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2015年12月定例会 討論 神山悦子議員

印刷用ページを表示する 掲載日:2016年2月15日更新
神山悦子議員 
議員神山悦子
所属会派(質問日現在)日本共産党
定例会平成27年12月
質問等討論
質問日12月25日(金曜日)

49番(神山悦子君)日本共産党の神山悦子です。日本共産党県議団を代表し、知事提出議案並びに請願及び意見書について討論いたします。

 最初に、知事提出議案に関して、以下の議案については反対の立場から意見を述べさせていただきます。


 まず、知事提出議案第10号「福島県森林環境税条例の一部を改正する条例」についてです。


 これは2006年4月に導入された県の森林環境税ですが、法人だけでなく県民個人にも年間1,000円の負担を求めています。そもそも県土の7割を占める本県の森林整備については県民に負担を求めず、本来の県事業として予算化し推進すべきです。


 森林の整備に関しては、原発事故で4年9カ月たつ今も放射能汚染によって除染をしなければ山にも入れず、ますます荒廃しています。ところが、環境省は今週21日、放射能飛散や流出はほとんど見られなかった、除染作業により落ち葉や堆積物を取り除くと土砂が流出する危険性もあるなどとして、森林除染はしないとする方針を最終決定したとの報道がありました。


 しかし、生活用水源や農業用水源でもあり、原発事故前は里山の山菜、キノコ、薪や木炭、原木を山の恵みとして利用し、なりわいの糧にもしてきたのです。森林の除染が打ち切られれば、避難区域への帰還はさらに遠のきます。今県がやるべきことは、県民への課税を中止し、国の責任で森林の手入れを含めた森林全体の除染を実施し、森林の再生を図れるようにしていくことです。


 次に、第13号「福島県環境創造センター条例」についてです。


 これは、三春町にオープンした環境創造センターについて、公の施設として施設の利用料等を定める条例です。料金設定に当たっては、建設費等の積算や同規模の県の施設から設定したとしていますが、県民が利用するにしては高い料金の設定と言えます。減免制度での対応ではなく、環境の回復及び創造に関する知識の普及・学習活動の支援及び技術研修にふさわしい、子供たちや県民誰もが利用しやすい料金設定とすべきです。


 次に、第21号「福島県電子署名に係る地方公共団体の認証業務に関する法律施行条例を廃止する条例」及び第22号「福島県行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律施行条例の一部を改正する条例」についてです。


 これは、いわゆるマイナンバー法に基づく条例改正です。21号は、来年1月以降、認証業務を知事から地方公共団体情報システム機構・J―LISの業務に移すため、この条例を廃止するというものです。しかし、機構への運営費の県負担もあり、今後業務がふえれば県負担もふえるとしています。危惧されるのは、民間同士や民間と行政で番号のやりとりをすることから、幾ら罰則を設けても情報漏えいの危険は避けられないことです。


 既にことし5月、日本年金機構から100万件以上の年金情報が流出し、今月14日には大阪府堺市の職員が自治体では過去最多となる全有権者約68万人分の情報を流出させる事例が発覚したばかりです。自治体へのサーバー攻撃も発生し、大規模インフラシステムほどサーバー攻撃の対象になりやすいと大手企業も指摘しています。


 既に導入されているアメリカや韓国では、カードの不正偽造や大量の個人情報流出が社会問題になり、イギリスでは、一旦導入されたIDカード法を2010年に政権交代した新連立保守政権が人権を踏みにじる制度だとして実施直前に廃止しました。


 現在県内で通知カードが書留郵便で届けられていますが、政府はあくまで番号記載は任意であり、番号なしでも行政上不利益な扱いはしないと説明し、税金の申告は受け付ける、介護保険の手続に不利益は生じないとしていますから、県は県民や事業者、市町村にこれを周知徹底すべきです。全国では、憲法13条のプライバシー権、自己情報コントロール権の保障に違反していると、違憲訴訟も起こされています。今からでも遅くはありません。法律の廃止を国に求め、少なくとも来年1月の開始は延期し、見直すべきです。


 次に、第48号及び第49号「県の行う建設事業等に対する市町村の負担の追加及び一部変更」についてです。


 これは、県が行う農林水産部と土木部の建設事業等に対する追加負担を市町村に求めようとするものです。地方財政法等では市町村に負担を求めることができるとされているにすぎません。本来、県の事業は県の予算で賄うべきです。


 次は、議員提出議案の新規請願と新規意見書に関してです。


 まず、請願1号「安全保障関連2法の廃止を求める意見書の提出について」及び請願2号「安全保障関連法制廃止を求める意見書の提出について」と意見書第1号「平和安全法制の廃止を求める意見書について」は、賛成の立場からまとめて意見を述べます。


 我が党県議団の代表質問で宮本県議が指摘したように、この法律はことし9月19日、憲法学者や元内閣法制局長官、元最高裁判事などが憲法違反と批判し、国民各層からの反対の声も踏みにじり、アメリカが世界で行う戦争に際し、武力行使は可能とする法律を強行成立させたものです。これは、憲法9条が掲げる戦争の放棄、戦力の不保持、交戦権の否認を踏みにじるものです。


 どんな政権であっても憲法の枠内で政治を行う、これが立憲主義の立場です。首相にも国会議員、公務員にも憲法を遵守する義務があります。憲法の上に法律を置くという立憲主義の否定は許されません。


 しかも、この法律が発動されれば、日本は海外で戦争する国になり、自衛隊は海外で殺し殺されることが現実のこととなって、県内の自衛隊員や若者の命に直結します。また、日本自体が武力紛争の当事者となれば、平和安全とは全く逆の事態を招くことは明らかです。


 戦後70年という節目に当たることしが間もなく終わろうとしています。私の2年前に亡くなった父親は、さきの戦争でシベリアに抑留され、終戦から3年後に日本に戻ってきました。その父から小さいころから戦争体験を聞いて育った私は、2度と戦争を起こしてはしてはならない、息子や若者を絶対戦場に送ってはならないとずっと思い続けてきました。私の政治活動の原点です。


 憲法違反のこの法律を速やかに廃止し、世界に誇れる日本国憲法で世界の平和に貢献すべきです。憲法を改定し、再び戦争する国を目指す安倍政権の危険な暴走に歯どめをかけるため、この議場にいる全ての皆さんに、思想信条、政党、立場の違いを超えてこの意見書の採択を強く呼びかけるものです。


 次に、請願3号「消費税の再増税を中止し、生活費非課税・応能負担の原則に立った税制を求める意見書の提出について」及び意見書第4号については賛成の立場で、意見書第五号「消費税の複数税率化による軽減税率の導入を求める意見書について」は反対の立場から意見を述べます。


 安倍政権は、景気動向にかかわらず2年後の2017年4月に消費税10%への増税を実施するとしていますが、社会保障のためと言いながら、この間、年金、医療、介護など社会保障のあらゆる分野で予算を削減し、自然増分の年間3千億円から5千億円も削減するという途方もない切り捨てを決めています。


 その一方で、財政再建のためと言いながら、空前のもうけを上げている大企業には法人税の実効税率を20%台まで減税し、戦争法の具体化として軍事費は初めて5兆円を超える規模に拡大しようとしています。しかし、昨年4月の8%増税で2014年度のGDPはマイナスとなり、所得と消費が冷え込む深刻な不況に落ち込んでいます。本県の復興にも足かせになることは必至です。


 一方、意見書第5号は、自民、公明が消費税増税時に食品関係の税率を8%に据え置く軽減税率を国に求める意見書です。しかし、8%から10%に引き上げると5.4兆円もの増税になり、たとえ軽減税率で1兆円ほど減ったとしても4.4兆円の増税、勤労者世帯では年間46,000円の大増税となるのです。しかも、1兆円に上る財源確保のため、4,000億円の低所得者対策を取りやめます。14日のNHK世論調査では、賛成が28%に対し、反対は43%でした。10%への増税を中止することこそ県民の真の願いです。


 次に、請願15号「TPP交渉に関する意見書の提出についてと意見書第8号について」は、賛成の立場から意見を述べます。


 TPP交渉で政府は大筋合意したとしていますが、国会決議で聖域とした重要五品目は関税撤廃に等しいものです。国会決議違反は明白です。また、重要5品目以外の農産物の89%で関税撤廃に踏み込んでおり、我が国と本県の農林水産業に与える影響ははかり知れません。


 自民党がTPP農業対策として競争力強化や輸出拡大で強い農業を目指すとしていますが、ISDS条項のほか、TPP協定発効から7年がたった後に農産物輸出国と協議をするという条項が入っており、さらなる開放が迫られます。一旦2国間で提携し緩めた規制は戻せないというラチェット条項もあります。


 先月14日の共同通信社の全国首長アンケートでは、農業への影響などから本県の5割の首長が「反対」と回答しています。農業分野にとどまらず、食の安全、医療や雇用、金融などあらゆる分野に影響が及ぶことは必至です。国会での批准を中止し、TPPからの撤退こそ国がとるべき態度です。


 次に、請願16号「社会保障・税番号制度実施を中止し、廃止を求める意見書の提出について」及び意見書第10号については賛成、意見書第11号「マイナンバー制度の円滑な運営に係る地方公共団体の負担軽減を求める意見書」については、知事提出議案第21号、第22号で意見を述べた同じ理由から反対です。


 次に、請願19号「原発ゼロを決断し全国の原発再稼働を行わないよう求める意見書の提出について」及び意見書第13号については、賛成の立場から意見を述べます。


 この請願、意見書については、本会議の代表質問等で指摘したとおり、安倍政権のもとで、福島原発事故の教訓が生かされず、九州電力の川内原発を初め中国電力伊方原発、中部電力の高浜原発などを前のめりで再稼働させようとしていますが、本県のような原発事故が絶対起こらないという保証はありません。


 他県のことに口出しはしないとして全国の原発再稼働に何も言及しない態度が結局オール福島で求めている第二原発の廃炉をいまだに明言しない国や東京電力のとんでもない姿勢にもつながっているのです。原発事故による被害はもう本県だけで終わりとすべきです。全国の原発再稼働中止を国に求めることは福島県議会としての責務です。


 次は、教育関係の請願と意見書についてです。


 請願26号「義務教育諸学校教職員給与費の義務教育費国庫負担を2分の1に復元するとともに制度の充実を求める意見書の提出について」と意見書第23号について、賛成の立場から意見を述べます。


 子供一人一人が大切にされ、豊かな教育環境のもとで教育が行われることは、憲法上からも求められています。もともと自治体の財政状況によって教職員の配置など教育条件に不均衡が生じないよう1953年にこの制度が制定されたものですが、2006年度から国2分の1から3分の1に削減されました。本県が全国に先駆けて実施している30人学級を今後も継続し、大震災、原発事故を受けた本県の人間の復興を教育面から実施していくためにも、国庫負担をもとに戻すよう求めるべきです。


 請願27号「高校生就学支援基金の延長と返済猶予減免制度のある奨学金制度を整備・拡充することを求める意見書の提出について」と意見書第24号については、賛成の立場から意見を述べます。


 2012年のOECD加盟国で国内総生産GDPに占める学校など教育機関への公的支出割合は、日本は32カ国中、チェコスロバキアと並び最下位の3.5%、1位のノルウェー6.5%の約半分です。一方、非正規労働者の割合は4割になり、働く貧困層は、2014年度は前年比で20万人も増加しています。安倍政権のもとで貧困と格差がさらに広がり、子供の貧困対策も求められています。その立場から意見書の採択を求めます。


 最後に、請願37号「小・中学校の給食費の無料化を求めることについて」です。


 教育長は、吉田県議への答弁で、学校給食に係る経費のうち食材料及び光熱水費は原則として保護者負担となることをもって、県教育委員会としては学校給食費無料化への支援は困難であると答弁しましたが、文部科学省は、地方自治体が補助金導入に当たって、学校給食法の趣旨は、設置者の判断で保護者負担を軽減または負担なしとすることは可能と回答しています。日本一子育てしやすい県を目指す本県なのですから、制度を創設し、市町村を支援し、保護者の教育費負担を軽減すべきです。


 よって、知事提出議案第10号、13号、21号及び22号、48号及び49号については反対、新規請願1号から3号、15号、16号、19号、26号、27号、37号は賛成、新規意見書第1号、4号、8号、10号、13号、23号、24号は賛成、第5号、11号は反対を表明し、議員各位の御賛同を求めまして、以上で私の討論を終わります。

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