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2017年12月定例会 討論 宮川えみ子議員

印刷用ページを表示する 掲載日:2018年2月15日更新

宮川えみ子議員 

議員

宮川えみ子

所属会派(質問日現在)

日本共産党

定例会平成29年12月
質問等討論
質問日12月19日(火曜日)

26番(宮川えみ子君)宮川えみ子です。日本共産党を代表して討論を行います。

 まず初めに、知事提出議案第102号、議案第103号訴えの提起についてと、議案第104号、議案第105号民事調停の申立てについて、一括して申し上げます。
 今回の議案は地震、津波の被災者及び原発事故により国の避難区域外から避難するいわゆる自主避難者に対して、法的措置により明け渡しを求める訴えと調停の申し立てを行うものです。
 これは福島県がことし3月末で自主避難者の住宅無償提供を打ち切ったことによるものです。自主避難者も原発事故の被災者であることには変わりなく、国が勝手に決めた原発からの距離や放射線量で避難区域の線引きを行ったために自主避難者扱いにされてしまった避難者です。国が県に対して執拗に仮設、借り上げ住宅の打ち切りを求める中での判断と見られますが、決めるのは県です。
 10月10日のなりわい裁判福島地裁判決は、巨大地震、津波を予見できたと、国と東電が必要な対策を怠ったために原発事故に至ったとして、国の法的責任を明確に認定しましたが、このことから見ても住宅提供の打ち切りは重大です。
 福島県の住宅提供打ち切り方針には、支援の継続を求めて全国各地から100件を超す意見書が上げられ、北海道、山形県、鳥取県、愛媛県の道営、県営住宅の避難者には今も無償で住宅提供が継続されている現状もあります。
 もともと災害救助法による対応を原発避難者に当てはめることには無理があり、県が法的措置により退去を迫ることは国の責任放棄を容認することにつながるもので、被災県としてとるべき態度ではありません。
 したがって、居住実態がある議案第102号、103号、104号、105号には反対です。
 次に、議案第111号県議会の議員の議員報酬等に関する条例の一部を改正する条例及び議案第113号特別職の職員の給与に関する条例の一部を改正する条例についてです。
 これは議員並びに知事等に支給する期末手当の算定基礎額に乗ずる割合0.05月の引き上げ改定をするものです。
 人事院の民間給与との格差是正のため、国家公務員の賃金引き上げについての勧告を行ったことに伴い、本県の人事委員会から県職員の給与改定が提案されました。
 アベノミクスのもと大企業や富裕層応援の経済政策の中、庶民の暮らしは厳しさを増しています。物価上昇に賃金が追いつかず暮らしが厳しくなっており、賃金引き上げは当然です。公務員の給与引き上げが他の労働者の賃金引き上げや地域経済に波及が見込まれるなど重要です。
 しかし、議員や特別職の報酬は、そもそも県民の所得水準と比較しても高いものであり、考えを別にすべきです。復興途上の中、避難先から戻れない県民や震災、原発事故で苦しんでいる県民の目線で判断すれば、引き上げはすべきでなく、議案第111号、113号には反対です。
 議案第167号「憲法第9条の改正に反対する意見書」についてです。
 安倍首相は憲法9条に自衛隊を明記することを表明しており、臨時国会の所信表明でも改憲の議論を前に進めると述べました。それは単に存在する自衛隊を憲法で追認するだけにとどまるものではありません。後からつくった法は前の法に優先するとの法律の一般原則ですから、9条第2項、戦力不保持は死文化し、狙いどおり武力行使を目的にした海外派兵や集団的自衛権の全面的発動が可能となります。
 今、トランプ政権のもとで危険が広がっています。北朝鮮の核、ミサイル開発への軍事圧力の強化やイスラエルの首都をエルサレムと認定したことで戦争勃発の可能性が高まっています。米政権のもとで先制攻撃が公然と議論されている中、安倍首相は「我々は100%米国とともにある。」と繰り返し、トランプ追従は異常です。憲法の自衛隊明記はトランプ氏の戦争に一層前のめりになることにほかなりません。
 今直面している北朝鮮の無法行為、弾道ミサイル発射や核実験をどう解決していくのか。世界各国は戦争だけは避けなければならない、対話こそ必要であり、平和的に解決することを切望しています。まさに日本国憲法9条そのものが生かされるべきであります。9条改正により地方自治体も大きくゆがめられ、自治体職員、県民も動員されるおそれがあります。
 福島県民においては、東日本大震災や原発事故で頑張ってくれた自衛隊の若者の命を海外の戦争で失わせてはならないと願っています。
 多くの国民の合意のない中、発議そのものも認められません。よって、憲法九条の改定に反対し、憲法審査会での審議は行わないよう求める本意見書は可決すべきであり、関連する請願134号は採択すべきです。
 議案第175号「米の生産費を補塡する価格下支え制度の確立を求める意見書」についてです。
 来年から国が需給調整から完全に手を引き、10アール当たり7,500円の直接交付金も廃止されます。生産調整は完全に生産者任せ、市場任せにされようとしています。生産費が保障されない限り、再生産はますます困難になっていきます。家族経営で支えられている農業はもちろんのこと、大規模農家ほど影響が大きくなります。
 ある大規模農業者の方は「価格補償をなくし、飼料米等米以外の支援といっても、雇用の確保や後継者を育てることも困難になり、真綿で首を絞められるようだ。」と言います。米づくりをやめ、離農するところが続出することが懸念されます。地域経済が疲弊することにつながります。
 欧米諸国は農産物の下支えをし、環境、国土保全、農村文化など多面的機能維持のために助成を行っています。ヨーロッパでは農家所得の8割以上が直接支払いです。
 国民の主食を守り、地域経済を守るために、この意見書は可決、関連する請願150号は採択すべきです。
 議案第75号、議案第76号県の行う建設事業等に対する市町村の負担の追加及び一部変更については、大震災、原発事故で苦しんでいる市町村に負担をさせるべきではなく、追加の負担がふえる本議案には反対です。
 以上の理由から、知事提出議案第75号、第76号、第102号から第105号、追加議案第111号及び第113号には反対、議員提出議案第167号及び第175号は可決、請願134号及び150号は採択すべきとの立場を表明し、討論を終わります。

議長(吉田栄光君)以上をもって、討論を終結いたします。

26番(宮川えみ子君)宮川えみ子です。日本共産党を代表して、継続議案第57号決算の認定については、不認定の立場で討論を行います。


 2016年度は、大震災、原発事故からちょうど5年が経過した年でした。一般会計決算は、復興・創生のスタートに向けて、第3次復興計画及び人口減少対策を進めるとして、5度にわたる補正予算を組み、歳入歳出とも震災、原発事故当時の2011年度に次いで過去2番目の規模でした。歳入が2兆1,618億円、歳出が2兆704億円でした。しかし、県民アンケートでは、2割しか復興が実感できていないと答えているように、復興はこれからという状況でした。
 国は安倍政権のもとで、福島の事故も被害も終わったことにして、原発再稼働を推進し、強行した安保関連法を実施に移し、消費税増税と法人税減税の一体的方針、社会保障切り下げなどあらゆる分野で国民の願いと逆方向、国政の転換なしでは県民の暮らしや経済の再生・復興も、安全・安心も守られないことがいよいよ明瞭になった年でした。
 また、県民の健康悪化や関連死がふえ続けている中で、福島医大病院では紹介状のない患者からの特別料金の大幅値上げ、高い自殺率、教育現場での新たな問題、虐待の増加率が全国一ふえたことなど、他県とは違う複雑多様な原発事故特有と見られる新たな問題も表面化してきた年でした。
 日本共産党県議団は被災現場に足を運び、切実な声を聞き、県政に反映させることを活動の基本にしてきました。住まい、なりわい、暮らしの再建はこれからという状況であり、県民に寄り添った県政が求められましたが、次のような問題を指摘しなければならないと思います。
 まず第1は、県民の一人一人の暮らしの復興についてです。
 県がことし3月末で自主避難者の住宅無償提供を打ち切ることを決定したのもこの年です。このことで関係者の皆さんの混乱と厳しさはピークに達し、今日退去の裁判にまで追い込まれています。国の避難指示の有無で差別をすべきではなく、県は県民に寄り添って国に対し県民の立場で支援すべきでした。
 東電は営業賠償の打ち切り、値切りを行ってきましたが、県は具体的行動を起こしませんでした。賠償の打ち切りや値切りなどで中小業者はじりじりと追い込まれ、営業の継続ができない事業者も多く、県内経済に与える影響も懸念されています。原発事故さえなかったら、この地で暮らし、商売を営んでいけた方々に、もう終わったとばかりに実態を見ない打ち切りを進めることはやめるように国にしっかり言うべきです。
 私どもは大企業呼び込み型ではなく、地元企業や福祉型産業を支援し、家族型農業支援などを求めてきましたが、県は多額の予算を使うイノベーション・コースト構想を進める一方、国際的問題になっているCO2削減に背を向ける石炭火発推進政策をイノベーション・コースト構想に位置づけ、多額の予算を使って石炭の輸入対策として小名浜の人工島を増設するという立場でした。世界の流れはCO2排出ゼロの世界を目指し、中国やヨーロッパの産業界などでは、それを商機として捉え、脱炭素産業に邁進です。原発にこだわった東芝が危機に陥ったことを見るべきです。
 イノベーション・コースト構想と言いますが、拠点事業の継続性、採算性はどうか、過大投資とならないか、ふくしま医療機器開発支援センターのようなことが起きないかが問われます。
 人手不足が深刻な浜通りの医療・介護スタッフ確保のための独自支援は見えず、子供の貧困が問題になっている中、学校給食費無料化支援もありませんでした。大震災以降慢性的な人手不足が続き、職員の長期休職者数が高どまりになっている県職員の増加は乏しく、一方で人事評価制度導入を行いました。
 復興住宅建設について、URからの買い取り価格が他の事業者からのと比べて特別に高価で、県民感情からは納得はできません。
 さらにこの年は補助金不正受給関係事案が続出しました。ふくしま産業復興企業立地補助金では株式会社ルキオと株式会社CKUが、福島県中小企業等グループ施設等復旧整備補助金では株式会社鮮味と株式会社PCプラスが、ふくしま産業復興雇用支援助成金では株式会社鮮味と株式会社ルキオが、福島県地域創生総合支援事業補助金では特定非営利法人NPOほうらいが、ふるさと・きずな維持・再生支援事業補助金では特定非営利法人NPOほうらいが不正受給をし、またいわき市のいわきコールセンターの補助金返還を求められた問題なども含め、次々と明らかになりました。
 第2は、原発問題についてです。
 安心して住みたいと願う、また避難先から戻りたいと思っている県民の願いに反しているのが、福島第二原発の廃炉が実現しないことです。第二原発廃炉について、全県を挙げての動き、県民集会の提案をしましたが対応はなく、その実現のための特別な動きも見えませんでした。
 県独自で福島原発事故の検証を、国任せにせず検証委員会を立ち上げ検証をすべきと求めましたが、国の仕事と言うのみでした。新潟県は独自で福島原発事故の検証を行っていることから見ても、大きな違いです。
 原発再稼働は県民世論調査では圧倒的多数が反対であるように明瞭に示されていますが、福島県は今もって他県の原発再稼働に口を出さないという立場をとり続けています。
 先週の12月13日、広島高裁は四国伊方原発3号機の運転差しとめを認めました。広島、愛媛の両県の住民の申し立てを却下した広島地裁判決を取り消したのです。裁判長は阿蘇の過去の噴火で火砕流が到達した可能性はあることを示し、地図を見ると熊本地震の断層は阿蘇山を通過し、一直線にほとんど地続きの伊方原発に向かって走っています。
 10年前の新潟県中越沖地震では、柏崎市で震度6強を観測し、柏崎刈羽原発3号機建屋外部の変圧器から出火したとき、共産党県議団は調査に行きましたが、敷地全体が砂地であったのを見てぞっとしたことを思い出しました。
 福島県境から柏崎刈羽原発まで約53キロ、40年超えの老朽原発のさらなる20年延長の茨城県東海第二原発は同じく約40キロ、さきの地震で危うく難を逃れた宮城県女川原発は同じく約76キロです。事故が起きたら県民に重大な影響を及ぼすことに対し、何ら意見を言わないのでは県民に対して責任はとれません。昨年までの県の姿勢が問われると思います。
 第3は県民の立場で国に求めることについてです。
 安倍政権のもとで、大企業優遇の政治がますます進行し、安心して子供を生み育てる環境が脅かされ、老後の不安が広がり、地方の疲弊が広がっています。
 憲法問題で、知事は憲法3原則があってこそ戦後の日本が発展したと言いますが、憲法九条改正はさきに述べたように県政、県民に重大な影響を及ぼします。原発問題はもちろんのこと、国に言うべきことを言わなければ、県民を守り、福島県の発展がないことを申し上げ、継続議案第57号決算の認定については不認定といたします。
 以上で討論を終わります。


議長(吉田栄光君)以上をもって、討論を終結いたします。

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