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県議会定例会(令和6年6月)

印刷用ページを表示する 掲載日:2024年6月18日更新

令和6年6月福島県議会定例会知事説明要旨(令和6年6月18日)

 6月県議会定例会が開催されるに当たり、当面する重要な議案を提出いたしました。
 以下、そのあらましについて御説明いたしますが、それに先立ち、県政に関する当面の諸課題について所信の一端を述べさせていただきます。

東日本大震災からの復旧・復興について

 はじめに「避難地域の復興・再生」についてであります。
 この春、大熊町、双葉町からの要請に基づき整備を進めてきた、帰還者向け災害公営住宅等が完成したほか、ふくしま復興再生道路に位置づけた「県道吉間田滝根線」の広瀬工区が開通するなど、住民帰還に向けた動きが力強さを増してまいりました。
 4月23日には、双葉町の一部が特定帰還居住区域として新たに認定され、飯舘村においても長泥地区の一部について、来年春の避難指示解除を目指す方針が示されたことから、引き続き、国や地元自治体と緊密に連携しながら、避難地域における帰還環境の整備等を着実に進めてまいります。
 また、今月7日に官房長官、復興大臣を始めとする関係閣僚や政党に対し、本県の復興・創生に向けた提案・要望活動を実施いたしました。
 第2期復興・創生期間の最終年度となる令和7年度に必要な予算はもとより、期間後においても十分な財源と枠組み、復興を支える制度を確保すること、さらには除去土壌等の県外最終処分に向けた具体的な方針・工程の早期明示など、長い戦いとなる本県の復興に向け、今後も国が前面に立ち、責任を持って取り組むよう強く求めたところであります。
 福島イノベーション・コースト構想につきましては、今月14日に、県と福島国際研究教育機構(F-REI)、福島イノベーション・コースト構想推進機構の三者において、研究開発や人材育成等での協力関係強化を目的とした包括連携協定を締結いたしました。
 併せて、来年4月1日に福島ロボットテストフィールドをF-REIに統合することについても基本合意し、今後はF-REIが有する研究開発機能等をいかしながら、一層の発展を目指していくとともに、来週24日に開催する福島イノベーション・コースト構想推進分科会での議論などを通じて、構想の更なる推進を図ってまいります。

 次に、「環境回復」について申し上げます。
 福島第一原発の廃炉につきましては、昨年10月以降、作業員の身体汚染や所内電源の一部停止など、県民の皆さんに不安を与えるトラブルが繰り返し発生していることから、東京電力に対し、様々な視点からあらゆるリスクを洗い出し、従来の再発防止策や、その水平展開の方法を改めて見直すことにより、同様のトラブルを二度と繰り返さぬよう、安全管理体制の構築を強く求めたところであります。今後も廃炉安全監視協議会等を通じて、東京電力における対応状況を厳しく監視してまいります。
 また、ALPS処理水につきましては、今月4日に本年度2回目の海洋放出が完了し、これまでのところ放出作業は計画どおり実施され、海域モニタリングにおけるトリチウム濃度も検出下限値未満か十分に低い値となっております。引き続き、国及び東京電力に対し、安全確保の徹底や正確で分かりやすい情報発信に取り組むよう求めてまいります。

 次に、「風評・風化対策」について申し上げます。
 7月8日から13日にかけて、福島の現状や魅力の発信、県産品の販路拡大などを目的に、英国、ベルギー、オランダの三か国を訪問いたします。
 政府関係機関の要人を訪問し、輸入規制の解除等に対する御礼を直接お伝えするほか、現地での講演会や交流会、輸入事業者へのトップセールス等を通じて福島の現状と魅力をお伝えし、本県に対する一層の理解醸成と欧州からのインバウンド誘客、県産品の販路拡大等につなげてまいります。
 また、風化の防止につきましては、昨年度における東日本大震災・原子力災害伝承館の来館者数が9万人を超え、過去最多となりました。海外からの来館者も増えていることから、今後は多言語による展示物の説明等を充実させるとともに、9月にはフランスにおいて初の海外展示を実施いたします。

 次に、「産業政策」について申し上げます。
 先月開催された全国新酒鑑評会では、本県から31銘柄が入賞し、このうち18銘柄が金賞に輝くなど、改めて県内蔵元の技術力の高さを示すことができました。今後もイベントの開催等による販売促進を始め、県オリジナル酵母の活用や新たな酒米の開発等を通じた、オールふくしまの酒づくりを支援するなど、県産日本酒の更なる振興を図ってまいります。
 また先般、令和8年度春のデスティネーションキャンペーンの本県単独開催が決定いたしました。令和8年は、福島県が誕生して150年、震災と原発事故から15年となる大変重要な年であります。この節目の年に、本県の復興が着実に進んでいる姿や、福島の魅力を全国の方々に「見て」「感じて」「味わって」いただくとともに、同年の2月から5月にかけて開催するファン・ゴッホの展覧会と連動した、アートツーリズム等による相乗効果も発揮できるよう準備を進めてまいります。
 一方、記録的な円安や原油価格・物価高騰が続く中、先般、県が実施した実態調査によれば、コスト上昇分について多少なりとも価格転嫁できている事業者は増えているものの、十分に転嫁できている事業者は少ないことが明らかとなりました。このため、適正な取引を宣言した事業者に対する優遇措置の拡大やセミナーの開催等により、価格転嫁の円滑化に向けた機運醸成を図っていくほか、第3期福島県県産品振興戦略に基づき、県産品のブランド力向上と販路拡大などに取り組んでまいります。
 新産業につきましても、都内における県産水素の利活用が広がりを見せており、県内においても、東北初の大型トラックに対応した定置式水素ステーションが本宮市に開所されるなど、水素社会の実現に向けた取組が着実に進んでおります。
 さらに、今月4日に開催された国家戦略特別区域諮問会議において、本県が求めてきた規制緩和等の必要性が認められ、「新技術実装連携“絆”特区」に指定されることが決定いたしました。今後は共に指定を受けた長崎県と連携しながら、利便性の高いドローン物流の社会実装を全国に先駆けて実現し、関連産業の振興とイノベ構想の更なる推進を図ってまいります。

 次に、農林水産業の再生について申し上げます。
 昨年度における県産農産物の輸出量は、私自身が直接現地に赴いてトップセールスを行ったアメリカを始め、北米地域への米の輸出が大きく増加したことなどにより、過去最高を更新いたしました。今後も高い品質を誇る県産農産物の魅力を国内外に広く発信し、更なる販路拡大に努めてまいります。
 また、林業につきましては、令和4年の林業産出額が138億9千万円となり、初めて震災前の水準を上回ったほか、昨年度の新規就業者数も118人で3年連続の百人以上となりました。引き続き、人材育成や効率的な森林整備などを通じて県産材の生産拡大等を図ってまいります。
 水産業につきましても、操業拡大に向けた機運が一層の高まりを見せており、昨年度は、沿岸漁業の新規就業者数が試験操業開始以降で最多となる26人を記録いたしました。今後は若手漁業者が参画する水産資源調査や新たな漁船の取得に伴う老朽化漁船の処分費用を支援するなど、水産業の復興加速化に向けた様々な施策を展開してまいります。

 次に、「カーボンニュートラルの推進」について申し上げます。
 2050年カーボンニュートラルの実現に向け、先月、県有建築物の木造化・木質化を推進するための建築ガイドラインを全国に先駆けて策定したほか、今月1日からは県内スーパー等と連携し、宅配ロッカーを活用した再配達の削減を図る取組を開始いたしました。引き続き、県民一丸となって脱炭素社会の実現に向けた取組を進めてまいります。
 一方、令和4年度の一般廃棄物処理事業実態調査において、本県は一人一日当たりのごみ排出量が全国ワースト1位、リサイクル率はワースト2位となり、ごみ排出量の削減が喫緊の課題となっています。
 特に可燃ごみに占める生ごみの割合が高い状況にあることから、「わたしから始めるごみ減量!」をキャッチフレーズに、生ごみの「水きり」、料理の「食べきり」、食材の「使いきり」の三つの「きり」を実践していただくよう促していくとともに、生ごみの削減に向けたモデル事業の実施、ごみの分別・リサイクルの徹底を呼び掛けるなど、ごみ排出量の削減に努めてまいります。

 次に「県民の健康増進」について申し上げます。
 先般、今年度から令和17年度までを計画期間とする「第三次健康ふくしま21 計画」を策定いたしました。本計画では「健康寿命の延伸と健康格差の縮小」を基本目標として、生活習慣の改善に取り組むほか、健康経営など、自然に健康になれる社会環境づくりの推進、子どもや高齢者、女性の健康に着目した取組などを展開してまいります。
 さらには、重点的に改善を図る健康課題として、食塩・喫煙・肥満の3点を位置付け、「みんなでチャレンジ!減塩・禁煙・脱肥満」のスローガンの下、オールふくしまで改善に取り組み、健康長寿ふくしまの実現を目指してまいります。
 また、県の医療計画についても見直しを行い、今年度からの6年間を計画期間とする「第8次福島県医療計画」がスタートいたしました。
 救急や小児・周産期医療等の体制強化を始め、避難地域等の医療復興、新たな感染症発生時における医療体制の構築など、様々な施策の成果を測る470の指標を設定したほか、新たに「地域編」を設け、二次医療圏ごとの課題や対策なども盛り込んだところであります。本計画の下、安全で質の高い医療を効率的に提供できる体制の確保や、保健・医療・福祉が連携した切れ目のないサービスの提供等を図ってまいります。

 次に、「子ども・若者育成」について申し上げます。
 原発事故により、県内での活動が困難となったJFAアカデミー福島は、受入先である静岡県の皆さんを始め、関係の方々のお力添えにより、「福島」の名を残しながら活動を続けてまいりましたが、この春、14年振りに福島の地で男女揃っての入校式を開催することができました。アカデミーの再開は、県民や地域に大きな希望を与えるものであり、今後も関係団体等と連携しながら、世界を舞台に活躍できる人材の育成を進めてまいります。
 また、来月26日には、Jヴィレッジをメイン会場として、今年度から本県で固定開催となるインターハイ男子サッカー競技も開幕いたします。全国から来県される方々を万全の体制でお迎えできるよう、しっかりと準備を進めてまいります。
 一方、子どもたちを取り巻く環境が大きく変化している中、こどもまんなか社会の実現に向けた計画として、「福島県こどもまんなかプラン」の策定作業を進めております。計画の実効性を高めるため、今後、県内の子どもたちや子育て世代等を対象に、自己肯定感や幸福度、結婚・出産・子育てのニーズなどを尋ねる意識調査を実施し、計画内容に反映してまいります。

 次に「インフラの整備等」について申し上げます。
 先月17日に開催した只見線利活用推進協議会において、JR只見線の全線運転再開に伴う一年間の経済波及効果が6億1千万円に上るとの試算結果を公表するとともに、オリジナル観光列車の導入に向け、本格的な検討を開始することが決定されました。
 来月6日には、沿線地域の豊かな自然環境等を発信する拠点として、柳津町に「越後三山只見国定公園奥会津ビジターセンター」がオープンすることから、こうした新たな施設も活用しながら、只見線の更なる利活用促進を図ってまいります。
 また、只見線と同様に、新潟・福島豪雨で冠水などの被害を受けた国道252号水沼工区の整備が、昨年度末で完了いたしました。災害に強い道路として、安全かつ円滑な交通が確保され、救急医療機関等へのアクセス向上も図られるものと期待しております。
 ソフト面からの防災対策につきましても、マイ避難シートの作成機能等を実装した「防災アプリ」や、避難行動を疑似体験できる「防災VR」、災害関連情報を網羅した「防災ポータル」の提供を開始したところであり、これらの活用により、県民の皆さんの防災意識向上を図ってまいります。
 喫緊の課題となっている危険な盛土への対応につきましては、既に西郷村と矢祭町について盛土規制法に基づく規制区域を指定したほか、白河市が今月末、中核市を除く53市町村についても9月末までの指定を目指して調整を進めております。
 さらに今月1日には、規制区域の指定前でも土砂崩落による災害発生を未然に防ぐ措置を講ずる「福島県土砂等の埋立て等の規制に関する条例」も施行されたことから、引き続き、県民の皆さんの安全・安心の確保に努めてまいります。

地方創生・人口減少対策について

 次に、「地方創生・人口減少対策」について申し上げます。
 先般、人口戦略会議の独自推計に基づく「消滅可能性自治体」が公表され、県内では、原発事故の影響が残る浜通りの13市町村を除き、全体の約7割が消滅可能性自治体として分類されるなど、大きな衝撃が走りました。
 本県では、進学や就職を機に多くの若者が東京圏などへ流出する傾向にある一方で、東京圏では他地域と比べて合計特殊出生率が低く、東京一極集中が日本全体の人口減少に拍車をかける要因となっていることから、先般、国に対し、東京一極集中の是正を強く要望したところであります。
 また、県といたしましても、こうした若い世代の流出に歯止めをかけるべく、市町村や企業など、関係の方々との連携・協力関係を一層強化し、自然減と社会減の両面から人口減少対策に取り組んでまいります。
 具体的には、自然減対策として、民間企業等と連携した出会いの場を創出していくとともに、遠方での出産が必要な妊婦に対する宿泊費用等の支援、18歳以下の医療費無料化を始めとした経済的負担の軽減、子育て応援パスポートの普及拡大など、結婚・出産・子育てのライフステージに応じた切れ目のない支援を展開してまいります。
 また、社会減対策といたしましては、先月、県内出身で首都圏在住の若者を対象に意識調査を実施したところであり、今後、当該調査結果を踏まえた対策を講じていくほか、新たに首都圏在住の県出身者を対象に都内で交流会を開催するなど、Uターンに向けた機運の醸成を図ってまいります。
 さらに、昨年からスタートした「感働!ふくしま」プロジェクトにより、県内企業の認知度向上に向けた情報発信や、企業見学会の開催等を通じて、子どもや若者、その保護者の方々に対し、福島で働く魅力や喜びを伝え、若い世代の地元就業を推進してまいります。

 この春開催された、声楽アンサンブルコンテスト全国大会では、能登半島地震の被災地、石川県の代表として来県された児童合唱団の皆さんが、ふるさと復興への願いを込めた、すばらしい歌声を響かせてくれました。
 日本屈指の実力を持つ、この児童合唱団は、東日本大震災以降、県内の被災地を幾度も訪れ、傷ついた県民の心を、その美しい歌声で癒やし、励まし続けてきてくれました。涙を流しながら聴き入る人々の姿を見て、自分たちも泣きながら歌ってくれたこともありました。
 「福島の方々が頑張っている姿から勇気をもらった」
 本県との交流を重ねる中で育まれてきた彼らの熱い思いは、その歌声と共に、自らのふるさとへ向けた「エール」となって、被災された人々に再び立ち上がるための勇気を与えてくれました。
 また、先月には、同じく能登半島地震で被災された富山県の氷見市から林正之市長が来県され、3月に本県で代替開催した、全国中学生ハンドボール選手権大会などに対する感謝と労いの言葉を頂きました。
 「子どもたちに夢を与えていただいたことに心から感謝している」
 林市長の言葉に、私は13年前、本県の子どもたちが同じような厳しい状況の中でも、夢をあきらめずに頑張っていた姿を思い出し、思わず目頭が熱くなりました。
 私たちはこれまで、全国からたくさんの温かい応援、「エール」を頂きながら今日まで復興を進めてきました。本県はいまだ復興の途上にありますが、今度は私たちに出来ることから少しずつでもエールをお返ししていく、それこそが、これからの福島にとって大切ではないかと考えております。
 そして、合唱団の子どもたちが感じてくれたように、私たちの挑戦する姿を通して、能登半島を始めとした様々な困難に直面している人々に対し、「共に乗り越えていこう」との力強いエールを送ることが出来るよう、これからも県民の皆さんと力を合わせ、挑戦を更に「シンカ」させながら、福島の未来を切り拓いてまいります。

令和5年度決算見込みについて

 次に、令和5年度一般会計の決算見込みについて申し上げます。
 令和5年度予算につきましては、一つ一つの取組を「シンカ」させ、力強い復興と福島ならではの地方創生を更に加速させていくための当初予算に加え、4月に発生した凍霜害や台風13号に伴う大雨など自然災害への緊急対応、さらには原油価格・物価高騰への対応など、喫緊の課題に対応するため、8度にわたる補正予算を編成してまいりました。
 この結果、一般会計の決算見込額は、歳入で1兆3千14億円、歳出で1兆2千693億円となり、その差額である321億円から翌年度への繰越事業に充当すべき財源244億円を差し引いた実質収支額で、77億円程度となる見込みであります。

提出議案について

  次に、提出議案について御説明申し上げます。
 令和6年度一般会計補正予算案につきましては、インバウンドの受入体制強化やキャンペーンの実施によるアウトバウンドの推進、光熱費等が増加している医療機関や薬局等への支援、電子処方箋の導入支援など、緊急に措置すべき経費を計上いたしました。
 これによる一般会計補正予算の総額は、11億3百万円となり、本年度予算の累計は1兆2千392億1千1百万円となります。
 その他の議案といたしましては、条例が「福島県税条例の一部を改正する条例」など14件、条例以外の議案が「県の行う建設事業等に対する市町村の負担の追加について」など10件で、いずれも県政執行上重要な案件であります。
慎重に御審議の上、速やかな御議決をお願い申し上げます。

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