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2017年12月定例会 代表質問 西丸武進議員

印刷用ページを表示する 掲載日:2018年2月15日更新

西丸武進議員 

議員

西丸武進議員

所属会派(質問日現在)

民進党・県民連合

定例会平成29年12月
質問等代表質問
質問日12月7日(木曜日)

57番(西丸武進君)ただいま御指名をいただきました民進党・県民連合議員会の西丸武進でございます。会派を代表し、質問させていただきます。


 まず、北朝鮮のミサイル発射等についてお尋ねいたします。
 北朝鮮は、国際社会が厳しく非難しているのにもかかわらず、核実験やミサイル発射を繰り返し実施しており、国民、県民の皆様を震撼させているのであります。北朝鮮に対しては、国が国際的な連携をさらに強められ、北朝鮮がミサイル発射や核実験に向けた動きを即刻やめるよう、断固とした対応をとることが必要であります。あわせて県民の不安を払拭し、県民の安全・安心を守るためには、緊急連絡体制の強化、充実を図り、本県における県民への情報伝達体制の構築に万全を期すことも不可欠であると考えます。
 そこで、県は北朝鮮のミサイル発射等にどのように対応していくのかお尋ねいたします。
 次に、任期の最終年次に挑む知事の姿勢についてお尋ねいたします。
 知事の就任から振り返って考えてみますと、来年、平成30年の11月11日に知事の任期満了日を迎えることになります。そうなりますと、既に知事は任期の最終年に入っているわけでありますので、本来であれば当然知事に対し、次期の出馬について強く促しをかけるべきところでありますが、知事の性格なり、知事の信条を思うとき、当初に掲げた公約、つまり政治政策を見通せるまで完全に貫く姿勢を強く抱いている知事だけに、決意については、もう少し時間を要するのではないかと判断させていただきました。
 復興の道半ばの中で、東電第二原発廃炉がいまだ定まっていない中で、風評払拭等の課題が残っている中で、これらの課題に対し最後まで挑んでいく姿勢こそが知事の本来の姿ではないかと受けとめた次第でございます。
 ここで質問させていただきます。
 知事は、これまでの県政運営を踏まえ、今後の県政をどのような思いで運営していくのか、お尋ねをいたします。
 次に、平成30年度からの国民健康保険制度についてお尋ねをいたします。
 これまで国民健康保険事業は市町村主体で運営をしてまいりましたが、平成30年度からは国民健康保険の財政運営の責任主体が県に移行されることになります。
 制度改革の狙いは、国保制度の安定化を図ることにあるわけですが、今回の制度改革が一体どのようにして国保制度の安定化につながっていくのか、いま一つはっきり見えてこないように感じております。
 そこで、平成30年度から国保の財政運営の責任主体が県に移行することにより、国保制度の安定化がどのように図られるのかお尋ねをいたします。
 また、県は各市町村別の保険料の試算結果を公表いたしました。平成28年度の1人当たりの保険料と比較して、新たな制度が導入されると保険料が上がるという市町村が5市町村、保険料が下がるという市町村が54市町村との試算結果でありました。これから平成30年度に向けた本格的な保険料の算定を行っていくものと思いますが、市町村の意向等も十分尊重する必要があると思います。 
 そこで、平成28年度と比較し、1人当たりの保険料が上昇する市町村への対応について、県の考えをお尋ねいたします。
 次に、今後の予算の見通しについてお尋ねいたします。
 震災及び原子力災害からの復興に向けた道のりは、長く険しいものであります。着実に歩みを進めていくためには、さまざまな課題に真摯に向き合い、一つ一つ成果を積み上げていくことが重要かと考えます。
 また、急速に進む人口減少や高齢化への対応など、本県の地方創生を推進するための取り組みも同時に求められており、それぞれの課題に応じた事業をしっかり構築し、効果的に実行していくことが不可欠と思われます。
 こうした中、今後編成する平成30年度当初予算においては、広範かつ多様な課題に適切に対応するため、必要な財源をしっかりと確保した上で、本県の復興と地方創生をさらに前進させる姿を示していくことが大切かと考えます。
 そこで、平成30年度当初予算編成に向けた知事の基本的な考え方についてお尋ねいたします。
 次に、今後の財政運営についてお尋ねいたします。
 復旧・復興の財源については、大方が国からの財源を当て込んでいますが、いつまでも財源ありきといった環境が続くとは思えません。一方で、これからのこと、万が一のことに思いをめぐらせますと、自主財源の確保の厳しさは一層深刻さが増すものと考えられますので、中期的な見通しに立った計画的な財政運営が重要かと思われます。
 そこで、県は中期的な財政運営にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。
 次に、海外への情報発信についてお尋ねいたします。
 知事は10月18日から27日にかけて、アメリカ、ブラジル、ペルーの3カ国を訪問されました。今回の訪問では、各国県人会の記念式典への出席や福島復興セミナー、レセプションの開催、現地の政府関係者との面談など大変ハードなスケジュールをこなされたわけでありますが、心からねぎらいを申し上げる次第でございます。
 今回の訪問は移住された県人会皆様の長年の御労苦に対する敬意と、震災後にいただいた多くの御支援に対する感謝を述べられ、また訪問先においては、知事みずから福島県の現状を説明され、正確な情報発信等も行うことができたものと理解をいたしております。
 そこで、質問させていただきます。
 知事はこれまでも国内の各国大使などを対象としたセミナーやヨーロッパを初めとする海外訪問の機会を通して、積極的に本県の復興の取り組みについて情報発信をしてこられましたが、今回の北米、南米県人会訪問等の成果を踏まえ、海外への情報発信に関する知事の思いをお聞かせください。
 次に、施設命名権、ネーミングライツについてお尋ねいたします。
 新しい地方自治体の財源確保の一環として、施設命名権、いわゆるネーミングライツの展開が目立っておりますが、私は財源確保の一つの知恵かと思っております。これまでは地域住民が既存の公共施設に関し、親しみを感じ、地域、伝統等の文化を生かされ、各施設名がつけられてきたものと受けとめております。
 しかし、今日の環境を見渡しますと、ネーミングライツは新たに企業の宣伝や企業のイメージアップを生かすことなどが考慮され、自治体が一定の契約期間を定めた上で金額を徴収し、貴重な財源確保に努めているのであります。企業と自治体がともにメリットを考え、ネーミングを生かしながら財源も確保できるといったやり方は、自治体にとっても企業にとっても双方両得と考えます。
 ここで質問させていただきます。
 第1は、県有施設へのネーミングライツ導入により歳入の確保を図るべきと思いますが、県の考えをお聞かせください。
 第2は、市町村のネーミングライツ導入を支援していくべきと思いますが、県の考えをお聞かせください。
 次に、TPP問題についてお尋ねいたします。
 新協定、包括的かつ先進的TPP協定、いわゆるTPP11、つまり米国を除いた環太平洋連携協定11カ国は、TPP11交渉において大筋合意に至ったと報道されております。この合意内容については、我が日本の将来を見据えたときに、国内産業にどんな影響を及ぼすものなのか、注視して眺める必要があります。これまでの従来型の中身とは異なり、当然にして関税等の見直しが求められておりますことから、今後の行く末にどんな影響が生じるものやら心配でなりません。既に関税の見直しについては、実行される段階から現状より後退すること必至と考えます。
 そこで県は、TPP11の大筋合意をどのように受けとめているのかお尋ねいたします。
 次に、情報モラル教育についてお尋ねいたします。
 神奈川県座間市において痛ましい事件が発生しました。既に犯人は逮捕されておりますことから安心はいたしておりますものの、心の傷は何一つ消えておりません。亡くなられた遺族の皆様に心から哀悼の意を表する次第であります。同級生、知人、友人の心境を考えますと、絶対許されることではありません。
 事件の原因の一つに、ツイッター、フェイスブック、インターネットなど、総じてソーシャル・ネットワーキング・サービス、つまりSNSのことでありますが、交信を始めると、交信しているうちに、だんだんと文通と同じように相手の誘導に深くはまってしまい、つまりは相手の目的意識によっては自殺の動機にまで誘導されてしまい、若い命が奪われたのであります。
 ここで質問させていただきます。
 県教育委員会は、県立高等学校において、インターネットを通じた被害から生徒を守るためどのように取り組んでいるのか、お尋ねいたします。
 次に、特定廃棄物埋立処分事業についてお尋ねいたします。
 現在福島県には、放射性物質汚染対処特措法に基づき、環境大臣が指定した焼却灰、稲わら、下水汚泥等の廃棄物が約17万トン保管されております。このうち放射性セシウムの濃度が1キログラム当たり8千ベクレルを超え10万ベクレル以下の廃棄物については、先月の17日から国の埋立処分施設への搬入が始まりました。
 富岡町、楢葉町が受け入れ自治体としては全国で初めてであり、双葉郡、そして本県の復興を進めていく上で必要不可欠な事業として、苦渋の決断で容認された2町に対し、心から敬意を表するものであります。2町の思いを重く受けとめ、住民帰還の妨げとならないようにするためにも、処分施設の安全・安心をしっかり確保させなければなりません。
 また、廃棄物の搬入が行われるということは、県内各地の保管場所から施設まで、県道、市町村道、国道、高速道を放射性物質に汚染された廃棄物を積んだ輸送車両が数多く走行するということになりますので、その安全性の確保も不可欠であります。
 そこで、県は特定廃棄物埋立処分事業の安全・安心の確保のため、どのように取り組んでいるのかお尋ねいたします。
 次に、介護保険制度について、お尋ねいたします。
 介護保険制度が平成12年に導入されてから17年が経過しますが、福島県の高齢化率は平成12年9月1日現在の20.3%から平成29年10月1日現在の30.2%と大幅に上昇してまいりました。要介護認定者数も平成12年度末の44,584人から平成28年度末には、108,184人とふえております。団塊の世代が75歳以上となる平成37年には、さらに増加が見込まれますことから、今後も介護費用の増加は避けられない状況に至っているのであります。
 また、平成26年6月には地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律が公布され、介護保険関係は平成27年4月から施行しているのであります。
 ここで質問させていただきます。
 第1は、介護保険法の改正により、平成27年4月から新規の特別養護老人ホームへの入所対象者が要介護3以上に限定され、原則要介護1及び2の高齢者は特別養護老人ホームに入所できなくなりました。
 そこで、要介護1及び2の高齢者の特別養護老人ホームへの入所について、県の対応をお答えください。
 第2は、施設入所の対象者から外れた要介護1及び2の高齢者に対しては、介護サービスを充実することが重要であると考えます。
 そこで、要介護1及び2の高齢者への介護サービスの充実を図るため、県はどのように取り組んでいるのかお答えください。
 次に、いわき四倉中核工業団地第2期区域についてお尋ねいたします。
 ただいまいわき市四倉地区において、いわき四倉中核工業団地第2期区域の整備を続けておりますが、整備中のこの工業団地第2期区域は、来年の春ごろに完成を目指し、進められてきたものと受けとめております。この第2期区域の完成は復旧・復興に欠かせないものと思っておりますし、また、この地域は福島イノベーション・コースト構想の重要なエリアでもあるだけに、本県の将来にとっても重要な工業団地なのであります。
 ここで質問させていただきます。
 県はいわき四倉中核工業団地第2期区域の造成工事と企業誘致にどのように取り組んでいるのか、お答えください。
 次に、小名浜港へのアクセス道路についてお尋ねいたします。
 南東北の産業経済を支える重要港湾小名浜港は、既に国際バルク戦略港湾にも選定されるなど、ますます脚光を謳歌している港であります。貿易や物流等の動きも活発で、一層促進が期待される重要港湾であります。さらに、来年6月ごろには(仮称)イオンモールいわき小名浜がオープンを見、既設の環境水族館アクアマリンふくしまとともに、にぎわいが大いに期待される場所であります。
 ここで質問させていただきます。
 第1は、今の小名浜港につながるアクセス道路では既に渋滞を及ぼしておりますことから、平市街地と小名浜港を結ぶ都市計画道路平磐城線について、整備状況と今後の見通しをお尋ねいたします。
 第2は小名浜道路は常磐自動車道と小名浜港を結び、広域物流ネットワークを強化するとともに、域外からのアクセス改善による小名浜港周辺の観光施設等への周遊利用を促進するものであり、早期完成が望まれております。
 そこで、小名浜道路について、整備状況と今後の見通しをお尋ねいたします。
 次に、県立高等学校の改革についてお尋ねいたします。
 人口減少の余波は、さまざまなところに影響を及ぼしておりますが、県立高等学校の環境も例外ではございません。
 しかるに県教育委員会としては、生徒数の減少を見据えながら、学級数の減少や学校の統廃合を進められ、乗り切ってこられたものと受けとめておりますが、だからといって全面こうしたやり方に対し、県民は肯定して喜んでいるわけではありません。
 学校には長い歴史が刻まれております。強い愛着がしみついております。学校には、地域文化のよりどころになっていることを考えますと、性急な判断は許されることではありません。県教育委員会では、県立高校改革のあり方を学校教育審議会に諮問し、既に答申をいただいておりますことから、このたび基本計画の素案を作成し、県民の意見を伺った上で、平成30年度の早い時期に基本計画を策定すると言っております。
 ここで質問させていただきます。
 県立高等学校の改革を進めるに当たって、地域の意見に耳を傾けていくべきと思いますが、県教育委員会の考えを伺います。
 また、生徒の減少に伴い、教員の減少もしかるべしといった見方や考え方を変えられ、今後は福島県自前の少人数教育を充実すべきと考えます。
 そこで、生徒の減少に合わせて教員数を減じるのではなく、少人数教育の充実を図るべきと思うが、県教育委員会の考えを伺います。
 次に、高齢者への交通対策についてお尋ねいたします。
 年齢構成を見渡しても、高齢者の車の運転比率が高まっておりますだけに、優しく諭した指導を徹底され、安全運転に努めなければなりません。自然的ななりわいから見ても、高齢化への進行過程においては、まず心身のバランスの変化、体力の減退、視力の減退、聴力の減退、脳の減退など、避けることのできない事象が迫ってくるのであります。ところが、免許所有者は「俺は大丈夫」、「私は大丈夫」と意気込む人は多く、免許証を返納しないまま惰性で運転しているドライバーがふえているのが現状なのであります。
 そこで、第1は県警察における高齢運転者の交通事故防止対策についてお尋ねいたします。
 第2は、運転免許返納者を初めとした多くの高齢者にとって、利便性に多大な不便を来すことのないよう、地区ごと、地域ごとに巡回バスなどを回せるような、市町村に対する県の支援策を講じるべきと思います。
 そこで、県は高齢者を初めとした地域住民が安心して日常生活を送るための地域公共交通をどのように支援していくのかお尋ねいたします。
 次に、子供の社会体験活動についてお尋ねいたします。
 県では震災後から、ふくしまっ子自然体験・交流活動支援事業に取り組んでおられますが、このことは子供たちの心身にリラックスできる環境を与え、子供たちの心身の育成に努めてきたものと受けとめております。
 また、この事業は観光業の回復のためにも寄与してきたものと認識しておりますが、今や学校の屋外活動制限等が解除され、子供たちの環境も変化しておりますだけに、今後も継続した自然体験活動の支援はもちろん、社会体験活動、社会貢献活動の充実も重要であると考えます。
 そこで、県教育委員会は、子供たちの生き抜く力を育むための社会体験活動をどのように支援していくのかお尋ねいたします。
 次に、航空宇宙関連産業についてお尋ねいたします。
 航空機産業は、2030年には現在の約2倍の3兆円の売上高が見込まれる成長産業であり、我が国においては基幹産業としての育成が既に図られているところであります。
 県が先月ビッグパレットふくしまで開催した航空宇宙フェスタふくしまにおきましては、初めて開催した企業間の商談会や技術交流の場も大変盛況だったと聞いております。
 これからは高度な技術力などが重工メーカーから要求される航空機産業界だと思われますので、それに応えられる高度な技術力を有する人材の育成が県内企業にとって極めて重要かと考えます。
 そこで、県は航空宇宙関連産業における県内企業の人材育成や技術力向上にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。
 次に、災害対応についてお尋ねいたします。
 東日本大震災及び原子力災害からの復興に全県が一丸となって取り組む中、10月後半の遅い時期に、超大型の勢力を保ったまま上陸した台風21号は県内にも大きな被害をもたらしたことから、早急に復旧に取り組む必要があります。
 そこで、農林水産業の台風21号による被害状況と復旧対策についてお尋ねいたします。
 また、県管理公共土木施設の台風21号による被害状況と復旧の見通しについてお尋ねいたします。
 さらに、先月24日夜から25日朝までに会津地方で観測された降雪により多数の農業用ビニールハウスが倒壊いたしました。昨日は民進党・県民連合会派で現地を調査し、被害を受けた住民の生の声を直接お聞きしてきたところであります。
 そこで、会津地方における大雪による農業被害に対する県の支援についてお尋ねいたします。
 また、例年にない11月の豪雪があり、今後本格化する冬を前に道路除雪に不安を抱いている県民もおり、除雪体制の強化に取り組む必要があります。
 そこで、県は道路の除雪体制をどのように強化していくのかお尋ねいたします。
 以上で私の質問は終わりますが、ことしを振り返り、県政の課題山積みいたしておりましたが、県民皆様の御協力のおかげで、福島県は着実に復興に向け、前進に至っております。年末から新しい年に向けても、さらに福島県の復興再生のために頑張ることをお誓い申し上げさせていただきまして私の質問内容を終わります。御清聴ありがとうございました。


議長(吉田栄光君)執行部の答弁を求めます。


知事(内堀雅雄君)西丸議員の御質問にお答えいたします。


 県政への思いについてであります。
 私は福島の復興を何としてでもなし遂げたいという強い思いを抱き、知事就任時から一貫して現場主義の理念のもと、県内各地へ足を運び、県民の皆様のさまざまな声を伺いながら、県政に反映させてまいりました。
 こうした中、副知事時代から力を注いできた福島イノベーション・コースト構想もその具体化に向けて大きく動き出しており、また来年6月には48年ぶりの本県開催となる全国植樹祭を初め夏にはJヴィレッジの一部再開、秋ごろにはロボットテストフィールドの試験用プラントが開所する予定であるなど、これまでの取り組みの成果が着実に形となってあらわれてまいりました。
 さらに、来年は戊辰戦争から150年目に当たる節目の年であります。想像を絶する苦悩や逆境の中にあっても、郷土の誇りを胸に必死で乗り越え、新たな境地を切り開いてこられた先人たちの歩みは、震災と原発事故からの復興を目指す我々の姿と重なるものがあります。
 私はこのように脈々と築き上げられてきた郷土に対する誇りと、逆境にも負けない、くじけない心を持って、福島が抱える困難な課題に対し果敢に挑戦を続け、必ずや復興をなし遂げてまいりたいと考えております。
 引き続き就任時に掲げた基本姿勢を貫き、県民の皆さんの思いをしっかりと受けとめながら、新生ふくしまの実現に向け、全力で取り組んでまいります。
 次に、平成30年度当初予算についてであります。
 本県の復興は、いまだ途上にありますが、この春の避難指示解除区域の拡大に加え、双葉町、大熊町及び浪江町では、特定復興再生拠点区域の復興に向けた動きが進むとともに、観光客の回復や県産品の輸出拡大など、明るい光も見え始めております。
 復興・創生期間の3年目となる来年度は、これまでの取り組みを一層加速させ、確かなものとしていくことが重要であると考えております。
 そのため、私みずから6月の政府要望や8月の福島復興再生協議会において本県の実情を訴え、さらに先月29日にも避難地域12市町村の生活環境整備等について、国に対し緊急要望を行うなど、必要な予算措置を求めてまいりました。
 来年度の当初予算編成に当たりましては、こうして確保する財源を有効に活用しながら、避難地域の復興再生はもとより結婚、出産、子育て支援の充実や交流人口の拡大、定住・二地域居住の促進、健康長寿県の実現に向けた取り組み、農林水産業の再生や中小企業等の復興、新産業の創出、風評・風化対策の強化など、地域の実情を丁寧に捉えながら、さまざまな課題に正面から立ち向かい、誰もが復興を実感でき、魅力にあふれる豊かな福島を築き上げてまいる考えであります。
 次に、海外への情報発信についてであります。
 先般アメリカ、ブラジル、ペルーの県人会を訪問し、記念式典に出席するとともに、これまでの長きにわたる御支援に感謝の意をお伝えし、きずなをさらに深めてまいりました。また、それぞれの訪問先において復興セミナーを開催し、光と影がまざり合う本県の今の姿を丁寧に発信してまいりました。
 今回の訪問を通して、特に印象深かったことが二つあります。一つは、式典に参加していた少女から復興に立ち向かう勇気をもらったことであります。「私はどうしたら福島の役に立てますか」という少女の真剣な問いかけに、「福島がすてきなところで、大好きだと多くの友達に伝えてほしい」と私が答えると、その生徒は笑顔で「やります」と力強く約束してくれました。
 二つ目は、ペルーの外務副大臣と懇談する中で、震災から6年7カ月をかけて福島県が歩んできた道のりが、現在大規模水害に直面し、復旧・復興に懸命に取り組んでいるペルーにとって大変参考になると高い関心を示していただいたことであります。
 私はこれまでもダボス会議への出席や国連本部での講演、駐日外交団の招待など、さまざまな機会を捉えて世界に本県の現状や復興に取り組む姿を発信してまいりましたが、今回の訪問を通して、改めてこれまで世界中からいただいている温かい御支援に応えるためにも、震災後福島県が逆境をどのように乗り越え、未来を切り開いていくのか、その過程をより丁寧に伝えていかなければならないとの思いを強くしたところであり、今後とも未来に向けて全力で挑戦する福島県の姿を積極的に発信し続けてまいります。
 その他の御質問につきましては、関係部長等から答弁させますので、御了承願います。


総務部長(伊藤泰夫君)お答えいたします。


 財政運営につきましては、厳しい財政状況の中、復興と地方創生の実現に向け、年度間の見通しに立った上で、さまざまな財政需要に的確に対応していくため、本年6月に中期財政見通しを改訂したところであります。
 これを踏まえ、県といたしましては、自主財源の充実確保に向けた取り組みや事務事業の不断の見直しに努めるとともに、引き続きあらゆる機会を捉えて、復興財源の確実な措置はもとより、地方交付税を含めた一般財源総額の確保を国に対して求めていくなど、将来にわたる健全な財政運営にしっかりと取り組んでまいります。
 次に、県有施設へのネーミングライツ導入につきましては、新たな歳入確保策として有効であることから、平成25年5月に県営あづま陸上競技場、平成28年4月に県文化センターにおいてネーミングライツに関する契約を締結し、歳入の確保を図っております。
 今後とも各部局と調整の上、候補施設の選定やスポンサーの確保など、次の施設への導入に向けた検討を行ってまいる考えであります。
 次に、市町村のネーミングライツにつきましては、施設の管理運営のための財源確保などに有効であることから、県内市町村においても導入が進みつつあり、現在3団体の4施設において導入され、来年度からは新たに2団体の6施設で導入が計画されているところであります。
 県といたしましては、先進事例の紹介や公募手続等に係る情報提供、助言を行うなど、市町村のネーミングライツ導入を支援してまいる考えであります。


危機管理部長(小野和彦君)お答えいたします。


 北朝鮮のミサイルへの対応につきましては、発射等の兆候を捉え、市町村に対し住民への情報伝達機器の点検を働きかけているほか、落下時の爆風等から一時的に退避可能な公共、公用施設の指定と周知に努め、県民に対しても落下直後にみずからの身を守る行動について、繰り返し周知しております。
 また、核実験が実施された場合に備えて、通常の放射能モニタリングに加え、状況に応じた追加調査を実施できるよう体制の強化を行ったところであり、今後とも国や市町村等の関係機関と連携し、被害や混乱が最小化できるよう、県民への迅速でわかりやすい情報発信等に努め、緊張感を持って対応してまいります。


企画調整部長(櫻井泰典君)お答えいたします。


 TPP11の大筋合意につきましては、県の経済及び県民生活に対し幅広い影響が懸念されることから、先月国に対し、合意内容等がもたらす具体的な影響、効果に関する説明を十分かつ丁寧に行うよう、また農林水産業の競争力強化等の政策を一層強化するよう要望したところであります。
 今後も引き続き復興の途上にある本県の活力を低下させることのないよう、先般改訂された総合的なTPP等関連政策大綱に基づき、具体的な対策や必要な予算措置が確実に講じられるよう求めてまいる考えであります。


生活環境部長(尾形淳一君)お答えいたします。


 特定廃棄物埋立処分事業の安全・安心の確保につきましては、廃棄物や放射線等の専門家から成る技術検討会の意見を踏まえ、国に対し、埋立処分の方法や輸送計画等において安全上必要な対策を求めるとともに、国及び富岡、楢葉両町と締結した協定に基づき、住民代表も交えて環境安全委員会を組織し、事業全般の安全対策等を確認してまいりました。
 今後も廃棄物の輸送、埋立作業や排水管理等の実施状況の確認や周辺環境モニタリング等を行うとともに、国に対して情報公開を徹底し、安全・安心の確保を最優先に事業を実施するよう求めてまいります。
 次に、地域公共交通への支援につきましては、住民の暮らしを支える交通手段の確保が強く求められていることから、これまでもバス事業者に対する広域幹線バス路線を維持するための支援に加え、市町村が主体的に運行する路線バスやデマンド型乗り合いタクシー事業で生じる経常損失額の一部について、県が独自に補助を行うなどの支援に取り組んでいるところであります。
 県といたしましては、今後とも交通弱者や運転免許自主返納者が増加することを踏まえ、市町村から地域の実情や抱える課題を丁寧に伺いながら、地域公共交通の確保に全力で取り組んでまいります。


保健福祉部長(井出孝利君)お答えいたします。


 国保制度の安定化につきましては、財政運営の責任主体が県に移行することに伴い、高額医療費の発生などの財政上のリスクを県全体で担うことになるほか、県が保険給付に要する費用を全額市町村に交付するため、市町村における安定的な財政運営が確保されることとなります。
 また、市町村事務の共同実施や広域化によるコストの削減や効率化のほか、公費の拡充による財政基盤の強化も制度の安定化に寄与するものと考えております。
 次に、1人当たりの保険料が上昇する市町村への対応につきましては、これまで市町村は独自に保険料を算定しておりましたが、新たに導入される国保事業費納付金は、県全体の納付金総額を市町村ごとの医療費や所得の水準などにより案分することから、市町村によっては平成28年度と比較して、1人当たりの保険料が上昇する可能性があります。
 このため、急激な上昇が生じる市町村に対しては、市町村と協議して定めた福島県国民健康保険運営方針に基づき、国が措置する財源などを活用した激変緩和を行うことにより、可能な限り保険料の上昇を抑えることとしております。
 次に、要介護1及び2の高齢者の特別養護老人ホームへの入所につきましては、認知症などにより日常生活に支障を来すような症状のある場合や、単身世帯または同居家族の支援が期待できない世帯の場合等には、特例として入所できることになっております。
 県では入所指針を策定し、特例の要件に該当する要介護者が入所できるよう、市町村及び施設に通知するとともに、関係団体と協力し、施設への周知を図ってまいりました。
 また、本年3月には申込者から要件該当の申し立てがある場合、必ず入所申し込みを受け付けるよう施設に求めたところであり、今後とも入所の判断が適切に行われるよう努めてまいります。
 次に、要介護1及び2の高齢者への介護サービスにつきましては、介護保険制度による住宅改修費支給等のほか、在宅の要介護高齢者に対して介護サービスの提供を行う小規模多機能型居宅介護事業所や認知症対応型グループホーム等、地域密着型サービス施設の整備等への補助を市町村を通じて行うとともに、介護職員の知識や技術習得のための研修会を開催するなど、職員の資質の向上への支援も行っているところであります。
 引き続き要介護1及び2の高齢者が質の高い介護サービスが受けられるよう、介護サービス提供体制の整備に積極的に取り組んでまいります。


商工労働部長(飯塚俊二君)お答えいたします。


 航空宇宙関連産業につきましては、これまで加工技術を習得するための福島大学と連携した航空機製造スクールや生産技術に関する体系的講座等を開催し、県内企業の人材育成等に取り組んできたところであります。
 今後はさらに、設計から加工、検査までの一貫した生産工程の構築に向けた取り組みを進めるために、今年度新たに精密で品質の高い部品を設計する三次元設計システムをハイテクプラザに導入し、設計分野に関する人材育成を支援するとともに、中部地方の専門機関等と連携し、技術力の高度化に向けた研修を実施するなど、航空宇宙関連産業を支える人材の育成や技術力の向上に積極的に取り組んでまいります。


農林水産部長(佐竹 浩君)お答えいたします。


 農林水産業の台風21号による被害につきましては、農地や農業用施設で5億7,800万円、林道等で2億5,500万円など、全体で8億7,500万円となっております。その対策として、農作物については病害対策等の技術指導を実施するとともに、農地や林道等については先月21日に激甚災害に指定されたことも踏まえ、災害復旧事業などによる被災した施設等の復旧に全力で取り組んでまいります。
 次に、会津地方における大雪による農業被害につきましては、12月5日現在、農業施設の倒壊など被害額は約4千万円となっております。
 引き続き市町村やJA等と連携し、被害発生状況の全容の把握、被害状況に応じたパイプハウス復旧等の対策の検討、農作物の生産確保に向けた技術指導の徹底など、被害を受けた農業者が生産意欲を損なうことなく、一日でも早く営農が再開できるよう支援に取り組んでまいる考えであります。


土木部長(大河原 聡君)お答えいたします。


 都市計画道路平磐城線につきましては、平市街地と小名浜港を結ぶ全長約12.6キロメートルのうち約98%が整備を完了しており、残る約0.3キロメートルについても現在順次拡幅工事を進めております。
 引き続き市街地の渋滞緩和や小名浜港へのアクセス向上を図るとともに、新たな交流とにぎわいづくりや個性豊かな美しいまちづくりを支えるため、平成30年夏ごろの完成に向け、しっかりと整備を進めてまいります。
 次に、小名浜道路につきましては、平成24年度から事業に着手し、全体計画約8.3キロメートルのうち常磐自動車道と接続する約2.5キロメートル区間については、東日本高速道路株式会社に委託し、大規模な橋梁から工事を実施しております。
 また、県が施工する区間については、JR常磐線との交差部付近に位置する(仮称)添野インターチェンジや小名浜港側の(仮称)泉下川インターチェンジにおいて計画的に工事等を進めております。
 今後は、残る用地の取得に努めながら、平成30年代前半の完成に向け、重点的に整備を進めてまいります。
 次に、県管理公共土木施設の台風21号による被害状況につきましては、河川護岸の崩壊や道路路肩の崩落など175カ所、約33億円の被害が確認されたところです。
 このため災害復旧事業の採択に向けた国の災害査定を年内に終了させるとともに、県民の安全・安心を確保するため、緊急性の高い箇所から速やかに工事を発注し、今後おおむね2カ年で復旧が完了できるよう取り組んでまいります。
 次に、道路の除雪体制につきましては、平成26年3月の豪雪を踏まえ、除雪開始の基準となる積雪の深さの見直しや中通り、浜通りにおける除雪機械の増強、峠部のライブカメラ増設など改善を図ってきたところであります。
 今後は、従来には見られなかった異常な降雪にも対応するため、気象情報等の早期収集や警察、消防など、冬期道路交通円滑化連絡協議会の構成員との緊密な連携を図るとともに、豪雪時に幹線道路について、より効率的かつ迅速な除雪ができるよう、道路管理者間の相互支援体制を確立するなど、さらなる体制の強化に努めてまいります。


企業局長(吉田 孝君)お答えいたします。

 いわき四倉中核工業団地第2期区域につきましては、11月末現在造成工事が約八五%の進捗となっており、来年春の完成に向け、計画どおり整備を進めているところです。また、工事と並行して、いわき市と連携しながら企業誘致に取り組み、現在再生可能エネルギーや輸送用機械関連産業の複数企業と立地に関する協議を進めているところであり、今後も交通アクセスの優位性や充実した支援制度、さらにはイノベーション・コースト構想による各種研究開発拠点の機能をアピールし、産業復興を牽引する企業の早期立地と雇用拡大にしっかりと取り組んでまいります。


教育長(鈴木淳一君)お答えいたします。


 インターネット被害の防止につきましては、情報を正しく安全に利用できるよう、生徒に判断力や心構えを身につけさせるとともに、不安や悩みを抱える生徒が相談できる体制を整備することが重要であります。
 このため、学校においては情報科の授業や総合的な学習の時間等を通して情報モラル教育に取り組むとともに、各校に配置したスクールカウンセラーや電話による24時間子どもSOSなどの相談体制を整備しております。
 今後はスマホサミットの成果を生かしたパンフレット等を作成し、児童生徒はもとより、県民全体で共有するなど、インターネットを通じた被害の防止に努めてまいります。
 次に、県立高等学校の改革につきましては、生徒の多様な学習ニーズに対応するとともに、これまで学校が地域において果たしてきた役割や生徒の通学条件等を十分考慮した上で、地域の理解を求めながら計画的に推進することが重要であると考えております。
 このため、基本計画の決定に際しては、地区別に教育公聴会を開催するなど、県民の皆様の御意見を伺い、またその後策定する実施計画においては、各地区の高等学校の具体的な方向性をお示しした上で、当該地域の皆様から十分に御意見をお聞きしながら、丁寧に改革を進める考えであります。
 次に、少人数教育につきましては、個々の資質や能力を伸ばすため、生徒一人一人に目の行き届く体制を整備することが重要であると考えております。
 このため、さきに公表した基本計画の素案において、チームティーチングや習熟度別学習、コース制などのほか、少人数教育についても検討を進め、個に応じたきめ細かな指導が可能となるよう、必要な教員の確保や適切な配置に努めることを盛り込んだところであります。
 今後は、高等学校改革を進める中で、少人数教育の充実についても検討してまいる考えであります。
 次に、社会体験活動への支援につきましては、みずから復興に貢献しようとする子供たちの思いを具体的な行動につなげることが重要であると考えております。
 このため、今年度農業や水産系の高校生が開発した商品を日本橋ふくしま館で販売し、福島の食の安全を発信する活動や中高校生が修学旅行の際に自作のパンフレットを用い、国内外の方々へ福島の現状を発信する活動など、復興に向けた子供たちの主体的な取り組みに対し、子どもがふみだすふくしま復興体験応援事業において補助しているところであります。
 今後とも子供たちが人とのかかわりの中で学ぶことができる機会を充実させられるよう、生き抜く力を育むための社会体験活動に対し、積極的に支援してまいります。


警察本部長(松本裕之君)お答えいたします。


 高齢運転者の交通事故防止対策につきましては、運転時の危険を疑似体験できる装置を活用した交通教室や自動ブレーキ等を備えた安全運転サポートカーを体験できる実技指導などきめ細かな対応を行っているほか、加齢に伴う身体的機能の変化を踏まえた講習にも努めております。
 また、複数回交通事故の当事者となった高齢運転者に対しては、各署に設置した運転適性に関する相談窓口や個別訪問を通じた指導を行うほか、必要な場合には運転免許証の自主返納を促すなどの対応も行っております。
 今後とも高齢運転者の特性を踏まえた効果的な交通事故防止対策の推進に努めてまいります。


議長これをもって、西丸武進君の質問を終わります。

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