫緊の課題であることから、来年4月、県立医科大学に開設するふくしま子ども・女性医療支援センターを中心にその養成確保に一層努めるとともに、現在建設中のふくしま国際医療科学センター内に設置するこども医療センターに小児集中治療室を備え、小児救急やがんを含めた子供のあらゆる疾患に対応する高度な小児医療を提供していくこととしております。


 今後とも県立医科大学と連携しながら、県民が安心して子供を生み育てることができるよう、小児医療提供体制の充実強化に取り組んでまいる考えであります。


 次に、特別養護老人ホームの入所希望者の待機解消につきましては、施設入所の必要性が高い高齢者が入所可能となるよう、介護保険事業支援計画に基づき施設整備を進めるとともに、原発事故等で休止中の施設についても早期に再開ができるよう仮設施設の整備などを支援しているところであります。


 今後も高齢者の状況に応じた介護サービスが提供できるよう、特別養護老人ホームを初め介護老人保健施設や認知症高齢者グループホームなどの整備を促進してまいります。


商工労働部長(飯塚俊二君)お答えいたします。

 緊急雇用創出事業終了後の新たな雇用対策につきましては、これまで同事業が被災求職者の短期的な雇用の創出を図りながら、仮設住宅の見守りや放射線のモニタリング調査など被災者支援や風評払拭に重要な役割を果たしてきたことから、来年度につきましても被災者支援や復興の加速化に関する国の交付金への振りかえなどにより対応していくとともに、既存事業で対応できない事業については、厚生労働省が概算要求している新規事業で継続して実施できるよう強く要望しているところであります。


 次に、中小企業等への実効性の高い支援につきましては、金融機関や商工団体等の支援機関が連携し本年10月に設立したオールふくしま中小企業・小規模事業者経営支援連絡協議会のもとに、税理士、中小企業診断士等による7方部の地域委員会や弁護士、公認会計士等による全県的な委員会を設置したところであります。


 今後は、売り上げや販路の拡大、経営再建など多岐にわたる経営課題について、地域委員会やより困難な案件を扱う全県的な委員会において多角的な観点から定期的に検討を重ね、具体的な経営支援方針や施策を提示するなどの実効性の高い支援に取り組み、中小企業等の経営改善を進めてまいります。


 次に、航空宇宙関連産業につきましては、世界的な航空需要の拡大に伴い今後大きな成長が期待される分野であり、県内には航空部品製造の中核となる企業や小惑星探査機「はやぶさ2」にかかわった高い技術力を持つ企業が立地しているほか、参入に必要とされる品質保証の認証を有する企業数も東北で一番多い状況にあります。


 このため県では先月、参入を促進するための契機となるよう航空宇宙産業シンポジウムを開催したところであり、今後とも関連企業の誘致に努めるとともに、福島県航空・宇宙産業技術研究会等を通じ、参入を目指す企業の認証取得を初め技術力向上や取引拡大を支援するなど航空宇宙関連産業の集積に積極的に取り組んでまいります。


文化スポーツ局長(篠木敏明君)お答えいたします。

 生涯スポーツにつきましては、県民が生涯を通じて楽しみながら家族との触れ合いや仲間との交流を図るとともに、地域のきずなを深めるものと考えております。


 このため、県といたしましては、身近な場所で気軽にスポーツを楽しめる総合型地域スポーツクラブへの支援を初め「健康」をテーマに来年度から実施予定の新たな県民運動と連携しながら、生涯スポーツ・レクリエーションの祭典として毎年開催しているふくしまレクリエーションフェスタの充実に努めるとともに、スポーツ庁が来年2月に郡山市で開催する生涯スポーツ・体力つくり全国会議を契機に、より一層県民一人一人が健康で豊かな人生を送ることできるよう生涯スポーツの振興に積極的に取り組んでまいる考えであります。


教育長(杉 昭重君)お答えいたします。

 地域企業が求める人材の育成につきましては、専門分野に関する基礎的、基本的な知識や技術の定着を図るとともに、実践的な技術、技能を身につけさせることが大切であります。


 このため、農業、工業、商業等の専門高校において、地域企業等の連携により、地域の特色を生かした加工食品を考案するなどの共同研究に取り組むとともに、工業高校における先進的な取り組みをさらに高度化させるため、ロボット製作等の先端技術の研究にも取り組んでいるところであり、今後ともこうした取り組みを充実させ、地域企業が求める人材の育成に努めてまいります。

議長(杉山純一君)これをもって、高橋秀樹君の質問を終わります。

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