2017年12月定例会 一般質問 坂本竜太郎議員
議員 | 坂本竜太郎 |
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所属会派 (質問日現在) | 自由民主党 |
定例会 | 平成29年12月 |
質問等 | 一般質問 |
質問日 | 12月12日(火曜日) |
1番(坂本竜太郎君)自由民主党の坂本竜太郎でございます。
先月11月から4年間の任期のうちの後半に入り、福島県議会も新たな構成、体制のもとでスタートをいたしました。同様に、内堀知事を先頭に県民の皆様挙げて邁進している本県の復興、そして創生の道のりも次なる段階に入りつつあります。
今回は、新たなステージを迎える本県の復興・創生についてと、県民の皆様の意識の向上で切り開く未来についてという、大きく2つの観点から一般質問をさせていただきます。
まず、新たなステージを迎える本県の復興・創生についてであります。
昨日で震災から6年9カ月を迎えました。とにかく全ての皆様の御尽力により、それぞれの課題の克服に向けて前進していることは確かでありますが、依然として全県的な課題となっておりますことは、代表質問にもございましたように根強い風評でございます。これまで知事初め県当局、各機関、各種団体、県民の皆様などあらゆる方々の御努力によります食の安全あるいは風評払拭の取り組みのおかげさまをもちまして、海外においても大分正しい理解が進み、今月1日からのEUにおける輸入規制の緩和や、あるいはアジア各国とのチャーター便の就航等、新たなステージを迎えております。
しかしながら、EUのケースも7月に安倍総理とユンケル欧州委員長が共同記者会見において、輸入規制の一部緩和についての方針を示しておりながら、9月には欧州議会が再検討を求める決議をいたしました。法的拘束力はないとはいえ、実質的な反対決議であり、関係者や県民の皆様にとって大変な不安や失望感がよぎったことを記憶いたしております。
また、チャーター便の就航に関しましても、航空会社や担当省庁の実務者レベルでは結実したことが、相手国の政治的な背景、あるいは直近の選挙や国内世論、さらには外交上のカードとして利用されるような側面により、土壇場で覆されるようなこともあるなど、皆様の御努力が理不尽にも水泡と化してしまうケースもないわけではございません。
こうしたことは断じてあってはならず、まさに日本国政府が正面に、前面に立って、外交面でもその役割を一層果たすべきであると考えます。
折しも我が会派、太田幹事長の代表質問にもございましたように、自由民主党の提言を受け、政府が放射線に関する理解促進を含めた風評払拭の取り組みを強化するための風評払拭・リスクコミュニケーション強化戦略を策定しているそうであります。ここで外交面での取り組みもうたわれているとのことでありまして、やはり新たなステージに入ったものと申し上げることができます。
そこで、こうした国の対策強化の動きを踏まえ、海外における風評払拭に向けどのように取り組んでいくのか、知事のお考えをお尋ねいたします。
また、風評払拭の大前提は本県の確かな環境回復でありまして、除染が進み、放射線量も低減され、中間貯蔵施設の本格稼動により、この点についても新たなステージを迎えつつあると申し上げることができます。
しかし、着実な廃炉・汚染水対策を継続する必要性があるなど、まだまだ本県の環境回復には長期間にわたる取り組みが必要であることも事実であります。風評払拭を果たすためには、福島の本来の環境を取り戻し、再び国際信用をかち取らなければなりません。
そのためには、過去5年間にわたって協力に関する覚書を締結し、ともにプロジェクトを進めてきました中立的な国際機関であるIAEAとの協力を今後も継続しながら、各種施策を積極的に展開していくべきであると考えます。
そこで、本県の環境回復に向け、国際原子力機関との協力プロジェクトにどのように取り組んでいくのかお尋ねをいたします。
次に、いまだ多くの方が避難を余儀なくされ、さまざまな面で不自由な生活を強いられておりますが、県内各地で復興公営住宅の整備や入居が進んでいる地区もあり、時間はかかりましたが、避難生活の面でも新たなステージに入りつつあると言えます。仮設や公営住宅における集会所スペースの設置や、地域の行事やイベントへの共同参加、避難されている方々による自治会等の結成や避難先の地元自治会への加入等により融和を図るなど、これまで仮設住宅周辺のコミュニティー形成に努めてきた取り組みと経験を生かして、現在整備中であります大規模な復興公営住宅の周辺においても、当然これから展開していくという必要性がございます。
それらの取り組みを支える柱であります生活拠点コミュニティ形成事業は、来年平成30年度までの県からの委託事業となっており、一定期間にわたって先を見据えた取り組みが必要でありますことからも、平成31年度以降の対応方針についての県の考え方をそろそろ示していくべきであると考えます。
そこで、復興公営住宅におけるコミュニティー形成支援の今後のあり方について、県の考えをお尋ねいたします。
ただいまは、福島県内における避難の必要性に伴います福島県民同士のコミュニティー形成のあり方についてお尋ねいたしましたが、県外におきましても原発事故を想定した広域避難計画の策定がおのおの進められておりまして、隣県、茨城県からの多数の方の受け入れに対応すべき状況についても考えなければなりません。
3・11による県内の事案のみならず、今後の万が一を想定した県外の事案に対応するという面において、やはり新たな段階に入ったものと考えます。
広域避難計画は各市町村ごとの対応とはなりますが、県内でも多数の市町村にかかわり、非常に広域にわたりますことや、東日本大震災に伴う経験と教訓を生かしながら、感謝の念も込めて、普段からの連携や備えをすることなどによって、極力円滑に進めるべきことでありまして、県が率先した対応をする必要がございます。
そこで、東海第二原発で事故が発生した場合の茨城県民の広域避難受け入れについて、県の対応をお尋ねいたします。
次に、人口減少社会の到来や復興の進捗によりまして、私たちの身近な生活を支える基盤を集約する必要性が生じるなどの点におきましても、新たな段階に入ったと言えます。例えば田村市などからも御要望がありますように、生活排水処理施設を広域共同化するなどして、既存施設を活用することで効率化を図り、持続可能なものとする取り組みを進めようといたしております。類似のケースが県内のほかの地域でも想定され得る中にありまして、こうした背景によります各地の取り組みに対し、積極的に情報提供をしたりアドバイスをするなど、これからは県が主体的に方向性を示していくことも必要であると考えます。
そこで、汚水処理の広域化、共同化に向けた流域下水道における県の取り組みについてお尋ねをいたします。
続きまして、震災からの復旧・復興をいち早くなし遂げ、東日本をリードする港湾である小名浜港についてでありますが、復興のシンボルとしてのみならず、我が国のエネルギーの新時代を支える国際バルク戦略港として、また整備中である小名浜道路により常磐道とつながることによって、国際物流拠点としての一層の発展と貢献が期待されている、今最もホットな重要港湾であります。
さらに、東港の整備に伴います小名浜マリンブリッジの完成など日々進化を遂げておりまして、漁業の復活とともに、観光面などでも一層その機能と役割が高まりつつあり、文字どおり本県の創生の牽引役であります。
現在、背後地区におけるいわき市の取り組みや地元の熱心な各団体、市民、県民の皆様と一体となった戦略的な展開がかなう状況にありますことから、今後もクルーズ船の寄港などにも柔軟に対応するといった積極的な運用や活用をすべきであります。
そこで、県は地域のにぎわい創出に向けた小名浜港の利活用について、どのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。
続きまして、大きなテーマの2つ目、県民意識の向上で切り開く未来についてであります。
新しいステージを迎え、明るい未来を切り開くためには、あらゆる面で意識の醸成が肝要であります。
まず、本県が県民運動として進めていることに、健康長寿県に向けての取り組みがございます。長年にわたる食生活や運動習慣等が影響して生活習慣病に至らしめることは明らかであり、この場にいらっしゃるどなたでも御存じのことであります。私も心当たりはございます。
したがいまして、できるだけ若い世代の関心や意識を高めることが重要なポイントでありますことは申すまでもなく、この中にも実行されておられる方が多うございますが、スマートフォンを活用した健康アプリの展開など、若い世代が親しみやすいようさまざまな工夫がなされているところであります。
実際に活用されている方は、まんまとその策略にはまり、知り合いの、あるいは同じ地域の誰々さんには負けたくない、こういったような対抗心や闘争心を見事にかき立てられ、日々歩く距離が延びるなどして、いつの間にか健康増進につながっているという好循環に陥れられているという光景を会派内でも目の当たりにさせていただいております。大変結構なことであろうかと思います。
しかしながら、いかんせん日常の忙しさに追われ、また現に何らかのふぐあいがみずからに生じない限り、健康に対する関心はおろか、実践についても全く至ることがなく、まずこのアプリをダウンロードするという行為さえも実行いただくことが難しいという現実がございます。
したがいまして、今後もさらに若年層をターゲットにした戦略的な展開がますます必要となってくるわけでございます。
そこで、県は若年層の健康づくりを推進するため、どのように取り組んでいくのかお尋ねをいたします。
私は本年、大変光栄なことでありますけれども、海外行政調査団に参加させていただきました。まことに勉強になりました。その中で伺いましたフランスや、ネウボラの発祥の国でありますフィンランドにおきましては、社会全体で家庭を支え、子供を育むという意識が定着しており、このことが子供を産み育てやすい環境につながっておりました。いささか家庭を持っていない私といたしましては、大変恐縮ではございますが、改めてそういった認識を高めた次第でございます。
国柄や国の制度によるところがあるとはいいましても、元来この国や福島県にもそういった風土があったはずでございます。ですから、そういった意識や風土づくりを福島県といたしましても改めて展開をしていくことで、子供たちをみんなで温かく健全に育成し、ひいては少子化対策や人口減少対策にも資するようにすべきであると考える次第であります。
そこで、県は社会全体で子供を育む意識を醸成するため、どのように取り組んでいくのかお尋ねをいたします。
また、今日におきまして青少年を健全に育成するためとしてどうしても必要なことに、SNS等に対する向き合い方の意識を向上させる、このことがございます。10月に発生いたしました神奈川県座間市における殺人事件は、改めてその現実を突きつけた格好となりました。
先日もふくしま高校生スマホサミットにおいて、ふくしま高校生スマホ宣言が発表されるなど、県教育委員会におきましても本年さまざまな取り組みが年間を通じて継続的に行われてはおりますが、これを実効性あるものとするためには、少年等がみずからの責任と考えのもとに、ツイッターを初めとしたSNS等の利用による犯罪に巻き込まれないようにするための意識の向上などを含めた犯罪被害の防止対策を犯罪取り締まりや未然防止の観点からも強化するべきであると考えます。
そこで、少年のSNS等を利用した犯罪被害を防止するための県警察の取り組みをお尋ねいたします。
最後の質問であります。
私は、質問の機会を頂戴するたびに、震災を経験し、県民の皆様挙げて復興の歩みを続けている福島県だからこそ、世界中のどの地域よりも防災に対する意識が高くなければならない、この思いから質問を続けさせていただいております。ことしも県内では豪雨被害等に見舞われたところもございましたし、きょうも雪が降っております。北朝鮮による弾道ミサイル発射に伴う情報伝達でありますJアラートが初めて発令されるなど、さまざまな危機事象がことしも生じました。
それらを受け、閉庁時であっても一時待避が可能な施設の選定や、私が6月定例会で申し上げさせていただきました国や市町村との普段からの連携の強化に資する自治体の首長向けのトップフォーラムが開催されましたり、あるいは若い段階での意識の醸成につながる防災ガイドブックが発行され、頒布されている最中であります。意識の醸成は、先ほどお尋ねいたしました健康長寿についても、SNS等にかかわることについても同様でありますように、できるだけ早い段階からガイドブック等を活用して、戦略的に展開をするべきであります。
そこで、県民の防災意識のさらなる向上にどのように取り組んでいくのか、県の考えをお尋ねいたします。
質問は以上でございますが、平成に入りまして節目の年となります上に、平成として丸1年間を過ごすことができる年は、来年、平成30年で最後となります。来年、平成30年の早い時期に、何と10年ぶりとなります広辞苑が改訂され、改訂版が発行されます。皆様御承知のように、新たに追加されます言葉の中に、あの「東日本大震災」という言葉とともに、私たちのふるさとであります「浜通り」という言葉が新たに掲載されることとなっております。日本語として定着した言葉が厳選され、掲載されるということでありますから、今回の掲載理由は、この10年間を振り返って言わずもがなであります。
我々は、このたびの掲載をそれこそ新たなステージと位置づけ、まず言葉として認知された浜通りというこのふるさとを、名実ともに日本を代表し、どうせだったら世界をリードする最先端の地として、世界から注目される真の復興を果たした希望の地として、日本語としてのみならず世界に定着するような未来にしていくべきであり、そうしなければなりません。
そのための意識を私自身も改めて高めさせていただきましたところで、今回の一般質問を終了させていただきます。御清聴まことにありがとうございました。
議長(吉田栄光君)執行部の答弁を求めます。
知事(内堀雅雄君)坂本議員の御質問にお答えいたします。
海外における風評払拭についてであります。
震災から6年9カ月が経過してもなお、本県産品に対する輸入規制が続いている国や地域があること、そして外国人観光客数の伸びが全国との比較で低いことなど、海外での風評は根強く残っております。
その要因の一つは、県の環境回復の取り組みや国際的に最も厳しい基準での放射性物質検査の徹底など、福島県の実情に触れる機会が海外では少なく、原発事故当時の印象がそのまま残っていることであり、こうした課題に福島県単独で対応することは非常に難しいと感じております。
今般国において風評対策を強化する戦略を策定中であり、外交ルートによる働きかけを初め関係省庁の連携により、福島県に対する理解が諸外国に広がるよう、より実効性のある取り組みを期待をしております。
県といたしましても、福島の正確な情報を発信するため、私自身が直接伝える取り組みや駐日外交団、外国メディアなどを福島県に招く取り組み等を継続して実施することに加え、今後は海外での県産品の商談会の拡大や在外公館等を通じて配布する多言語化リーフレットを作成するなど、県産品の輸出拡大や観光誘客につながるよう、風評払拭に粘り強く取り組んでまいります。
その他の御質問につきましては、関係部長等から答弁をさせます。
危機管理部長(小野和彦君)お答えいたします。
茨城県民の避難受け入れにつきましては、本県の広域避難時のさまざまな課題を踏まえ、地域コミュニティーに配慮した避難先の選定や避難中継所の設置などについて助言し、茨城県とも調整してきた結果、これまでに日立市及び常陸太田市と県内市町村との間で円滑な広域避難の実施に向けた協定が締結されたところであります。
今後も避難施設や避難ルートの調整等、丁寧な支援に努めてまいる考えであります。
次に、県民の防災意識の向上につきましては、生涯を通じて防災・減災に係る正しい知識と冷静かつ的確な対応を身につけられるよう、防災ガイドブックを活用した学校における防災教育の充実に加え、家庭や地域における防災学習機会の拡充、さらに来年2月には本県初となる県下一斉シェイクアウト訓練を実施するなど、全ての県民が主体的に参画できるような取り組みを強化してまいる考えであります。
生活環境部長(尾形淳一君)お答えいたします。
国際原子力機関との協力につきましては、平成25年から放射線モニタリングや除染の分野に関する11の協力プロジェクトを世界各国の専門家の助言を受け進めてまいりましたが、本県の環境回復を進める上で、平成30年以降も継続して調査研究等を行う必要があることから、今月で満了となる実施期間をさらに5年間延長し、さまざまなプロジェクトに取り組んでまいります。
保健福祉部長(井出孝利君)お答えいたします。
若年層の健康づくりにつきましては、ふくしま健民アプリに若者に人気のある楽曲に合わせて運動を楽しめる機能を追加したほか、ふくしま健民大使によるテレビコマーシャルの放映や職場の健康づくりに関するセミナー開催などの啓発活動に取り組んでおります。
今後はSNS等により動画を配信するなど、若年層が受け入れやすい効果的な啓発を行い、若いうちから健康的な生活習慣が身につくよう取り組んでまいります。
土木部長(大河原 聡君)お答えいたします。
汚水処理の広域化、共同化につきましては、それぞれの汚水処理事業を持続可能なものとするため、県が市町村に出向き勉強会を開催し、さまざまな検討を行っており、また田村地方においては老朽化したし尿処理施設を廃止し、流域下水道で処理する計画の早期実現に向けて取り組んでおります。
今後とも関係する市町村と連携し、広域化、共同化を積極的に促進してまいります。
次に、小名浜港の利活用につきましては、アクアマリンパークでのさまざまなイベントや小名浜マリンブリッジの一般開放等により、多くの方においでいただくよう取り組んでおります。
今後は交流拠点の拡大に向けた3号埠頭地区の緑地整備を行うとともに、いわき市や関係機関等と連携し、クルーズ船を受け入れるなど、さらなるにぎわい創出に向け利活用に取り組んでまいります。
避難地域復興局長(成田良洋君)お答えいたします。
復興公営住宅のコミュニティー形成につきましては、入居者同士に加え、地域住民とも相互理解を深め、時間をかけて醸成していくものであることから、一定期間の継続した支援が必要であると認識をしております。
このため引き続き各団地に交流員を配置し、支援に取り組むとともに、住宅の整備や入居状況も踏まえながら、関係自治体や国等と連携して今後の支援のあり方を検討してまいります。
こども未来局長(須藤浩光君)お答えいたします。
社会全体で子供を育む意識の醸成につきましては、これまで高齢者と地域の子供たちとの交流支援や子育て応援パスポートを活用した子育て家庭への支援に取り組んでまいりました。
さらに、「いい育児の日」と定められた11月19日に、世代を超えて子育てや家族の大切さを啓発するイベントを開催したところであり、引き続き、地域、企業、家庭が一体となって子育てを支援する機運の醸成に努めてまいります。
警察本部長(松本裕之君)お答えいたします。
少年のSNS等を利用した犯罪被害の防止につきましては、学校等の関係機関と連携を図り、主に中学生や高校生を対象として、スマートフォン等の安全な使い方やインターネット上の有害情報の危険性などについて指導する情報モラル教室を開催しております。
また、少年がスマートフォン等を安全に使用するため、フィルタリングの普及促進を目的とした販売事業者への要請活動や街頭キャンペーンなどの啓発活動を推進しているところであります。
今後ともSNS等を利用した犯罪被害の防止対策を積極的に推進してまいります。