県議会定例会(令和6年9月)
印刷用ページを表示する 掲載日:2024年9月17日更新
令和6年9月福島県議会定例会知事説明要旨(令和6年9月17日)
9月県議会定例会が開催されるに当たり、当面する重要な議案を提出いたしました。
以下、そのあらましについて御説明いたしますが、それに先立ち、県政に関する当面の諸課題について所信の一端を述べさせていただきます。
以下、そのあらましについて御説明いたしますが、それに先立ち、県政に関する当面の諸課題について所信の一端を述べさせていただきます。
東日本大震災からの復旧・復興について
はじめに「避難地域の復興・再生」についてであります。
避難地域においては、今月5日から富岡町の特定帰還居住区域における除染・解体工事が開始され、これまでに認定を受けた四つの町全てにおいて作業が進められているほか、大熊町と双葉町においては、来年度までに災害公営住宅などの住環境や商業施設等の生活環境が一定程度整う見通しとなったことから、国及び両町と協議し、応急仮設住宅の供与期間を令和8年3月末まで延長した上で、供与を終了することといたしました。
一方、長い戦いとなる本県の復興を成し遂げるためには、依然として様々な課題が残されており、7月末に開催された福島復興再生協議会では、国に対し、避難地域の復興・再生や福島イノベーション・コースト構想の推進など、第2期復興・創生期間の最終年度となる令和7年度に必要な財源の確保はもとより、それ以降も見据えた中長期的な視点での財源と枠組み、復興を支える制度等をしっかりと確保するよう求めたところであります。
これにより、国の来年度予算概算要求においては、おおむね本県の要望を踏まえた内容が盛り込まれたところであり、今後も国や地元自治体、関係機関等と緊密に連携しながら、避難地域の復興・再生に向けた取組を着実に進めてまいります。
次に、「環境回復」について申し上げます。
福島第一原発の廃炉につきましては、先月22日から中断していた、2号機における燃料デブリの試験的な取り出し作業が、今月10日に再開されました。
作業中断の原因が、東京電力による現場作業の確認不足にあったことから、県では、改めて東京電力に対し、「廃炉の実施者は東京電力である」との意識を常に持ち、安全管理体制を徹底的に構築し、確実に作業を前に進めることなどを強く求めたところであります。
燃料デブリの取り出しは、長期にわたる福島第一原発の廃炉作業の中でも最難関の課題であり、今回の試験的取り出しは、その入り口となる重要な作業であります。引き続き、安全最優先で廃炉作業を着実に進め、進捗状況等を分かりやすく発信するよう求めていくほか、廃炉安全監視協議会等を通じて、東京電力の対応を厳しく監視してまいります。
また、昨年の8月24日にALPS処理水の海洋放出が開始されてから、一年が経過いたしました。これまでのところ、海域モニタリングにおいてもトリチウム濃度が検出下限値未満か、十分に低い値であることを確認しております。
今後も東京電力に対し、長期にわたって安全が確保され続けるよう、全社を挙げて万全な対策を講じること、正確な情報を分かりやすく発信することなどを求めていくとともに、国に対しても、この問題が福島県だけでなく、日本全体の問題であることを強く認識し、政府一丸となって対応に当たり、最後まで全責任を全うするよう求めてまいります。
次に、「風評・風化対策」について申し上げます。
7月8日から13日にかけて、英国、ベルギー、オランダの欧州三か国を訪問し、輸入規制の撤廃を始めとした、これまでの御支援に対する感謝の思いと「福島の今」を現地の方々に直接お伝えしてまいりました。
特に英国においては、本県の復興状況や観光の魅力などを紹介する「ふくしまレセプション」を開催し、多くの参加者から「福島の現状がよく分かった」、「福島に行ってみたい」といった声が寄せられるなど、本県に対する理解醸成と観光誘客の促進を図りました。
また、9月10日から14日にかけては、東南アジアのタイ、ベトナムの二か国を訪問し、重点市場に位置付けているタイからの誘客を拡大するため、バンコクにおいて観光誘客セミナーを開催したほか、ベトナムでは、現地の航空会社と旅行会社を訪れ、チャーター便の運航やプロモーションの実施などによる誘客・送客の推進等に関する覚書を締結し、来春、本県とベトナムを結ぶ連続チャーター便を運航するとのお話を頂いたところであります。
引き続き、インバウンドの誘客拡大に向けた積極的な情報発信を始め、各国の文化・習慣等に応じた接客を学ぶセミナーの開催や、キャッシュレス決済、多言語への対応といった受入環境の更なる整備等を支援することにより、多くの方々が本県を訪れ、復興が進む福島の姿と様々な魅力を実感していただけるよう取り組んでまいります。
次に、「産業政策」について申し上げます。
先般、令和4年に本県から出荷された医療用機械器具における部品等の出荷金額が公表され、本県は13年連続で全国1位を達成し、医療用機械器具・同装置の出荷金額についても2年連続で全国1位となりました。今後もふくしま医療機器開発支援センターを核とした新規参入支援や、マッチング機会の創出など、本県が有するポテンシャルを効果的にいかしながら、医療機器関連産業の一大集積地を目指してまいります。
また、こうした医療関連分野を始め、廃炉やロボット・ドローンなど、6つの重点分野を掲げる福島イノベーション・コースト構想については、取組の更なる充実・強化を図るため、本構想を基軸とする「産業発展の青写真」の改定に向けた議論を進めるなど、引き続き、国や県、市町村、関係機関等が一体となって取り組んでまいります。
一方、県内経済は、原油価格や物価高騰の影響などにより、依然として先行きが不透明な状況にあることから、国の経済対策を踏まえ、県としても必要な措置を適時適切に講じていくとともに、県制度資金による資金繰り支援や経営支援プラザによる相談対応、価格転嫁の円滑化に向けた環境整備など、県内経済の動向等を注視しながら、事業者の経営安定化を図ってまいります。
次に、農林水産業の再生について申し上げます。
今年もトップセールスで、東京、大阪などの大消費地や県内のスーパー等を訪問し、桃やきゅうりなど「ふくしまプライド。」がぎっしり詰まった生産者自慢の逸品をお届けすることができました。数ある商品の中から県産農林水産物を「選んで」くださった方々の笑顔を拝見し、そのおいしさや品質の高さがしっかり伝わったと、確かな手応えを感じたところであります。
7月に訪問した英国におきましても、現地でトップセールスを展開し、「天のつぶ」を輸入されている事業者から、今後3年間で取扱目標を現在の2倍に引き上げ、年間20トン以上にするとのうれしいお話を頂いたほか、先週訪問したタイ、ベトナムでのトップセールスにおいても、現地の輸入事業者から、今後、県産果物の取扱量を更に増やしていくとともに、県産桃を中心とした福島フェアの開催も検討するとのお話を頂きました。引き続き、県産農林水産物の魅力を国内外に広く発信し、一層の販路拡大につなげてまいります。
また、水産業につきましては、昨年、常磐ものの代表格であるヒラメの水揚量が過去最多の846トンを記録するなど、着実な進展を見せておりますが、沿岸漁業全体の水揚量は、いまだ震災前の26%にとどまっていることから、操業拡大に必要な漁船の取得や漁具等の更新、人材育成を支援するなど、沿岸漁業の更なる生産拡大を図ってまいります。
次に、「カーボンニュートラルの推進」について申し上げます。
福島県2050年カーボンニュートラルの実現に向けた気候変動対策を、オール福島の体制で推進していくため、県、事業者、県民の皆さんなど、各主体の責務や施策の基本的事項等を規定した条例案を、今定例会に提出いたしました。県民の皆さんや事業者等の御理解と共感を得ながら、温室効果ガスの排出削減を図る「緩和策」と、気候変動による被害防止を図る「適応策」を両輪として取組を進め、持続可能な社会の実現を図ってまいります。
また、喫緊の課題となっている「ごみの排出量削減」につきましては、県民の皆さんお一人お一人が自分事として捉え、具体の取組を着実に実践していくことが重要であります。このため、先般、県内全市町村で構成する「ごみ減量市町村連携推進会議」を新たに立ち上げ、先進事例の共有・展開を図っていくとともに、県内3市町の約80世帯を対象に「生ごみの堆肥化に取り組むモデル事業」を実施し、家庭ごみの効果的な削減に向けたモデル構築等を進めてまいります。
次に「県民の健康増進」について申し上げます。
令和5年の人口動態統計の概況によれば、「悪性新生物」、「心疾患」、「脳血管疾患」が、依然として本県における死因別死亡率の約半数を占め、全国的に見ても下位に位置しているなど、大変厳しい状況にあります。
このため、先月設立した「ふくしま減塩推進ネットワーク会議」を通じて市町村や事業所等と連携し、無理なく自然に健康になれる食環境の整備を図っていくほか、がん検診の受診率向上に向けたキャンペーン等の実施、さらには、県内各地の芸術文化や自然などを楽しみながら歩いて鑑賞する「ふくしまアートウォーキング」を新たな県民運動として推進するなど、県民の皆さんの健康増進に向けた取組を進めてまいります。
また、急速な高齢化に伴い、全国的に介護職員の不足が課題となる中、本県においても、令和22年度に介護職員が7,504人不足するとの推計値が示されました。
介護人材の確保に向けては、介護職の魅力とやりがいを若い世代に伝えるとともに、働きやすい職場環境づくりや処遇の改善を図ることが重要であります。7月に開催した「福祉・介護職員のつどい」では、私も参加して若手職員の皆さんを激励し、互いにエールを送り合いながら交流を深めたことにより、「誇りや励みにつながった」との感想が数多く寄せられました。
引き続き、介護職員の更なる処遇改善を国に求めていくほか、7月に郡山市に開設した「ふくしま介護生産性向上支援センター」を通じて、ICTや介護ロボットの導入を支援するなど、介護人材の確保と働きやすい職場環境づくり等に努めてまいります。
次に、「子ども・若者育成」について申し上げます。
7月26日から8月3日にかけて、Jヴィレッジをメイン会場にインターハイ男子サッカー競技が開催され、徹底した暑さ対策の下、各地で熱戦が繰り広げられました。Jヴィレッジを発着とするホープツーリズムも実施し、本県の現状を知っていただく機会を設けるなど、多くの関係者の御協力により、無事に大会を終えることができました。
また、先月8日から12日にかけては、猪苗代町において、東北初となる第13回日本アグーナリーが開催され、佳子内親王殿下の御臨席の下、子どもたちがキャンプ生活を通じて、障がいの有無に関わらず、お互いの人格と個性を尊重しながら支え合うことの大切さを学びました。
佳子内親王殿下におかれては、県内の復興状況も御視察いただき、只見線の利用促進に取り組んでいる子どもたちと懇談された際には、「私も応援しています」との温かい御言葉を賜るなど、二日間にわたり県民と交流を深めていただきました。福島県民を代表し、心から感謝を申し上げます。
一方、先頃公表された令和6年度全国学力・学習状況調査では、小学校、中学校の国語が全国平均をやや下回り、小学校算数、中学校数学については全国平均を下回る厳しい状況が続いています。今回の結果を詳細に分析し、県全体として授業改善の共通実践を図れるよう対策を講じるとともに、家庭や市町村等との連携を一層強化しながら、児童生徒の学力向上に取り組んでまいります。
次に「インフラの整備等」について申し上げます。
先般、JR東日本から令和5年度の路線別利用状況が公表され、本県は県内全ての区間で前年度の利用者数を上回りました。特に只見線の会津川口駅・只見駅間においては、一日当たりの利用者数が103人で、新潟・福島豪雨前の2倍以上となり、令和9年度の目標値としていた100人を4年前倒しで達成いたしました。
一方、赤字線区として収支公表の対象とされた4路線9区間は、依然として厳しい利用状況にあることから、各路線の協議会等を通じたマイレール意識の醸成はもとより、交流人口の拡大や地域の魅力創出を図るなど、利活用の促進に力を入れてまいります。
また先月、南海トラフ地震臨時情報が初めて発表されたほか、台風第7号が襲来した際は、県内初となる線状降水帯の発生予測情報が出されました。近年、こうした自然災害が頻発化・激甚化していることから、県のホームページ上に「土砂アラート」を開設するなど、新たな土砂災害が発生するおそれのある箇所を分かりやすくお伝えするとともに、排水ポンプ車の導入や、市町村と連携しながら浸水センサーの設置を進めるなど、ハード・ソフトの両面から災害対策を図ってまいります。
危険な盛土への対応につきましては、西郷村の民家裏に造成された盛土に対し、改善命令を発したものの、期日までに工事計画書が提出されず、災害防止のために必要な措置を講ずる見込みがないと判断したことから、盛土規制法に基づく行政代執行として、先月28日より盛土の一部撤去に着手いたしました。
さらに、金属等を屋外で保管する施設、いわゆる金属スクラップヤードにつきましても、事故や騒音・振動の発生等を防止し、県民生活の安全確保と生活環境の保全を図るための条例案を今定例会に提出しております。引き続き、県民の皆さんの安全・安心確保に向けた対策をしっかりと講じてまいります。
避難地域においては、今月5日から富岡町の特定帰還居住区域における除染・解体工事が開始され、これまでに認定を受けた四つの町全てにおいて作業が進められているほか、大熊町と双葉町においては、来年度までに災害公営住宅などの住環境や商業施設等の生活環境が一定程度整う見通しとなったことから、国及び両町と協議し、応急仮設住宅の供与期間を令和8年3月末まで延長した上で、供与を終了することといたしました。
一方、長い戦いとなる本県の復興を成し遂げるためには、依然として様々な課題が残されており、7月末に開催された福島復興再生協議会では、国に対し、避難地域の復興・再生や福島イノベーション・コースト構想の推進など、第2期復興・創生期間の最終年度となる令和7年度に必要な財源の確保はもとより、それ以降も見据えた中長期的な視点での財源と枠組み、復興を支える制度等をしっかりと確保するよう求めたところであります。
これにより、国の来年度予算概算要求においては、おおむね本県の要望を踏まえた内容が盛り込まれたところであり、今後も国や地元自治体、関係機関等と緊密に連携しながら、避難地域の復興・再生に向けた取組を着実に進めてまいります。
次に、「環境回復」について申し上げます。
福島第一原発の廃炉につきましては、先月22日から中断していた、2号機における燃料デブリの試験的な取り出し作業が、今月10日に再開されました。
作業中断の原因が、東京電力による現場作業の確認不足にあったことから、県では、改めて東京電力に対し、「廃炉の実施者は東京電力である」との意識を常に持ち、安全管理体制を徹底的に構築し、確実に作業を前に進めることなどを強く求めたところであります。
燃料デブリの取り出しは、長期にわたる福島第一原発の廃炉作業の中でも最難関の課題であり、今回の試験的取り出しは、その入り口となる重要な作業であります。引き続き、安全最優先で廃炉作業を着実に進め、進捗状況等を分かりやすく発信するよう求めていくほか、廃炉安全監視協議会等を通じて、東京電力の対応を厳しく監視してまいります。
また、昨年の8月24日にALPS処理水の海洋放出が開始されてから、一年が経過いたしました。これまでのところ、海域モニタリングにおいてもトリチウム濃度が検出下限値未満か、十分に低い値であることを確認しております。
今後も東京電力に対し、長期にわたって安全が確保され続けるよう、全社を挙げて万全な対策を講じること、正確な情報を分かりやすく発信することなどを求めていくとともに、国に対しても、この問題が福島県だけでなく、日本全体の問題であることを強く認識し、政府一丸となって対応に当たり、最後まで全責任を全うするよう求めてまいります。
次に、「風評・風化対策」について申し上げます。
7月8日から13日にかけて、英国、ベルギー、オランダの欧州三か国を訪問し、輸入規制の撤廃を始めとした、これまでの御支援に対する感謝の思いと「福島の今」を現地の方々に直接お伝えしてまいりました。
特に英国においては、本県の復興状況や観光の魅力などを紹介する「ふくしまレセプション」を開催し、多くの参加者から「福島の現状がよく分かった」、「福島に行ってみたい」といった声が寄せられるなど、本県に対する理解醸成と観光誘客の促進を図りました。
また、9月10日から14日にかけては、東南アジアのタイ、ベトナムの二か国を訪問し、重点市場に位置付けているタイからの誘客を拡大するため、バンコクにおいて観光誘客セミナーを開催したほか、ベトナムでは、現地の航空会社と旅行会社を訪れ、チャーター便の運航やプロモーションの実施などによる誘客・送客の推進等に関する覚書を締結し、来春、本県とベトナムを結ぶ連続チャーター便を運航するとのお話を頂いたところであります。
引き続き、インバウンドの誘客拡大に向けた積極的な情報発信を始め、各国の文化・習慣等に応じた接客を学ぶセミナーの開催や、キャッシュレス決済、多言語への対応といった受入環境の更なる整備等を支援することにより、多くの方々が本県を訪れ、復興が進む福島の姿と様々な魅力を実感していただけるよう取り組んでまいります。
次に、「産業政策」について申し上げます。
先般、令和4年に本県から出荷された医療用機械器具における部品等の出荷金額が公表され、本県は13年連続で全国1位を達成し、医療用機械器具・同装置の出荷金額についても2年連続で全国1位となりました。今後もふくしま医療機器開発支援センターを核とした新規参入支援や、マッチング機会の創出など、本県が有するポテンシャルを効果的にいかしながら、医療機器関連産業の一大集積地を目指してまいります。
また、こうした医療関連分野を始め、廃炉やロボット・ドローンなど、6つの重点分野を掲げる福島イノベーション・コースト構想については、取組の更なる充実・強化を図るため、本構想を基軸とする「産業発展の青写真」の改定に向けた議論を進めるなど、引き続き、国や県、市町村、関係機関等が一体となって取り組んでまいります。
一方、県内経済は、原油価格や物価高騰の影響などにより、依然として先行きが不透明な状況にあることから、国の経済対策を踏まえ、県としても必要な措置を適時適切に講じていくとともに、県制度資金による資金繰り支援や経営支援プラザによる相談対応、価格転嫁の円滑化に向けた環境整備など、県内経済の動向等を注視しながら、事業者の経営安定化を図ってまいります。
次に、農林水産業の再生について申し上げます。
今年もトップセールスで、東京、大阪などの大消費地や県内のスーパー等を訪問し、桃やきゅうりなど「ふくしまプライド。」がぎっしり詰まった生産者自慢の逸品をお届けすることができました。数ある商品の中から県産農林水産物を「選んで」くださった方々の笑顔を拝見し、そのおいしさや品質の高さがしっかり伝わったと、確かな手応えを感じたところであります。
7月に訪問した英国におきましても、現地でトップセールスを展開し、「天のつぶ」を輸入されている事業者から、今後3年間で取扱目標を現在の2倍に引き上げ、年間20トン以上にするとのうれしいお話を頂いたほか、先週訪問したタイ、ベトナムでのトップセールスにおいても、現地の輸入事業者から、今後、県産果物の取扱量を更に増やしていくとともに、県産桃を中心とした福島フェアの開催も検討するとのお話を頂きました。引き続き、県産農林水産物の魅力を国内外に広く発信し、一層の販路拡大につなげてまいります。
また、水産業につきましては、昨年、常磐ものの代表格であるヒラメの水揚量が過去最多の846トンを記録するなど、着実な進展を見せておりますが、沿岸漁業全体の水揚量は、いまだ震災前の26%にとどまっていることから、操業拡大に必要な漁船の取得や漁具等の更新、人材育成を支援するなど、沿岸漁業の更なる生産拡大を図ってまいります。
次に、「カーボンニュートラルの推進」について申し上げます。
福島県2050年カーボンニュートラルの実現に向けた気候変動対策を、オール福島の体制で推進していくため、県、事業者、県民の皆さんなど、各主体の責務や施策の基本的事項等を規定した条例案を、今定例会に提出いたしました。県民の皆さんや事業者等の御理解と共感を得ながら、温室効果ガスの排出削減を図る「緩和策」と、気候変動による被害防止を図る「適応策」を両輪として取組を進め、持続可能な社会の実現を図ってまいります。
また、喫緊の課題となっている「ごみの排出量削減」につきましては、県民の皆さんお一人お一人が自分事として捉え、具体の取組を着実に実践していくことが重要であります。このため、先般、県内全市町村で構成する「ごみ減量市町村連携推進会議」を新たに立ち上げ、先進事例の共有・展開を図っていくとともに、県内3市町の約80世帯を対象に「生ごみの堆肥化に取り組むモデル事業」を実施し、家庭ごみの効果的な削減に向けたモデル構築等を進めてまいります。
次に「県民の健康増進」について申し上げます。
令和5年の人口動態統計の概況によれば、「悪性新生物」、「心疾患」、「脳血管疾患」が、依然として本県における死因別死亡率の約半数を占め、全国的に見ても下位に位置しているなど、大変厳しい状況にあります。
このため、先月設立した「ふくしま減塩推進ネットワーク会議」を通じて市町村や事業所等と連携し、無理なく自然に健康になれる食環境の整備を図っていくほか、がん検診の受診率向上に向けたキャンペーン等の実施、さらには、県内各地の芸術文化や自然などを楽しみながら歩いて鑑賞する「ふくしまアートウォーキング」を新たな県民運動として推進するなど、県民の皆さんの健康増進に向けた取組を進めてまいります。
また、急速な高齢化に伴い、全国的に介護職員の不足が課題となる中、本県においても、令和22年度に介護職員が7,504人不足するとの推計値が示されました。
介護人材の確保に向けては、介護職の魅力とやりがいを若い世代に伝えるとともに、働きやすい職場環境づくりや処遇の改善を図ることが重要であります。7月に開催した「福祉・介護職員のつどい」では、私も参加して若手職員の皆さんを激励し、互いにエールを送り合いながら交流を深めたことにより、「誇りや励みにつながった」との感想が数多く寄せられました。
引き続き、介護職員の更なる処遇改善を国に求めていくほか、7月に郡山市に開設した「ふくしま介護生産性向上支援センター」を通じて、ICTや介護ロボットの導入を支援するなど、介護人材の確保と働きやすい職場環境づくり等に努めてまいります。
次に、「子ども・若者育成」について申し上げます。
7月26日から8月3日にかけて、Jヴィレッジをメイン会場にインターハイ男子サッカー競技が開催され、徹底した暑さ対策の下、各地で熱戦が繰り広げられました。Jヴィレッジを発着とするホープツーリズムも実施し、本県の現状を知っていただく機会を設けるなど、多くの関係者の御協力により、無事に大会を終えることができました。
また、先月8日から12日にかけては、猪苗代町において、東北初となる第13回日本アグーナリーが開催され、佳子内親王殿下の御臨席の下、子どもたちがキャンプ生活を通じて、障がいの有無に関わらず、お互いの人格と個性を尊重しながら支え合うことの大切さを学びました。
佳子内親王殿下におかれては、県内の復興状況も御視察いただき、只見線の利用促進に取り組んでいる子どもたちと懇談された際には、「私も応援しています」との温かい御言葉を賜るなど、二日間にわたり県民と交流を深めていただきました。福島県民を代表し、心から感謝を申し上げます。
一方、先頃公表された令和6年度全国学力・学習状況調査では、小学校、中学校の国語が全国平均をやや下回り、小学校算数、中学校数学については全国平均を下回る厳しい状況が続いています。今回の結果を詳細に分析し、県全体として授業改善の共通実践を図れるよう対策を講じるとともに、家庭や市町村等との連携を一層強化しながら、児童生徒の学力向上に取り組んでまいります。
次に「インフラの整備等」について申し上げます。
先般、JR東日本から令和5年度の路線別利用状況が公表され、本県は県内全ての区間で前年度の利用者数を上回りました。特に只見線の会津川口駅・只見駅間においては、一日当たりの利用者数が103人で、新潟・福島豪雨前の2倍以上となり、令和9年度の目標値としていた100人を4年前倒しで達成いたしました。
一方、赤字線区として収支公表の対象とされた4路線9区間は、依然として厳しい利用状況にあることから、各路線の協議会等を通じたマイレール意識の醸成はもとより、交流人口の拡大や地域の魅力創出を図るなど、利活用の促進に力を入れてまいります。
また先月、南海トラフ地震臨時情報が初めて発表されたほか、台風第7号が襲来した際は、県内初となる線状降水帯の発生予測情報が出されました。近年、こうした自然災害が頻発化・激甚化していることから、県のホームページ上に「土砂アラート」を開設するなど、新たな土砂災害が発生するおそれのある箇所を分かりやすくお伝えするとともに、排水ポンプ車の導入や、市町村と連携しながら浸水センサーの設置を進めるなど、ハード・ソフトの両面から災害対策を図ってまいります。
危険な盛土への対応につきましては、西郷村の民家裏に造成された盛土に対し、改善命令を発したものの、期日までに工事計画書が提出されず、災害防止のために必要な措置を講ずる見込みがないと判断したことから、盛土規制法に基づく行政代執行として、先月28日より盛土の一部撤去に着手いたしました。
さらに、金属等を屋外で保管する施設、いわゆる金属スクラップヤードにつきましても、事故や騒音・振動の発生等を防止し、県民生活の安全確保と生活環境の保全を図るための条例案を今定例会に提出しております。引き続き、県民の皆さんの安全・安心確保に向けた対策をしっかりと講じてまいります。
地方創生・人口減少対策について
次に、「地方創生・人口減少対策」について申し上げます。
7月に総務省が公表した住民基本台帳に基づく人口動態調査によれば、本県における人口の減少幅は前年よりも拡大し、社会減の数値も2年連続で全国最多となるなど、極めて厳しい状況にあります。
このため、オーダーメイド型の企業間婚活イベントによる出会いの機会の創出や、子育て応援パスポートによる地域ぐるみでの子育て支援など「自然増」を目指す対策、さらには、若者等の県内定着・Uターンの促進や移住・定住の推進、関係人口の創出・拡大といった「社会増」を目指す対策を両面で進めてまいります。
特に若者等の県内定着・Uターンの促進については、若い世代の県内企業に対する認知度を高め、地元への就業を促すことを目的とした『感働!ふくしま』プロジェクトを一層推し進めていくとともに、本県出身で首都圏在住の若い世代を対象とした大規模な交流会を東京で開催するなど、将来的なUターンへとつなげてまいります。
また、来月には県内の市町村長や企業経営者を対象としたセミナーを開催し、官民一体となって人口減少対策に取り組む機運を醸成していくほか、全国知事会において新たに立ち上げた「人口戦略対策本部」を通じて、様々な知見や施策、課題を共有しながら、県の総力を挙げて人口減少対策に取り組んでまいります。
先般、私たち福島県民にとって大変なじみの深い、野口英世博士の肖像画がデザインされた千円札が新たな紙幣へと切り替わりました。
御承知のとおり野口博士は、幼少時、左手に大やけどを負うという悲劇に見舞われましたが、不屈の精神力と地域の人々の支えによって逆境を乗り越え、世界にその名を轟かす医学者となられました。
そして、この夏、この野口博士を生んだ猪苗代の地から、再び世界の注目を集める快挙が生み出されました。それは、富岡一中、富岡高校バドミントン部出身の選手たちによる、パリ五輪での活躍であります。
原発事故に伴い、富岡町から猪苗代町へと避難した彼らは、先の見えない不安を抱えながらも、地域の人々に温かく迎えられ、支えられながら、不屈の「富岡魂」の下、幾多の逆境を乗り越えてきました。
そうした背景があったからこそ、今回のパリ五輪においても、彼らはことあるごとに「福島に恩返しがしたい」、「福島を思って戦う」と、本県に対する感謝の思いを口にしながら、試合に臨んでおられました。中でも、私が最も感銘を受けたのは、大会前に猪苗代町で催された壮行会において、選手の一人が語っておられた、この言葉でした。
「故郷とは場所ではなく、人なのだなと感じている」
世界的な医学者となられた野口博士も、苦しい時に支えてくれた故郷の人々に対する感謝の思いを、生涯、忘れることはなかったそうです。そうした感謝の思いが、自分自身を奮い立たせる原動力になっていたのかもしれません。
私たち福島県民が、彼らにとっての「故郷」であることに大きな誇りを感じるとともに、震災と原発事故から13年が経過した今も、本県に思いを寄せ、支え続けてくださっている多くの方々への感謝の思いを、改めて深く胸に刻みながら、私はこれからも県民の皆さんと共に、世界に誇れる福島の復興を実現するため、全力で挑戦を続けてまいります。
7月に総務省が公表した住民基本台帳に基づく人口動態調査によれば、本県における人口の減少幅は前年よりも拡大し、社会減の数値も2年連続で全国最多となるなど、極めて厳しい状況にあります。
このため、オーダーメイド型の企業間婚活イベントによる出会いの機会の創出や、子育て応援パスポートによる地域ぐるみでの子育て支援など「自然増」を目指す対策、さらには、若者等の県内定着・Uターンの促進や移住・定住の推進、関係人口の創出・拡大といった「社会増」を目指す対策を両面で進めてまいります。
特に若者等の県内定着・Uターンの促進については、若い世代の県内企業に対する認知度を高め、地元への就業を促すことを目的とした『感働!ふくしま』プロジェクトを一層推し進めていくとともに、本県出身で首都圏在住の若い世代を対象とした大規模な交流会を東京で開催するなど、将来的なUターンへとつなげてまいります。
また、来月には県内の市町村長や企業経営者を対象としたセミナーを開催し、官民一体となって人口減少対策に取り組む機運を醸成していくほか、全国知事会において新たに立ち上げた「人口戦略対策本部」を通じて、様々な知見や施策、課題を共有しながら、県の総力を挙げて人口減少対策に取り組んでまいります。
先般、私たち福島県民にとって大変なじみの深い、野口英世博士の肖像画がデザインされた千円札が新たな紙幣へと切り替わりました。
御承知のとおり野口博士は、幼少時、左手に大やけどを負うという悲劇に見舞われましたが、不屈の精神力と地域の人々の支えによって逆境を乗り越え、世界にその名を轟かす医学者となられました。
そして、この夏、この野口博士を生んだ猪苗代の地から、再び世界の注目を集める快挙が生み出されました。それは、富岡一中、富岡高校バドミントン部出身の選手たちによる、パリ五輪での活躍であります。
原発事故に伴い、富岡町から猪苗代町へと避難した彼らは、先の見えない不安を抱えながらも、地域の人々に温かく迎えられ、支えられながら、不屈の「富岡魂」の下、幾多の逆境を乗り越えてきました。
そうした背景があったからこそ、今回のパリ五輪においても、彼らはことあるごとに「福島に恩返しがしたい」、「福島を思って戦う」と、本県に対する感謝の思いを口にしながら、試合に臨んでおられました。中でも、私が最も感銘を受けたのは、大会前に猪苗代町で催された壮行会において、選手の一人が語っておられた、この言葉でした。
「故郷とは場所ではなく、人なのだなと感じている」
世界的な医学者となられた野口博士も、苦しい時に支えてくれた故郷の人々に対する感謝の思いを、生涯、忘れることはなかったそうです。そうした感謝の思いが、自分自身を奮い立たせる原動力になっていたのかもしれません。
私たち福島県民が、彼らにとっての「故郷」であることに大きな誇りを感じるとともに、震災と原発事故から13年が経過した今も、本県に思いを寄せ、支え続けてくださっている多くの方々への感謝の思いを、改めて深く胸に刻みながら、私はこれからも県民の皆さんと共に、世界に誇れる福島の復興を実現するため、全力で挑戦を続けてまいります。
令和5年度決算について
次に、令和5年度の決算について申し上げます。
令和5年度予算につきましては、一つ一つの取組を「シンカ」させ、力強い復興と福島ならではの地方創生を更に加速させるための当初予算に加え、4月に発生した凍霜害や台風第13号に伴う大雨など自然災害への緊急対応、さらには、原油価格・物価高騰への対応など、喫緊の課題に対応するため、8度にわたる補正予算を計上し、年度間を通して適切な執行に努めてまいりました。
これにより、一般会計の実質収支は76億7千2百万円となったところであります。
令和5年度予算につきましては、一つ一つの取組を「シンカ」させ、力強い復興と福島ならではの地方創生を更に加速させるための当初予算に加え、4月に発生した凍霜害や台風第13号に伴う大雨など自然災害への緊急対応、さらには、原油価格・物価高騰への対応など、喫緊の課題に対応するため、8度にわたる補正予算を計上し、年度間を通して適切な執行に努めてまいりました。
これにより、一般会計の実質収支は76億7千2百万円となったところであります。
提出議案について
次に、提出議案について御説明を申し上げます。
令和6年度一般会計補正予算案につきましては、復興・創生に要する経費として、沿岸漁業の本格操業再開に向けた課題解決の取組による水産業の復興支援、デスティネーションキャンペーンに向けた観光プロモーションやインバウンド受入体制の強化、原油価格・物価高騰等への対応としてLPガスを使用する一般家庭等への支援や特別高圧電力を使用する中小企業等への支援に要する経費を計上いたしました。
これによる一般会計補正予算の総額は、26億5千5百万円となり、本年度予算の累計は、1兆2,421億6千7百万円となります。
特別会計等補正予算案につきましては、福島県港湾整備事業特別会計について、所要の経費を計上いたしました。
その他の議案といたしましては、条例が「福島県特定再生資源物の屋外保管の適正化に関する条例」など6件、条例以外の議案が「県の行う建設事業等に対する市町村の負担の一部変更について」など22件で、いずれも県政執行上重要な案件であります。
慎重に御審議の上、速やかな御議決をお願い申し上げます。
令和6年度一般会計補正予算案につきましては、復興・創生に要する経費として、沿岸漁業の本格操業再開に向けた課題解決の取組による水産業の復興支援、デスティネーションキャンペーンに向けた観光プロモーションやインバウンド受入体制の強化、原油価格・物価高騰等への対応としてLPガスを使用する一般家庭等への支援や特別高圧電力を使用する中小企業等への支援に要する経費を計上いたしました。
これによる一般会計補正予算の総額は、26億5千5百万円となり、本年度予算の累計は、1兆2,421億6千7百万円となります。
特別会計等補正予算案につきましては、福島県港湾整備事業特別会計について、所要の経費を計上いたしました。
その他の議案といたしましては、条例が「福島県特定再生資源物の屋外保管の適正化に関する条例」など6件、条例以外の議案が「県の行う建設事業等に対する市町村の負担の一部変更について」など22件で、いずれも県政執行上重要な案件であります。
慎重に御審議の上、速やかな御議決をお願い申し上げます。