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県議会定例会(令和5年12月)

印刷用ページを表示する 掲載日:2023年12月12日更新

令和5年12月福島県議会定例会知事説明要旨(令和5年12月12日)

 12月県議会定例会が開催されるに当たり、当面する重要な議案を提出いたしました。
 以下、そのあらましについて御説明いたしますが、それに先立ち、今般の県議会議員選挙におきまして、晴れて当選の栄誉に浴されました58名の議員の皆さんに深く敬意を表し、お祝いを申し上げます。皆さんには県民の代表者として、福島の復興と地方創生推進のため、大いに力を発揮されますことを心から御期待申し上げます。
 次に、職員不祥事の再発防止について申し上げます。
 全庁を挙げて再発防止に取り組む中、再び職員の不祥事案が発生しましたことは、県民の皆さんの信頼や信用を著しく損なう深刻な事態であると認識しております。
 今回の事態を踏まえ、両副知事が県内各方部を訪問し、出先機関の長と膝詰めで意見を交わすなど、改めて危機意識の共有を図ったほか、外部有識者で構成された「福島県職員の不祥事対策に関する検討委員会」を立ち上げ、当該委員会の報告書を踏まえた新たな再発防止策を取りまとめたことから、具体の取組を着実に進めてまいります。
 県民の皆さんの信頼と信用を回復しない限り、県政の前進はないとの覚悟を全ての職員が強く胸に刻み、職員一丸となって不祥事の根絶を図ってまいる所存であります。
 続いて、県政に関する当面の諸課題について所信の一端を述べさせていただきます。

東日本大震災からの復旧・復興について

 はじめに、「避難地域の復興・再生」についてであります。
 先月30日に、富岡町の特定復興再生拠点区域内で一部未解除となっていた墓地や幹線道路等の避難指示が解除されたことにより、県内6町村に設定されていた全ての拠点区域で避難指示が解除されました。
 また、特定復興再生拠点区域外における避難指示の解除を目的に創設された「特定帰還居住区域」については、9月29日に大熊町と双葉町の一部が対象区域として設定され、今月20日に除染が開始される見込みであります。
 さらに、県立大野病院の後継として検討を進めてきた、双葉地域における中核的病院についても、先月30日に基本構想を決定し、病院の具体的な機能などを盛り込んだ基本計画の策定に向けて動き出しました。
 こうした流れを更に加速させるべく、先月7日には、国に対する緊急要望活動を実施し、第2期復興・創生期間後における十分な財源や復興を支える制度の確保を始め、避難地域の復興・再生、ALPS処理水の処分に係る安全確保や風評・風化対策、福島イノベーション・コースト構想の推進など、特に重要な項目について着実な対応を求めたところであります。
 引き続き、第2期復興・創生期間以降も切れ目なく着実に復興を進めていけるよう、中長期にわたる財源や制度の確保に全力で取り組んでまいります。

 次に、「環境回復」について申し上げます。
 福島第一原子力発電所の廃炉と汚染水・処理水対策につきましては、10月25日に、増設ALPSの配管洗浄作業において放射性物質を含む廃液が作業員へ飛散する事案が発生したほか、飛散した廃液の量を当初公表した値から大幅に訂正するなど、不十分な安全管理や信頼性を欠く情報発信が見られました。
 これを受け、11月17日に開催した廃炉安全監視協議会では、事案発生時に県から申し入れた原因の究明や正確な情報発信等に関する東京電力の対応状況について確認を行い、改めて再発防止策の徹底と正確な情報発信に責任を持って取り組むことなどを求めたところであり、引き続き、廃炉安全監視協議会や現地駐在職員等を通じて、国及び東京電力の取組をしっかりと確認してまいります。
 また、ALPS処理水につきましては、先月20日に3回目の海洋放出が完了し、これまでのところ、放出作業は計画どおり実施されており、海域モニタリングにおいても、トリチウム濃度が検出下限値未満か、十分に低い値であることを確認しております。
 こうした実績を着実に積み重ね、科学的な事実に基づきながら国内外へ丁寧に発信していくことが極めて重要であることから、今後も東京電力に対し、想定外の事態が生ずることのないよう、万全の対策を講じるとともに、海域モニタリングの結果等も含め、正確で分かりやすい情報発信に取り組むよう強く求めてまいります。

 次に、「風評・風化対策」について申し上げます。
 ALPS処理水の海洋放出が開始されてから3か月が経過しましたが、現時点で県内における大きな風評被害は確認されておりません。
 特に、風評の影響が懸念されていた水産物については、各都道府県知事を始め、各国大使や民間企業・団体など、多くの方々が本県産水産物の積極的な活用を呼び掛けていただいたことで、全国的な応援の輪が広がっており、海洋放出後においても主要魚種の価格は例年並みの水準を維持しております。こうしたたくさんの温かい御支援に対し深く感謝を申し上げます。
 一方で、他の道県においては、海洋放出に伴い様々な影響が生じております。ALPS処理水の問題は福島県だけの問題ではなく、日本全体の問題であることから、今後も国に対し、国内外における正確な情報発信と理解醸成に向けた対話の継続、万全な風評対策などに全責任を持って取り組むよう強く求めてまいります。
 また先月には、海外における本県の力強い応援団である在外県人会のサミットを開催し、復興が進む「福島の今」をご覧いただくとともに、世界に向けた更なる情報発信等について意見を交わしたところであります。今後とも世界各地に張り巡らされた県人会のネットワークを活用させていただきながら、国内外に対し、本県への共感と応援の輪を広げてまいります。

 次に、「産業政策」について申し上げます。
 令和3年に本県から出荷された医療用機械器具の部品等出荷額が12年連続で全国1位を達成いたしました。引き続き、新規参入の促進や製品開発、販路の開拓、人材育成まで幅広く支援することにより、世界に誇れる医療機器関連産業の一大集積地を目指してまいります。
 また、先頃開催された全国醤油品評会において、本県産の醤油が最高賞である農林水産大臣賞を受賞したほか、都道府県別入賞数で過去最多となる10品目が入賞し、全国最多を記録いたしました。これは、全入賞品目の5分の1を福島県勢が占めるという快挙であります。
 さらに、先月行われた東北清酒鑑評会においても、純米酒の部門で本県の蔵元が最優秀賞を含む上位2賞を独占し、改めて福島の酒造りのレベルの高さを示してくれました。
 来年の3月には、「ふくしまの酒・味噌醤油まつり」を4年振りに郡山市で開催する予定であり、県といたしましても、「醸造王国ふくしま」が誇る日本酒や醤油・味噌などの魅力を積極的に発信していくとともに、こうした発酵文化を観光資源とした「ふくしま発酵ツーリズム」を推進することにより、観光誘客と地域産業の更なる発展につなげてまいります。
 一方で、県内経済は原油価格や物価高騰などにより、依然として様々な業種に影響が及んでおります。そのため、今般成立した国の補正予算を活用し、生活者や事業者に対する支援施策等を早急に取りまとめ、着実に対応してまいります。
 
 次に、「農林水産業の再生」について申し上げます。
 10月に米国・ハワイを訪問し、県産米「天のつぶ」の販路拡大に向けたトップセールスを行ってまいりました。現地量販店の方からは、「粘り気が少なく、粒がはっきりしていて、ハワイの人々に受け入れやすいお米だ」との感想を頂いたほか、店頭で試食された方々からも「大変おいしい」と好評で、県産米の品質の高さやおいしさをしっかりとお伝えすることができたと実感しております。
 量販店を運営する代表者の方とは、県産品の輸出拡大を中心とした連携協定の締結に向け、手続きを進めていくことで合意いたしました。引き続き、県産品の魅力を世界に発信し、一層の販路拡大を図ってまいります。
 また、本年4月に開所した「福島県農業経営・就農支援センター」においては、10月末までの相談件数が前年同期比で約1.8倍となり、新規就農者数も過去最高となる367名を記録するなど、順調に推移しております。今後も、就農相談から経営支援までをワンストップ・ワンフロアで対応する全国初の総合相談窓口として、きめ細かくサポートしていくとともに、東京や大阪等での就農相談会に出展するなど、新規就農者の更なる増加に努めてまいります。
 水産業につきましては、震災以降、自粛していた宮城県沖での底びき網漁が10月4日から再開されました。漁業関係者の皆さんも「漁業復興に向けた大きな一歩だ」と期待を寄せられており、県といたしましても、漁獲量の拡大に必要な漁具等の更新・追加への支援を始め、担い手の確保と育成、水産流通加工業者の事業継続・拡大に向けた支援を行うなど、水産業の力強い復興につなげてまいります。

 次に、「カーボンニュートラルの推進」について申し上げます。
 県と物流業界が連携し、10月1日から再配達削減プロジェクトをスタートいたしました。簡易型宅配ボックスの活用を促すことで、再配達に伴う二酸化炭素の排出量を削減するとともに、物流業界の人手不足が懸念されている2024年問題の対策などにつなげてまいります。
 また、「ふくしまゼロカーボン宣言事業」に参加する事業所が、先月末で過去最高の4,065事業所となるなど、県内における地球温暖化対策の取組は着実な広がりを見せております。
 そのような中、県民の皆さんや事業者の皆さんと一体となった取組が一層促進されるよう、カーボンニュートラルの推進に関する条例の検討作業を進めており、事業者や関係団体に加え、大学生を対象にしたアンケート調査や意見交換会も実施するなど、県民総ぐるみによる脱炭素社会の実現を目指してまいります。

 次に、「子ども・若者育成」について申し上げます。
 9月に発生した大雨災害で県内各地が甚大な被害に見舞われる中、本県の若者たちが災害ボランティアとして被災地に入り、地域の方々に希望を与えてくれました。
 ある若者は、4年前の大雨で実家が被災した時、ボランティアの方々に助けていただいたことへの「恩返しだ」と力強く語っていました。また別の若者は、東日本大震災で高校生や大学生たちが助けてくれたことを思い返し、今度は自分も「後輩たちの道しるべになれれば」と語っていました。
 本県の若者たちは、震災や原発事故、その後の度重なる自然災害などを通じて、人と人とが支え合うことの大切さを実体験として学んできました。こうした若者たちの行動は、正に福島の新たな希望であると感じております。引き続き、福島ならではの学びを積み重ね、自身の未来をたくましく切り拓いていくことができる人材の育成に努めてまいります。
 一方で、こうした子どもたちや若者たちを取り巻く環境も大きく変化しております。先頃公表された文部科学省の調査によれば、県内の小中学校で2022年度に30日以上欠席した不登校の児童生徒数が3,546人となり、過去最多を更新しました。
 コロナ禍を通じた社会変化の影響など、不登校に至る要因も複合化・多様化していることから、適切に実態を把握し、組織的・計画的に支援していく必要があります。そのため、各校における教育相談体制の充実を図っていくほか、スペシャルサポートルームや今春開設した不登校児童生徒支援センター等を活用し、一人一人の特性や学び方に応じた多様な教育機会を確保するなど、子どもたちに寄り添った支援を進めてまいります。

 次に「県民の健康増進」について申し上げます。
 10月に公表した『福島県版健康データベース報告書2023(にせんにじゅうさん)』によれば、メタボリック症候群に関連する23項目の指標のうち、血圧や血糖値など12項目において、男女共に前回調査から数値が悪化しており、全国順位もワースト4位となっています。また、食塩摂取量が全国ワースト2位、喫煙率は全国ワースト1位となっており、本県の健康指標は全国と比較しても大変厳しい状況にあります。
 このため、各専門分野の団体等がオール福島の体制で健康づくりに取り組む「健康長寿ふくしま会議」を4年振りに対面形式で開催し、強い危機意識の下、共に改善に向けて取り組んでいく決意を共有するとともに、これまで普及啓発に努めてきた健康的な生活習慣を『ふくしま推(お)しの健活(けんかつ)7(セブン)』としてパッケージ化し、各種イベントや情報媒体等を通じて広く周知するなど、県民の皆さんの健康増進に向けた取組を積極的に進めてまいります。
 また、感染症については、インフルエンザが4年9か月振りに県全体で警報レベルに達するなど猛威を振るっております。県内各地で学級閉鎖等の対応をとる学校が増えており、家庭や職場などにおいても感染の拡大が懸念されることから、今後も感染動向を注視しながら、基本的な感染対策の徹底を呼び掛けてまいります。

 次に「インフラの整備等」について申し上げます。
 台風第13号に伴う大雨災害が発生してから3か月が経過いたしました。り災証明書の交付率は99%を超え、公営住宅や賃貸型応急仮設住宅の提供、住宅の応急修理等が進んでいるほか、床上浸水等の被害を受けた世帯に対する県独自の特別給付金についても支給手続きが進んでおります。
 10月24日には、県内59市町村と県との間で大規模災害時における相互応援等に関する協定を締結いたしました。災害発生時には、県と県内市町村が一体となって迅速かつ円滑に災害対応に当たるなど、災害に強い県づくりを進めてまいります。
 また、先月、いわき市内のバス路線を大幅に再編する計画が事業者から示されました。県内の地域公共交通は、少子高齢化や車社会の進展による利用者の減少、さらには深刻な運転手不足など、困難な課題に直面しております。
 このため、市町村や交通事業者と一層緊密に連携しながら適切に対応していくとともに、県内全域を対象とした「地域公共交通計画」を今年度中に策定し、県民に身近で持続可能な公共交通体系の構築に取り組んでまいります。
 福島空港につきましては、来年1月16日から福島と台湾を結ぶ定期チャーター便の就航が予定されており、10月5日には、私自身が台湾に赴き、現地の方々に本県の観光や食などの魅力をお伝えしてまいりました。
 引き続き、現地窓口と連携した旅行商品の造成支援や効果的なプロモーションを展開するなど、インバウンド、アウトバウンドの両面から取組を進め、国際定期便の着実な実現につなげてまいります。

地方創生・人口減少対策について

 次に、「地方創生・人口減少対策」について申し上げます。
 令和4年度における本県への移住相談件数が、過去最多となる17,267件を記録し、3年連続で全国第3位となりました。また、10月1日には、これまでで最多の55市町村が参加し、都内で大規模な移住相談会を開催したところであります。
 今後も、若者の価値観や移住希望者の視点に立った情報発信を始め、移住後の地域定着に向けた支援、地域における受入体制の整備等、きめ細かな対応を進めていくほか、副業やテレワーク、企業による地域貢献など、多様な切り口で本県と関わる機会を提供し、関係人口の創出・拡大を図ってまいります。
 一方、8月に公表された令和5年の人口動態統計によれば、本県の今年上半期における出生数と婚姻件数は、前年同期比でいずれも8.2%の減となっており、全国平均と比べて減少幅が大きくなっています。
 これまでも、結婚・出産・子育ての希望をかなえる環境づくりに向け、ライフステージに応じた切れ目のないサポート体制の充実を図ってまいりましたが、こうした取組を更に強化するため、先般、こども家庭庁が提唱する「こどもまんなか宣言」の趣旨に賛同し、「こどもまんなか応援サポーター」への就任を宣言いたしました。社会全体で子育てを応援する気運の醸成を図り、子どもを産み育てやすい環境づくりを進めるため、私自身が先頭に立ち、様々な取組を進化させてまいります。

 先般、ハワイのホノルル福島県人会が設立から百周年を迎え、現地で開催された記念式典に参加してまいりました。
 本県とハワイとのつながりは、三春町に生まれ、その後米国に渡られた勝沼(かつぬま)富造(とみぞう)さんが移民者を募り、これに呼応した桑折町出身の岡崎(おかざき)音治(おとじ)さんが福島県出身のハワイ移民第一号となられたことに端を発しています。
 以来、多くの県民が海を渡り、文化や気候、風土も異なる地で、共に支え合いながら血のにじむような努力を積み重ね、地域の発展に貢献してこられました。改めて先人たちの勇気と挑戦に深く敬意を表します。
 そして今年、同じく百周年の節目を迎えたものがあります。
 それは県の花、「ネモトシャクナゲ」。吾妻山の自生地が国の天然記念物に指定されてから、ちょうど百年の歳月が経過しました。
 ネモトシャクナゲは、一つ一つの花が寄り添って見事な大輪の花を形づくります。高山の厳しい環境に身を置きながらも、風雪に耐え、ひたむきに美しい花を咲かせるその姿は、復興に向け一丸となって歩みを進める、私たち福島県民の姿そのものであります。
 これら二つの“百年”は、現代を生きる私たちに、時を経ても変わることのない大切なものを改めて教えてくれました。
 私はこれからも、先人たちが示してくれた勇気と進取の気性を胸に、幾多の逆境を乗り越え、“復興の地、ふくしま”という美しい大輪の花を咲かせるため、県民の皆さん、そして福島に思いを寄せてくださる全ての方々の力を結集し、全力で挑戦を続けてまいります。

提出議案について

 提出議案について御説明申し上げます。
 令和5年度一般会計補正予算案につきましては、台風第13号に伴う大雨災害への対応として、中小企業等における施設・設備の復旧支援、農業共同利用施設の復旧支援、国宝「白水阿弥陀堂」の復旧支援、新たな砂防施設の整備などに要する経費を計上いたしました。
 これによる一般会計補正予算の総額は、42億3千7百万円となり、本年度予算の累計は、1兆3,609億4千2百万円となります。
 特別会計等につきましては、福島県国民健康保険特別会計など7会計につきまして、それぞれ補正額を計上いたしました。
 その他の議案といたしましては、条例が「福島県液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律関係手数料条例の一部を改正する条例」など13件、条例以外の議案が「当せん金付証票の発売について」など66件で、いずれも県政執行上重要な案件であります。
 慎重に御審議の上、速やかな御議決をお願い申し上げます。

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