2019年9月定例会 討論 吉田英策議員
議員 | 吉田英策 |
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所属会派 (質問日現在) | 日本共産党 |
定例会 | 令和元年9月 |
質問等 | 討論 |
質問日 | 10月3日(木曜日) |
13番(吉田英策君)日本共産党の吉田英策です。日本共産党県議団を代表して討論を行います。
まず、知事提出議案第4号、議案第6号、議案第11号、議案第25号、議案第33号及び議案第46号から議案第50号について、反対の立場で意見を述べます。
議案第6号「福島県税条例の一部を改正する条例」については、国による森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律制定に伴う規定の整備です。東日本大震災の復興増税として徴収してきた一人千円を上乗せしている個人住民税の均等割が2023年に終了することから、森林環境税と名前を変えて継続して徴収するものです。
個人住民税の均等割は、所得割が非課税の人にも課税される逆進性の高いものです。森林整備の財源は、国の一般会計の森林予算や地方交付税で保障すべきもので、新たな税負担を住民に求めるべきではありません。議案第四号も同趣旨により反対です。
次に、議案第11号「東日本大震災・原子力災害伝承館条例」は、アーカイブ施設を設置し、利用料金を設定するものです。この施設は、東日本大震災、原発事故の実相を後世に伝え、二度と同様の災害を起こさせないため、人類の教訓とすることが必要です。そのためには、将来を担う児童生徒にはもちろん、一般に広く開放すべきです。
この議案は、利用料金を設定するものですが、原爆の被害に見舞われ、核の恐ろしさを後世に残す目的の広島原爆資料館は小中学生は無料、高校生と65歳以上は百円、大人は2百円です。三春のコミュタン福島は入館料無料です。これらと比べても伝承館の入館料設定は高いと言わざるを得ず、むしろ無料にすべきです。
次に、議案第25号「福島県流域下水道条例の一部を改正する条例」です。流域下水道事業に企業会計を導入するものであり、経済性がより重視されます。政府は、地方自治体の上下水道事業に対して広域化、コンセッションなどを要請しています。今回の条例改正は、企業会計を導入するという政府の目指す流れの中にあることは明らかです。経済性の重視で利用料の引き上げが懸念されます。
県内の4つの流域下水道では、県中が1トン当たり56.3円に対し、二本松市は172.09円と、約3倍もの格差がついています。経済性、採算性を重視すれば、より一層の格差が生じかねず、住民サービスの低下につながります。
次に、議案第33号「県の行う建設事業等に対する市町村の負担の追加及び一部変更について」です。県が行う公共事業等に要する経費の一部を市町村に負担させようとするものです。
今回の議案は、新たに市町村に負担を求めるための追加を含むものです。大震災と原発事故からの復興の途上にある市町村を財政面からも支援すべきであり、負担を求めるべきではありません。
次に、議案第46号から議案第五十号の「訴えの提起について」です。この5つの議案は、東京東雲の国家公務員宿舎に住む避難者に対し、住宅の明け渡しと明け渡しまでの賃料を支払うことを求め、裁判に訴えるものです。
提訴を検討している世帯の中には、長期の避難で健康を損なっている方もおられ、提訴により病状悪化が懸念されています。公営住宅を10回以上も申し込んでも落選した人もいるといいます。また、5世帯中4世帯は追い出されても帰る家がないといいます。個別の事情を全く考慮しない対応であり、人道上も許されません。
委員会の審査でも個別の事情は明らかにされず、審査が終了したといい、これでは委員会の審査は不十分です。その上、県は入居者に2倍相当の家賃を請求し、経済的にも精神的にも追い詰めています。この方針は、そもそも国が指導したものです。原発事故により避難を余儀なくされた被災者であり、福島県が震災、原発事故での被災県民を訴えるということは余りにも異常なことで、言語道断です。協議を継続すべきであり提訴をすべきではありません。
議員提出議案及び請願について意見を述べます。
まず、継続議案第284号「教職員の長時間過密労働の解消を求める意見書」について意見を述べます。
県教育委員会は、先月20日、公立学校教員を対象に実施した勤務実態調査の結果を発表しました。中学校教員の一日当たりの勤務時間は平日11時間36分、前年度比で25分増となりました。過労死ライン月80時間を上回る可能性のある教員の割合は、小学校33.9%、中学校61.6%、高校34.7%、特別支援学校4.6%と依然高い水準にあることが明らかになりました。
県教育委員会は、教職員の長時間労働の解消のために教職員多忙化解消アクションプランを実施していますが、昨年度は多少の改善は見られたものの、本年度は悪化しており、依然多忙化解消にはなっていないことが明らかになりました。
ふえ続けるいじめ、不登校、問題行動、子供の貧困や発達障がいを抱える児童生徒へのきめ細かい対応をするためにも、ゆとりのある教育を実現するためにも、教職員の長時間労働の解消は喫緊の課題です。教職員定数の抜本的な増員でこそ教職員の長時間労働の解消ができます。よって、本意見書は可決すべきです。関連する継続請願二百十五号は採択すべきです。
次に、議案第289号「消費税率10%への引上げ撤回を求める意見書」です。
10月1日、安倍政権は国民の強い反対と危惧の声を無視して消費税率を10%に引き上げる大増税を強行しました。消費税が導入され31年、社会保障のためではなく、大企業と富裕層減税の穴埋めに使われました。また、貧困と格差の拡大に追い打ちをかけています。そして、国民の暮らし、景気、中小企業の営業を破壊し、日本を経済成長できない国にしてしまいました。「8%でも大変なのに10%はとんでもない」、「増税対策にお金を使っても、売り上げ減になれば元も子もない」、「商売をやめるしかない」、県民の声は深刻です。景気が落ち込んでいる中で増税をすべきでないことは明白です。
日本共産党は、消費税廃止を目指し、次の点を呼びかけています。一つは、消費税を景気悪化前の5%に戻し、長期にわたる経済低迷を打開すること。二つ目は、消費税減税に向けた野党の協議と共闘です。三つ目は、消費税減税と一体に賃上げ、社会保障、教育の負担軽減を行うこと。四つ目は、大企業と富裕層に応分の負担を求め、暮らし応援の財源をつくること。五つは、消費税減税のために政党、団体、個人が一致点で力を合わせることです。
本県は、震災、原発事故から8年7カ月、復興のさなかにあります。また、異常気象のもとで全国で被害が多発しています。被災者、国民、県民の暮らしを圧迫し、復興の足かせになる消費税増税は撤回すべきです。よって、本意見書は可決すべきです。関連する新規請願219号、220号は採択すべきです。
継続請願217号「生徒・保護者・住民の声を丁寧に聞き、合意のない高校の統廃合をおこなわないことを求めることについて」です。
県教育委員会が行う高校改革のための懇談会では、拙速な統廃合に反対の声が相次いでいます。小規模高校であっても、生徒の個性を伸ばし、社会に送り出すという大事な役割を担っていること、また地域の文化や活動の拠点になっているなどの意見が多数出されています。
福島県は、日本一子育てしやすい県を目指しています。福島県が先駆けて行った少人数教育は全国に誇れるものです。こうした中で、県教育委員会は日程ありきで半ば強引に統廃合の合意を取りつける姿勢は許せません。合意のない高校統廃合は行うべきではありません。よって、継続請願217号は採択すべきです。
新規請願222号「給付型奨学金制度の拡充を求めることについて」です。
「お金の心配なく学びたい」、これは学生の切実な声です。政府は昨年給付型奨学金制度をスタートしましたが、給付対象者は極めて少数で、狭き門になっています。本格実施後も対象は一割程度と言われています。県内の若者アンケートでは、「学費や教育費に負担を感じる」は、現役学生の約7割です。高い学費の上、卒業と同時に借金となる奨学金返済に苦しんでいるのが実態です。将来を担う若者を社会全体で支えるため、給付型奨学金の拡充は必要です。県独自でも給付型奨学金の創設を目指すべきです。よって、新規請願222号は採択すべきです。
新規請願223号「若者がいきいきと働ける労働環境づくりを求めることについて」です。
県内の若者が置かれている労働環境は、労働時間が一人当たりの月平均総実労働時間が全国平均より6時間ほど長く、月平均現金給与総額が全国平均と比べて2万円も少なくなっています。「残業が多く、自分の時間がとれない」、「大事な仕事なのに給料が少ない」など、若者の声は切実です。若者の労働環境を改善することは、県内に定着させ、人口流出対策にもなるものです。県として賃上げや長時間労働の改善に取り組むことを求めるものです。よって、請願223号は採択すべきです。
復興のさなかにある我が県は、若者を初め全ての世代が福島に住んでいてよかったと思える福島県にするために県議会が役割を発揮することを訴え、討論を終わります。