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2015年12月定例会 一般質問 今井久敏議員

印刷用ページを表示する 掲載日:2016年2月15日更新
今井久敏議員 
議員

今井久敏議員

所属会派(質問日現在)

公明党

定例会平成27年12月
質問等一般質問
質問日12月18日(金曜日)

33番(今井久敏君)公明党の今井久敏であります。改選後初の県議会一般質問に臨むに当たり、公明党を代表して一言申し述べ、質問に入らせていただきます。

 私は、今回の県議選の争点は福島の復興加速化であると訴えてまいりました。「福島の復興なくして日本の再生はない」との言葉どおり、再生・復興へ向けて山積する課題とともに、地方創生へ次の5年をより確かなものとするための方策を問う選挙であると実感をしていたからでございます。


 震災や過疎化によって県内人口は192万6千人にまで落ち込んでおり、県政最重要課題として対策を打ち続ける必要があります。


 とりわけ本県特有の原発被害対策としての中間貯蔵施設用地の確保は、国の強力な推進がなお求められます。さらには手つかずの山林、河川、湖沼除染への取り組み、また、本県最大の課題である廃炉に向けての監視強化など、復旧に向けての諸課題は明確であり、私たちも県当局とともにあらゆるチャンネルから国に対しその対応を強く求めていかなければならないと決意をしております。それらを踏まえまして、以下質問に入らせていただきます。


 初めに、中小企業の振興について伺います。


 内閣府の調査によると、日本経済は大企業を中心に企業収益の拡大が賃金上昇や雇用拡大につながる一方で、中小企業が大多数を占めている地方においては景気の回復におくれが見られているとされております。


 一方、県では今般、国のまち・ひと・しごと創生長期総合戦略を踏まえた福島県人口ビジョンを策定するとともに、地方版総合戦略福島県まち・ひと・しごと創生総合戦略を今年中に策定し、地方創生に取り組むと聞いております。中でも、しごとの創生、とりわけ本県企業の大宗を占める中小企業の振興が極めて重要であると考えております。


 そこで、知事は県内中小企業の振興にどのように取り組んでいくのかお尋ねをいたします。


 次に、地方版政労使会議の開催について伺います。


 厚生労働省は10月5日、同省出先機関の都道府県労働局に対し、地方における賃上げや働き方改革などに向けて地方自治体や労働団体の代表らが話し合う会議、いわゆる地方版政労使会議を年内にも開催するよう通知しました。これまでに静岡県、愛知県、大阪府、京都府及び岡山県で開かれております。


 2013年に公明党の提言で設置された政労使会議は、経済好循環に向けた賃金引き上げなどの成果になっております。


 しかしながら、中小企業が大多数の地方にも景気回復の効果を行き渡らせるため、公明党青年委員会が本年7月に政策提言を行い、8月10日の予算委員会において首相から「労使を初めとする地域の関係者が集まる会議を設置する検討を進めたい。」との答弁を引き出したところでございます。


 これを受け通知では、各労働局が調整役となって、各都道府県単位で会議開催を要請すること。会議の構成員については政労使の枠組みを持つことが重要として、都道府県や労働局や経済産業局などの国の出先機関、使用者団体、労働者団体の代表が参画することと明記しております。


 さらに、会議では、長時間労働などの働き方の見直しや賃金面で魅力ある雇用機会の創出、非正規労働者の正社員化、能力開発支援など若者対策の観点も含めて話し合うこととしております。


 本年9月議会で、当時我が党の甚野議員の質問に対し県からは、本県での政労使会議開催を調査研究するとの答弁がありました。


 そこで、政労使会議について本年9月議会以降の調査研究の状況を踏まえどのように臨むのか、県の考えをお尋ねいたします。


 次に、被災者への相談支援の充実強化について伺います。


 本県の被災者の心のケア事業を受託する一般社団法人福島県精神保健福祉協会が運営するふくしま心のケアセンターが平成24年度から26年度までの相談実績を公表しました。


 被災者に寄り添う地道な相談の実績であり、さらなる支援のために貴重な情報として活用すべきであります。


 公表された実績によると、平成24年度から26年度までの累計相談者数は延べ2万人を超えております。相談内容として1番多かったのが「身体症状」の4,900件で、2番目に多かったのはいわゆるいらいら感を訴える「気分・情動に関する症状」の3,904件、「睡眠の問題」が3,068件、「不安症状」2,514件と続いております。「身体症状」や「気分・情動に関する症状」は増加傾向にあり、震災初期に発生した症状が今なお解消されず、苦悩している状況が報告されております。


 また、注視しなければならないのは現在の治療状況であります。精神的な不調のため医療機関に受診している人から任意で聞き取ったうち、病名で1番多いのが「精神病性障害」で、平成24年度230人、25年度784人、26年度985人となっているほか、「気分障害」、「神経症性障害」、「ストレス関連障害」、「物質常用障害」についても年々大きく増加しており、これまでのふくしま心のケアセンターの活動実績を踏まえた被災者の心のケア対策の充実強化が急務であることを示していると考えます。


 そこで、県は被災者の心のケア対策の充実にどのように取り組むのかお尋ねをいたします。


 また、東日本大震災から4年9カ月が経過する中、県外での避難生活を余儀なくされている県民はいまだに4万3千人を超える状況にあります。全国各地に避難する県民は、先の見通しが立たない不安などさまざまな問題に直面しており、県外避難者への心のケアも課題となっていると考えます。


 そこで、県は県外避難者の心のケア対策にどのように取り組むのかお尋ねをいたします。


 応急仮設住宅や借り上げ住宅等に居住する避難者の見守り活動を行っている生活支援相談員についても、その配置から4年余りが経過しておりますが、私は活動される相談員の皆さんの身分保障の観点からも、長期雇用が実現するよう引き続き国に対して要望していくことが大切だと考えます。


 また、生活支援相談員の活動につきましては、見守り活動はもとより、避難生活の長期化に伴い、健康面、精神面での不安の増大や復興公営住宅、災害公営住宅への移転に伴う環境の変化など、避難者が直面する多様化・複雑化している課題に対応する支援が求められます。


 そこで、県は生活支援相談員の資質の向上にどのように取り組むのかお尋ねをいたします。


 次に、若年層の自殺対策の強化について伺います。


 平成27年版自殺対策白書によれば、平成22年以降我が国の自殺者総数は減少傾向にあるものの、依然として年間2万5千人以上もの人がみずから命を絶っている現状にあります。その中でも若年層の自殺者数の減少幅は他の年齢層に比べて小さく、若年層に対してはこれまで以上に自殺対策の強化を図っていくことが求められております。20歳未満の自殺の原因は学校問題、20代と30代は健康問題が最も多く、勤務問題、経済・生活問題が次に多くなっています。


 本県の自殺対策については、平成25年3月に策定した第2次福島県自殺対策推進行動計画に基づき実施しているところでありますが、本県の自殺の状況を年代別に見ると20代以下の年齢層の自殺率はほぼ横ばいで推移しており、若年層については全国的な状況と同様の傾向にあります。このことから、若者の自殺を防ぐための取り組みを一層強化することが必要であると考えます。


 そこで、県は、若年層の自殺対策の強化にどのように取り組むのかお尋ねをいたします。


 次に、ひきこもり支援対策について伺います。


 平成27年8月、厚労省はひきこもりを「さまざまな要因の結果として社会的参加を回避し、原則的には6カ月以上にわたっておおむね家庭にとどまり続けている状態」と定義し、それが約26万世帯に上ると推計をしております。


 また、近年ではひきこもりの高年齢化が進んでおり、全国引きこもりKHJ親の会の調べでは、ひきこもりを始める年齢が横ばい傾向にあるものの、平均年齢は上昇傾向にあると報告しております。最近では、一旦社会に出てから挫折したことでひきこもる人がふえ、高年齢化が進み、家族負担は重く、より支援を難しくしていると分析されています。


 問題は、ひきこもりを抱える親が既に高齢化しており、年金受給世帯が生活困窮世帯になる現状が見られることであります。本年4月に施行された生活困窮者自立支援法の自立相談事業においても、ひきこもりを支援する関係機関との連携が求められています。


 そこで伺います。ひきこもり支援センターにおける相談対応実績と取り組みについてお尋ねをいたします。


 次に、ひきこもりを要因とした生活困窮世帯への支援について、県は関係機関とどのように連携しているのかお尋ねをいたします。


 次に、育児に悩む母親への支援について伺います。


 ことし4月から開始されている子ども・子育て支援新制度でも、地域の実情に応じた子ども・子育て支援の充実が求められ、各自治体が独自の支援事業を検討し、展開するようになってきております。例えば東京都の世田谷区では、スマートフォンを活用した支援事業、せたがや子育て応援アプリを平成26年10月から公開し、妊娠期から就学前の子育て家庭を対象に、子育て支援情報や乳幼児の健康診断・予防接種のお知らせ情報などが提供され、好評を得ております。


 最近は核家族化、地域のつながりの希薄化等社会の変化に伴い、地域での育児支援が受けにくい環境にあり、母親が孤立しがちであります。身近に相談できる相手が不足しているため自信を持って育児を行うことが難しく、疲労と不安を抱える母親が多くなっております。女性にとって妊娠から出産、そして乳幼児期の育児は母親としてスタートする大切な時期であります。


 そこで、育児に悩む母親への支援が必要と思いますが、県の考えをお尋ねいたします。


 次に、公立中学校夜間学級の県内開設について伺います。


 文科省は平成26年5月時点の中学校夜間学級の設置状況をまとめました。中学校夜間学級、いわゆる夜間中学とは市町村が設置する中学校において2部授業が行われる学級のことをいいますが、それによれば現在8都県25市区31校に設置されていると報告されています。


 夜間中学はさまざまな理由により義務教育未修了のまま学齢を超過した方々の就学機会の確保に重要な役割を担っており、その設置の促進が全国に強く望まれております。


 このような中、昨年7月の教育再生実行会議の第5次提言や超党派の国会議員による夜間中学等義務教育拡充議員連盟の活動等により進展が図られようとしております。文科省では「少なくとも各都道府県に1つは夜間学級が設置されることを目指し、未設置の道県における夜間学級の設置促進を図る」との方針を打ち出しております。


 そこで、公立中学校夜間学級における学習ニーズを把握し、設置を検討すべきと考えますが、県教育委員会の考えをお尋ねいたします。


 最後に、人権啓発について伺います。


 公明党は本年7月、菅官房長官に対し、在日韓国人などを差別するヘイトスピーチ問題の対策に関する要望書を手渡し、「政府がヘイトスピーチを含む人種差別を許さないという断固たる姿勢を示すとともに、人権教育の強化や啓発活動を」との内容で対応を求めました。また、人種差別の撤廃に向けて実効性ある対策を行うため、各地の人種差別の実態把握の必要性も訴えたところであります。


 大震災後は、原発事故に起因する偏見などもありました。いじめや虐待などのニュースも後を絶ちません。


 そこで、県は人権啓発にどのよう取り組んでいるのかお尋ねいたします。


 以上をもちまして私の一般質問を終了させていただきます。御清聴、大変にありがとうございました。

 

議長(杉山純一君)執行部の答弁を求めます。


知事(内堀雅雄君)今井議員の御質問にお答えいたします。

 県内中小企業の振興についてであります。


 私は、県内企業の大多数を占める中小企業は地域経済の礎であり、その振興を図ることは極めて重要であると考えております。


 このため震災以降、被災した中小企業の事業再開等への支援に取り組んでまいりましたが、県内中小企業は今なお風評被害などにより厳しい経営環境に置かれていることから、今般金融機関等と連携し、オール福島による経営支援体制を新たに整備し、実効性の高い支援を行うこととしたところであります。


 また、本県には日本一と評価された絹織物や日本酒など誇るべき技術が数多くあることから、引き続きハイテクプラザや地域産業復興支援アドバイザーによる新商品開発への支援を積極的に推し進め、県内中小企業のものづくりの力を一層高めてまいります。


 さらに、小惑星探査機「はやぶさ2」の製造にかかわるなど、高い技術力と潜在力を持った企業が数多く存在する本県の強みを生かし、今後の成長が期待される航空宇宙産業やロボット関連産業への県内中小企業の参入を支援してまいります。


 今後とも子供たちが夢や希望を持てる県内中小企業のさらなる振興に向け、しっかりと取り組んでまいる考えであります。


 その他の御質問につきましては、関係部長等から答弁をさせます。


生活環境部長(長谷川哲也君)お答えいたします。

 人権啓発につきましては、いじめや虐待、外国人に対する偏見などさまざまな課題があると認識しております。


 このため、県ではこれまでも虐待防止等の研修会や外国人の人権に関するパンフレットの作成など人権啓発事業を行ってきたところであり、今月12日には人権のつどいを開催したほか、今月末及び来月にはスポーツ組織と連携し、小学生を対象としたバスケットボール教室を通して人権啓発を行う予定としております。


 今後とも国、市町村、人権擁護委員連合会等の関係機関と連携し、人権の啓発に積極的に取り組んでまいります。


保健福祉部長(鈴木淳一君)お答えいたします。

 被災者の心のケア対策につきましては、ふくしま心のケアセンターの活動報告によると、ストレス関連障害や気分障害などが増加する傾向にあることから、今年度はハイリスク者への支援を強化するため、新たにかかりつけ医師等を対象にしたうつ・アルコール依存研修会を開催したほか、見守り活動を行う生活支援相談員に対して不眠や鬱の理解を深める研修を行っているところであり、今後とも被災者の心のケア対策の充実に努めてまいる考えであります。


 次に、県外避難者の心のケア対策につきましては、ふくしま心のケアセンターにおける電話相談や内部被曝検査にあわせた心と身体の健康相談会を実施しているほか、避難先の臨床心理士会等に委託して交流会における相談会の開催や戸別訪問などに取り組んでいるところであります。


 今年度はそれぞれの避難の状況に応じて適切な支援ができるよう県外の支援団体と情報を共有し、相談支援のスキルアップを図る合同研修会等も実施しており、今後は復興支援員との連携を強化するなど、より一層避難者に寄り添った心のケア対策に取り組んでまいる考えであります。


 次に、生活支援相談員の資質向上につきましては、避難者一人一人の課題や悩みに寄り添い、関係機関と密接に連携した支援を行えるよう面接技術や訪問活動の進め方等について研修を実施しております。


 今年度は、避難生活の長期化により増加が見込まれる生活習慣病予防に関する研修や、阪神・淡路大震災で実際に被災者支援に当たられた方を講師とした仮設住宅からの転居期における課題についての研修等を新たに実施しており、より複雑多様化する課題にきめ細かに対応できるよう今後とも研修内容を充実し、生活支援相談員の資質向上に取り組んでまいります。


 次に、若年層の自殺対策につきましては、これまで高校生や専門学校生を対象とした出前講座の開催や自殺予防週間における若者向けの啓発活動等に取り組んできたところであります。


 今年度は新たに大学生を対象として自殺予防の担い手となるゲートキーパー養成研修を実施するとともに、被災地において消防や警察、医療機関等の関係者を対象として自殺未遂者支援研修会を開催しており、今後は自殺予防ネットワークの構築に取り組むなど、若年層の自殺対策の強化に努めてまいる考えであります。


 次に、ひきこもりが要因の生活困窮世帯につきましては、生活困窮者自立支援法に基づき、今年度から相談内容が全国統一で分類され、本県のひきこもりが関係した件数は9月末現在84件となっております。


 県といたしましては、ひきこもり支援センターやハローワーク、市町村などの必要な関係機関を構成員とするオーダーメードの調整会議を開催し、個々の世帯の自立に向けた適切な支援計画を策定するとともに、医療や雇用、教育、福祉など関連する分野のさまざまな機関と十分に連携し、必要な支援にしっかりと取り組んでまいります。


商工労働部長(飯塚俊二君)お答えいたします。

 政労使会議につきましては、本県の復興・再生を進めるためには雇用の質を高めるとともに、雇用環境の整備が重要であることから、福島労働局との協議のもと、今月21日に国、県、労使関係団体を構成員とする魅力ある職場づくり推進会議を開催することとしたところであります。


 県といたしましては、この会議を通して、若者や女性など県内労働者の労働環境や処遇の改善に向けた機運が高まるよう、さまざまな課題について関係団体等との話し合いを進めてまいりたいと考えております。


こども未来局長(尾形淳一君)お答えいたします。

 ひきこもり支援センターにつきましては、開設初年度の平成26年度は子供のひきこもりを心配する家族などから、電話や来所を含め460件の相談を受け付けているところであり、個別訪問や医療機関への同行支援など、個々の実情に応じた支援に取り組んでおります。


 今後とも医療、福祉、雇用など多方面の関係機関と緊密に連携し、一人一人の相談者に寄り添ったきめ細かな支援に努めてまいります。


 次に、育児に悩む母親への支援につきましては、育児に不安を抱える母親の悩みに応えるため、県助産師会と連携し、電話相談や家庭訪問を行うとともに、出産後間もない母親が赤ちゃんと一緒にゆったりと過ごす中で育児の知識や子供との接し方を学べる日帰りケアや宿泊ケアを実施しております。


 市町村においても、乳幼児健診での相談や母子の健康支援に取り組んでいることから、今後も連携を密にして子育てに悩む母親を支援してまいります。


教育長(杉 昭重君)お答えいたします。

 公立中学校夜間学級につきましては、市町村立中学校において義務教育未修了者や不登校による実質的未修了者等を対象として夜間に授業を行う学級であることから、今年度文部科学省の調査研究事業を活用し、市町村教育委員会等と検討委員会を組織して、学習ニーズの調査方法や先進事例の研究などに取り組んでいるところであります。


 今後は国による法整備や条件整備の状況を見きわめながら、関係市町村等と引き続き研究してまいる考えであります。

議長(杉山純一君)これをもって、今井久敏君の質問を終わります。

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