2017年6月定例会 代表質問 古市三久議員
議員 | 古市三久 |
---|---|
所属会派(質問日現在) | 民主・県民連合 |
定例会 | 平成29年6月 |
質問等 | 代表質問 |
質問日 | 6月22日(木曜日) |
36番(古市三久君)民進党・県民連合の古市三久です。会派を代表して質問いたします。
初めに、福島イノベーション・コースト構想についてです。
本構想の取りまとめには、知事みずからがかかわってこられたこともあり、大変強い思い入れがあると思います。本構想が推進されることに地元からは大きな期待が寄せられているところであり、ことし5月の福島復興再生特別措置法の改正によって、構想は新たなステージを迎えたと考えております。
現在構想は、廃炉やロボット技術といった最先端の技術開発やそれらを活用した農林水産業の再生など幅広い分野で進められています。浜通りに大きな希望や夢を与えるよう、構想を具体化し、復興を加速させていかなければならないと考えております。
そこで、福島イノベーション・コースト構想の推進により浜通りをどのように復興させるのか、知事の考えをお尋ねいたします。
浜通りの復興には、産業の集積、雇用の確保を推進することが大事であります。
そこで、県は浜通りの工業団地を活用し、福島イノベーション・コースト構想に基づく産業集積にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。
震災の風評・風化についてです。
震災と原発事故から6年3カ月が経過いたしましたが、いまだに県内には避難指示区域が存在し、多くの県民が避難を続けており、本県の真の復興に向けては、環境の回復、帰還に向けた生活環境の整備、営農再開、風評の払拭など、取り組むべき課題は山積しております。
知事は常々「福島は有事が続いている。」と言っておられますが、私も同感です。いまだに厳しい状況が続いている中、震災や原発災害がなかったかのように風化が進行することに対し、強い懸念を抱いております。本県が平時に戻るには、極めて長期的に考えていく必要があり、そのためにも決して震災を風化させてはならないと考えます。
そこで、震災から6年が経過した中、風化防止にどのように取り組んでいくのか、知事の考えをお尋ねいたします。
先月、福島の酒は全国新酒鑑評会において金賞受賞数5年連続日本一の快挙をなし遂げました。テレビ、新聞等マスコミにも大きく取り上げられ、海外へも発信されるなど、国内外に福島県産酒の質の高さを証明するとともに、復興に向かう福島の元気と勢いを示す大変すばらしい出来事でした。
本県には、日本酒のほかにも、浜、中、会津の各地域に根差した農産物や加工品など魅力的な県産品が数多く存在しておりますが、原発事故の風評被害の影響もあり、売り上げが減少しているものも少なくありません。
このたびの5年連続日本一という快挙は、県内蔵元の皆様の輝かしい栄誉であり、福島の酒のさらなるブランド力のアップにつながるものと思いますが、県産農産物や加工品、工芸品など、他の県産品に携わる事業者にとりましても、風評を払拭し、復興を目指す上でとても大きな力になるものと考えております。
そこで、金賞受賞数5年連続日本一の快挙を今なお続く風評の払拭にどのように生かしていくのか、知事の考えをお尋ねいたします。
高レベル放射性廃棄物最終処分場についてです。
中間貯蔵施設がなし崩し的に廃炉作業で出た廃棄物の置き場になり、最終処分場になることを懸念している地権者が多数おります。最終処分場が確保されない以上、高レベル廃棄物の行き場はありません。トイレなきマンションとやゆされるように、原子力発電所の最大の難題は発電所の使用済み核燃料、高レベル廃棄物の安全管理です。
高レベル廃棄物は、少なくとも今後10万年程度生活圏から隔離する必要があると言われています。政府は、中間貯蔵と国内地層処分を選択し、規制委員会から依頼を受けた日本学術会議は総量管理と暫定保管を提言しています。日本学術会議は、暫定保管を50年とし、合意形成、適地選定に30年、その後20年をめどに建設するとしています。どちらにしても、建設までには長期間要することは明らかです。
2017年6月現在、候補地の発表のめどは立っておりません。政府は、高レベル廃棄物の最終処分のめどが立っていないまま原発の再稼働を推進しておりますが、無責任と言わざるを得ません。第一原発の事故炉からデブリを取り出した場合、第一原発に中間貯蔵しても、最終処分場の適地が見つからなければ、必然的に第一原発が最終処分場になることは明白です。
そこで、福島第一原発の廃炉を求めるため、国は燃料デブリなどの高レベル放射性廃棄物の最終処分場を確保すべきと思いますが、県の考えをお尋ねいたします。
原子力災害時の避難についてです。
地震と原発事故の複合災害が生じた場合、屋内退避を基本とした原子力災害対策指針は住民の安全を守ることができるのか問われています。第二原発の事故を想定した場合、いわき市は全住民が避難対象になっているため、およそ30万人以上の住民の避難が想定されます。
福島県内のバスの総台数は、バス協会によれば、ことしの4月現在の保有台数は2,084台になっています。路線バスを差し引くと、単純に出動できるバスはおよそ1,000台です。茨城県の試算では、バスを利用するのは人口の15%と想定しています。本県も15%と想定すると、バス避難者は約5万人となり、50人乗りのバスが1,000台必要になります。
そこで、2点お尋ねいたします。
1点目は、県は原子力災害時に自家用車で避難できない住民の数及び避難に必要なバスの台数をどの程度と想定しているのかお尋ねいたします。
2点目は、県は住民避難に必要なバスの確保についてどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。
次に、救急車の確保です。
バス以上に確保が困難なのが救急車と言われています。県内の消防本部が保有する救急車台数は132台です。しかし、当該地域での緊急時の利用が最優先されますので、避難のための出動は不可能です。
そこで、県は医療機関等の広域避難体制の整備について、救急車の確保を含め、どのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。
ヨウ素剤は、数時間前に飲ませないと効果がない上、屋内退避指示が出ている中で限られた時間内に誰がどのように配布するのかといった点など、規制委員会の指針は現実的でないという指摘もあります。
そこで、安定ヨウ素剤について、原子力発電所から30キロメートル圏内の住民に事前配布をしておくべきと思いますが、県の考えをお尋ねいたします。
被曝リスクのあるところへのバスの出動も予想されます。自治体職員やバス運転者などの意見も踏まえて、補償制度の具体化が不可欠です。万一のときに出動する支援人員の名簿を作成することも急務です。こうした仕組みは、世界各国で整備されていると言われています。
そこで、原子力災害時にバス運転手等が安心して業務に従事できるような補償制度が必要と思いますが、県の考えをお尋ねいたします。
中間貯蔵施設への輸送についてです。
中間貯蔵施設建設用地へ除染廃棄物の搬入が開始されています。いずれも確保した土地へ保管した状態になっています。用地取得にも課題があり、搬入にとっても多くの課題があります。搬入のためには、仮置き場で測定し、フレコンバッグの詰めかえ作業をしてトラックに積載する。輸送時の検証報告によれば、詰めかえ作業にはかなりの時間を要し、重機に加え、人力の作業も必要になっています。
フレコンバッグの耐用年数が過ぎると、詰めかえ作業も慎重に慎重を要し、時間がかかると言われています。輸送に対しても、雪の対策、登校時間の配慮など、市町村との協力が不可欠であり、総合的な安全輸送システムの構築、安全パトロール等が求められています。
大熊、双葉インターチェンジ供用開始以前は年200万立方メートルの計画になっていますが、2020年の大熊、双葉インターチェンジ供用開始後は年600万立方メートルを輸送すると推定されています。本格輸送になると、1日3,600台の大型車両の輸送が想定されています。一般道路の大型車両による交通量の増大に伴う沿線住民へのさまざまな影響が予想されます。
そこで、3点お尋ねいたします。
1つは、中間貯蔵施設への輸送に伴うフレキシブルコンテナの詰めかえの現状と今後の輸送への影響についてお尋ねいたします。
2つ目は、中間貯蔵施設への輸送の増大に対応した安全対策について、市町村と協力して取り組むべきと思いますが、県の考えをお尋ねいたします。
3つ目は、中間貯蔵施設への輸送車両の増大に伴う県管理道路及び市町村道の舗装補修について、国に負担を求めるべきと思いますが、県の考えをお尋ねいたします。
医療、介護についてです。
地域包括ケアを進めていく上では、急性期を経過した患者が在宅復帰に向けた医療を適切に受けられる地域包括ケア病床などの回復期機能の医療体制を整備していくことが必要であると思います。しかしながら、将来必要とされる回復期機能を有する病床が約5千床であるのに対し、現状はその3分の1しかない状況にあります。
そこで、地域包括ケア病床など回復期機能を有する病床への転換について、県はどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。
介護保険は、たび重なる改正により、制度の原則を失いつつあります。介護保険制度創設時の厚生労働省の老健局長を務めた堤修三氏は「2015年改定や、財務省の給付抑制路線の提案や、要支援者の訪問介護等を市町村事業に移しかえたり、補足給付に資産要件を導入するなどは全くの筋違い、介護保険は国家的詐欺となりつつあるように思えてならない。」と語っています。
今回の改正では、保険者機能の強化として、国、都道府県の支援を強化するとありますが、具体的内容は認定率の低下による介護保険料の抑制とも言われています。認定率の低下は、市町村による認定申請の拒否を懸念する声も出されています。
介護保険の被保険者は、認定を受けなければ、サービスを利用する権利は認められません。保険者である市町村に対して国と県から認定率の誘導をすることがあってはならないと思います。それは本末転倒であり、介護保険の崩壊を意味します。
そこで、今回の介護保険法の改正は要介護認定率の引き下げにつながると懸念されますが、県の考えをお尋ねいたします。
生活援助の基準緩和は、介護のある暮らしの崩壊につながります。ひとり暮らしや高齢夫婦世帯の生活が維持できているのは、ホームヘルパーの生活援助が大きく貢献しています。人員基準の緩和により介護報酬を下げることは、実質的にサービス提供者によるサービス提供が行えなくなることを意味します。これは、有資格者のサービスを保障してきた介護保険制度の変質であり、被保険者、特に認定者や介護者に対する欺瞞行為と言わざるを得ません。
改正案では、利用者の不安は大きく、生活援助の削減は見送られました。しかし、改正案を検討した社会保障審議会介護保険部会は生活援助の基準緩和は2018年度の介護報酬改定の際に改めて検討を行うと意見をまとめています。
そこで、生活援助中心の訪問介護について、人員基準の緩和を行わないよう国に求めるべきと思いますが、県の考えをお尋ねいたします。
このたびの制度改正で、新たな介護保険施設、介護医療院の創設が位置づけられています。この介護医療院は、介護保険によって運営され、医療保険による療養病床や一般病床からの転換を認めると、介護保険財政への影響が懸念されます。介護保険財政が圧迫すれば、介護保険料の値上げはもとより、介護報酬の引き下げ圧力にもつながりかねません。そうなると、既存の介護サービス事業者の経営悪化や介護現場の従事者の処遇低下にもつながるおそれが出てきます。
みとりまでを想定した新施設が誕生するという点で、利用者にとってそこで人生の最期を迎えたいと思えるような受け皿になるかどうかが大きなポイントになると言われています。
そこで、平成30年度に創設される介護医療院はどのようなものかお尋ねいたします。
次に、甲状腺検査についてです。
先日、放射線影響研究所の丹羽理事長が米国原爆傷害調査委員会が被爆者を研究対象として扱ったことについて謝罪しました。米国原爆傷害調査委員会ABCCは、被爆者への治療は原則行わず、調査はするが、治療はしないと長く批判を浴びてきました。県民健康調査もこのような批判を浴びない取り組みが求められています。このままでは、調査もしないが、治療もしないということになりかねません。
県民健康調査検討委員会は、原発事故と甲状腺がんの発症の因果関係はないと断言していますが、甲状腺がんと原発事故との因果関係について、専門家の評価は分かれています。県は、一方にくみすることなく、原発事故との因果関係は時間をかけて科学的に議論する立場に立って、県民の安全・安心を守ることに専念すべきです。
大切なのは子供の命です。福島第一原発事故は、原子力村という一方にくみした結果、引き起こされたことは今さら言うまでもありません。県民健康調査は、公正、そして科学的に県民の健康を守ることを最優先して取り組むことが求められています。
ことしの4月、参議院における山本太郎議員の質疑により、2011年から2015年まで5年間で県内の9病院で行われた甲状腺がんの大人も子供も合わせた手術数は1,082件になっていることが明らかになりました。報告を上げないものもあり、数はさらにふえる見込みと言われています。県は、3月までにがんやがんの疑いがあると診断された人が当時5歳から18歳まで190人いると発表しています。手術数は桁違いの数になります。科学的な解明が求められています。
事故当時4歳の子供のがんが検討委員会に報告されていないことが明らかになりました。この子供は、検討委員会の中心的役割を担う病院である福島県立医大で検査も手術も行われていました。県民健康調査を受診し、医大で手術を行われているのに、報告、把握ができていなかったわけです。釈然としません。県民健康調査の信頼性は、著しく損なわれていると言わざるを得ません。
専門家は、正確な情報を明らかにして分析するのが使命で、事実はきちんと報告し、公開すべきだと指摘しています。2年前に委員会のメンバーがこうした仕組みの問題点を指摘した際、県立医科大学は検査後にがんと診断された患者については別途報告になると説明していました。報告されていなかったことになります。
そこで、甲状腺検査の受診後に保険診療に移行し、甲状腺がんと診断された症例を把握すべきと思いますが、県の考えをお尋ねいたします。
甲状腺検査サポート事業は、医療費の自己負担分を軽減するための事業ですが、全ての県民が公平に支援を受けられない実態にあります。実施要綱を見直すべきです。
そこで、甲状腺検査サポート事業について、一次検査後、実施要綱に定めた医療機関以外で受診した方も支援すべきと思いますが、県の考えをお尋ねいたします。
国民健康保険制度についてです。
国保の構造的危機が叫ばれてから10年以上が経過しています。この危機を乗り切るために都道府県単位化が始まります。市町村合併もスケールメリットを期待した合併が繰り返されてきました。しかし、効果は上がらず、むしろ住民サービスが低下しています。国保も同様の結果になることが予想されます。都道府県単位化は、医療、介護とあわせて中央集権化に再編する一環と言われています。
国保は、1938年に国民健康保険法により始まり、任意加入の相互扶助として創設されました。戦後、1958年に発足した国保は、相互扶助ではなく、生存権に規定された社会保障として出発しました。国保法第4条に国の義務として国民健康保険事業の運営が健全に行われるように努めなければならないと定めています。
国保は、国庫支出金が前提とされています。1975年度国保会計の収入の58%が国庫支出金でした。2014年度は23.7%まで削減されています。国庫支出金は、半分以下に下げられました。
1人当たりの国民健康保険料は、1985年43,357円でしたが、2014年は93,203円になっています。倍増しています。さらに、応能割合と応益割合の比率は50対50になってきており、低所得者にとって負担増になっています。
現在国保に加入しているのは、失業者、非正規労働者、年金生活者が中心であり、低所得者の受け皿が国保になっています。こうした構造を放置したまま、赤字を理由に、社会保障の制度であり、国民皆保険のかなめである国保が都道府県単位化によって危機を脱出できるとは思えません。
国の財政上の公的負担を放棄しているのが現状の姿であり、その結果、赤字の保険者は2015年度996自治体、全体の58%になっています。県も同様であり、2015年度国保会計で実質単年度収支が赤字となった市町村は35市町村、五59.3%になっています。
そこで、3点お尋ねいたします。
県内における国保の世帯主の職業別割合についてお尋ねいたします。
2つ目は、国保広域化後、県は市町村の策定する赤字解消計画にどのようにかかわっていくのかお尋ねいたします。
3つ目は、赤字解消計画を実行しても保険料が上がると思いますが、県の考えをお尋ねいたします。
主要農産物種子法の廃止についてです。
種子法は、1952年に制定され、都道府県に米、麦、大豆など主要な穀物の原種の生産と普及を義務づけ、優良な種子の品質を確保し、安定供給する役割を果たすことを目的としています。これに基づいて、都道府県が基礎的食料の米などについて地域的特性にすぐれた品質を奨励品種に指定し、種子を生産してきました。
ところが、今国会で政府はこの法律が民間の品種開発の意欲を阻害しているとの理由で廃止しました。専門家は、余りにも乱暴と警鐘を鳴らしています。種子は、最も基礎的な農業資材であり、種子のあり方は農業や食料供給のあり方と直結するからです。
種子法の廃止で、専門家は「日本もアメリカのように公的育種・種子事業が将来的に国内大手、巨大多国籍企業の種子ビジネスに置きかわるおそれがある。種子をモンサントなど多国籍企業が狙っている。」と指摘しています。農家に対しての種子の安定供給や安い価格での提供に支障が出るおそれはないのか、また公的機関による育種や種子の研究、品種開発が停滞する可能性も指摘されています。
そこで、主要農産物種子法の廃止に伴い、どのように種子生産に取り組んでいくのか、県の考えをお尋ねいたします。
復旧・復興事業に係る道路についてです。
震災以降、いわき地方の大型車両の交通量は急増し、それに伴い、県道、市道の舗装は著しく劣化しています。国交省の交通量調査によれば、いわき浪江線の大型車両は、24時間自動車交通量では、震災前は629台であったが、震災後は1,856台と3倍になっています。
小野四倉線は、大型車両の交通量は四倍になっています。399号、上三坂小野線、小名浜平線、八茎四倉線はほぼ倍になっています。これにより、長期間にわたり沿線住民の日常生活は我慢を強いられています。原発災害がもたらした災害であることは言うまでもありません。
知事も常々言っておられますが、福島県はいまだ有事の状態にあります。有事の状態には、有事の財政運営、予算措置が不可欠です。
そこで、県管理道路の舗装補修について、復興予算をさらに増額して進めていくべきと思いますが、県の考えをお尋ねいたします。
市町村道も交通量の増大により舗装の劣化が進んでいます。復興予算による市町村への支援の強化をすべきです。
そこで、市町村道における舗装補修の予算確保について支援すべきと思いますが、県の考えをお尋ねいたします。
夏井川の河口閉塞についてです。
夏井川の河口閉塞は、平成18年から常態化し、昨年8月の台風9号では横川の水位が上昇して、河口周辺住民へ避難勧告が発令されました。これまでの県の対策は、砂州高の維持管理を基本に進めてきましたが、昨年の避難勧告はその対策の限界を示しています。
河川維持管理上可能な砂州高は、平成23年TP2.0メートルと設定されていました。その後、県はこの高さに制御することは非現実的で困難と判断し、TP2.5メートルに設定しました。この高さを維持するために離岸堤を設置しましたが、効果は出ていません。TP2.5メートルは、避難勧告水位TP2.7メートルとわずか20センチの水位差であり、住民の安全確保にはほど遠い設定です。
現在、夏井川河口閉塞対策を検討する技術検討委員会が設置され、横川入り口への水門設置、横川の堤防のかさ上げの2案を検討しているとのことですが、横川の堤防は築堤当時から脆弱であることが指摘されてきました。したがって、矢板による堤防補強とかさ上げは検討するまでもなく実施すべきです。検討委員会では、これまで実施した閉塞対策の検証を厳格に行うべきです。水門設置の科学的な根拠の解明はもちろんですが、抜本的な対策にはならないと思います。導流堤の構築の検討をすべきです。
そこで、4点お尋ねいたします。
1つは、県は平成18年度以降の仁井田川河口の状況をどのように捉えているのかお尋ねいたします。
2つ目、県は夏井川におけるこれまでの河口閉塞対策についてどのように評価しているのかお尋ねいたします。
3つ目、県は夏井川の河口閉塞対策に今後どのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。
4点目は、県は夏井川の河口閉塞対策に地域住民の意見をどのように反映させていくのかお尋ねいたします。
次に、若者の住宅対策についてです。
住宅セーフティネット法が改正されました。改正法では、ワーキングプアなど、狭小、高家賃に苦しんでいる若者が排除され、単給化による住宅手当の導入も回避され、公的な住宅の社会住宅としての再編、拡充は見送られました。
我が国は、中間層が収縮し、相対的貧困率が上昇する中で、教育費の無償化が政策課題に上がってきています。それと同時に、住宅政策も大きな課題になっています。住宅費を再配分の対象として、公的住宅の拡大、住宅手当の導入などの重要性が高まっています。これには新たな財政支出を伴いますが、貧困の予防であり、新たな投資になります。
パラサイトの問題、民営借家への滞留という現象を放置すれば、彼らの多くは単身のまま貧困世帯へ移行することになります。その結果、生活保護費の増大につながります。若年層も入居できる社会住宅、ワーキングプアなどが社会手当として利用できる住宅手当の導入は、一時的には財政負担が増大しても、未婚若年者の結婚を促し、結果として財政負担を軽減することになると言われています。
そこで、所得の低い若者が住宅を確保できるよう支援すべきと思いますが、県の考えをお尋ねいたします。
次に、教員の長時間労働についてです。
昨年12月、連合総研が公表した教職員の働き方と労働時間の実態に関する調査により、教職員の超勤、多忙化の実態が明らかになりました。この中では、小学校教諭在校時間11時間33分、中学校教諭在校時間12時間12分となっており、民間労働者の在社時間9時間15分と比較すると2時間から3時間のオーバーワークになっています。
調査の中で特筆されるのは、所定勤務時間について、小学校及び中学校の教員の半数以上が知らないと回答していることです。極めて初歩的な問題が理解されていないことが明らかになっています。
国、県、市町村が取り組むべき課題として、小学校では少人数学級の編制の推進が81.1%と断トツで、次いで研修、研究会、各種調査、照会の見直し、縮減、中学校でも少人数学級の編制の推進が67.8%、次いで授業時数の削減になっています。チーム学校で志向されている事務職員や外部人材の増員を求める回答は小中とも2割程度にとどまっています。このような実態から、教員の生活満足度は低く、不満が鬱積していることが報告されています。
教員は、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法、いわゆる給特法によって時間外勤務が厳しく制限されています。しかし、教員の時間外勤務の実態は逐年増大化、常態化してきています。教職員の長時間労働を生んでいる根底には給特法があり、この抜本的な見直しが求められています。時間外勤務に応じた超過勤務手当を支給することが実効性ある方策として提言されています。
公立学校に勤務する教員の時間外勤務を縮減し、ワーク・ライフ・バランスのもと、健康で人間らしい生活を回復するためには、県教育委員会は市町村教育委員会と一体となって、県内全ての学校において勤務時間を正確に管理する必要があります。
ことし4月、県教委は教員多忙化解消プロジェクトチームを設置しました。期待を裏切らない実効性のある改善策を策定できるかどうか問われています。
そこで、公立学校教員の在校時間を記録するシステムを導入して勤務の実態を把握すべきと思いますが、県教育委員会の考えをお尋ねいたします。
県教委は、市町村教委と一体となって、労働安全衛生法上の職場における労働者の安全と健康を確保するという安全配慮義務を厳格に果たすことが必要です。管理職の時間管理能力を高める指導も求められています。実効性のある労働安全衛生体制を整備する必要があります。多忙化解消には、定時下校日を設定する、あるいは早く帰る運動の実践など、そういう運動を実践すべきと思います。
そこで、公立学校教職員の長時間労働を解消するため、衛生委員会を活用すべきと思いますが、県教育委員会の考えをお尋ねいたします。
部活動業務は、多くの学校職場で負担の大きい業務とされています。実効性のある制度の改革が必要です。多忙化の解消には、抜本的な部活動業務の改善が求められています。
そこで、公立中高等学校の部活動の指導について、教員の負担をさらに軽減すべきと思いますが、県教育委員会の考えをお尋ねいたします。
次に、非正規公務員の処遇改善についてです。
非正規公務員は、全国で64万人に達し、処遇の改善が課題になっていました。これまで非正規職員は、退職手当や社会保険料の負担を回避するため、空白時間を設けた雇用、1年ごとの任用更新、3年または5年の任期更新の終了、いわゆる雇いどめなどの雇用形態が問題点として指摘されてきました。
今国会の法改正により、会計年度職員という制度が創設されましたが、原案になかったパートタイムとフルタイムに分けられ、最重要課題だった雇用更新の継続、1年ごとの任用更新、雇いどめの規制には至らず、課題は残りました。法案審議の中で、いわゆる雇いどめを行うとか処遇を引き下げるといったようなことは改正法案の趣旨に沿わないものと考えているとの政府答弁があり、改善につながることが期待されています。
政府は、夏までにマニュアルを作成して各自治体に助言をしていくことも明らかにしています。臨時、非常勤職員の最重要課題は任用の継続です。今後法の趣旨に沿って条例を制定する場合、任用更新回数の制限、雇いどめなどの働く者に不利益が発生しない制度にすべきであります。
そこで、地方公務員法の改正で創設された会計年度任用職員の処遇の安定を図るべきと思いますが、県の考えをお尋ねいたします。
最後に、ふくしま国際医療科学センターについてです。
放射性物質を体内に投与し、その放射線でがんを治療するRI内用療法のための病室九床が稼働を始めています。国内最大規模であり、がん治療に期待されています。甲状腺がんの治療に使われ、甲状腺を全て摘出する手術を受け、転移もあるといった条件のときに欠かせない治療法と言われています。医大の新病室も甲状腺がんの治療に使うと言われています。
そこで、ふくしま国際医療科学センターにおいて、放射線治療を行うRI病棟の診療内容及び入院患者の状況についてお尋ねいたします。
以上で私の質問を終わります。御清聴まことにありがとうございました。
議長(杉山純一君)執行部の答弁を求めます。
知事(内堀雅雄君)古市議員の御質問にお答えいたします。
福島イノベーション・コースト構想につきましては、産業基盤や雇用の回復を通じ、東日本大震災と原子力災害により甚大な被害を受けた浜通りの復興を進めるに当たって力強い原動力となるものであります。世界最先端の廃炉技術の研究開発を行う楢葉遠隔技術開発センターや本年4月に開所した廃炉国際共同研究センター国際共同研究棟、我が国随一のロボットテストフィールドなどの拠点を活用し、地元企業や国内外の企業、研究機関等との連携を進めながら、新たなビジネスの創出や関連産業の集積に結びつけてまいります。
さらに、ロボットやICTなど先端技術の導入による農林水産業の再生のほか、小高産業技術高等学校や福島高専などの教育機関と連携した人材育成、アーカイブ拠点施設などを生かした交流人口の拡大等を進めてまいります。
これらの取り組みを通じて、県民の皆さんに構想進展の効果をわかりやすく示しながら、浜通りの再生、さらに福島県全体の復興・創生を力強く推進できるよう取り組んでまいります。
次に、風化防止についてであります。
震災と原発事故から6年余りが経過した中、県外において福島の情報に接する機会が減少し、困難な課題が立ちはだかる福島の現状に対する関心が薄れるなど風化が進んでいる状況にあります。私は、未曽有の複合災害からの復興・再生を進めていくには、光と影が混在する「ふくしまの今」をわかりやすく丁寧に伝え、国内外の多くの方々の関心を高め、共感の輪を広げることが何よりも大切であると考えております。
このため、政府要望や全国知事会議等の場で本県の実情を説明し、復興への取り組みに対する理解と協力を求めてきたところであります。
また、国内外でのトップセールスや海外での国際会議などにおいて、これまでの支援への感謝と復興の現状や課題などをみずから発信するとともに、日本駐在の外交団の招聘に加え、首都圏の消費者や国内外の学生等を対象にしたツアーなど、福島に実際に来て、見て、感じていただき、本県への理解を深めていただく取り組みや、全国紙及び地元紙への全面広告による発信などを行ってまいりました。
今後もあらゆる機会を捉えて「ふくしまの今」を直接伝えていくほか、福島に心を寄せていただく企業、団体、大学等との連携を一層強め、情報発信機会の拡大を図り、斬新さと繊細さを意識した発信に取り組むなど、福島に対する関心をさらに高め、理解を深めることができるようさまざまな工夫を重ねながら、風化防止に総力を挙げ、継続して取り組んでまいります。
次に、風評の払拭についてであります。
福島の酒が全国新酒鑑評会金賞受賞数日本一を達成し続けたこの5年間は、東日本大震災からの復旧、原子力災害による風評の払拭など、福島県の復興の歩みと重なるものであり、毎年私たち県民に大きな自信と勇気を与えてくれた、まさに「ふくしまプライド。」そのものであります。
私は、5年連続日本一の快挙をなし遂げた福島の酒は本県の豊かな自然と大地に育まれた清らかな水、おいしいお米、そしてつくり手のたゆまぬ努力と真心からつくり出された逸品であり、今なお続く風評を払拭する極めて重要な本県の宝であると考えております。
今後は、情報発信の効果が高い首都圏や海外の主要都市において、これまで国内外の皆さんからいただいた支援に対する感謝の思いと、「ふくしまプライド。」という誇りを込めて日本一の福島の酒の知名度向上を図る戦略的な周知活動を展開するとともに、あわせて質の高い福島県産農産物や観光の魅力を力強く発信するなど、風評払拭に全力で取り組んでまいります。
その他の御質問につきましては、関係部長等から答弁させますので、御了承願います。
総務部長(伊藤泰夫君)お答えいたします。
会計年度任用職員につきましては、地方公務員法等の改正により、適正な任用や勤務条件の確保を図るため創設されたものであります。
今後、制度の詳細等について国からの説明が予定されており、平成32年4月の施行に向け引き続き情報収集に努め、検討を進めてまいる考えであります。
次に、ふくしま国際医療科学センターのRI病棟における診療につきましては、悪性腫瘍患者に放射性薬剤を投与し、1週間程度にわたる入院の中で体内から病変部位に放射線治療を施すものであります。診療はことし1月から開始され、5月までの入院延べ患者数は70人となっております。
危機管理部長(小野和彦君)お答えいたします。
福島第一原発の燃料デブリ等につきましては、原子力政策を推進してきた国の責任において処分方法の議論を進め、県外で適切に処分するよう、これまで一貫して国に対して申し入れをしてきたところであり、今後ともあらゆる機会を通して求めてまいります。
次に、原子力災害時に自家用車で避難できない住民数等につきましては、広域避難計画に基づく避難手段の検討に当たり、東日本大震災前の人口を前提に最大で住民数は約9万人、必要なバスの台数は約3千台と試算しております。
次に、避難に必要なバスの確保につきましては、平成25年10月に締結した県バス協会との協定において、可能な限り台数を確保することとしておりますが、県内の車両のみでは不足する事態を想定し、今月8日には国に対し、バス車両や運転手、燃料等の確保への支援を強く要望したところであります。
また、バスへの乗り合わせを行う一時集合場所ごとの必要な車両数を把握するため、関係市町村との詳細な協議に着手しており、今後とも広域避難計画の実効性が確保できるよう、適時適切な計画の見直しに努めてまいります。
次に、原子力災害時におけるバス運転手等の補償制度につきましては、万が一放射線被曝を原因とする疾病が発生した場合には、国の労災保険制度等により補償されるものと考えております。
県といたしましては、何よりも被曝線量をできるだけ少なくすることが業務従事者の安心につながることから、防災資機材の配備や放射線防護等に係る研修などを実施しているほか、県バス協会とは業務従事者ごとの被曝線量管理の具体的な進め方等について協議を進めているところであります。
生活環境部長(尾形淳一君)お答えいたします。
フレキシブルコンテナにつきましては、中間貯蔵施設への輸送中の安全確保のため、積み込み作業前に状態の確認を行うこととしており、防水性、遮水性の確保や輸送の効率化のため、複数の袋を一つに集約する等の理由から、これまで運び出したほぼ半数について、もとの袋ごと新しい袋に入れかえる手法で詰めかえが行われております。
作業に当たっては、あらかじめ工程を調整し、輸送に遅延等の影響が生じないよう実施されているところであり、今後輸送量が増大する中においても引き続き円滑に輸送が進められるよう、国に対し詰めかえ作業等の適切な工程管理を求めてまいります。
次に、中間貯蔵施設への輸送の安全対策につきましては、これまでも児童生徒の通学の安全確保や冬期間の事故防止等について市町村の意見を伺った上で、国、道路管理者等関係機関と協議、調整し、搬出時期、輸送ルートや通行時間帯などを決定してまいりました。
今後、中間貯蔵施設への輸送量が増大することから、引き続きさまざまな会議の場や個別訪問などにより、各市町村の実情、意見を丁寧に伺い、注意喚起のための看板の設置や路面への標示、交通誘導員の配置等、よりきめ細かな対策を講じるなど、輸送の安全確保にしっかりと取り組んでまいります。
保健福祉部長(井出孝利君)お答えいたします。
医療機関等の広域避難につきましては、昨年10月にガイドラインを作成し、各施設における避難計画の策定を促しているところであります。
避難に必要な救急車を初めとする車両の車種や台数については、各施設において策定する計画をもとに今後把握していくこととしております。
現在、計画策定に着手した医療機関等は五割程度にとどまっており、計画が早期に策定されるよう呼びかけを強化してまいる考えであります。同時に、県内及び茨城県における避難先の確保についても調整を進め、万が一の事態に備えた体制整備にしっかりと取り組んでまいります。
次に、安定ヨウ素剤につきましては、本年3月に策定した福島県原子力災害医療行動計画において、原子力発電所から30キロメートル圏内13市町村の各役場等に配備し、原子力災害の際には避難経路の途上で住民に配布する方針としたところであります。
この行動計画は、有識者で構成される福島県被ばく医療対策協議会の場で国の原子力災害対策指針をもとにさまざまな御意見を伺いながら策定したものであり、今後平時の訓練を通じて関係機関相互の連携を強化し、有事の際には行動計画が円滑に実行できるよう体制整備を進めてまいります。
次に、病床機能の転換につきましては、昨年策定した地域医療構想において、将来特に回復期機能を有する病床の不足が見込まれております。
このため、医療機関による自主的な回復期機能への転換を促すため、今年度は新たに医療経営セミナーを開催するとともに、病床機能の転換等を行う病院の施設や設備の整備に対して支援しているところであります。
これらの取り組みを通して病床機能の転換を進め、医療機関それぞれが担うべき役割を踏まえた医療機能の分化や連携を着実に推進してまいります。
次に、今回の介護保険法の改正につきましては、高齢化が進展する中で地域包括ケアシステムを推進するとともに、制度の持続可能性を維持するためになされたものであります。
具体的には、市町村がデータに基づく課題分析と対応、その実績評価と結果公表を行い、高齢者の自立支援や要介護状態の重度化防止に向けて取り組む仕組みが法律上制度化され、現在国において詳細を検討しているところであります。
なお、今回の改正において、要介護認定の基準については変更はないと聞いております。
次に、生活援助中心の訪問介護における人員基準の緩和につきましては、介護サービスを提供する人材の不足が喫緊の課題とされる中、掃除や調理などの生活支援を実施する際に介護の専門職としての資格は必ずしも必要ではないといった意見がある一方で、介護サービスの質の低下や介護サービス提供ができなくなる可能性を指摘する意見があり、現在国において検討されているところです。
県といたしましては、この見直しにより大幅な介護サービスの質の低下や事業所の減少という事態は招くべきではないと考えており、引き続き国の動向を注視してまいります。
次に、介護医療院につきましては、現行の介護療養病床において療養生活が長期に及んでいることや他の介護施設よりも医療、介護の必要度が高くなっている状況を踏まえ、高齢化の進展により、今後増加が見込まれる慢性期の医療、介護ニーズへ対応するため、介護療養病床からの転換を図るものであり、経管栄養や喀たん吸引などの日常的な医学管理やみとり、終末期ケア等の機能に加え、長期の療養生活を送るのにふさわしい生活施設としての機能を強化した介護保険施設とされております。
次に、甲状腺検査の受診後に保険診療に移行し、甲状腺がんと診断された症例の把握につきましては、今月5日に開催した県民健康調査検討委員会及び甲状腺検査評価部会において継続して議論することとされたところであります。
症例の把握に当たっては、診療情報等の個人情報の保護に十分配慮すべきであることを前提としつつ、県民の健康を長期にわたり見守るという観点から検討いただくこととしており、その結果を踏まえて対応してまいります。
次に、甲状腺検査サポート事業につきましては、甲状腺検査後においても引き続き精度の高い検査、治療を受けていただくため、関連学会の専門医が勤務していることなどの要件を満たす二次検査実施医療機関または当該医療機関から紹介のあった医療機関で受診された方を対象としております。
今後ともより多くの対象者が支援を受けられるよう事業の周知に努めてまいります。
次に、国保の世帯主の職業別割合につきましては、平成27年9月の実態調査によりますと、年金生活者を含む無職者が全体の約4割、非正規雇用等の被用者が約3割、農林水産業等の自営業者が約2割を占める状況となっております。
次に、赤字解消計画につきましては、市町村が赤字についての要因分析を行い、赤字解消、削減の取り組みや目標年次等を盛り込んで策定するものであります。
県といたしましては、計画策定時に、保険料の設定や収納の状況、医療費の増加等について市町村とともに分析し、必要な対策を検討するとともに、計画策定後は市町村が毎年度行う評価の結果を検証し、一般会計からの法定外繰入金が計画的に解消されるよう支援してまいります。
次に、赤字解消計画と保険料の関係につきましては、市町村が保険料の収納率の向上に積極的に取り組むことにより収入を確保するとともに、保健事業の推進や後発医薬品の普及促進など医療費適正化に資する取り組みにより支出を適正化するなど、計画を着実に実行することで市町村国保財政の健全化が図られるものと考えており、必ずしも保険料の上昇につながるものではないと認識しております。
商工労働部長(飯塚俊二君)お答えいたします。
福島イノベーション・コースト構想に基づく産業集積につきましては、震災からの復興・再生を加速するため、県や市町村が受け皿となる工業団地を整備しているところであり、エネルギーやロボット等の関連プロジェクトを推進する企業の立地を重点的に進めております。
今後も市町村と緊密に連携しながら、国や県の企業立地補助金を初め実用化に向けた研究開発への助成制度を効果的に活用するとともに、復興の状況やすぐれた立地環境をPRするため、県内外の企業による現地視察を行うなど、浜通りの工業団地への企業の立地促進と雇用の創出に積極的に取り組んでまいります。
農林水産部長(佐竹 浩君)お答えいたします。
主要農作物種子法の廃止に伴う種子生産につきましては、稲、麦、大豆の品種特性を維持し、優良種子を農業者に安定的に供給することは、農業振興上の戦略として最も基本的で重要な取り組みであると考えております。
そのため、農業センターにおける原種等の生産施設の更新による機能充実、種子生産者への技術指導の強化、新品種の研究開発など、引き続きさまざまなニーズを踏まえた品質の高い種子の安定供給を図ってまいる考えであります。
土木部長(大河原 聡君)お答えいたします。
中間貯蔵施設への輸送車両の増大に伴う道路の舗装補修につきましては、県管理道路では昨年環境省と維持管理の協定を締結し、増加分について国からの費用負担により補修を行っております。
また、市町村道では、現在各市町村と環境省との間で直接協議を行い、必要な対策を行っております。
今後も道路利用者の安全確保のため、舗装補修に必要な費用負担を国へ求めてまいります。
次に、県管理道路の舗装補修につきましては、復旧・復興事業に係る交通量の増加により路面が損傷した道路について、復興予算を活用しながら計画的に補修を実施しております。
今後も多くの大型車両の通行が考えられることから、路面状況の的確な把握に努めるとともに、安全に通行できるよう、必要な舗装補修費用について、引き続き復興庁等国に財政上の支援を求めてまいります。
次に、市町村道における舗装補修の予算確保につきましては、社会資本整備総合交付金の国への要望内容の相談や協議を通じ、市町村に対する支援を行っております。
さらに、復旧・復興事業に係る交通量の増加により路面が損傷した市町村道の舗装補修については、昨年度から新たに復興交付金事業の対象となったことから、県といたしましては、関係市町村の意向を十分に踏まえ、必要な予算の確保に向け技術的助言を行うなど、きめ細かな支援を行ってまいります。
次に、仁井田川の河口につきましては、平成18年9月の台風以前には閉塞しておりましたが、現在は河川水が海へ流れ出ております。
この原因は、仁井田川河口とつながっている近傍の夏井川河口において、台風時の波浪の影響により砂がたまりやすい地形となり、閉塞した夏井川の河川水が仁井田川方向へ流れ込んだことによるものと捉えております。
次に、夏井川のこれまでの河口閉塞対策につきましては、出水前の開削等による適切な維持管理と波消しブロックの設置工事を実施したことにより、砂のたまりが抑制され、河川水が海へ流れやすくなったことから、一定の効果はあると評価しておりますが、いまだ河口閉塞が確認されているため、さらなる対策が必要であると考えております。
次に、今後の夏井川の河口閉塞対策につきましては、引き続き適切な維持管理を実施するとともに、ことし四月に設置した学識経験者等から成る夏井川河口部治水対策技術検討会において複数の効果的な対策を検討しているところであり、今年度中に対策工の方針を決定することとしております。
次に、河口閉塞対策への地域住民の意見の反映につきましては、公開で行われる夏井川河口部治水対策技術検討会と並行して地域住民への説明会を開催し、意見を十分聴取しながら対策工の方針を決定してまいる考えであります。
次に、所得の低い若者への住宅支援につきましては、親世帯と同居または近居するための住宅取得等に対する補助や県営住宅における子育て世帯の優先入居を行っているところであります。
近年、若者が住宅を決定する際には、家賃や間取りのほか、個人の価値観や住まい方への意識など、さまざまな要因があるものと認識しております。
そのため、今後は関係部局で構成する連絡調整会議を設置し、市町村と連携のもと、若者の住宅事情の把握に努めてまいる考えであります。
教育長(鈴木淳一君)お答えいたします。
公立学校教員の在校時間につきましては、多忙化解消の方策を検討する上で実態の把握が必要であると考えております。
このため、市町村教育委員会や校長会の代表者などを加えた教職員多忙化解消拡大プロジェクトチームにより、6月下旬から7月上旬にかけて、全ての県立学校及び抽出した市町村立学校において、各教員がパソコンに入力するシステムを用い、初めて統一的に調査を行うことといたしました。これにより、持ち帰り業務や週休日の業務を含めた教員の勤務実態を把握し、公立学校教員の多忙化解消に生かしてまいりたいと考えております。
次に、公立学校における衛生委員会につきましては、常勤の教職員が50名以上の学校に設置され、主に教職員の健康や衛生の諸問題について産業医を交えて話し合っております。
県教育委員会といたしましては、教員の健康を保持増進する観点から、各衛生委員会において長時間労働の問題について話し合うほか、産業医による健康と労働に関する講話を実施するなど、各学校の状況に応じた対応をとるよう積極的に働きかけてまいります。
次に、公立中高等学校の部活動の指導につきましては、文部科学省の実態調査等から、教員の長時間勤務の大きな要因となっていると考えております。
県教育委員会といたしましては、これまでも部活動の休養日を週1日程度、原則土曜日または日曜日に設定するよう指導してきたところであります。
今後は、教職員多忙化解消拡大プロジェクトチームにおいて部活動の指導のあり方等に関する具体的な方策を検討し、部活動指導の負担の軽減に取り組んでまいります。