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県議会定例会(令和4年12月)

印刷用ページを表示する 掲載日:2022年12月6日更新

令和4年12月福島県議会定例会知事説明要旨(令和4年12月6日)

 12月県議会定例会が開催されるに当たり、当面する重要な議案を提出いたしました。
 以下、そのあらましについて御説明いたしますが、それに先立ち、三期目の県政に臨む所信の一端を申し上げます。

就任の挨拶について

 このたびの知事選挙におきまして、多くの県民の皆さんの御支持を頂き、福島の復興・創生を更に前へと進めるため、引き続き、県政を担わせていただくことになりました。
 17日間にわたる選挙期間中、浜通り、中通り、会津の県内59市町村をくまなく巡り、多くの県民の皆さんと直接接し、言葉を交わす中で、本県が直面している課題への対応を求める声や、県政に対する期待など、様々な思いを伺ってまいりました。皆さんから頂いた叱咤激励は、私にとってかけがえのない財産であり、それらをしっかりと胸に刻み、着実に成果を積み重ねていくことが、知事である私に課せられた使命であると決意を新たにしたところであります。
 引き続き、私の持てる力、持てる情熱の全てを注ぎ、県民の皆さんの切実な思い、復興・創生への強い願いを、丁寧に県政に織り込みながら挑戦を続け、福島の未来を切り拓いていく覚悟であります。
 今後とも、県議会の皆さん並びに県民の皆さんの御理解、御協力をお願い申し上げます。

県政の基本姿勢・運営方針

 次に、県政を運営していく上での基本姿勢について申し上げます。
 私の政治信条である「継往開来」「現場主義」「進取果敢」、この三つを基本姿勢として堅持してまいります。
 また、厳しい状況の中で、共に力を合わせていただいている全ての県民の皆さん、福島に思いを寄せ、様々なお力添えを頂いている国内外の皆さんへの感謝の思いを胸に、使命感と情熱、行動力をもって、これまで取り組んできた復興・創生への挑戦を更に「シンカ」させてまいります。
 特に本県は、未曽有の複合災害からの復興を始め、度重なる自然災害からの復旧、急激な人口減少、新型コロナウイルス感染症や原油価格・物価高騰への対応、さらには県内初となる養鶏場での高病原性鳥インフルエンザの発生など、幾多の困難に見舞われております。
 そうした中で、これまでと同じ挑戦を続けていても、福島の未来は切り拓けません。だからこそ、挑戦を絶えず「シンカ」させていく必要があります。具体的には、進める「進化」、深める「深化」、新しくする「新化」、この三つの「シンカ」で、本県が直面している様々な逆境を乗り越えることにより、四つ目の「シンカ(真価)」、福島の「真(しん)の価値」、すなわち「ふくしまプライド。」を、更に光り輝かせていくことが重要と考えております。

 続いて、県政の運営方針について申し上げます。
 本年4月からスタートした新しい福島県総合計画においては、「やさしさ、すこやかさ、おいしさあふれるふくしまを共に創り、つなぐ」を基本目標に掲げ、「ひと」「暮らし」「しごと」が調和しながら「シンカ」する豊かな社会の実現を目指すこととしております。
 「やさしさ」、「すこやかさ」、「おいしさ」という三つのキーワードに込めた理念は、正に世界の共通言語「SDGs」の本質そのものであり、これらをしっかりと育み、着実に未来へとつないでいくことで、県民の皆さんお一人お一人が、福島で生まれ、暮らし、働くことに“幸せ”を実感できる県づくりを進めてまいります。
 具体的には、「ひと」を大切にするふくしま、安心・快適な「暮らし」のあるふくしま、働きたい「しごと」があるふくしま、この三つの視点を踏まえた県づくりに向け、八つの基本政策に基づき、県政を運営してまいります。

 第一に、『全国に誇れる子育て・教育環境』を創ります。
 本県においても、全国と同様に、出生数や合計特殊出生率が低下傾向にあります。そのため、出会いや結婚の希望をかなえ、安心して妊娠・出産・子育てができるよう、市町村等と連携した出会いの場の提供や、不妊治療支援体制の充実強化、18歳以下の医療費無料化を始めとした経済的負担の軽減、地域の実情に応じた多様な子育て支援サービスの充実を図るなど、ライフステージに応じた切れ目のない支援体制を構築してまいります。
 また、男女が共に子育てに参画し、仕事と育児を両立できる働きやすい職場環境を形成するため、ワーク・ライフ・バランスに取り組む企業の支援や、経営者による「イクボス宣言」の普及拡大などにも力を入れてまいります。
 教育環境の整備につきましては、「学びの変革」を進め、子どもたちの発達段階に応じた資質・能力の育成や、ICT等の先進技術を活用した多様な学びを推進し、一人一人に最適な学習環境づくりに取り組んでいくほか、情報を正確に読み解く力、自らの頭で考え表現する力、対話と協働を通じて課題を解決していく力の育成に向け、「福島ならでは」の教育を進めてまいります。

 第二に、『誰もがいきいきと暮らし、住みたくなる社会』を創ります。
 ユニバーサルデザインの考え方を幅広い分野にわたって取り入れることにより、性別や国籍、障がいの有無などに関わらず、誰もが自分らしく生活できる共生社会を構築していくとともに、ひとり親家庭やヤングケアラーなど、援助を必要とする人々を支え、暴力や虐待、ハラスメント等の防止と相談体制を強化するなど、誰もが安心して暮らせる社会づくりを推進してまいります。
 さらに、県民誰もがいきいきと暮らしていくためには、心身共に健康であることが欠かせません。そのため、福島県版健康データベースを活用した健康課題の見える化を図り、各市町村のニーズに応じた対策を支援していくほか、食・運動・社会参加の三本柱の下、ベジ・ファーストや減塩の推進、健民アプリを活用した運動習慣の動機付け、楽しみながら参加できる健康づくりイベントを展開するなど、全国に誇れる健康長寿県づくりを進めてまいります。
 また近年、県内への移住者が増加傾向にあり、昨年度は過去最高を記録いたしました。引き続き、福島での暮らしや仕事に関する総合的な情報発信はもとより、ワーケーションの推進や副業人材のマッチング等による関係人口の創出、移住希望者のニーズに応じた相談体制と受入環境の整備などに取り組み、県内への新たな人の流れを創り出してまいります。

 第三に、『原子力災害からの復興・再生』を進めます。
 福島の復興は着実に進んでいますが、避難地域においては、復興のステージが進むにつれて新たな課題も顕在化しています。
 そのため、復興の進捗状況に応じた被災者の生活再建や事業・生業の再生に向けた支援、帰還環境の整備といった「きめ細かな施策」に取り組むとともに、福島国際研究教育機構との連携を始めとした、福島イノベーション・コースト構想の更なる推進や新産業の創出・集積など、「大胆な施策」を展開することで、避難地域の復興と浜通り地域の活性化を進め、その効果を県全体に波及させてまいります。
 また、今月2日には、関係省庁に対する緊急要望を実施いたしました。第2期復興・創生期間以降においても、切れ目なく安心感を持って復興に専念できるよう、中長期的に復興を進めるための柔軟な制度と必要な予算の確保を求めたほか、特定復興再生拠点区域外への対応など、今後も国と丁寧に協議を進めてまいります。
 福島第一原子力発電所の廃炉と汚染水・処理水対策につきましては、先月11日に、改めて廃炉作業の進捗状況を自分自身の目で確かめてまいりました。確実に作業が進む一方で、困難な課題がいまだ山積していることを実感したところであります。特にALPS処理水については、福島県だけでなく、日本全体の問題であり、県民や国民の理解を深めていくことが重要です。
 そのため、今月2日、経済産業大臣に対し、処理水の処分に関する基本方針等について丁寧かつ十分な説明を重ね、関係者の声にしっかりと耳を傾け、その思いを真摯に受け止めながら信頼関係を構築し、理解が得られるよう取り組むとともに、行動計画に基づき、政府一丸となった万全な対策を講じながら、最後まで責任を全うすることを強く求めたところであり、今後も国及び東京電力に対し、あらゆる機会を通じて求めてまいります。

 第四に、『環境にも配慮した安全・安心で活力ある社会』を創ります。
 近年、本県においても大規模な自然災害が頻発しており、災害のリスクも高まっています。そのため、道路整備や河川改修、砂防関係施設の整備を始めとしたハード対策と、避難体制の構築や防災意識の向上といったソフト対策を適切に組み合わせ、災害に強い地域づくりを進めてまいります。
 また、県民の皆さんが安心して必要な医療・介護・福祉サービスを受けられるよう、人材の確保と育成を図っていくほか、医療提供体制の充実強化、介護・障がい福祉サービスの基盤整備と質の向上、地域包括ケアシステムの構築支援など、県民の皆さんの命と健康を守る取組を着実に進めてまいります。
 特に新型コロナウイルス感染症につきましては、現在、感染が急拡大しており、本県は正に第8波の中にあります。今後、季節性インフルエンザとの同時流行も懸念されることから、先月開催された政府主催の全国都道府県知事会議において、私から岸田総理に対し、同時流行を想定した医療提供体制等の整備や、検査キット、ワクチンの十分な確保などに総力を挙げて取り組んでいただくよう要望したところであり、引き続き、国や市町村、関係団体等と緊密に連携しながら、感染拡大の防止と確実な医療の提供に全力で取り組んでまいります。
 また、新型感染症の影響に加え、今般の原油価格や物価の高騰、急激な円安の進行などにより、県民の皆さんの暮らしや事業活動への影響がより深刻化しております。そのため、今後も積極的な需要喚起策や経営安定化に向けた金融支援、経費の一部助成等、幅広くきめ細かな支援を行い、県民生活の安定と地域経済の維持・再生を図ってまいります。
 そして、こうした取組と併せて進めていかなければならないのが環境問題への対応であります。中でも地球温暖化対策は喫緊の課題であり、昨年2月に行った「福島県2050年カーボンニュートラル宣言」の下、県民総ぐるみによる省エネルギー対策の徹底や、再生可能エネルギーの最大限の活用、水素社会の実現に向けたモデル構築など、環境に配慮した活力ある社会・経済の創造に力を尽くしてまいります。

 第五に、『中小企業振興と新産業の創出・集積』を進めます。
 少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少や急激な社会情勢の変化等により、地域経済の基盤である中小企業・小規模企業の経営にも大きな影響が及んでおります。
 そのため、経営基盤の強化や円滑な事業承継、県産品の販路と輸出の拡大、新たな事業分野への参入促進、知的財産の取得・活用などを支援することにより、しなやかで力強い地域産業の成長・発展を図ってまいります。
 特に、輸出の拡大につきましては、来年1月に私自身が米国を訪問し、店頭でのプロモーションや関係者へのセールスなどを通じて、県産品の魅力をしっかりと伝えてまいります。
 また、県内経済の活性化を図るためには、こうした地域経済を支える既存産業の振興はもとより、再生可能エネルギーやロボット、航空宇宙、医療など、次の時代をけん引する新産業の創出と集積を推進していくことが重要であります。
 こうした中、3年振りに対面形式で実施した、医療機器に係る展示・商談会「メディカルクリエーションふくしま」では、県内企業の更なる販路拡大につなげたほか、裾野の広い人材育成を図るため、新たに小中学生を対象とした医療関連産業の体験学習会なども実施いたしました。
 今後も、こうした取組を通じて、地元企業の参画や関連企業の誘致を促すとともに、実用化開発の支援、産業人材の育成などに努め、新たな産業基盤の構築と県全体の経済活性化を図ってまいります。

 第六に、『強くてもうかる農林水産業』を創ります。
 県産農林水産物の生産・販売は回復傾向にあるものの、いまだ多くの品目で価格が震災前の水準まで回復していないなど、風評の影響が根強く残る中、産地間競争が激化しております。
 そのため、トップセールスを始めとした県産農林水産物の安全性と魅力に関する戦略的な情報発信に取り組んでいくほか、需要を的確に捉えた県オリジナル品種の開発、認証GAPの更なる取得促進や長期出荷体制の構築など、産地と一体となった福島ならではのブランド力強化により、風評の払拭と競争力の強化にしっかりと対応してまいります。
 また、今般の世界情勢の変化に伴い、食料安全保障の重要性が一層高まっていることから、引き続き、ほ場の大区画化やスマート農業の推進、園芸団地等の大規模産地の育成、多様な担い手の確保などにより、生産力を強化し、食料の安定供給と農業の持続的な成長を実現してまいります。
 林業についても、効率的な森林整備や林業アカデミーふくしまによる人材育成、収益性の高い木材の生産推進などにより、県産材の安定供給と需要の拡大を図ってまいります。
 水産業については、資源管理を進めながら高い収益を確保する「ふくしま型漁業」を実現するため、生産拡大に向けた漁船の建造や担い手の確保、販路の拡大、多様なメディアを通じた本県漁業の魅力発信など、総合的な対策を推進してまいります。
 なお、先般発生した養鶏場での高病原性鳥インフルエンザにつきましては、11月30日に発生農場における防疫措置が完了し、今後は移動制限区域等の解除に向けた万全の防疫体制を維持しつつ、一日も早い経営再建に向け、国や市町村と連携して対応してまいります。

 第七に、『環境と調和。「ふくしまならでは」の観光・交流』を推進します。
 震災後、大きく減少した本県の観光客入込数は、その後の様々な取組により着実に回復しておりましたが、新型感染症などの影響により、再び深刻な影響を受けております。
 そのような中、10月1日に全線での運転が再開したJR只見線においては、連日、大勢の利用客で混雑するなど、大変な盛り上がりを見せております。こうした状況を一過性で終わらせないためにも、引き続き、新たな魅力の創出や只見線ならではのおもてなしを展開するなど、地元自治体等と一体となった取組を進めてまいります。
 また、アフターコロナも見据えた全県への観光誘客につきましては、地域資源の更なる磨き上げと魅力の発信、ホープツーリズムや教育旅行の誘致、外国人旅行客の受入体制強化などに力を入れてまいります。
 特にホープツーリズムについては、福島でしか得られない新しい学びのスタイルが高く評価されており、本年度の誘客数も過去最多を更新いたしました。今後は、このホープツーリズムを始め、SDGs探究プログラムを取り入れた教育旅行の推進、ふくしまグリーン復興構想に基づく自然資源を活用した周遊の促進など、ふくしまならではのSDGsツーリズムを展開し、持続可能な観光交流の促進につなげてまいります。

 第八に、『地域を結ぶ社会基盤の整備』を促進します。
 震災からの復興を支えることはもとより、物流・交流促進の基盤となる基幹的な道路や地域連携道路の整備を着実に進め、災害に強く、信頼性の高い広域的な道路ネットワークを構築してまいります。
 また、福島空港における国内定期路線の利用促進や、国内外のチャーター便を誘致することで利便性を向上させるとともに、小名浜港、相馬港においては、国際物流ターミナルの整備や脱炭素社会に向けたカーボンニュートラルポートの形成など、国際競争力を持った物流拠点の強化を進めてまいります。
 さらに、携帯電話の基地局や光ファイバなど、デジタルインフラの整備を推進し、県民の皆さんの暮らしや事業活動におけるデジタル変革を促すことにより、行政サービスの更なる向上や地域課題の解決、経営の効率化等、新たな価値の創出を図ってまいります。

 以上、三期目の県政運営に当たっての基本的な考え方について申し上げました。今後は、これら方針に基づいた具体的な施策を総合的に展開してまいります。

 震災後、私たち福島県民は、「ふくしまから はじめよう。」をスローガンに掲げ、復興に向けて前を向こう、何か始めようと、心を一つに様々な挑戦を続けてきました。そして、このスローガンは、震災から10年を機に新たなスローガン「ひとつ、ひとつ、実現する ふくしま」へと「シンカ」いたしました。
 「はじめる」から「実現する」、「はじめる」から「かなえる」へ。
 県民の皆さんが復興を実感し、未来に夢や希望を持っていただけるよう、挑戦を絶えず「シンカ」させ、新しい総合計画に掲げた目標を一つ一つ着実に実現していくことが、知事である私に課せられた使命と考えております。
 「今の延長線上に未来があるとは限らない。だからこそ様々な工夫を重ね、新たな価値を見出さなければならない」
 これは、「はやぶさ2」のプロジェクトマネージャーを務められた國中均さんの言葉であります。
 私たちに過去を変えることはできません。しかし、私たちの行動によって未来を変えること、未来を創り出すことはできます。
 三期目の県政運営においても、「継往開来」「現場主義」「進取果敢」、この三つの基本姿勢を県庁全体の組織風土として醸成しながら、様々な課題と対峙し、福島県の定義を「被災の地」「原発事故の地」から「希望の地」、さらには「復興の地」へと変えていくため、県民の皆さん、そして本県に思いを寄せてくださる全ての方々と共に、全力で挑戦の更なる「シンカ」を図ってまいります。

 以上、三期目に当たって、所信の一端を述べさせていただきました。
 改めて、皆さんの御理解と御協力を心からお願い申し上げる次第であります。

提出議案について

 提出議案について御説明申し上げます。
 令和4年度一般会計補正予算案につきましては、原油価格・物価高騰等への対応として、肥料や配合飼料の価格高騰による影響を受けている生産者への支援、中小企業等の経営コスト削減への支援、光熱費などが増加している医療機関や薬局等への支援、生活路線バス事業者への支援、省エネ家電購入者へのポイント還元、プレミアム付き電子商品券の追加販売、新型コロナウイルス感染症対策として、季節性インフルエンザとの同時流行に備えた患者等への支援体制強化、入院医療機関における設備整備支援などに要する経費を計上いたしました。
 これによる一般会計補正予算の総額は、195億5千1百万円となり、本年度予算の累計は、1兆3,507億5千9百万円となります。
 特別会計等につきましては、福島県国民健康保険特別会計など8会計につきまして、それぞれ補正額を計上いたしました。
 その他の議案といたしましては、条例が「福島県税条例の一部を改正する条例」など40件、条例以外の議案が「当せん金付証票の発売について」など18件で、いずれも県政執行上重要な案件であります。
 慎重に御審議の上、速やかな御議決をお願い申し上げます。

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