県議会定例会(令和5年9月)
印刷用ページを表示する 掲載日:2023年9月11日更新
令和5年9月福島県議会定例会知事説明要旨(令和5年9月11日)
9月県議会定例会が開催されるに当たり、当面する重要な議案を提出いたしました。
以下、そのあらましについて御説明いたしますが、それに先立ち、9月8日からの大雨災害について申し上げます。
このたびの災害で犠牲となられた方に、深く哀悼の意を表しますとともに、被災された皆さんに心からお見舞いを申し上げます。
線状降水帯も発生した大雨により、浜通りを中心に多くの建物などが浸水等の被害に見舞われました。一昨日には、いわき市と南相馬市、昨日もいわき市を訪れ、事業所や学校、住家などの被害状況を直接確認するとともに、被災され、がっくりと肩を落とす高齢者の方など、多くの方々の悲痛な声を伺い、被害の甚大さと被災者がおかれた大変厳しい状況を目の当たりにしてきました。
県といたしましては、被災者の生活再建を全力で支援するため、災害救助法による応急修理のほか、災害廃棄物の処理、住家の被害認定調査等について、市町村や関係機関と連携しながら迅速に進めるとともに、引き続き、被災箇所の把握と早期復旧に向け、全庁一丸となって取り組んでまいります。
それでは、県政に関する諸課題等について所信の一端を述べさせていただきます。
以下、そのあらましについて御説明いたしますが、それに先立ち、9月8日からの大雨災害について申し上げます。
このたびの災害で犠牲となられた方に、深く哀悼の意を表しますとともに、被災された皆さんに心からお見舞いを申し上げます。
線状降水帯も発生した大雨により、浜通りを中心に多くの建物などが浸水等の被害に見舞われました。一昨日には、いわき市と南相馬市、昨日もいわき市を訪れ、事業所や学校、住家などの被害状況を直接確認するとともに、被災され、がっくりと肩を落とす高齢者の方など、多くの方々の悲痛な声を伺い、被害の甚大さと被災者がおかれた大変厳しい状況を目の当たりにしてきました。
県といたしましては、被災者の生活再建を全力で支援するため、災害救助法による応急修理のほか、災害廃棄物の処理、住家の被害認定調査等について、市町村や関係機関と連携しながら迅速に進めるとともに、引き続き、被災箇所の把握と早期復旧に向け、全庁一丸となって取り組んでまいります。
それでは、県政に関する諸課題等について所信の一端を述べさせていただきます。
東日本大震災からの復旧・復興について
はじめに「ALPS処理水」について申し上げます。
新たな風評に対する不安や懸念、避難地域復興への願いなど、漁業者を始めとした県民の皆さんの様々な思いが交錯する中、8月24日にALPS処理水の海洋放出が開始されました。
今月4日には、私自身が福島第一原発に赴き、実際に処理水と希釈用の海水が混ぜ合わされ、海に放出されていく様子などを複雑な心境で見守りながら、今もなお続く県民の皆さんの苦しみや葛藤に思いを馳せ、このような過酷な事故を二度と起こしてはならないとの思いを、改めて深く胸に刻んだところであります。
このALPS処理水の海洋放出は、長期間にわたる取組であり、安全の確保や新たな風評を生じさせないなど、万全な対策を徹底的に講じることが極めて重要となります。
このため、8月22日には、西村経済産業大臣と東京電力の小早川社長に対し、安全確保の徹底を始め、国内外への正確な情報発信や万全な風評対策、迅速かつ確実な賠償の実施、汚染水発生量の更なる低減と処理技術の継続的な検討を改めて求めたほか、31日には岸田総理と面談し、海洋放出後に表面化した中国に関する問題の早期沈静化も含め、政府一丸となって対策に取り組むよう強く訴えてまいりました。
今後も海洋放出による影響等を見極めながら、追加対策や支援内容の見直しを含め、必要な対策を機動的に講じるよう求めていくとともに、岸田総理が「たとえ今後、数十年の長期にわたろうとも全責任を持って対応する」と約束されたように、漁業を始めとする福島の生業を将来にわたって維持し、確実に次の世代へとつなぐため、最後まで全責任を全うするよう求めてまいります。
また、東京電力に対しては、想定外の事態など決してあってはならないこと、廃炉と汚染水・処理水対策の実施者であるとの意識を常に持ち、全社を挙げて安全・安心が確実に担保される体制を構築し、長期にわたって安全を確保し続けるよう強く求めるとともに、県におきましても、海域モニタリングを強化し、廃炉安全監視協議会や現地駐在員等を通じて海洋放出設備の運転状況を確認するなど、福島第一原発の状況をしっかりと監視してまいります。
次に「避難地域の復興・再生」についてであります。
先般、福島復興再生特別措置法が改正され、特定帰還居住区域の創設等が明記されたことに伴い、「福島復興再生基本方針」についても、7月28日に改定がなされました。
今回の改定では、避難の長期化により、既に多くの方が避難先で一定の生活基盤を構築されているといった実態等を踏まえ、特定帰還居住区域における多様な帰還の在り方が認められるなど、これまで本県が求めてきた内容が反映されたものと受け止めております。
一方で、住民の皆さんの一日も早い帰還と生活再建を実現するためには、依然として様々な課題が残されています。7月に双葉町を訪問した際も、草木で覆われた田畑や、経年劣化が進んで通行に支障が生じている道路などを目の当たりにし、改めて住民の皆さんが安心して帰還できる生活環境の整備が急務であることを強く実感いたしました。
こうした課題に対応するため、8月末に開催された福島復興再生協議会では、国に対し、本県の復興を更に加速させるために必要な予算の確保等を求め、国の来年度予算概算要求においても、おおむね本県の要望を踏まえた内容が盛り込まれたところであります。
今後も国に対し、各自治体の意向を十分に考慮しながら、特定帰還居住区域の除染等を早急に進めるよう求めていくとともに、県といたしましても、改定した「福島復興再生計画」に基づき、帰還を希望される方々が一日も早く古里での生活を再建できるよう、しっかりと取り組んでまいります。
次に「風評・風化対策」について申し上げます。
8月3日に、EUが日本産食品の輸入規制を撤廃したことを受け、同様の規制措置を講じていたEFTA加盟国も相次いで輸入規制を撤廃し、震災後、55の国・地域で行われていた輸入規制は、7つの国・地域にまで減少いたしました。
これまで、私自身が機会を捉え、EU加盟国の政府要人等にお会いし、県産農林水産物の安全性やおいしさなどの魅力を直接お伝えしてきたところであり、今回の輸入規制撤廃は、今後の輸出拡大も含め、非常に大きな波及効果を生み出すものと期待しております。
一方で、ALPS処理水の海洋放出に伴い、中国においては日本産の水産物の輸入を全面的に停止する措置がとられるなど、新たな風評への懸念が急速に高まっています。
そうした中、8月24日に開催された全国知事会議においては、三陸・常磐産の水産品等を各都道府県庁舎の食堂で提供しようとの提案がなされ、現在、具体の動きが全国に広がっております。こうした温かい御支援に心から感謝を申し上げますとともに、県といたしましても、他県等と連携しながら県産水産物の安全性と品質の高さを広くお伝えしていくほか、大消費地に向けた情報発信の強化、首都圏等の大手量販店において販売促進活動を展開するなど、様々な観点から対策を講じてまいります。
次に「カーボンニュートラルの推進」について申し上げます。
現在、県内の事業所や学校において、地球温暖化対策に取り組むことを宣言し実践していただく、「ふくしまゼロカーボン宣言事業」を進めており、これまでに、3,797事業所、322の学校に参加いただくなど、県民総ぐるみによる取組が着実に進んでおります。
今後は、優れた環境活動の表彰や各地で開催する体験型イベント等を通じて、全県的な機運の更なる醸成を図っていくとともに、再配達による温室効果ガスの排出を削減するため、簡易型宅配ボックスを活用した実証事業を物流業界と連携して実施するなど、環境負荷の少ないライフスタイルへの転換も後押ししてまいります。
次に「産業政策」について申し上げます。
7月12日に、新エネ社会構想実現会議において、本県における再生可能エネルギーと水素の取組を更に推し進めることを目的とした「福島新エネ社会構想加速化プラン」が決定されました。
本プランでは、福島水素エネルギー研究フィールドにおける本格的な水素供給に向けた支援策等を調査することが盛り込まれたほか、次世代の太陽電池であるペロブスカイト太陽電池について、県内公共施設での先行的な活用を検討することなどが示されました。県内での先行活用が実現すれば、「再生可能エネルギー先駆けの地」を目指す本県にとって力強い追い風となることから、引き続き、関係機関と連携し、再生可能エネルギーの飛躍的な導入拡大と水素社会の実現に向けた取組を進めてまいります。
観光につきましては、JR東日本と連携し、9月1日から11月30日までの3か月間にわたり、「福が満開、福のしま。」ふくしま秋観光キャンペーン2023を実施しております。今回のキャンペーンでは、豊かな自然が育んだ秋の味覚と名湯を満喫する「恵み」、県内各地の歴史や文化に触れる「伝統」、地元の人々との交流や福島の今を体験する「日常」、この三つをテーマに掲げ、秋の福島を感じる90以上の特別企画とイベントを県内各地で展開してまいります。
また、福島空港の利活用につきましては、9月5日に、台湾の航空会社及び旅行会社との間で覚書を締結し、来年1月16日から週2便となる定期チャーター便の就航が決定いたしました。今後は双方向の交流に取り組み、来年3月末からの震災後初となる国際定期便の運航を目指してまいります。
次に「農林水産業の再生」について申し上げます。
今年もトップセールスで、東京、大阪などの大消費地や県内のスーパー、直売所等を訪問し、桃やきゅうりなど「ふくしまプライド。」がぎっしり詰まった生産者自慢の逸品をお届けすることができました。実際に食べていただいた皆さんの笑顔を拝見し、県産農林水産物のおいしさや品質の高さがしっかり伝わったと手応えを感じたところであります。
これから米の収穫が本格化する季節となりますが、本格デビューから3年目を迎える「福、笑い」については、新たな販路の開拓や、新米の発売時期に合わせたテレビCM放映などにより、首都圏等における認知度を向上させ、県産米をけん引するトップブランド米としての定着を目指してまいります。
また、水産業につきましては、先般、東京都による震災復興支援の一環として、豊洲市場内に「常磐もの」のおいしさや本県の情報等を発信する拠点、「三陸常磐夢市楽座」を開設していただきました。この機会をいかし、県内の水産業関係者と連携しながら、新鮮で高品質な魚介類や水産加工品を提供していくとともに、県産魚介類の安全性と魅力等に関する情報発信の強化、さらには「常磐もの」を取り扱う店舗の掘り起こしを進めるなど、更なる販路の拡大につなげてまいります。
次に「県民の健康増進」について申し上げます。
先月、県民の皆さんの特定健診結果を分析した「福島県版健康データベース報告書」を公表いたしました。生活習慣病の要因となるメタボリック症候群の判定を受けた県民の割合は、前回報告時と比べて男性は悪化、女性は横ばいとなっており、深刻の度合いを増しております。
そのため、健民アプリを活用した体重測定キャンペーンを9月15日から開始し、適正体重を意識した生活習慣への行動変容を促していくほか、県内の大学と連携した「福島ならでは」のヘルシーメニュー開発や、県内スーパーの協力による減塩環境づくりの推進など、様々な角度から生活習慣の改善に向けた取組を展開してまいります。
また、新型コロナウイルス感染症につきましては、8月28日から9月3日までの定点当たりの報告数が27.62人と、11週連続で増加しており、入院者数も高い水準にあることを踏まえますと、本県は現在、第9波の状況にあるものと考えております。
今後、秋の観光シーズンを迎え、旅行や会食等の機会も増えるなど、感染者数が更に増加する可能性も懸念されることから、引き続き、感染動向を注視しながら、感染対策の徹底と医療提供体制の確保にしっかりと取り組んでまいります。
次に「子ども・若者育成」について申し上げます。
新型感染症の5類移行に伴い、各種スポーツの大会で4年振りに声を出しての応援が解禁されるなど、子どもたちの表情にも満面の笑顔と活気が戻ってきました。
高校野球県大会の開会式で選手宣誓を務めた若者は、様々な制限が課されてきたこれまでの活動を振り返り、「頑張ろう」の言葉だけでは乗り越えられないことも多々あったこと、それでも仲間や指導者、家族、応援してくれる地域の人々の支えがあったからこそ、この日を迎えることができたと語り、感謝の思いを感動に変えて恩返ししたいと力強く誓ってくれました。コロナ禍で様々な葛藤を抱えながらも、感謝の思いを忘れず、努力を積み重ねてきた子どもたちに心からエールを送りたいと思います。
一方で、課題も見受けられます。先頃公表された令和5年度全国学力・学習状況調査によれば、国語は小・中学校ともに、おおむね全国平均となっているものの、小学校の算数は全国平均をやや下回っており、中学校の数学及び英語については全国平均を下回る状況が続いております。
本県ではこれまで「学びの変革推進プラン」に基づいた授業の改善に取り組んできましたが、こうした取組が十分な成果に結び付いているとは言えない状況にあることから、今回の結果を重く受け止め、その対応策を「授業改善グランドデザイン」として示すとともに、各市町村の教育委員会とも連携を図りながら、児童生徒の学習をしっかりと支えてまいります。
次に「インフラの整備等」について申し上げます。
昨日、昭和村と会津美里町を結ぶ国道401号「博士峠工区」の供用を開始いたしました。本区間は雪崩等の危険性により、冬期間は通行止めとなっておりましたが、開通後は通年での通行が可能となり、救急医療機関へのアクセス向上や地域振興等にもつながるものと考えております。
また、かんがい用のダムに治水機能を付加する改修工事を進めてきた石川町の千五沢ダムでは、本年度内の完成に向け、来月から貯水試験を開始する予定であり、運用開始後は、異常気象等への対応強化が図られるものと期待しております。
県では、こうした県民生活の安全・安心確保に不可欠なインフラ整備について、県民の皆さんに広く興味・関心を深めていただくため、公共土木施設を観光資源としたインフラツーリズムの推進や、県内の土木建築物等をペーパークラフト化して提供するなど、様々な工夫を凝らした取組も進めております。
引き続き、関係機関や市町村と連携しながら、県土全体の将来像を見据えた社会資本の整備に力を尽くしてまいります。
新たな風評に対する不安や懸念、避難地域復興への願いなど、漁業者を始めとした県民の皆さんの様々な思いが交錯する中、8月24日にALPS処理水の海洋放出が開始されました。
今月4日には、私自身が福島第一原発に赴き、実際に処理水と希釈用の海水が混ぜ合わされ、海に放出されていく様子などを複雑な心境で見守りながら、今もなお続く県民の皆さんの苦しみや葛藤に思いを馳せ、このような過酷な事故を二度と起こしてはならないとの思いを、改めて深く胸に刻んだところであります。
このALPS処理水の海洋放出は、長期間にわたる取組であり、安全の確保や新たな風評を生じさせないなど、万全な対策を徹底的に講じることが極めて重要となります。
このため、8月22日には、西村経済産業大臣と東京電力の小早川社長に対し、安全確保の徹底を始め、国内外への正確な情報発信や万全な風評対策、迅速かつ確実な賠償の実施、汚染水発生量の更なる低減と処理技術の継続的な検討を改めて求めたほか、31日には岸田総理と面談し、海洋放出後に表面化した中国に関する問題の早期沈静化も含め、政府一丸となって対策に取り組むよう強く訴えてまいりました。
今後も海洋放出による影響等を見極めながら、追加対策や支援内容の見直しを含め、必要な対策を機動的に講じるよう求めていくとともに、岸田総理が「たとえ今後、数十年の長期にわたろうとも全責任を持って対応する」と約束されたように、漁業を始めとする福島の生業を将来にわたって維持し、確実に次の世代へとつなぐため、最後まで全責任を全うするよう求めてまいります。
また、東京電力に対しては、想定外の事態など決してあってはならないこと、廃炉と汚染水・処理水対策の実施者であるとの意識を常に持ち、全社を挙げて安全・安心が確実に担保される体制を構築し、長期にわたって安全を確保し続けるよう強く求めるとともに、県におきましても、海域モニタリングを強化し、廃炉安全監視協議会や現地駐在員等を通じて海洋放出設備の運転状況を確認するなど、福島第一原発の状況をしっかりと監視してまいります。
次に「避難地域の復興・再生」についてであります。
先般、福島復興再生特別措置法が改正され、特定帰還居住区域の創設等が明記されたことに伴い、「福島復興再生基本方針」についても、7月28日に改定がなされました。
今回の改定では、避難の長期化により、既に多くの方が避難先で一定の生活基盤を構築されているといった実態等を踏まえ、特定帰還居住区域における多様な帰還の在り方が認められるなど、これまで本県が求めてきた内容が反映されたものと受け止めております。
一方で、住民の皆さんの一日も早い帰還と生活再建を実現するためには、依然として様々な課題が残されています。7月に双葉町を訪問した際も、草木で覆われた田畑や、経年劣化が進んで通行に支障が生じている道路などを目の当たりにし、改めて住民の皆さんが安心して帰還できる生活環境の整備が急務であることを強く実感いたしました。
こうした課題に対応するため、8月末に開催された福島復興再生協議会では、国に対し、本県の復興を更に加速させるために必要な予算の確保等を求め、国の来年度予算概算要求においても、おおむね本県の要望を踏まえた内容が盛り込まれたところであります。
今後も国に対し、各自治体の意向を十分に考慮しながら、特定帰還居住区域の除染等を早急に進めるよう求めていくとともに、県といたしましても、改定した「福島復興再生計画」に基づき、帰還を希望される方々が一日も早く古里での生活を再建できるよう、しっかりと取り組んでまいります。
次に「風評・風化対策」について申し上げます。
8月3日に、EUが日本産食品の輸入規制を撤廃したことを受け、同様の規制措置を講じていたEFTA加盟国も相次いで輸入規制を撤廃し、震災後、55の国・地域で行われていた輸入規制は、7つの国・地域にまで減少いたしました。
これまで、私自身が機会を捉え、EU加盟国の政府要人等にお会いし、県産農林水産物の安全性やおいしさなどの魅力を直接お伝えしてきたところであり、今回の輸入規制撤廃は、今後の輸出拡大も含め、非常に大きな波及効果を生み出すものと期待しております。
一方で、ALPS処理水の海洋放出に伴い、中国においては日本産の水産物の輸入を全面的に停止する措置がとられるなど、新たな風評への懸念が急速に高まっています。
そうした中、8月24日に開催された全国知事会議においては、三陸・常磐産の水産品等を各都道府県庁舎の食堂で提供しようとの提案がなされ、現在、具体の動きが全国に広がっております。こうした温かい御支援に心から感謝を申し上げますとともに、県といたしましても、他県等と連携しながら県産水産物の安全性と品質の高さを広くお伝えしていくほか、大消費地に向けた情報発信の強化、首都圏等の大手量販店において販売促進活動を展開するなど、様々な観点から対策を講じてまいります。
次に「カーボンニュートラルの推進」について申し上げます。
現在、県内の事業所や学校において、地球温暖化対策に取り組むことを宣言し実践していただく、「ふくしまゼロカーボン宣言事業」を進めており、これまでに、3,797事業所、322の学校に参加いただくなど、県民総ぐるみによる取組が着実に進んでおります。
今後は、優れた環境活動の表彰や各地で開催する体験型イベント等を通じて、全県的な機運の更なる醸成を図っていくとともに、再配達による温室効果ガスの排出を削減するため、簡易型宅配ボックスを活用した実証事業を物流業界と連携して実施するなど、環境負荷の少ないライフスタイルへの転換も後押ししてまいります。
次に「産業政策」について申し上げます。
7月12日に、新エネ社会構想実現会議において、本県における再生可能エネルギーと水素の取組を更に推し進めることを目的とした「福島新エネ社会構想加速化プラン」が決定されました。
本プランでは、福島水素エネルギー研究フィールドにおける本格的な水素供給に向けた支援策等を調査することが盛り込まれたほか、次世代の太陽電池であるペロブスカイト太陽電池について、県内公共施設での先行的な活用を検討することなどが示されました。県内での先行活用が実現すれば、「再生可能エネルギー先駆けの地」を目指す本県にとって力強い追い風となることから、引き続き、関係機関と連携し、再生可能エネルギーの飛躍的な導入拡大と水素社会の実現に向けた取組を進めてまいります。
観光につきましては、JR東日本と連携し、9月1日から11月30日までの3か月間にわたり、「福が満開、福のしま。」ふくしま秋観光キャンペーン2023を実施しております。今回のキャンペーンでは、豊かな自然が育んだ秋の味覚と名湯を満喫する「恵み」、県内各地の歴史や文化に触れる「伝統」、地元の人々との交流や福島の今を体験する「日常」、この三つをテーマに掲げ、秋の福島を感じる90以上の特別企画とイベントを県内各地で展開してまいります。
また、福島空港の利活用につきましては、9月5日に、台湾の航空会社及び旅行会社との間で覚書を締結し、来年1月16日から週2便となる定期チャーター便の就航が決定いたしました。今後は双方向の交流に取り組み、来年3月末からの震災後初となる国際定期便の運航を目指してまいります。
次に「農林水産業の再生」について申し上げます。
今年もトップセールスで、東京、大阪などの大消費地や県内のスーパー、直売所等を訪問し、桃やきゅうりなど「ふくしまプライド。」がぎっしり詰まった生産者自慢の逸品をお届けすることができました。実際に食べていただいた皆さんの笑顔を拝見し、県産農林水産物のおいしさや品質の高さがしっかり伝わったと手応えを感じたところであります。
これから米の収穫が本格化する季節となりますが、本格デビューから3年目を迎える「福、笑い」については、新たな販路の開拓や、新米の発売時期に合わせたテレビCM放映などにより、首都圏等における認知度を向上させ、県産米をけん引するトップブランド米としての定着を目指してまいります。
また、水産業につきましては、先般、東京都による震災復興支援の一環として、豊洲市場内に「常磐もの」のおいしさや本県の情報等を発信する拠点、「三陸常磐夢市楽座」を開設していただきました。この機会をいかし、県内の水産業関係者と連携しながら、新鮮で高品質な魚介類や水産加工品を提供していくとともに、県産魚介類の安全性と魅力等に関する情報発信の強化、さらには「常磐もの」を取り扱う店舗の掘り起こしを進めるなど、更なる販路の拡大につなげてまいります。
次に「県民の健康増進」について申し上げます。
先月、県民の皆さんの特定健診結果を分析した「福島県版健康データベース報告書」を公表いたしました。生活習慣病の要因となるメタボリック症候群の判定を受けた県民の割合は、前回報告時と比べて男性は悪化、女性は横ばいとなっており、深刻の度合いを増しております。
そのため、健民アプリを活用した体重測定キャンペーンを9月15日から開始し、適正体重を意識した生活習慣への行動変容を促していくほか、県内の大学と連携した「福島ならでは」のヘルシーメニュー開発や、県内スーパーの協力による減塩環境づくりの推進など、様々な角度から生活習慣の改善に向けた取組を展開してまいります。
また、新型コロナウイルス感染症につきましては、8月28日から9月3日までの定点当たりの報告数が27.62人と、11週連続で増加しており、入院者数も高い水準にあることを踏まえますと、本県は現在、第9波の状況にあるものと考えております。
今後、秋の観光シーズンを迎え、旅行や会食等の機会も増えるなど、感染者数が更に増加する可能性も懸念されることから、引き続き、感染動向を注視しながら、感染対策の徹底と医療提供体制の確保にしっかりと取り組んでまいります。
次に「子ども・若者育成」について申し上げます。
新型感染症の5類移行に伴い、各種スポーツの大会で4年振りに声を出しての応援が解禁されるなど、子どもたちの表情にも満面の笑顔と活気が戻ってきました。
高校野球県大会の開会式で選手宣誓を務めた若者は、様々な制限が課されてきたこれまでの活動を振り返り、「頑張ろう」の言葉だけでは乗り越えられないことも多々あったこと、それでも仲間や指導者、家族、応援してくれる地域の人々の支えがあったからこそ、この日を迎えることができたと語り、感謝の思いを感動に変えて恩返ししたいと力強く誓ってくれました。コロナ禍で様々な葛藤を抱えながらも、感謝の思いを忘れず、努力を積み重ねてきた子どもたちに心からエールを送りたいと思います。
一方で、課題も見受けられます。先頃公表された令和5年度全国学力・学習状況調査によれば、国語は小・中学校ともに、おおむね全国平均となっているものの、小学校の算数は全国平均をやや下回っており、中学校の数学及び英語については全国平均を下回る状況が続いております。
本県ではこれまで「学びの変革推進プラン」に基づいた授業の改善に取り組んできましたが、こうした取組が十分な成果に結び付いているとは言えない状況にあることから、今回の結果を重く受け止め、その対応策を「授業改善グランドデザイン」として示すとともに、各市町村の教育委員会とも連携を図りながら、児童生徒の学習をしっかりと支えてまいります。
次に「インフラの整備等」について申し上げます。
昨日、昭和村と会津美里町を結ぶ国道401号「博士峠工区」の供用を開始いたしました。本区間は雪崩等の危険性により、冬期間は通行止めとなっておりましたが、開通後は通年での通行が可能となり、救急医療機関へのアクセス向上や地域振興等にもつながるものと考えております。
また、かんがい用のダムに治水機能を付加する改修工事を進めてきた石川町の千五沢ダムでは、本年度内の完成に向け、来月から貯水試験を開始する予定であり、運用開始後は、異常気象等への対応強化が図られるものと期待しております。
県では、こうした県民生活の安全・安心確保に不可欠なインフラ整備について、県民の皆さんに広く興味・関心を深めていただくため、公共土木施設を観光資源としたインフラツーリズムの推進や、県内の土木建築物等をペーパークラフト化して提供するなど、様々な工夫を凝らした取組も進めております。
引き続き、関係機関や市町村と連携しながら、県土全体の将来像を見据えた社会資本の整備に力を尽くしてまいります。
地方創生・人口減少対策について
次に「地方創生・人口減少対策」について申し上げます。
本年1月1日時点における県内人口は、前年よりも減少幅が拡大し、これまで全国平均を上回って推移してきた合計特殊出生率についても、全国平均並みとなる1.27まで落ち込むなど、極めて深刻な状況にあります。
こうした傾向に歯止めをかけるためには、地域の実情に応じた施策を総合的に展開し、人口の自然増と社会増を着実に図っていく必要があります。
自然増対策としては、市町村と共に合同婚活イベントを開催していくほか、全国トップクラスとなる不妊治療への手厚い支援や、18歳以下の医療費無料化による経済的負担の軽減など、結婚・妊娠・出産・子育ての希望を叶える環境づくりを進めてまいります。
また、社会増対策としては、現在進めている「感働!ふくしま」プロジェクトにより、県内で働く魅力を戦略的に伝えていくことで、若者の県内定着や還流を着実に図っていくとともに、移住・定住の更なる促進、企業と連携した関係人口の創出・拡大などに全力で取り組んでまいります。
特に、移住・定住の促進については、昨年度における本県への移住実績が過去最多を更新したほか、今月5日には、移住を検討されている方の住まい探しを支援する相談窓口を新たに開設したところであり、今後も移住希望者のニーズに丁寧に寄り添いながら、「福島ならでは」の人口減少対策を進めてまいります。
先般、大熊町に完成した義務教育学校「学び舎ゆめの森」を訪問いたしました。避難先の会津若松市で開校した同校は、この春、古里へと帰還し、町内には再び、子どもたちの笑顔や元気な声が戻ってまいりました。
大熊町への学校移転を目前に控えた今年2月、子どもたちは、これまで御世話になった人々に「ある思い」を伝えたいと考え、地域の方々を招き、創作劇を披露しました。子どもたちがどうしても伝えたかった思い、それは、劇の終盤で何度も何度も繰り返された「行ってきます」という言葉でした。
震災直後、大熊町が全町避難を余儀なくされた際、会津若松の人々は、戊辰戦争での受難を引き合いに「自分たちが受け入れないでどうする」と、大熊の人々を温かく迎え入れ、その復興を支え続けてこられました。そうした中で、子どもたちも会津の人々の優しさに包まれながら、本当の古里のように生活し、成長してきました。だからこそ、大熊への帰還は「さよならではない」ことを地域の方々に直接伝えたかったのだと思います。
「行ってきます」に込められた子どもたちの思いは、地域の方々にもしっかりと伝わり、誰もが目を潤ませながら、大熊っ子の門出に大きな拍手を送っておられました。
私たち福島県民は、震災と原発事故で多くのものを失いましたが、新たに得たもの、新たに培ったものもたくさんあります。特に、こうした人と人との絆、地域と地域とが互いに力を合わせ、共に困難を乗り越えていく姿は、長い戦いとなる本県の復興を支える大きな力になるものと確信しております。
私はこれからも、そんな県民の皆さんと共に、このかけがえのない絆を確実に次の世代へとつなぎながら、未曽有の複合災害を乗り越え、笑顔と希望に満ちあふれた福島の未来を創り上げるため、全力で挑戦を続けてまいります。
本年1月1日時点における県内人口は、前年よりも減少幅が拡大し、これまで全国平均を上回って推移してきた合計特殊出生率についても、全国平均並みとなる1.27まで落ち込むなど、極めて深刻な状況にあります。
こうした傾向に歯止めをかけるためには、地域の実情に応じた施策を総合的に展開し、人口の自然増と社会増を着実に図っていく必要があります。
自然増対策としては、市町村と共に合同婚活イベントを開催していくほか、全国トップクラスとなる不妊治療への手厚い支援や、18歳以下の医療費無料化による経済的負担の軽減など、結婚・妊娠・出産・子育ての希望を叶える環境づくりを進めてまいります。
また、社会増対策としては、現在進めている「感働!ふくしま」プロジェクトにより、県内で働く魅力を戦略的に伝えていくことで、若者の県内定着や還流を着実に図っていくとともに、移住・定住の更なる促進、企業と連携した関係人口の創出・拡大などに全力で取り組んでまいります。
特に、移住・定住の促進については、昨年度における本県への移住実績が過去最多を更新したほか、今月5日には、移住を検討されている方の住まい探しを支援する相談窓口を新たに開設したところであり、今後も移住希望者のニーズに丁寧に寄り添いながら、「福島ならでは」の人口減少対策を進めてまいります。
先般、大熊町に完成した義務教育学校「学び舎ゆめの森」を訪問いたしました。避難先の会津若松市で開校した同校は、この春、古里へと帰還し、町内には再び、子どもたちの笑顔や元気な声が戻ってまいりました。
大熊町への学校移転を目前に控えた今年2月、子どもたちは、これまで御世話になった人々に「ある思い」を伝えたいと考え、地域の方々を招き、創作劇を披露しました。子どもたちがどうしても伝えたかった思い、それは、劇の終盤で何度も何度も繰り返された「行ってきます」という言葉でした。
震災直後、大熊町が全町避難を余儀なくされた際、会津若松の人々は、戊辰戦争での受難を引き合いに「自分たちが受け入れないでどうする」と、大熊の人々を温かく迎え入れ、その復興を支え続けてこられました。そうした中で、子どもたちも会津の人々の優しさに包まれながら、本当の古里のように生活し、成長してきました。だからこそ、大熊への帰還は「さよならではない」ことを地域の方々に直接伝えたかったのだと思います。
「行ってきます」に込められた子どもたちの思いは、地域の方々にもしっかりと伝わり、誰もが目を潤ませながら、大熊っ子の門出に大きな拍手を送っておられました。
私たち福島県民は、震災と原発事故で多くのものを失いましたが、新たに得たもの、新たに培ったものもたくさんあります。特に、こうした人と人との絆、地域と地域とが互いに力を合わせ、共に困難を乗り越えていく姿は、長い戦いとなる本県の復興を支える大きな力になるものと確信しております。
私はこれからも、そんな県民の皆さんと共に、このかけがえのない絆を確実に次の世代へとつなぎながら、未曽有の複合災害を乗り越え、笑顔と希望に満ちあふれた福島の未来を創り上げるため、全力で挑戦を続けてまいります。
令和4年度決算について
次に、令和4年度の決算について申し上げます。
令和4年度予算につきましては、新しい総合計画の初年度として、総合計画に掲げた将来の姿の実現を目指し、復興と地方創生を力強く前進させるための当初予算に加え、新型コロナウイルス感染症対策、令和4年3月の本県沖地震や8月の大雨など自然災害への緊急対応、さらには原油価格・物価高騰への対応など、喫緊の課題に対応するため、10度にわたる補正予算を計上し、年度間を通して適切な執行に努めてまいりました。
これにより、一般会計の実質収支は86億8百万円となったところであります。
令和4年度予算につきましては、新しい総合計画の初年度として、総合計画に掲げた将来の姿の実現を目指し、復興と地方創生を力強く前進させるための当初予算に加え、新型コロナウイルス感染症対策、令和4年3月の本県沖地震や8月の大雨など自然災害への緊急対応、さらには原油価格・物価高騰への対応など、喫緊の課題に対応するため、10度にわたる補正予算を計上し、年度間を通して適切な執行に努めてまいりました。
これにより、一般会計の実質収支は86億8百万円となったところであります。
提出議案について
提出議案について御説明を申し上げます。
令和5年度一般会計補正予算案につきましては、ALPS処理水の海洋放出により懸念される新たな風評への対策として、本県への更なる理解を促進するための正確な情報と魅力の発信、モニターツアーを通じたホープツーリズムの一層の推進、常磐ものを始めとする県産農林水産物の魅力発信の強化や更なる販売促進に要する経費を計上したほか、自然災害への備えとして、河川の改良復旧による防災力の強化などに要する経費を計上いたしました。
これによる一般会計補正予算の総額は、54億1千5百万円となり、本年度予算の累計は、1兆3,533億9千万円となります。
特別会計等補正予算案につきましては、福島県奨学資金貸付金特別会計など4会計について、それぞれ所要の経費を計上いたしました。
その他の議案といたしましては、条例が「福島県一般旅券発給申請等手数料条例の一部を改正する条例」など8件、条例以外の議案が「県の行う建設事業等に対する市町村の負担の追加及び一部変更について」など31件で、いずれも県政執行上重要な案件であります。
慎重に御審議の上、速やかな御議決をお願い申し上げます。
令和5年度一般会計補正予算案につきましては、ALPS処理水の海洋放出により懸念される新たな風評への対策として、本県への更なる理解を促進するための正確な情報と魅力の発信、モニターツアーを通じたホープツーリズムの一層の推進、常磐ものを始めとする県産農林水産物の魅力発信の強化や更なる販売促進に要する経費を計上したほか、自然災害への備えとして、河川の改良復旧による防災力の強化などに要する経費を計上いたしました。
これによる一般会計補正予算の総額は、54億1千5百万円となり、本年度予算の累計は、1兆3,533億9千万円となります。
特別会計等補正予算案につきましては、福島県奨学資金貸付金特別会計など4会計について、それぞれ所要の経費を計上いたしました。
その他の議案といたしましては、条例が「福島県一般旅券発給申請等手数料条例の一部を改正する条例」など8件、条例以外の議案が「県の行う建設事業等に対する市町村の負担の追加及び一部変更について」など31件で、いずれも県政執行上重要な案件であります。
慎重に御審議の上、速やかな御議決をお願い申し上げます。