2018年2月定例会 一般質問 伊藤達也議員
議員 | 伊藤達也 |
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所属会派 (質問日現在) | 公明党 |
定例会 | 平成30年2月 |
質問等 | 一般質問 |
質問日 | 3月5日(月曜日) |
7番(伊藤達也君)公明党の伊藤達也です。通告に従い質問をさせていただきます。
初めに、沖縄県との交流についてであります。
福島空港の活性化のため、昨年12月に実行委員会形式で福島空港活性化による観光振興シンポジウムを郡山市で、福島空港利用促進協議会を初め200名近くが集い、開催をさせていただきました。畠副知事にも御挨拶を頂戴し、国交省航空局の航空ネットワーク部長に御講演いただき、東北運輸局観光部長をコーディネーターに、県観光交流局長、ANA総合研究所、郡山市長、国会議員がパネリストとして御参加いただき、パネルディスカッションを行い、そこで今後の福島空港の活用についてさまざまなアイデアが出されました。
そこでは、退役後の政府専用機の福島空港への展示を初め空の駅や滑走路を利用したマラソン大会の開催、防災基地としての整備、MRJ国内試験飛行基地の誘致、大学と連携したパイロットの訓練拠点としての活用、バスやタクシーなどの交通ネットワークの整備、2020年東京オリンピック・パラリンピックにおけるビジネスジェットの誘致や外国人記者の呼び込み、福島を東京の奥座敷としてPRするなどが提案されました。
今後も定期的にシンポジウムを開催してさまざまな知恵を結集しながら、福島空港活性化に向けて、産学官が連携して取り組む必要性を感じております。
そのような活動を行っている中、私は昨年の6月議会で、平成15年2月13日に締結したうつくしま・ちゅらしま交流宣言を生かして、沖縄との定期路線再開に向けた沖縄県や航空会社等との協議会設置の提案をさせていただきました。一時は年間9万人近くが利用しておりましたが、平成21年以降は路線が途絶えており、何とか再開させることが福島空港というかけがえのない財産を守ることだと考えております。
東日本大震災から7年目となることし3月には、約3年ぶりに福島と沖縄-那覇間のチャーター便が運航されるといううれしいニュースもあります。
そうした状況を踏まえ、県は定期路線再開を初めとした沖縄県との交流促進にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。
次に、知的財産の活用についてであります。
今年度第7回ものづくり日本大賞内閣総理大臣賞をいわき市の小松技術士事務所長の小松道男氏が受賞されました。これは、植物性由来の生分解性樹脂を射出成型で量産できる技術群であり、開発した技術群のすばらしさもさることながら、成型機メーカー、金型メーカー、大学教授、技術者、弁理士でチームをつくり、国内特許10件、海外特許28件を取得し、まさに知財戦略が成功したよい例です。今後世界的に深刻な海洋プラスチックごみ問題解決にも大いに期待が持てますし、県としても県内開催の会議やイベント等で活用し、積極的に本県の高い技術力を発信すべきだと考えます。
また、昨年日本弁理士会の知財広め隊セミナーの第1回が本県で開催され、多数の方が参加し、知財に関する関心が高まっています。この流れを一過性で終わることなく持続的なものとして定着させ、知的財産の活用により県内中小企業の振興、さらには地域経済の発展を図る必要があります。
そこで、まずは類似技術や既存技術の調査から、マッチング、新技術、製品の開発、特許、意匠登録申請、事業化までをワンストップで支援する県としてのプラットフォームの体制強化が喫緊の課題だと考えます。
また、川崎市が進めている大企業が持つ死蔵特許の調査とマッチングも本県において検討すべきです。それにより、福島県の優秀な技術者、研究者、経営者が定着、起業するとともに、福島県に行けば十分な中小企業、ベンチャー育成支援が受けられると、企業誘致もふえると考えられます。
そこで、県は知的財産の活用促進にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。
次に、航空宇宙関連産業の集積についてであります。
政府が平成27年12月に作成した航空産業ビジョンによると、2030年に売上高3兆円の目標に向け、今後完成機、エンジン、装備品等さまざまな分野で国産比率を高め、自動車に続く我が国の基幹産業として発展させることを目指すとされております。
また、昨年5月には宇宙産業ビジョン2030を作成し、衛星データ活用など宇宙利用産業と宇宙ベンチャーの育成を同産業振興の柱に据え、現在1.2兆円の産業規模を30年代早期に倍増させるとしています。
このような政府の方針も踏まえ、航空宇宙関連産業の集積を目指す本県こそがそのモデル県となり、国を牽引する取り組みを進めるべきと考えております。
これまで県は新規参入を目指す企業を対象に、専門家派遣等により企業の品質保証の認証取得支援を行っているほか、地元大学と連携した加工技術向上に取り組むなど、人材育成、技術力向上を支援しております。このような取り組みを進めながら、今後は具体の取引拡大に向けた取り組みを強化し、地域産業の振興と雇用創出に努めることが極めて重要であります。
また、宇宙産業は人工衛星やロケット、地上装置を初めとした宇宙機器産業と衛星放送や携帯電話、カーナビ等の宇宙利用の2つに分かれており、特に宇宙機器産業の人工衛星の分野ではアンテナや推進機器、光学機器が米国より優位に立っており、この分野への投資がより地域経済波及効果が高いと推測されます。こうしたさまざまな状況を慎重に分析しながら、JAXAや宇宙工学を持つ大学との連携を進めるべきだと考えております。
そこで、知事は今後の成長が見込まれる航空宇宙関連産業の集積にどのように取り組んでいくのか、お尋ねいたします。
次に、救急医療相談体制の充実についてであります。
県によると、救急車の救急搬送人員は平成11年の54,320件から平成28年の74,442件と、17年間で約37%増加しています。
一方、救急車の台数は17年間で121台から132台と約9%の増加にとどまっています。
突然の激しい頭痛や高熱、支えなしで立っていられないほどふらつく、顔半分が動きにくい、しびれ、ろれつが回らないなどの症状が出たら迷わず119番をすべきですが、平成28年の救急車利用者の約50%が入院を必要としない軽症者でした。
県内の救急搬送件数は、過去5年間、7万4千件前後をほぼ横ばいで推移しておりますが、全国的な救急搬送件数はほぼ一貫して増加しており、本県においても震災による社会構造の変化や地理的条件を見れば、救急車の適正利用に向けて先手を打った対策を講じることが必要です。
東京消防庁を初め全国11の地域では、♯7119という救急安心センターを開設し、医師や看護師、救急隊経験者等の職員が24時間年中無休で応対し、緊急性の有無や適切な診療科目、医療機関の案内をしています。
福島県は、毎日午後7時から翌朝8時まで、夜間に急にぐあいの悪くなった子供さんの保護者等からの相談のため♯8000番の福島県こども救急電話相談を開設はしていますが、子供の日中のけがや病気も多く、また高齢化社会となり、やはりお年寄りへの救急車の出動が多いことから、福島県としても県民の命を守るため、♯7119という救急安心センター事業を導入する必要があると思います。
また、消防庁では症状の緊急度判定を支援し、利用できる医療機関や受診手段の情報を提供する全国版救急受診アプリ、Q助を作成し、平成29年5月25日から配信しています。該当する症状を画面上で選択していくと、緊急度に応じた必要な対応、例えば「今すぐ救急車を呼びましょう」や「緊急ではありませんが医療機関を受診しましょう」等が表示され、その後、医療機関の検索や受診手段の検索を行うことができるものですが、内閣府の世論調査では、この認知度が1.7%と非常に低い状況です。
そこで、救急医療相談体制の充実を図るべきと思いますが、県の考えをお尋ねいたします。
次に、ICTを活用した地域医療連携ネットワークの利用促進についてであります。
医療機関相互の連携、さらには福祉・介護施設等との連携を進めていく上でも、ICTを活用した地域医療連携ネットワークを構築することが県民の安全・安心の向上につながると考えております。
福島県ではICTを活用した地域医療連携ネットワークシステムであるキビタン健康ネットの運用が始まっておりますが、より多くの医療機関等に加入を促しながら、医療現場で効率的に利活用されるよう医療データの流失防止策にも配慮した上でその機能を強化させなければなりません。
キビタン健康ネットがうまく活用されれば、ほかの医療機関等で行われた患者の検査、治療、服薬等の情報をインターネットを介して入手することができ、検査、服薬の重複削減による業務の省力化や入院、退院時にきめの細かい治療の継続が可能となります。
また、医療情報の分散バックアップが行われることで、津波等災害による情報の喪失を防ぎ、発災後避難所等でより早く処置が行われるなどの効果も期待されます。
そこで、キビタン健康ネットについて、どのように利用を促進していくのか、県の考えをお尋ねいたします。
次に、北朝鮮の弾道ミサイル発射への対応についてであります。
昨年北朝鮮によるミサイル発射が繰り返され、本県においても二度も弾道ミサイルへの警戒を知らせる全国瞬時警報システム、Jアラートが発動しました。
Jアラートは弾道ミサイル情報、緊急地震速報、津波警報など対処に時間的余裕のない事態に関する情報を瞬時に政府から国民へ伝達するシステムで、2007年から運用が始まっており、発信される情報は25項目で、そのうち弾道ミサイルによる攻撃など11項目については、自治体の防災行政無線などを通じて住民に知らせる非常にすぐれた機能です。
昨年の北朝鮮からミサイル発射を受けて3分後には「建物の中または地下に避難してください」とのメッセージが流れました。
安全保障環境が大きく変化している今日、国民保護法に基づくテロのみならず武力攻撃を想定した訓練が必要だと考えます。特に、ミサイルを飛ばされたら逃げる場所がない、訓練に意味があるのかと不安を感じる人も多く、防災教育のように自治体による丁寧な説明が必要です。弾道ミサイルが日本上空を通過中に、何かのふぐあいで破片が落下するおそれもあり、屋内であれば窓のない部屋に移動することや、屋外で姿勢を低くし身を守るなど、みずからの生活環境の中でどのようにして命を守るのか、県民一人一人が考えることが大切です。
そこで、県は弾道ミサイル発射等に備え、どのように対応していくのかお尋ねいたします。
次に、動物愛護施策の充実についてであります。
昨年4月にオープンした県動物愛護センターを昨年、その後厚生労働副大臣となった高木美智代衆院議員とともに、公明党福島県本部議員団で視察をさせていただきました。昨年の動物愛護週間には、愛称がハピまるふくしまになり、福島県民の動物愛護施策の発信拠点として大いに期待されます。
視察において、何点か気になるところがございました。一つは人員の確保です。現在の獣医師は5名ですが、一人に対する負担が大きく、増員が必要だと考えます。また、悪臭防止のための排水対策も必要だと思いましたし、会議スペースもあればと感じました。福島県が動物愛護モデル県を目指し、殺処分ゼロに向けた施策を推進するためにも、そのシンボルである動物愛護センターの機能強化が必要であると考えます。
そこで、県は動物愛護センターの機能をどのように強化していくのかお尋ねいたします。
動物愛護法で個体識別等による所有の明示等を飼い主の責務としています。その方法として、マイクロチップによる個体識別は、先端電子技術を応用した識別方法で、消えない、脱落しない、取り外せない、動物の一生にわたり有効という特色を持っており、逸走した場合に所有者の発見を容易にします。そのため、行政に保護収容された犬等の返還率の向上にもつながり、ひいては殺処分数の削減につながることから、県としても広く普及する必要があると考えます。
そこで、県は犬猫殺処分ゼロに有効なマイクロチップ装着の啓発にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。
次に、若者のUターンの促進についてであります。
福島県では大学等に進学する高校生のうち、約7割の学生が県外の大学等に進学し、そのうち卒業後県内に就職のために戻ってくる学生の割合は2割と言われております。若者の県外流出により県内企業では深刻な人手不足が続いており、新卒就職者や転職者を初め県内企業への就職に向け、Uターンを強力に推進していくことが重要と考えます。
そこで、県は若者のUターンの促進にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。
次に、建設業の担い手の確保についてであります。
東日本大震災からの復旧・復興に取り組む本県にとって、基幹産業である建設業は社会基盤の整備や維持のために重要な役割を担っていますが、近年本県に本社がある建設会社への就職希望者が減っています。
本県は、ふくしま建設業振興プランに基づき、建設業の担い手の育成・確保に取り組んでいますが、昨年12月の県内有効求人倍率は1,47となり、職種別では建設等が2.97倍と高く、県内建設業では深刻な人手不足の状態が続いています。
また、リクルートワークスが昨年発表した全国の大卒求人倍率は1.78と、好業績や人手不足を背景に企業の採用意欲が高く、また昨年12月1日時点の大学生の就職内定率が86%となり、調査を始めた96年以降最高となりました。学生にとって売り手市場が続いており、他業種や同じ建設会社でも首都圏等に本社を持つ大企業への人気が高く、本県を支える地元建設業の人材確保が課題となっています。
そこで、県は県内建設業の担い手の確保にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。
また、今の若者は賃金よりも休暇がしっかりとれるほうに関心が高く、建設業における週休二日の推進が重要であると考えます。
県は、建設業における週休二日の推進に向けどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。
次に、保育人材の確保についてであります。
県内では都市部を中心に保育所等の待機児童が生じており、保育の受け皿確保が重要な課題であるとともに、そこで働く保育人材を十分に確保していく必要があります。
そのためには保育士を目指す高校生が保育士養成施設に進学し、そして養成施設を卒業した学生が県内の保育施設に就職してもらえるよう、保育士を目指す学生への支援が大切であると考えます。
そこで、県は保育人材の確保にどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。
次に、県職員のワーク・ライフ・バランスの推進についてであります。
過労死が社会問題となり、働き方改革が叫ばれる中、働く人の立場に立った労働者の体調管理に万全を尽くしながら、労働生産性の向上を目指すべきです。
公明党は、労働時間の上限規制だけでは不十分で、退社から出社までの一定の休息時間を確保する勤務間インターバル制度の導入を強く訴え、政府の働き方改革実行計画にも盛り込むことができ、今後はその普及を促していきたいと考えております。
福島県庁は、深夜まで電気がこうこうとついており、福島の復興と発展のため、職員の皆様に遅くまで必死に働いていただいておりますが、県が率先して職員の働き方を見直し、仕事と生活の調和、いわゆるワーク・ライフ・バランスの実現に取り組むべきだと考えます。
そこで、職員のワーク・ライフ・バランスを推進すべきだと思いますが、県の考えをお尋ねいたします。
次に、朝河貫一博士没後70年の顕彰事業についてであります。
昨年の6月議会で提案をさせていただきましたが、本県が生んだ世界的歴史学者で平和の行動者である朝河貫一博士の功績を県内外に発信するため、没後70年に当たり、朝河貫一博士顕彰協会を初めとする各団体においてシンポジウムや講演会等が予定されているところであり、この機会に県教育委員会も積極的に参画し、朝河博士の功績を県内外に広く発信すべきだと考えております。
このような取り組みにより、朝河博士の功績を知ることで、福島県の児童生徒が福島に誇りを持ち、国際社会の平和と発展のために活躍できる人材が陸続と輩出できると期待しております。
そこで、県教育委員会は朝河貫一博士の没後70年に当たり、博士の功績を多くの児童生徒に伝えるためどのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。
次に、民泊事業への取り組みについてであります。
観光庁が昨年行った調査では、訪日観光客の14.9%が一般住宅を宿泊施設として活用する民泊を利用しています。LCCで訪れ、民泊を利用するケースが多く、6割が20代以下で、国別ではシンガポールが39.5%と最も高く、フランス、インドネシア、オーストラリア、カナダが27から35%台で続きます。
本年6月に住宅宿泊事業法、いわゆる民泊新法が施行され、これまでの旅館業法に基づく許可や特区民泊の認定がなくても、貸主が県に届け出れば年間180日を上限に民泊事業ができるようになります。違法な民泊に対する罰則強化を盛り込んだ改正旅館業法も昨年成立しましたが、無許可営業のみならず、合法的な民泊に対しても騒音やごみなどの近隣トラブルや安全上の問題も懸念されるところです。
例えば東京都大田区では住宅地での民泊を禁止する条例が全国に先駆けて昨年成立しており、東京23区ではほかに17区が検討しており、新宿区、世田谷区、文京区、中野区でも住宅専用地域での民泊営業を週末に限定する規制を検討しています。
また、京都市では民泊施設の800メートル以内に管理者の常駐義務を検討しており、さらに物件の所在や業者名もホームページに掲載するなどの措置を設けようとしている自治体もあります。
一方で、特に東京オリンピック・パラリンピックに向け、海外から多くの観光客が予想され、野球・ソフトボールの開催地である本県においても民泊の利用が進むのではないかと考えられます。
そこで、県は住宅宿泊事業法の施行に当たり、どのように取り組んでいくのかお尋ねいたします。
次に、歩行者の交通安全対策についてであります。
交通ルールを守ることが交通事故防止につながります。しかしながら、交通違反を見かけることは日常生活において多くあります。運転中の携帯電話の使用や黄色車線での車線変更、そしてもう一つが横断歩道で歩行者がいてもとまらないケースです。
JAFが2017年に各都道府県2カ所の全国94カ所、信号機のない横断歩道で歩行者が横断しようとした状態での車両10,251台を対象に、晴天の平日の10時から16時に調査したところ、車両停止率0から4.9%が最多の37カ所、5から9.9%が31カ所となっており、最多の停止率である75から79,9%はたったの1カ所となっており、一時停止率は8.7%と、90%以上の車が停止しませんでした。
道路交通法では、車両等は横断歩道に接近する場合、横断しようとする歩行者がいないことが明らかな場合を除いて、横断歩道直前または停止線で停止することができるような速度で進行しなくてはならない。横断している、もしくは横断しようとしている歩行者がいる場合は横断歩道直前で一時停止し、その通行を妨げてはならないと規定されており、停止しないのは明らかに交通違反であり、違反した場合の罰則としては3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金、過失の場合は10万円以下の罰金、違反点は2点となっています。
横断中の歩行者が万一事故に遭えば、重大な結果になりかねません。歩行者が犠牲となる交通事故を防ぐためには、交通マナーを守るための啓発や取り締まりなど、警察による取り組みを強める必要があります。
そこで、歩行者の交通事故を防止するための県警察の取り組みをお尋ねいたします。
次に、フレイル対策についてであります。
老化に伴い筋力などの運動機能や日常の活動量、認知機能などが低下した虚弱の状態を2014年に日本老年学会はフレイルと名づけました。国内の75歳以上の1割から2割がフレイルとの推計があります。
フレイルの条件は、1、半年以内に2キロから3キロ以上の体重減少、2、男性26キロ未満、女性18キロ未満の握力低下、3、「自分が活気にあふれている」との質問に「いいえ」と回答、4、歩行速度が毎秒1メートル未満、5、外出が1日1回未満の5項目のうち3項目以上に該当することです。
東京都健康長寿医療センターの研究チームによると、フレイル状態だった人が、要介護認定を受けるなど自立度に影響が出る危険性は、そうでない人よりも2.4倍高くなるとしております。特に要介護認定を受けたり死亡したりする危険性は、フレイルの判定を受けた方がそうでない方よりも74歳までの前期高齢者では3.4倍高くなるとの結果が出ました。
県は、全国に誇れる健康長寿県を目指した取り組みを進めているところですが、健康寿命を延伸するためには若いうちからのフレイル対策に取り組む必要があると考えます。
そこで、健康寿命を延伸するため、高齢者の虚弱状態、いわゆるフレイルの予防に取り組むべきと思いますが、県の考えをお尋ねいたします。
最後に、障害基礎年金制度の周知についてであります。
障害基礎年金は、国民年金に加入している間にかかった病気やけがだけでなく、先天性や子供のころの病気やけががもとで、一定以上の障がいが残った方にも20歳から支払われます。しかしながら、障害基礎年金の決定請求の手続を各市町村の窓口で行わなければなりません。
これを保護者が知らずに、本来給付されるべき障害基礎年金を受けられず、厳しい生活を送っている世帯もあり、やはり障がい児入所施設の子供の保護者などに対しまして、社会保険労務士会等によるセミナーや講習会を開くべきだと考えます。
そこで、障がい児入所施設利用者、保護者等へ障害基礎年金制度を周すべきと思いますが、県の考えをお尋ねいたします。
以上で私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
副議長(柳沼純子君)執行部の答弁を求めます。
知事(内堀雅雄君)伊藤議員の御質問にお答えいたします。
航空宇宙関連産業の集積についてであります。
本県には航空機エンジン部品を生産する中核企業が立地するとともに、会津大学や多くの地元企業が小惑星探査機はやぶさ2の製造にかかわるなど高いポテンシャルを有していることから、航空宇宙関連産業を福島の地に根づかせ、復興を牽引する産業の柱に育てていくことが極めて重要であると考えております。
このため、航空宇宙フェスタやJAXAタウンミーティングin福島を開催し、航空宇宙関連産業の普及啓発を図るとともに、福島大学や中部地方の専門機関と連携した講座の開催による人材育成支援に加え、エアロマート名古屋などの国際的な商談会出展等への取り組みを通じて取引拡大に努めてきたほか、企業立地補助金等を活用し、関連企業の新増設を支援してきたところであります。
今後は、ハイテクプラザへ計画的に高度先進機器を導入し、一貫した生産工程の構築に向けた企業間の連携等を支援するとともに、宇宙産業へのさらなる参入促進のため、新たにJAXAとの技術交流会を開催し、本県企業の高い技術力をアピールするなど、航空宇宙関連産業の育成・集積に積極的に取り組んでまいります。
その他の御質問につきましては、関係部長等から答弁をさせます。
総務部長(伊藤泰夫君)お答えいたします。
職員のワーク・ライフ・バランスの推進につきましては、業務効率化による超過勤務の縮減や「ゆう活」の試行等により働き方の見直しを進めるとともに、知事等によるイクボス面談を実施するなど職員の意識改革に取り組んでおり、今後とも職員が持てる力を十分に発揮しながら、仕事と生活の調和が図られるよう積極的に推進してまいる考えであります。
危機管理部長(小野和彦君)お答えいたします。
救急医療相談体制の充実につきましては、市町村や消防本部に対して、救急安心センター事業の説明を行う中で、地域ごとに異なる医療提供体制や救急要請の実態を踏まえた実践的な情報提供に努めているところであります。
今後は、導入に前向きな市町村の求めに応じた消防庁アドバイザーの派遣や県民に対しては救急搬送等の適正化につながるよう、全国版救急受診アプリ、Q助の周知に努めてまいる考えであります。
次に、ミサイル発射への対応につきましては、発射情報を確実に伝達するため、機器の点検や多重化について市町村に働きかけるとともに、県民に対してはみずからの身を守る行動についてきめ細かな周知に努めてきたところであります。
また、爆風等を避け、一時退避可能な公共施設、地下横断歩道等約180カ所を指定し、地図上で確認できるようわかりやすい周知に努めております。
今後は、これらの取り組みを拡充するほか、住民参加による避難訓練の実施について市町村との協議を進めてまいる考えであります。
保健福祉部長(井出孝利君)お答えいたします。
キビタン健康ネットにつきましては、事業の実施主体である福島県医療福祉情報ネットワーク協議会へシステムの構築に必要な設備整備等を支援してまいりました。
新年度は、新たに協議会が設置する医療圏ごとの実情に応じて医療機関に薬局や介護施設等も加えた検討会を通じ、利用施設からの意見をシステムの改善に反映させる取り組みや、担当職員を利用施設の窓口に配置し、登録患者数をふやす取り組みを支援するなど、さらなる利用促進に取り組んでまいります。
次に、動物愛護センターの機能強化につきましては、本年1月、保健福祉部の獣医師を対象に新たに整備した手術室を活用して、避妊、去勢手術の臨床研修を実施するなど、職員の専門性の向上を図っております。
引き続き、職員の適正配置に努めるとともに、施設の改修や車両の更新などを進め、動物愛護の拠点としての機能を一層充実させてまいります。
次に、犬や猫へのマイクロチップの装着につきましては、有効な個体識別の方法であると考えており、しつけ方教室を通じた啓発や県獣医師会と連携したマイクロチップの登録支援などを行っております。
引き続き、犬や猫の殺処分数の削減に向け、動物愛護週間や動物愛護センターでの譲渡会等、さまざまな機会を捉え、関係機関とともにマイクロチップの装着の啓発に積極的に取り組んでまいります。
次に、フレイルの予防につきましては、若い世代からの健康意識の醸成や栄養バランスのとれた食事、運動習慣が重要であることから、幅広い年代にさまざまな啓発を行うとともに、特に高齢者には介護予防の重要性をアピールするための県民大会を開催するなど、健康づくりの機運を高めてまいりました。
今後は、高齢者等が体操や趣味活動を行う地域の通いの場に、栄養、口腔機能など幅広い分野の専門職を派遣して助言を行うなど、栄養状態の悪化や運動機能低下の予防に積極的に取り組んでまいります。
商工労働部長(飯塚俊二君)お答えいたします。
知的財産の活用促進につきましては、これまで関係機関による連携体制を構築し、特許等出願経費への助成や無料相談窓口の開設等に取り組んでいるほか、今年度からは市場での優位な事業展開に結びつけるため、他社の特許情報等を把握する先行技術調査など戦略的な知的財産の活用を支援しております。
さらに、新年度からはデザインを重視した製品開発を支援することで、意匠等の権利化やブランディングの促進を図るなど、知的財産の活用を推進してまいります。
次に、若者のUターンにつきましては、これまでふるさと福島就職情報センター等においてきめ細かな就職相談を行うとともに、就職支援協定を締結した首都圏の16大学と連携した県内企業情報の発信や合同企業説明会等を実施したほか、先月には知事と70名を超える首都圏の学生等が復興や就職への思いなどを語り合うふくしま若者会議を開催いたしました。
今後は、新たにユーチューブによる企業動画の発信や県内企業ガイドブックの作成などを通して、県内企業の情報を広く発信するなど、Uターンの促進に積極的に取り組んでまいります。
土木部長(大河原 聡君)お答えいたします。
建設業の担い手の確保につきましては、昨年3月に策定したふくしま建設業振興プランに基づき、小学生を対象とした建設現場見学会や快適トイレ設置支援事業などを実施し、建設業のイメージアップや労働環境改善などを図っているところであります。
今後は、先月設立した福島県建設業産学官連携協議会を通じて、現行策の検証、改善を行うとともに、新たな施策の創出に取り組んでまいります。
次に、週休二日の推進につきましては、国の働き方改革実行計画に位置づけられ、若年労働者を初めとする担い手確保を図る上で重要な取り組みの一つであります。
このため、今年度から建設業における週休二日確保モデル工事を試行し、諸経費の割り増しを行うなど、取り組みやすい環境づくりに努めているところであります。
今後は、効果や課題を検証するとともに、対象とする工事件数の拡大を図るなど、週休二日の推進に向けて取り組んでまいります。
こども未来局長(須藤浩光君)お答えいたします。
保育人材の確保につきましては、これまでも保育士養成施設の学生に対する修学支援や就職支援を行ってまいりました。
新年度は、養成施設への進学時において、入学金等の負担により進学を断念することのないよう、入学金の支払い時期に合わせた貸し付けを実施するほか、本県での就職を促すため、県外で開催される保育士就職セミナーに保育施設が出展する際の経費を支援するなど、保育人材の確保に取り組んでまいります。
次に、障害基礎年金制度の周知につきましては、国の調査によると、保護者などが制度を知らず、請求しないため受給していない方がいることから、社会保険労務士会と連携し、障がい児入所施設等を通じて保護者に周知するとともに、発達障がい者支援センターを訪れた保護者へ助言を行うなど、受給要件を満たす方が適正に受給できるよう制度の周知に努めてまいります。
観光交流局長(橋本明良君)お答えいたします。
沖縄県との交流につきましては、うつくしま・ちゅらしま交流宣言に基づく交流活動をさらに促進するため、新年度両県を初め旅行関係者や経済団体などで構成する(仮称)うつくしま・ちゅらしま交流・福島空港利用促進連絡会を立ち上げ、連携の強化を図るとともに、伊丹空港での乗り継ぎ便を利用した双方向での交流活動への支援制度を創設することにより、両県の交流拡大と定期路線再開に向けた取り組みを積極的に行ってまいります。
次に、住宅宿泊事業につきましては、観光客のニーズの多様化への対応や宿泊場所の不足の解消に有効である一方、生活環境の悪化が懸念されることから、地域の実情に即した運営の確保が求められております。
このため、学校等の周辺区域における営業の一部を制限する条例案を提出したところであり、今後は事業実施のための留意点をまとめた手引書の作成や事業を検討している方を対象とした説明会を開催するとともに、関係機関及び市町村等との連携のもと、適切に対応できる体制を整備してまいります。
教育長(鈴木淳一君)お答えいたします。
朝河貫一博士の功績を児童生徒に伝える取り組みにつきましては、新年度新たに県立図書館において日米開戦回避のために博士がアメリカ大統領へ働きかけた親書の草案など、同館が所蔵する貴重な資料を展示するとともに、児童生徒向けにわかりやすく解説する講座を行うこととしております。
また、海外研修で博士の生き方や足跡を学んだ生徒の体験発表などを行うシンポジウムを開催するなど、没後七十年に当たり、博士の功績を広く発信し、児童生徒の心に刻んでまいります。
警察本部長(松本裕之君)お答えをいたします。
歩行者の交通事故防止対策につきましては、県内の交通事故による死者の約3割が歩行者であることを踏まえ、毎月1日を歩行者優先の日と定めて、警察官を交通量の多い交差点などに配置し、歩行者が安全に道路を横断できるよう誘導したり、交通違反の取り締まりを強化するなどの取り組みを推進しているところであります。
また、特に被害の多い高齢歩行者を対象に、歩行者模擬横断教育装置を活用した講習会を実施しているほか、子供を対象として模擬信号機や実際の道路を活用した交通教室を開催するなど、歩行者の安全確保に向けた取り組みを推進しております。