平成18年度第3回福島県入札監視委員会結果【概要】
 
1 日時 平成18年9月22日(金)9:00〜12:00
2 場所 杉妻会館 百合A
3 出席者
(委員)小川委員、佐々木委員、清水委員、田崎委員、松野委員(委員全員出席)
(県)土木部政策監、建設行政グループ参事、建設行政グループ主幹
   建設行政グループ員2名
   各発注者(抽出案件説明者)
4 内容
(1)委員長あいさつ
(2)土木部政策監あいさつ
(3)審議等
  @福島県総合評価方式の試行に関する概要について(報告)
  A抽出案件に対する審議       
   ア 指名競争入札               県北農林事務所
    「予防治山第1801号工事 [高田]」
   イ 希望工種反映型指名競争入札        郡山北工業高校
    「郡山北工業高校アスベスト除去工事」
   ウ 技術評価型意向確認方式指名競争入札    相双農林事務所
    「湛水防除第1801号工事 [塚原第二]」
   エ 条件付一般競争入札            木戸ダム建設事務所
    「木戸ダム建設(2号付替町道1工区)工事」
   オ 随意契約                 小名浜港湾建設事務所
    「荷役機械管理運営工事」
  B 指名停止の運用状況について(報告)
(4)その他
  @次回委員会開催の日程
    平成19年1月26日(金)10:00〜12:00
  A次回委員会の抽出担当委員選任
    田崎委員を抽出担当委員に選任。
 
【質疑内容】
 
<総合評価方式>
(委員)評価項目で、地域貢献や新分野進出に加点するのは、大切ではあるが、企業の技術力を評価する指標としては、関係がないように思える。
    客観的で定量的に判定できないものには不安を感じる。数量化にはなじまないのではないか。
(回答)評価項目ごとに適合するかどうかの資料を添付させ、判断します。技術力評価としては、自社の経営力強化、地域との連携などを評価しますが、他の評価項目よりも0.5下げる配慮をしています。
    また、評価項目と評価方法については、必ず学識経験者の意見を聞くことになっております。現在6名の方に総合評価委員をお願いしています。標準型は、工事の内容、特殊性を見ながら評価項目を定める予定です。
(委員)公共工事が激減して企業としては生きるか死ぬかの中で、次世代育成支援などに手の回る企業がどこまであるのか、ゼネコンや優良企業くらいしかないのではないか、実態と乖離していると思う。
(委員)加算点が得られない企業は、価格で勝負するしかない。短期的には技術のないところは価格をグッと下げることになるかもしれず、低価格入札に対処するという制度のそもそもの趣旨に反することにもなりかねない。
(委員)標準型は透明性が欠けているような気がする。自らの評点に対して不服申し立てはできるのか。その項目はどこで決めるのか。決め方に異議申し立てはできるのか。
(回答)工事の内容に応じて、項目を選び、最大20点以内とします。項目の是非は学識経験者の意見を聞いて決定します。評価は、複数の職員による技術審査会で行いますが、落札者の決定の段階でも学識経験者の意見を聴きます。不服申し立ても可能です。
(委員)0点から20点というのはものすごい差ですよ。価格で2割になる。
(委員)この委員会は制度の是非を議論する場ではなく、契約まで終わったものを審議することになるが、次の委員会で総合評価方式による入札の案件も対象になるので、次回によく審議しましょう。
    ところで、品確法の背景にある低価格による入札は、県ではあるのか。
(回答)現実にございます。品確法には談合防止の側面もあると思います。
(委員)加算点で勝負できるのは大手だけではないのか。
(委員)他県では評価項目が現実と乖離しているため混乱もあると聞く。ボランティアなどはしかたなくやっている。評価項目の設定でも、子育て支援はすぐに点数がもらえるが、技術者の加算点はかなりの時間が経過しないともらえない。これでは現実と乖離していると言わざるを得ない。今後も検討する必要がある。
(回答)総合評価方式は、試行したばかりでもあり、今後検討することを考えています。
(委員)それを議論するのが総合評価会議で、入札監視委員会で議論することがゼロではないとは思うが、その導入に当たっての議論の場がなく、制度の設計と運用が場当たり的になってきている。総合的に入札制度を検討する場をきちんと作った方がよい。
(回答)今回の総合評価方式の試行は、品確法に基づき行うもので、評価会議で学識経験者の意見を聴くことは地方自治法に基づく手続きでもあります。
(委員)総合評価方式については、次回に報告していただく、膨大な仕事量で対応ができるのか、順位がどうなったかなど。
 
<指名競争入札>
(委員)5千万以上ではBランクの業者から選ぶことになるのに、Aランクとした理由は。
(回答)S・A・Bの範囲からAとしました。実績のあるSランクの業者が2社だけであったので、Sを除いてAから選定しました。
(委員)Bランクの業者は何社か。
(回答)Bランクの業者については未確認ですが、Bを外したのではなく、結果としてAランクの業者で収まりました。
(委員)12社としたのは。
(回答)県内部の規定に沿って行いました。
(委員)指名数を多くすると競争性が高まるのではないかという意見は前から出している。
(委員)同じ金額での応札社が6社いるのが気に掛かる。積算ソフトがあるからだという話もあるが、参加者の全員が建設業協会の会員であることも気になる。
(委員)積算ソフトがあってそこからいくら下げられるかが競争だと言える。談合をしていないように見せかけるためには横並び価格は回避するのが合理的で、横並びになるのはかえって談合のなかった証拠になるのではないかと以前は考えていたが、実際はそうでもないようだ。落札しなかった業者が入れた金額もその後の入札に影響があるという話も聞いた。
(回答)積算ソフトの結果に経営判断を加味して入札していると考えます。
(委員)談合事件の報道があったあとに97%から79%に下がったケースがあるが、この案件は97.2%、あとの3社も10万しか差がないという内容の入札結果は、これまで見てきたものでもはじめてのケース。県当局が談合の疑念を持たないということがおかしいと思う。
(委員)この工事を抽出したのは、落札率が高かったからである。県当局がそのことを当然のように説明しているのが不思議でしょうがない。
 
<希望工種反映型指名競争入札>
(委員)アスベストの工事は技術力が大事だと思う。業者選定は実績によるものか、総合点が高いとはどういうことか。
(回答)取扱主任技術者がいることで選定しています。
(委員)落札率は96.5%
(委員)前のものと同じで、応札額にほとんど差がない。そしてすべて建設業協会の会員。金額が近いことが気になる。調査は行わないのか。
(委員)応札額が近い場合には調べるというのもあっていい。
(委員)希望工種反映型で実施したが、条件付き一般競争入札でない理由は。
(回答)条件付き一般競争入札は抽出で実施していますが、入札に参加する業者が決まるまでに1ヶ月掛かります。高校ですので、夏休みの期間中に行う必要があって日数の短い希望工種反映型で実施しました。
(委員)しかし、結果から見れば談合と疑われても仕方がない。
 
<技術評価型意向確認方式指名競争入札>
(委員)辞退者が4社あるが、これは当日のものか、前もってあったのか。辞退の理由は確認しているのか。
(回答)入札の4日前にいずれも届きました。辞退理由は確認していません。
(委員)今後の参考のために辞退理由を聞いてみてもいいのではないか。
(委員)辞退が多いと事前に打ち合わせをしているのではないかとも思えてしまう。
(委員)予定価格と同額の入札額の業者がいる。私はこれも辞退だと思っている。
(委員)辞退者が出たことを他社に伝えるのか。
(回答)そのようなことはしません。
(委員)この工事は他の工事と比べて落札率が低い、参加者に地元業者がいない、この場合、入札参加者が少なくても落札率は低い。
(回答)特殊な工事で、全国でも10社程度になります。
(委員)参加者が県外だと言っても仙台支店だからしょっちゅう会うことはあると思う。
(委員)辞退理由は書いてあったのか。
(回答)会社の都合によりというものでした。
(委員)技術者を確保できないとか、もっと詳細に記入させるべき、書式を改めるべき。
 
<条件付き一般競争入札>
(委員)木戸ダムということで抽出をした。入札参加は10社、県外業者はなぜ参加できないのか。
(回答)県のガイドラインに沿って決めています。
(委員)先ほどの工事とは逆。
(回答)県内業者でも工事の施工ができるということで、条件付けを行っている。先ほどの工事は、県内業者ではできないということです。
(委員)結果を見ると一目瞭然、6社が同額による入札、県のガイドラインがそのままである以上、談合は防止できないのではないか。
(委員)これも入札参加者が全員、建設業協会の会員。
 
<随意契約>
(委員)随意契約の理由の記載順について、急を要すると言う点が第一に挙がっているが、主たる理由としては、11社選んだが1社しか残らなかったから随意契約にせざるを得なかったということだと見えるが。
(回答)工事完成が1日延びると100万円ほどの損失が発生します。当初、指名競争入札も検討しましたが、記載の理由で随意契約としました。結果から考えると、部品を製造する工事を伴いますので、本体を製造した企業と関連がないとコスト的に難しかったと思われます。
(委員)見積を依頼した業者の中に指名停止になっていた業者も含まれているが。
(回答)指名停止になっていることは分かったうえで参考見積依頼を行いました。
(委員)会社としては入札に参加できないことは分かっているのだから、見積の依頼に応じなかったのでないか。実際にできないということはあるのか。
(回答)時間がかかるということだと思います。
(委員)だとすれば、11社に見積依頼をする必要性はなかったのでないか。
(回答)競争性を確保するため11社による指名競争入札を考えておりました。
(委員)予定価格はどのようにしたのか。
(回答)この工事に必要な部品の製造に関する積算基準がないため、業者から参考見積を提出してもらい積算しました。業者の見積を使用したのは4割程度で、それ以外は県の単価を使用しました。
(委員)落札率は97.7%、指名停止にされていて、入札に参加できないことが分かっているのに、積算を頼まれてそれに応じる企業はない。指名停止中の企業に見積依頼をするのはどうかと思う。
(委員)当日の辞退についての対応は。
(回答)入札会場で辞退しますという札を入れることはあります。企業によって辞退の仕方が違うことがあってもいいと思います。2社残れば実行します。
(委員)機械を製造した企業には声を掛けなかったのか。
(回答)クレーン部門の事業譲渡を受けた企業に依頼をしました。
 
<まとめ>
(委員長)今回の抽出案件については、次の意見がありました。
  【希望工種反映型指名競争入札】
    条件付き一般競争入札で実施しなかったことについて、改善の余地があったのではないか。
  【技術評価型意向確認方式指名競争入札】
    辞退の理由を記入させるべきではないか。当日の辞退はさけるようにするべきである。
  【条件付き一般競争入札】
    6件の同一金額による入札があり、談合の可能性を否定できない。
 
<指名停止の運用状況について>
(委員)特になし
 
 
<意見具申について>
(委員)もっといろいろ意見はあったが、委員全員の意見として7つの項目について、
   本日、県に意見を提出する。
 
 
 
−以上−