2017年9月定例会 一般質問 橋本徹議員
議員 | 橋本徹 |
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所属会派(質問日現在) | 民進党・県民連合 |
定例会 | 平成29年9月 |
質問等 | 一般質問 |
質問日 | 9月26日(火曜日) |
8番(橋本 徹君)民進党・県民連合議員会の橋本徹です。通告に従い、一般質問をさせていただきます。
まずは、飯舘村、川俣町、浪江町、富岡町の一部地域の避難指示解除から半年を経過することについてです。
飯舘村、川俣町山木屋地区、浪江町、富岡町の帰還困難区域を除く地域の避難指示が3月31日、4月1日に解除されました。原子力発電所事故前と同じように自由に行き来できるようになり、さらには住民の方々の営みが再開され、再生の息吹を感じ取ることができるようになりました。震災と原発事故から6年半、ようやく再スタートを切ったことに喜びとうれしさを感じます。
その一方で、避難先に住居を構えるなどした住民も多く、帰還する住民の数は少ない現状にあります。飯舘村、川俣町、浪江町及び富岡町の4町村は、避難指示が解除されてから半年が過ぎようとしています。私は、戻る、戻りたい、新たに住みたいと思う人がいる限り、その受け皿となる生活環境の整備を進めていかなければならないと考えています。
そこで、ことしの春に避難指示が解除された町村の復興・再生に向けどのように取り組んでいくのか、知事の考えをお尋ねします。
次に、復興・創生に向けた財源確保についてです。
県は、東日本大震災からの復興・創生を進めるため、国からの補助金、交付金や寄附金などを原資として、平成23年度に6基金、25年度から28年度までに5基金を造成しました。
本県の復興・創生を計画的、効果的に推進する上で、これらの基金は大変重要な役割を担っており、今後も有効に活用していくことが大事だと考えております。基金の枯渇などが懸念されるところでもありますが、そこで復興・創生に係る基金の今後の見通しをお尋ねします。
避難地域における介護人材の現状と対策についてです。
平成29年7月の介護職の県内の有効求人倍率は2.80倍で、特に避難地域を含む相双地域においては3.95倍と一層深刻な状況にあり、介護施設のスタッフ不足という状況が続いております。
この春、川俣町山木屋地区、飯舘村、浪江町、富岡町の4町村の一部地域で避難指示が解除となり、住民の本格的な帰還が始まりました。この中でも、介護を必要とする高齢者にとって介護サービスの提供は安心して生活する上での大前提であり、そのためには介護人材の確保が必要不可欠であります。
今後、高齢者の帰還により介護サービスへの需要がさらに増していきますので、サービス提供側となる介護人材の確保は喫緊に取り組まなければならない課題であると考えております。
そこで、県は避難地域における介護人材を確保するため、どのように取り組んでいるのかお尋ねします。
次に、事業再開等支援事業についてです。
福島県原子力被災事業者事業再開等支援補助金は、地元に戻って事業を再開しようとする商工業者にとって喜ばしい制度です。2月の県議会定例会でも質問をしましたが、申請件数が想定以上の数に上り、それによって審査期間が延びるなどしております。また、採択の合否基準が不明確など、被災地の商工会、商工業者を中心に困惑が広がっていると指摘しました。
これらの問題は、まだ残ったままの様相を呈している状況だとの声が上がっています。事務手続のおくれで不利益をこうむっているとの指摘もあるほか、募集期間の通年化と提出書類の簡素化など、柔軟な対応を引き続き求める要望も寄せられております。県は、原子力被災事業者事業再開等支援事業をどのように改善してきたのかお尋ねします。
農業者向けで避難先などでの営農再開に必要な機械等を導入する新たな支援事業として避難農業者経営再開支援事業が始まりました。避難指示解除の見通しが立たないことから、当面避難先や移住先で農業をしたいと考えていた住民にとってはありがたい制度と思います。他方、直接事務を行う避難地域内の市町村からは円滑な事業推進を危惧する声も聞かれているところです。
そこで、県は避難先で営農を再開する避難農業者をどのように支援していくのかお尋ねします。
福島イノベーション・コースト構想による産業復興についてです。
構想の成否の鍵を握るのは、いかに雇用を創出できるか、待遇面などでインセンティブをかち得るかと思います。
県は、福島イノベーション・コースト構想推進本部会議を設立させ、構想の実現に向けて動き出しているところです。構想は、世界最先端の拠点を起爆剤として、何といっても産業活性化とこれに伴う雇用の創出が期待されます。そこで大切なのは、被災者や避難者の生活支援に結びついていくかです。
重点分野である地元企業等による実用化開発等の経費を一部補助する地域復興実用化開発等促進事業費補助金の制度があります。この補助金は、昨年度44件を採択し、今年度は一次公募で58件を採択、2次公募も行っていると伺っております。
このように多数の実用化開発が浜通り地域で実施されておりますが、その成果は当然のこと、地域に貢献できる制度であるべきと考えます。ついては、地域復興実用化開発等促進事業を浜通り地域の産業復興につなげていくべきと思いますが、県の考えをお尋ねします。
航空宇宙関連産業についてです。
県は、航空宇宙産業への参入を目指す県内企業を対象にした補助制度を創設しました。航空宇宙産業に特化した品質管理規格JISQ9100や特殊工程などに対する国際的認証制度Nadcapなどの認証取得に向けた経費を補助する内容です。
このほか、国際展示会への出展費用など取引拡大の取り組みや人材育成を支援すると聞いております。海外行政調査で訪れたエアバスグループの国際部門副社長は大変興味を示し、今後の県内企業との取引拡大などにについて前向きな姿勢でした。
そこで、県は航空宇宙関連産業における県内企業の取引拡大にどのように取り組んでいくのかお尋ねします。
次に、応急仮設住宅のバリアフリー化についてです。
応急仮設住宅の建設に当たり、県は関係法令や国の方針に従い、仮設住宅建設後に実情に基づいて、手すりやスロープ、トイレや浴室のバリアフリー化などの追加工事を行っています。その際、足腰が弱くなった高齢者や車椅子使用者を初めとする障がい者は工事期間中、不便な生活を送ることが予想されますが、県は高齢者や障がい者が入居する応急仮設住宅のバリアフリー化にどのように対応しているのか尋ねます。
災害時には、避難者の中でも高齢者や障がい者など特別な配慮を行う必要がある方々が避難する避難所が福祉避難所として位置づけられています。県が3月に行った調査によると、避難指示区域が残る双葉郡4町を除く55市町村384施設が福祉避難所の指定になっています。
指定市町村数や指定施設数は震災以降、順調に増加しているものの、福祉機器や消耗器材等の調達では37市町村、要配慮者10人に1人の生活相談員等の配置状況については42市町村で検討中でした。また、要配慮者に対して専門職の立場から相談に応じたりする体制も必要です。
そこで、県は災害時における福祉避難所の運営に必要な物資、器材及び人材の確保を促進するため、どのように取り組んでいるのかお尋ねします。
次は、東京電力福島第一原子力発電所事故に伴って行っている県産米の放射性物質の有無を調べる全量全袋検査についてです。
このたび県は先を見据えた検査体制の検討を始めました。2012年産米から続いている検査ですが、2015年産米から1キロ当たり100ベクレルの基準値を超える米は出ていない状況です。除染や放射性物質吸収抑制対策などを徹底したことに加え、全量全袋検査によって本県産米の安全と安心が担保されていると言えます。
一方で、南会津や県南地方を中心に検査負担の大きさや風評被害の助長への懸念を訴える生産者らは多いのが実情ですが、原発事故で避難指示が出され、これから本格的な営農再開をする地域では継続の必要性は高く、県内で温度差が出ています。
そこで、米の全量全袋検査について、今後の方向性の検討状況をお尋ねします。
原子力災害時の広域避難における渋滞対策について伺います。
東京電力福島第一原子力発電所の事故では、幹線道路が渋滞し、スムーズな避難ができなかったという大きな教訓が残りました。自動車による円滑な広域避難を実現するためには、避難経路や緊急時における情報提供等のあり方について検討し、逐次次善策を講じていく必要があると考えております。避難経路の追加や県民への周知、提供する情報の内容や通信機器の活用方法等の習熟も図っていく必要があります。
県においては、原子力災害時における避難に伴う渋滞対策検討会を設置し、対策を検討していると聞いておりますが、災害はいつやってくるかわかりません。検討状況を逐次県民にわかりやすく示すべきとも考えます。原子力災害時の広域避難における渋滞対策について、検討会の結果を踏まえ、速やかに実施すべきと思いますが、県の考えをお尋ねします。
双葉郡の消防体制をめぐっては、避難指示の影響で有事の際にすぐ駆けつけられる実動消防団員が少ない現状です。内堀知事は先日、野田総務大臣に対し支援を求めました。多くは避難先のいわき市などに住居を構え、町内の職場と行き来する状況となっています。職場にいる日中の火災には即応できるものの、夜間も出動できるかは未知数です。
県は、国や双葉郡8町村の消防団などと避難地域消防団再編支援会議を設置し、対策を検討していますが、双葉地域の消防団体制について、町村にまたがる課題の解決にどのように取り組んでいるのかお尋ねします。
現在、県庁舎内には会議室が少なく、部屋を押さえるのが大変との声も聞こえてきます。庁内では、立ちながら打ち合わせができるスペースを確保するなどの工夫をしているようですが、会議室が少ない現状に変わりはありません。
このような中、建設を進めている県警本部庁舎は今年度末に完成し、新年度にも新庁舎に移転します。これまで県警は、県庁本庁舎4、5階を中心に執務しており、移転後にかなりの執務スペースがあくことになります。そのスペースを有効活用することにより、県庁舎内の会議室の確保を図ることも一つの方策であると考えます。
そこで、県庁舎内の会議室の確保について、県の考えを尋ねます。
ふたば未来学園高等学校の生徒の進路実現についてです。
ふたば未来学園高等学校が開校3年目を迎え、今年度初めて卒業生を送り出します。華々しい船出を飾った同校ですが、生徒間の学習成績などの開きが大きいことが言われてきました。
学校では、習熟度別に授業を行うなどして進路実現に向けた対応をしておりますが、他校とは違う対応もあり、苦心しているとも聞いております。さまざまな家庭環境を持つ生徒も在籍していることや、理念先行で学校として対応し切れていないのではないかといった声もあると聞いております。
そこで、ふたば未来学園高等学校の生徒の進路実現にどのように取り組むのか、県教育委員会の考えをお尋ねします。
休校となった高等学校の管理についてです。
富岡高等学校や浪江高等学校など、原発事故により避難を余儀なくされた地域にあった県立高等学校5校がことし3月に休校となりました。卒業生たちは、在学中の思い出を旧友と振り返りながら、休校式などのセレモニーなどを行って休校を惜しみました。
休校から半年が経過しました。生徒たちの活動の息吹が聞き取れなくなっても、四季の移り変わりで学びやの様子が変化しても、地域の中心として我らの高等学校であることに変わりはありません。
そこで、県教育委員会は避難指示が解除された地域における休校中の県立高等学校の施設をどのように管理していくのか尋ねます。
次に、子供たちの学力の向上についてです。
県教育委員会は、小学校の授業で教員が専門科目ごとに指導する教科担任制、中学校では各教科の担当教員が1学年だけでなく全学年のクラスを一貫指導する縦持ち制を試験的に導入しています。長年の課題とされる県内の子供たちの学力向上が目的です。県内14地区のパイロット校を中心に始動しています。
今回の全国学力・学習状況調査、全国学力テストでは、県内の児童生徒は全国平均との差が大幅に改善されたものの、活用力を問う算数や数学に課題が残りました。活用力を身につけるためには、算数・数学の基礎の定着に加え、問題を読み解く国語力が大事であると個人的に考えます。
また、教育に予算を多く振り向けることは県民の共通の願いでありますが、予算上のバランスなどを考慮すると、どうしても限りがあります。その中で、選択と集中を徹底し、効率的で最大限の効果が図られる予算配分が必要です。子供をめぐる課題の解消は、本県施策の1丁目1番地であることは言うまでもありません。
そこで、公立小学校における教科担任制や公立中学校における縦持ち制を推進すべきと思いますが、県教育委員会の考えをお尋ねします。
子育て世帯の経済的な負担の軽減についてです。
給食費の無償化などの子育てに係る経費の負担軽減策が政府で検討されていますが、人口減少対策と移住促進の観点からも、保育料を初めとする子育てに係る経費を一層軽減する取り組みが必要だと思います。原発事故被災によって人口減少が全国平均以上に著しい本県として、目玉となるような子育て政策を打ち出し、全国にアピールして子育て世帯の移住も促進させるなどの施策もぜひ必要と考えます。
そこで、子育て世帯の経済的な負担の軽減にどのように取り組むのか、県の考えをお尋ねします。
最後に、児童の放課後活動の充実についてです。
共働き世帯の増加に伴い、放課後児童クラブや放課後子ども教室の役割が重要になっています。それぞれ別々の制度のもとで行っていますが、同じく放課後を過ごす場として共通する部分もあると考えます。
保護者が帰宅してから宿題や勉強などに取り組むと、家庭での時間が逼迫して就寝時間などもおくれていくおそれもあります。同クラブなどとともに教職員OBなどを外部講師として招くなどして、宿題や課題を見てあげるなどの取り組みを促進していく施策なども必要かと考えています。
そこで、県は児童の放課後活動の充実にどのように取り組むのかお尋ねします。
以上で質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
副議長(満山喜一君)執行部の答弁を求めます。
知事(内堀雅雄君)橋本議員の御質問にお答えいたします。
ことしの春に避難指示が解除された町村の復興・再生についてであります。
飯舘村、川内村、浪江町、富岡町では、帰還困難区域を除く区域の避難指示解除から半年が経過しようとしております。この間、さくらモールとみおか、とんやの郷、いいたて村の道の駅までい館の開館、国道114号の自由通行化などにより、人や経済の動きが次第にふえつつあります。私は、この流れを加速させ、本格的な復興に向けて、ともり始めた光をより大きくしていかなければならないと考えております。
このため、それぞれの町村の個別課題や広域的に連携して解決すべき課題に県が主導的に取り組み、医療・介護提供体制や地域公共交通の充実、被災事業者の事業再開や農林水産業再生、ロボットや水素製造等の新産業創出など、生活の基盤となる環境整備を一つ一つ着実に進めながら、一人でも多くの方が戻りたい、住みたいと思えるよう、今後とも国や関係町村としっかりと連携をし、避難地域の復興・再生に向け全力で取り組んでまいります。
その他の御質問につきましては、関係部長等から答弁させます。
総務部長(伊藤泰夫君)お答えいたします。
復興・創生に係る基金につきましては、これまで県民の健康を守るための取り組みを初め除染や被災者の生活再建支援、農業、商工業等の再開支援、風評・風化対策など、復興事業を切れ目なく推進するために活用しており、現時点における平成29年度末の残高は3,987億円となる見込みであります。
6月に改訂した中期財政見通しを踏まえ、今後も見込まれる長期かつ膨大な復興事業にしっかりと対応し、復興・創生を着実に進めるためには、基金等の安定した財源の確保が極めて重要であることから、国に対し事業量に見合う積み増しを強く求めてまいります。
次に、県庁舎内の会議室の確保につきましては、震災後、復興関連業務の増加や県庁舎改修工事の影響などにより、会議室の数が震災前の3割程度となっております。
今後も西庁舎の改修工事に伴う執務室等の移転が必要となるため、警察本部移転後のスペースも利用して工事を進める計画としております。このため、工事の進捗に合わせて会議室や執務室等の配置を総合的に調整しながら、会議室の確保に努めてまいる考えであります。
危機管理部長(小野和彦君)お答えいたします。
原子力災害時の渋滞対策につきましては、実現可能なものから速やかに着手することを基本に検討を進めており、これまでに災害の経過に応じた避難などの住民がとるべき行動の周知や通行規制及び渋滞情報を一元的に提供する仕組みづくりなど、具体的な取り組みを開始したところです。
今後は、現行の避難ルートにおける渋滞原因の解消に向けて、市町村や道路管理者などと十分に調整を図りながら順次具体化に取り組んでまいります。
次に、双葉地域の消防団体制につきましては、町村ごとのプロジェクトチームの立ち上げに向けた協議の中で、住民の帰還が進んでいる地域では、団員不足への対応策の一つとして企業との連携を模索する動きがある一方で、帰還が進まない地域では、役場職員の活用や双葉郡以外の自治体との連携を検討するなど、郡内一律の対応が困難な状況となっております。
このため、災害の初動対応に求められる消防団のあり方はもとより、常備消防も含めた広域的な補完体制の構築など、住民帰還の段階に応じた適切な手法について、現在国が計画している団員等へのアンケート調査結果も踏まえながら必要な支援に努めてまいります。
保健福祉部長(井出孝利君)お答えいたします。
避難地域における介護人材の確保につきましては、現地バスツアーの開催、就職準備金の貸与や中堅介護職員への就労支援金の支給等のほか、今年度は新たに県内の社会福祉法人の協力を得て、避難地域で再開した特別養護老人ホームへの人的支援を行っております。
また、国に対して就職準備金の増額や全国の施設からの応援職員制度の創設等を要望し、来年度の概算要求に盛り込まれたところであり、今後とも人材のさらなる確保、定着に努めてまいります。
次に、福祉避難所の物資、器材及び人材の確保につきましては、市町村に対し、関係団体と協定を締結するなど体制整備に努めるよう、担当者会議等を通じて呼びかけております。
また、大規模災害時における市町村支援のため、県福祉機器協会と物資、器材の調達に関する協定を締結したほか、関係団体と連携し、避難所において専門的な相談支援を行う災害派遣福祉チーム員の養成等を進めております。
引き続き、災害時における福祉避難所の円滑な運営に向け、市町村とともに取り組んでまいります。
商工労働部長(飯塚俊二君)お答えいたします。
原子力被災事業者事業再開等支援事業につきましては、これまで被災事業者が支援制度をより活用できるよう申請書や公募要項を改正し、審査基準を明確にするなどの改善を図りながら、事業の必要性や効果を十分踏まえつつ、615件の事業の採択を行ってまいりました。
また、今年度は職員を3名増員し、採択までの期間の短縮を図ったところであり、今後とも制度や審査について丁寧な説明に努めるなど、被災事業者の方々に寄り添いながら事業やなりわいの再建を支援してまいります。
次に、地域復興実用化開発等促進事業につきましては、浜通り地域においてロボット等の新たな産業を創出するため、地元企業等による実用化開発を支援するものであり、事業の実施に当たっては、開発場所を原則浜通り地域とするとともに、雇用創出や地元企業との連携など、地元への波及効果が見込まれる案件を重点的に採択し、早期事業化に向けた開発を推進しております。
今後、実用化された取り組みについては、企業立地補助金等を活用した支援を行うことで浜通り地域の産業復興につなげてまいる考えであります。
次に、航空宇宙関連産業につきましては、これまで参入に必要な認証取得の支援や特殊加工技術に関する講座の開催等により県内企業の新規参入を促進するとともに、国際的な展示会への出展により県内企業の高い技術力の情報発信に努めてきたところであります。
今年度はさらに、国内最大級の商談会であるエアロマート名古屋に本県ブースを設け、県内5社の出展を支援するほか、11月には航空宇宙フェスタふくしまにおいて新たにビジネス向けの技術交流や商談会を実施するなど、県内企業の取引拡大を積極的に支援してまいる考えであります。
農林水産部長(佐竹 浩君)お答えいたします。
避難先で営農を再開する避難農業者への支援につきましては、農業者の早期の生活再建を図るため、小規模な農業経営であっても、機械、施設等の再整備に活用できる避難農業者経営再開支援事業の募集を本年6月から開始し、補助金ベースで3割を超える申請があったところです。
引き続き、地元市町村と連携した相談対応、相双復興官民合同チームとの個別訪問により、それぞれの実情に応じ、営農意欲の向上と避難先における農業経営の再開を支援してまいります。
次に、米の全量全袋検査につきましては、平成24年産米から年間1千万点以上検査し、放射性物質に対する安全性の確認と風評対策としての役割を果たす一方、毎年1,500人を超える検査員を配置し、約60億円の経費をかけて実施しており、平成27年産米から2年間、基準値を超えていないことを踏まえ、今後の方向性の検討に着手したところです。
消費者2,000名のアンケート調査や卸事業者、大手量販店、実際に検査に携わった市町村、JA、生産者約300名などから幅広く意見を聞いた上で今後の方向性について検討を行ってまいります。
土木部長(大河原 聡君)お答えいたします。
高齢者等が入居する応急仮設住宅のバリアフリー化につきましては、あらかじめ整備戸数の10%に玄関スロープを設置するとともに、市町村の要請に応じ、トイレや浴室も含めたより程度の高いバリアフリー仕様の福祉仮設住宅を238戸整備しました。
また、入居者の身体的状況により、スロープや手すりが必要な場合は追加工事を行っており、今後とも長引く避難生活における高齢者等の要望に応じ、きめ細かな対応を行ってまいります。
こども未来局長(須藤浩光君)お答えいたします。
子育て世帯の経済的な負担の軽減につきましては、18歳以下の医療費無償化を初めとして、ひとり親世帯の医療費軽減措置や不妊治療に対する費用の助成などを行っているところであります。
さらに、第3子以降の3歳未満児や婚姻歴のないひとり親世帯の保育料についても軽減を図ってきており、今後も市町村と連携し、子育て世帯の負担の軽減に取り組んでまいります。
次に、児童の放課後活動の充実につきましては、小学生の放課後の居場所である放課後児童クラブと放課後子ども教室とが相互に連携しながら、共通の活動に取り組むモデル事業を推進しているところであります。
共通の活動では、児童への学習支援に加え、季節の行事やスポーツなどの体験活動を地域の方々の協力を得ながら実施することとしており、今後もこうした取り組みの普及を通じて放課後活動の充実を図ってまいります。
教育長(鈴木淳一君)お答えいたします。
ふたば未来学園高等学校の生徒につきましては、長期の避難生活により心に不安を抱える生徒も少なくないことから、一人一人の状況に応じた丁寧な指導が可能となるよう教職員を配置するとともに、NPO法人と協定を結び、常駐する職員や大学生による心のケアや放課後の学習支援を行っているところであります。
今後とも課題解決型学習により主体性や協働性を育むとともに、総合学科の特色を生かして多様な学びの機会を設けながら、生徒の進路実現に向けて取り組んでまいります。
次に、避難指示が解除された地域における休校中の県立高等学校施設の管理につきましては、校舎の機械警備を実施するなどの防犯対策を講じているほか、毎月電気保安上の点検や巡視などを行うとともに、定期的に放射線量の状況を確認しております。
今後とも帰還した住民が居住する周辺の環境に十分に配慮しながら、学校施設の管理を適切に行ってまいります。
次に、教科担任制やいわゆる縦持ち制につきましては、各地区のパイロット校において導入を図り、互いの授業を公開し合う互見授業など、教員相互の学び合いをもとにした授業改善に取り組んでおります。
また、その効果がより高まるよう、県教育委員会からも指導主事を派遣し、チームでの指導のあり方等について継続的に支援を行っているところであります。
今後は、各地区での授業公開や報告会等を通して、教員の専門性を生かした授業づくりや指導体制の工夫などの成果を広く県内に普及し、教科担任制や縦持ち制の推進に努めてまいる考えであります。