2019年9月定例会 提案理由説明 内堀雅雄知事
登壇者氏名 | 内堀雅雄知事 |
定例会 | 令和元年9月 |
提案理由説明 | 知事提出議案 第1号から第58号 |
説明日 | 9月9日(月曜日) 10月3日(木曜日) |
知事(内堀雅雄君)9月議会定例会が開催されるに当たり、当面する重要な議案を提出いたしました。
以下、そのあらましについて御説明いたしますいたしますが、それに先立ち、台風第15号につきましては、現在16市町村において土砂災害警戒情報が出されているところであります。引き続き、市町村、消防、警察など防災関係機関と緊密に連携をし、県民の皆さんの安全の確保のため万全を期してまいります。
次に、先月の九州北部を中心とした大雨によって亡くなられた方々に対し深く哀悼の意をあらわしますとともに、被害に遭われた皆さんに心からお見舞いを申し上げます。福島県では、被災された方々が一日も早くもとの生活を取り戻すことができるよう最大限の支援を行ってまいります。
続いて、県政の諸課題等について所信の一端を述べさせていただきます。
初めに、避難地域の復興再生についてであります。
この夏、大熊町のイチゴ栽培施設からの初出荷や浪江町における商業施設の開店、さらには南相馬市と新地町の海水浴場が9年ぶりに再開するなど、避難地域の復興が新たな時代、令和の幕あけとともに力強く歩みを進めております。
一方で、今もなお多くの県民が避難生活を続けておられるなど、複雑な難しい問題を抱えており、長い時間を要する福島の復興には、今後とも県民の皆さんが安心して復興に取り組むことができる体制、財源の確保が不可欠であります。
こうした中、7月に開催された全国知事会議では、復興・創生期間後のあり方について、47都道府県知事の合意のもと、国への提言を取りまとめていただいたところであり、8月に開催された福島復興再生協議会においては、専任大臣の設置と大臣がリーダーシップを発揮できる体制の確保、復興庁が担ってきた総合調整機能等を後継組織においても確保するよう強く訴えたところであります。引き続き、国が前面に立って、福島の復興に最後まで責任を果たすよう求めてまいります。
大熊町と双葉町における応急仮設住宅の供与期間につきましては、令和3年3月末まで一年間延長することといたしました。今後避難者の状況に応じた支援を進め、一日も早い生活再建につながるよう取り組んでまいります。
また、双葉町における特定復興再生拠点区域内の帰還者向け災害公営住宅等の整備について、町から県に対し代行整備の要請があったことから、円滑な事業実施に向け、今期定例会において関連する予算案を提出したところであります。
福島イノベーション・コースト構想につきましては、現在多くの大学や研究機関が浜通り地域等で活動しており、今後の構想推進を図るためにも、国内外からすぐれた人材が集う教育研究拠点のさらなる強化が必要であること等をこれまで国に要望してまいりました。
今回、国内外の人材が結集する国際教育研究拠点の整備や人材育成のあり方について検討し、提言を取りまとめるため、「福島浜通り地域の国際教育研究拠点に関する有識者会議」が復興庁に設置されたことから、議論に参加しながら、福島県としての思いや実情を伝えてまいります。
次に、環境回復について申し上げます。
中間貯蔵施設及び特定廃棄物の埋立処分事業につきましては、輸送計画に基づく除去土壌等の搬入や施設整備などが進められております。引き続き、環境安全委員会による国の取り組み状況の確認を初め関係自治体と連携し、輸送などの事業が安全かつ確実に実施されるよう取り組んでまいります。
福島第一原発の廃炉につきましては、先月今年度3回目となる廃炉安全監視協議会を開催したところであります。廃炉作業の安全かつ着実な実施は極めて重要であることから、今後とも東京電力の取り組みをしっかりと確認してまいります。
7月31日、東京電力の小早川社長から福島第二原発の廃炉を正式に決定したとの報告があり、これまで繰り返し求めてきた県内原発の全基廃炉という県民の強い思いが実現した大きな節目の日となりました。
しかし、廃炉完了までには長い期間を要することから、先月8日、経済産業大臣に対し、県内原発の安全かつ着実な廃炉、使用済み燃料の県外搬出、電源立地地域対策交付金代替財源の確保、地域の産業振興の4項目について緊急要望を実施したところであります。引き続き、国及び東京電力に対し、廃炉がしっかりと進められるよう強く求めてまいります。
次に、産業政策について申し上げます。
福島ロボットテストフィールドにおいては、既に多くの企業、研究機関が実証実験等を行っており、世界初の無人航空機の衝突回避試験が成功するなど数々の成果を上げております。
こうした中、本県と同様に空飛ぶクルマの開発及び実用化に取り組んでいる三重県との間で「空飛ぶクルマと空の移動革命の実現に関する協力協定」を締結いたしました。引き続き、福島の地から新たなイノベーションが発信できるよう、事業者及び関係機関との共働を進めてまいります。
これまで実績を上げてきた海外との連携を進化させるため、来月6日から12日にかけて、ドイツ、スペインを訪問いたします。
まず、再生可能エネルギー及び医療関連産業分野で連携覚書を締結しているドイツ・ノルトライン・ヴェストファーレン州を訪問し、これまでの企業間交流の成果を踏まえ、さらなる連携拡大と円滑化を図るための覚書を更新いたします。
また、ドイツ・ハンブルク州とスペイン・バスク州においては、両地域が風力発電を初めとした再生可能エネルギー関連産業の集積地であることから、県内企業の事業拡大を後押しできるよう、自治体間の連携関係を構築するための覚書を締結いたします。引き続き、経済、産業の振興に向け、国内外の先進地との連携を進めてまいります。
国内外で高い評価を得ている県産品につきましては、パッケージング等にデザインを活用し、商品開発を支援するため、ふくしまクリエイターズバンクを開設いたしました。引き続き、既存産業の振興に向け、販路の開拓及び拡大に取り組んでまいります。
次に、風評・風化対策について申し上げます。
7月に出席した世界経済フォーラム、ニュー・チャンピオン年次総会では、開催地の中国を含む各界のリーダーの皆さんと会談し、これまでの御支援に対する感謝の思いと福島県の復興状況を直接お伝えするとともに、交流を深めることができました。
今回改めて実感したことは、風評払拭に特効薬はなく、熱意を持って丁寧に情報を発信することこそが最善の方法であるということであります。例えば会期中、アラブ首長国連邦の食品安全大臣と行った会談がその後の県産食品の輸入規制の緩和につながったと考えているほか、中国北京で開催された国際園芸博覧会において県産花卉が高い評価をいただき、中国への輸出拡大の足がかりができたのも、こうした活動の成果と確信しております。また、ことし1月に訪問した香港からは行政区立法会議員と食品業界の関係者が福島を訪れました。
このように、これまで築いてきたネットワークが今大きな広がりを見せております。こうした動きを確かなものとするため、海外でセミナーを実施するなど、福島の今を理解していただく取り組みを初め共感・共働の輪を活用しながら、風評払拭に向け、福島の最新状況を正しく理解していただくアップデート、そして福島を訪問していただくビジットの取り組みを進めてまいります。
観光につきましては、平成30年の外国人延べ宿泊者数が過去最高を記録し、ことし前半の延べ宿泊者数も昨年を大きく上回っております。しかし、全国的な傾向を踏まえると、さらなる増加が期待できることから、本県ならではの「サムライ」や絶景、食の魅力を生かして、外国人目線に基づく戦略的な情報発信を進化させるとともに、台湾、ベトナムなど国際チャーター便の利用率向上の取り組みやふくしま秋・冬観光キャンペーンによる県内観光地の魅力発信を強化してまいります。
また、来月には、これまで東京で開催してきたふくしまの酒まつりを福島市でも開催をし、さらに全国的に高い評価を得ているみそやしょうゆなどの醸造食品について情報発信を行う味噌醤油まつりも同時に開催することとしました。県外の方々にも福島だからこそ味わえる酒や食のおいしさ、自然などのすばらしさに直接触れていただき、さらなる観光誘客と県産品の販路拡大につなげてまいります。
次に、県民の健康増進について申し上げます。
生活習慣病の予防には、特に発生リスクが高まるとされる働く世代への対策が重要であります。県民の健康づくりに対するさらなる意識の醸成を図るとともに、従業員の健康増進と企業の生産性向上を目指す健康経営への取り組みを進化させるため、市町村長及び企業トップを対象とした健康長寿ふくしまトップセミナーを開催し、オール福島で健康づくりを推進していく大切さを改めて皆さんと共有したところであります。今後とも、県民一人一人の健康づくりの実践はもとより、地域や職域へと輪を広げ、全国に誇れる健康長寿県の実現に向け取り組んでまいります。
次に、農林水産業の再生について申し上げます。
ことしは、梅雨の間の日照不足により、農作物の生育が心配されたことから、農作物の生育管理に関する技術情報を発信し、農家の皆さんには影響をできる限り抑える取り組みを進めていただきました。
こうした皆さんの御努力とその後の天候回復もあり、現在生育状況は平年並みとなり、東京、大阪など全国で実施した県産農産物のトップセールスにおいて、実際に食べていただいた皆さんの笑顔を拝見し、ことしも「ふくしまプライド。」が詰まった高品質の農産物をお届けすることができたと手応えを感じております。今後とも、産地の生産力、競争力の強化や県産農産物の販路拡大に努めてまいります。
水産業の再生につきましては、七月に富岡漁港から避難していた漁船が戻り、被災した県内の漁港全てが再開しました。また、水産資源研究所で育てたヒラメなどの稚魚を放流したところであり、県産水産物の安全性を確保し、高品質化と適切な資源管理を図るふくしま型漁業の実現に向けて取り組んでまいります。
来月6日には、ふくしま県民の森において、全国植樹祭の理念を継承するふくしま植樹祭を昨年に引き続き開催し、関係機関と連携しながら、未来へつなぐ持続可能な循環の森づくりを進めてまいります。
次に、子ども・若者育成について申し上げます。
先日、郡山市内の小学校から、県が作成した福島の魅力を伝える動画を参考に、自分たちも動画を作成したとのお便りをいただき、学校に伺って子供たちと一緒に鑑賞会を開きました。福島のことが大好きで一生懸命つくられたことが伝わり、大変心強く感じました。
また、ふたば未来学園中学校・高等学校バドミントン部の全国大会での活躍や会津学鳳高等学校美術部が黒板アート甲子園2019で最優秀賞に輝くなど、スポーツ、文化における本県高校生の躍進が私たちに感動と勇気を届けてくれております。
こうした子供、若者たちの取り組み、活躍は、ふるさとに誇りを持ち、みずから未来を切り開いていこうとする力を存分に発揮した結果であります。引き続き、郷土愛を育み、一人一人が夢や希望の実現に向けて伸び伸びと学ぶことができる環境づくりに取り組んでまいります。
県立高等学校改革につきましては、再編整備を予定している全ての学校において高等学校改革懇談会が開催されました。引き続き丁寧に説明を行うとともに、教育委員会と連携して魅力ある学校づくりを進めてまいります。
ふくしま新生子ども夢プランの次期計画につきましては、現計画の取り組み状況を踏まえ、県民意識調査を実施するなど幅広く意見を伺い、今年度末までに策定してまいります。
幼児教育・保育の無償化につきましては、来月から円滑に実施できるよう今期定例会に関連する予算案を提出したところであり、国、市町村等としっかり連携しながら丁寧に準備を進めてまいります。
次に、インフラの復旧等について申し上げます。
7月にJR東日本から、JR常磐線の全線復旧にあわせ、東京都区内と仙台市内を直通で結ぶ特急列車を運転することが発表されました。また、先月には国土交通省から相馬福島道路の全区間が来年度末までに開通する見通しであることが示され、さらに今月、常磐自動車道及び磐越自動車道の暫定二車線区間の一部が4車線化の優先整備区間に選定されました。引き続き、安全・安心の確保や交流人口の拡大などに向け、福島復興・創生の礎となるインフラ整備について、関係機関と連携しながら全力で取り組んでまいります。
次に、次期総合計画の策定に向けた取り組みについて申し上げます。
第一回目の総合計画審議会を七月に開催し、新計画策定の諮問を行ったところであります。復興の進捗状況などを踏まえ、現計画の全般的な点検を行い、未曽有の複合災害からの復興と急激な人口減少への対応を進めるとともに、県民一人一人が豊かさや幸せを実感できる福島県を目指し、長期的展望に立った基本的な方向性を示せるよう、幅広く意見を伺いながら新計画を策定してまいります。
次に、地方創生、人口減少対策について申し上げます。
本県の人口減少は、依然として全国的に見て厳しい状況にあります。そうした中、昨年度の本県への移住相談件数が前年度と比較して倍増し、移住世帯数についても昨年度は過去最高となり、40代以下の若い世代が移住者全体の七割以上を占めるなど、明るい兆しも見えております。
先日東京で初めて開催したふくしま0次会において、私も参加者と交流をする中で、ふるさとを離れていても何らかの形で福島県の役に立ちたいという思いが伝わってきて大変心強く感じたところであります。引き続き、県内外の各相談窓口における丁寧な対応など体制強化に努めるとともに、本県の魅力を発信し、一人でも多くUターン、Iターンされる方がふえるよう、定住・二地域居住の推進に取り組んでまいります。
次に、東京オリンピック・パラリンピック大会に向けた取り組みについて申し上げます。
オリンピックの開幕を告げるソフトボール競技の開催まで、いよいよ一年を切りました。この間、一年前カウントダウンイベントやソフトボール女子日本代表の合宿、世界少年野球大会の開催、さらに今月末には改修後のあづま球場においてこけら落としイベントが予定されるなど、大会に向けた機運が盛り上がりを見せております。
引き続き、都市ボランティアの研修など、開催に向けた準備を進めるとともに、大会において県産品がさまざまな場面で活用されるよう、GAP等の認証取得及びHACCPの導入を促進し、県産農林水産物や加工品の品質の高さ、安全性、信頼性を積極的に情報発信するなど、組織委員会を初め国、東京都、関係機関と連携して取り組んでまいります。
ことし小惑星探査機はやぶさ2に搭載されたメードイン福島の技術と製品が幾つもの困難なミッションを成功させるという快挙をなし遂げました。しかし、この成功に至るまでの過程には、技術的な問題だけでなく、東日本大震災と原発事故の影響という極めて困難な状況を乗り越えなければなりませんでした。
こうした逆境にあっても、福島の技術者たちは決して諦めることなく、不屈の精神を持って挑戦を続け、福島のものづくりの底力を世界に示してくれました。この偉業を支えたのが福島県人としての誇り「ふくしまプライド。」であります。
震災と原発事故から8年余りが経過する中、これまでもはやぶさ2を初めさまざまな分野における県民の皆さんのチャレンジが不可能を可能に変え、未来を切り開く勇気と希望を生み出し、前を向いて歩みを進める大きな力となっております。
これからも福島の復興・創生を力強く前進させるため、「ふくしまプライド。」を胸に、県民の皆さん、そして国内外の福島を応援してくださる方々との共働の輪を広げながら、未曽有の複合災害からの復興、そして人口減少問題という難しい課題に挑戦を続け、次の世代に夢と希望をつないでいけるよう全力を尽くしてまいります。
次に、平成30年度の決算について申し上げます。
平成30年度の予算につきましては、復興と地方創生の実現に向けて挑戦を続け、福島の未来を切り開くための当初予算に加え、インフラや教育環境等の整備による安全・安心の確保、農林水産業の再生に向けた取り組みなど喫緊の課題に対応するため、九度にわたる補正予算を計上してまいりました。この予算の執行に当たりましては、経費の節減、合理化を心がけ、実施に移すなど、年度間を通して適切な執行に努めてまいりました。これにより、一般会計の実質収支は74億6,700万円となったところであります。
提出議案について御説明を申し上げます。
令和元年度一般会計補正予算案につきましては、双葉町からの要請を受けた災害公営住宅等の代行整備、外国人観光客のさらなる誘客を促進するための海外メディア向けコンテンツの作成、発信や県内を周遊する旅行商品の造成に対する支援の拡充、福島空港を発着するチャーター便の運航支援、幼児教育・保育の無償化などに要する経費を計上いたしました。
これによる一般会計補正予算の総額は90億6,100万円となり、本年度予算の累計は1兆4,769億8,700万円となります。
特別会計等補正予算案につきましては、港湾整備事業特別会計など二会計につきまして、それぞれ所要の経費を計上いたしました。
その他の議案といたしましては、条例が福島県森林環境基金条例の一部を改正する条例など27件、条例以外の議案が公の施設の指定管理者の指定についてなど28件で、いずれも県政執行上重要な案件であります。
慎重に御審議の上、速やかな御議決をお願い申し上げます。
知事(内堀雅雄君)本日追加提出いたしました議案につきまして御説明申し上げます。
本日追加提出いたしました議案について御説明申し上げます。
これは、任期満了に伴う公安委員会の委員一名の後任委員の任命につきまして同意を求めようとするものであります。
速やかな御議決をお願いいたします。