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県議会定例会(令和6年12月)

印刷用ページを表示する 掲載日:2024年12月3日更新

令和6年12月福島県議会定例会知事説明要旨(令和6年12月3日)

 12月県議会定例会が開催されるに当たり、当面する重要な議案を提出いたしました。
 以下、そのあらましについて御説明いたしますが、それに先立ち、県政に関する当面の諸課題について、所信の一端を述べさせていただきます。

東日本大震災からの復旧・復興について

 はじめに、「避難地域の復興・再生」についてであります。
 避難地域においては、双葉町がJR双葉駅の東側地区に整備を進めている商業施設について、来年春の開所に向けた建設工事に着手したほか、浪江町においても、JR浪江駅の周辺整備事業が着工し、令和9年3月の完成を目指すなど、復興に向けた動きが力強さを増してまいりました。引き続き、国や地元自治体等と連携しながら、一人でも多くの方が古里に帰還できるよう、生活環境の整備等を着実に進めてまいります。
 また、浪江町の津島地区や末森地区では、震災後初となる試験栽培米の稲刈りが行われ、営農再開への確かな一歩を踏み出されました。こうした避難地域における営農再開の加速化等を図るため、先般、JAグループ福島と共に「避難地域12市町村農業の復興・創生に向けたビジョン」を策定したところであり、当該ビジョンに基づきながら、関係機関・団体等と力を合わせ、広域的な産地形成などに取り組んでまいります。
 一方、本県の復興は今後も長く厳しい戦いが続くことから、先月26日、国に対する緊急要望活動を実施し、令和7年度はもとより、第2期復興・創生期間後における財源確保や復興の基本方針の早期提示、除去土壌等の県外最終処分に向けた取組の加速化など、重要な項目について対応を求めました。特に、先頃行われた国の行政事業レビュー等においては、復興事業の見直しなどに関する議論がなされたことから、改めて国に対し、「原子力災害からの復興は国の社会的責任を踏まえて行われるべきもの」という大前提を認識し、福島の復興を成し遂げるための十分な財源を確実に確保するよう求めたところであります。引き続き、国に本県の現状をしっかりと訴えながら、中長期にわたる財源や制度の確保に全力で取り組んでまいります。

 次に、「環境回復」について申し上げます。
 先月7日、東京電力福島第一原子力発電所2号機における燃料デブリの試験的取り出し作業が完了いたしました。これは前例のない取組である福島第一原発の廃炉に向けた重要な一歩であると受け止めております。
 私自身、10月29日に現地へ赴き、燃料デブリの試験的取り出しに係る遠隔操作室や、2号機とほぼ同じ構造を持つ5号機原子炉格納容器内に入って作業状況等を確認し、改めて高線量下における廃炉作業の難しさを実感したところであります。
 一方で、福島第一原発の廃炉を安全かつ着実に進めることが、本県復興の大前提であることから、東京電力に対し、「廃炉の実施者」であることの責務、使命を常に心に置きながら作業に取り組むよう強く求めたところであり、引き続き、廃炉安全監視協議会等を通じて、東京電力の取組を厳しく監視してまいります。
 また、ALPS処理水の海洋放出につきましては、10月15日からIAEAの枠組みの下、中国や韓国等も参加しての追加的なモニタリングが開始されました。今後も国に対し、IAEA等の国際機関と連携しながら、第三者による監視と透明性の確保に努めるとともに、科学的な事実に基づく正確な情報発信を行うなど、輸入規制撤廃に向けた働き掛けに責任を持って取り組むよう求めてまいります。

 次に、「風評・風化対策」について申し上げます。
 コロナ禍を経てインバウンド需要が急速に回復する中、本県における外国人延べ宿泊者数は、今年1月から9月までで210,230人泊となり、昨年の年間宿泊者数を上回る、過去最高を更新しております。
 今後は、台湾やASEAN、欧米豪などをターゲットとしたインフルエンサーの招請やメディアを招いたツアー等を実施することにより、更なるインバウンド誘客の拡大を図っていくとともに、本県の復興状況や浜通り地域の魅力等を積極的に発信することで、ホープツーリズムへの参加促進にも力を入れてまいります。
 また、東日本大震災・原子力災害伝承館におきましても、海外からの来館者が増えていることから、多言語による展示物の説明等を充実させていくほか、10月26日から来年の8月末までの間、フランスのモンベリアール市において初の海外展示を実施するなど、引き続き、震災の記憶と教訓の持続的な発信に取り組んでまいります。

 次に、「産業政策」について申し上げます。
 震災と原発事故以降、本県は再生可能エネルギー関連産業の推進を復興の大きな柱の一つに位置づけ、この分野の先進地であるドイツのノルトライン・ヴェストファーレン州やデンマークと連携協定を締結し、様々な取組を共同で進めてまいりました。
 この協定締結から10周年の節目を迎え、先般、それぞれの国から要人をお迎えして記念セミナーを開催し、今後も経済交流の更なる拡大や水素関連分野などで一層の連携を深めていくことを確認したところであります。
 また、令和8年春に開催する「ふくしまデスティネーションキャンペーン」につきましては、“しあわせの風ふくしま”をキャッチコピーとして決定いたしました。福島に「しあわせの風」が吹くようにとの願い、さらには、震災と原発事故から15年を迎える中で「復興の風」を感じていただきたいとの思いが込められており、このキャッチコピーの下、県民一丸となって地域資源を磨き上げ、「福島ならでは」のおもてなしにより、本県を訪れる方々の“しあわせ”な笑顔が花開くよう取り組んでまいります。
 一方、県内においては、物価高騰の影響が続く中、小規模事業者を中心として十分に価格転嫁が進んでいない状況にあります。このため、原価計算など価格交渉におけるポイントを学ぶセミナーの開催を始め、適正な取引の実施を宣言した企業に対する優遇措置の拡大、当該宣言企業の増加に向けた働き掛けを関係団体と連携して行うなど、価格転嫁の更なる円滑化による地域経済の活性化を図ってまいります。
 

 次に、農林水産業の再生について申し上げます。
 本県の農産物を代表する桃を始め、きゅうりやトマト、かすみ草などの主要産地では、今年度の販売額が過去最高を更新するなど、これまでの取組が着実に成果となって現れております。
 そのような中、南郷トマト生産組合におかれては、先般、全ての組合員がJGAPの団体認証を取得されました。単独の青果物で100戸を超える全組合員が認証を取得するのは全国初の快挙であり、これにより南郷トマトをGAP認証農産物として市場に送り出すことが可能となりました。引き続き、更なる取組の拡大を図りながら、産地と流通・小売事業者のマッチングや消費者の認知度向上などに努め、「GAPといえば福島」と称されるような産地イメージの醸成を図ってまいります。
 また、ICT等を活用して作業の効率化などを実現するスマート農業を推進するため、現在、GPS等の位置情報精度を高める固定基地局の整備を県内全域で進めており、年内に完了する予定であります。来年4月の本格的な運用開始に向け、当該技術の活用に向けたセミナーを開催するなど、スマート農業技術の着実な県内実装を進めてまいります。
 畜産業につきましては、本県が誇る日本酒の酒粕を加えた餌を与えて生産された、甘味に優れた牛肉を「福島牛 福粕花」の名称で、今月9日から販売開始する予定であります。県内量販店での試食販売を始め、飲食店・宿泊施設における限定メニューの提供や各種メディアを通じた情報発信等により、福島牛の更なるブランド力強化に取り組んでまいります。
 水産業につきましては、本県沖で水揚げされるクロソイの出荷制限が10月18日に解除され、全ての海産魚介類の出荷が可能となりました。10月には小名浜港において、荷さばき・加工流通施設が供用を開始するなど、今後の本格操業を見据えた動きも活発化していることから、更なる操業拡大と販路の回復を加速させるため、生産から流通、消費に至るまでの総合的な対策を展開し、水産業の再生を力強く推進してまいります。

 次に「県民の健康増進」について申し上げます。
 先般、県立美術館の企画展を鑑賞した後、美術館周辺の歴史的建造物や美しい銀杏並木を見ながら散策するなど、私自身がアートウォーキングを実践し、心身共にリフレッシュすることができました。
 厳しい状況にある本県の健康指標を改善していくためには、気軽に楽しみながら運動を行うなど、身近なところから生活習慣を見直していくことが重要であります。このため、アートウォーキングを県民運動として推進していくほか、健民アプリに体重や歩数等を毎日記録して、生活習慣を「見える化」するキャンペーンの実施、市町村や関係団体、企業と連携した減塩環境づくりなど、オールふくしまによる生活習慣の改善に向けた取組を展開してまいります。
 一方、私たちの命と健康を守るためには、地域医療の確保・充実も欠かせません。10月には、県立医科大学附属病院の建替えを盛り込んだ再整備基本構想が発表され、「最先端の医療・教育・研究を追求し、県民に還元し続ける大学病院」を目指して、再整備が進められることとなりました。県といたしましても、県立医科大学との連携を密にしながら、再整備を支援してまいります。
 また、県立宮下病院につきましても、移転・建替えに係る基本設計の概要を公表いたしました。奥会津地域の皆さんの安全と安心を守る拠点として、年度内の実施設計策定を目指すなど、引き続き、令和9年度の開院に向けた取組を進めてまいります。
 こうした中、只見町の朝日診療所におきましては、10月から常勤医師が不在となっておりましたが、先月1日、今年度から開始した「ふくしま医師移住定住促進事業」を通じて常勤医師1名が着任されました。今後も地域医療の確保・充実を図るため、地元自治体や県立医科大学、関係機関等と緊密に連携しながら取り組んでまいります。

 次に、「子ども・若者育成」について申し上げます。
 先般、パリ・パラリンピック車いすラグビー日本代表として、見事、金メダルを獲得された橋本勝也選手に対し、県民栄誉賞を授与いたしました。夢に向かって挑戦を続け、世界の舞台で活躍する橋本選手の姿は、正に震災からの復興を目指して歩み続ける、私たち県民の誇りであります。
 このような中、一昨日には、年齢や障がい等の有無を問わず、誰もがスポーツの楽しさを実感いただけるよう、ボッチャ競技初の県大会「ボッチャふくしまカップ2024」を開催し、子どもから大人まで、笑顔あふれる白熱した試合が繰り広げられました。来年11月には、Jヴィレッジにおいて「東京2025デフリンピックサッカー競技」も開催されることから、デフサッカーを体験できるイベントや、県内プロスポーツチームと連携した「手話応援デー」を開催するとともに、県内の子どもたちが実際に試合を観戦できる機会を設けるなど、今後もスポーツを通じた共生社会の実現に向け、機運の醸成を図ってまいります。
 また、県立高校改革に伴って生じた空き校舎等の利活用につきましては、鮫川村から修明高校鮫川校の跡地に義務教育学校等の施設を整備したいとの意向が示されたことを受け、先月28日、利活用に関する初の協定を締結いたしました。引き続き、空き校舎等の利活用に対する支援を通じて、市町村のまちづくりに向けた取組を丁寧に後押ししてまいります。

 次に「インフラの整備等」について申し上げます。
 甚大な被害をもたらした令和元年東日本台風から5年が経過いたしました。被災した公共土木施設等の復旧につきましては、昨年5月に全ての箇所で工事が完了したほか、福島県緊急水災害対策プロジェクトに基づいた河道の掘削や堤防の強化、市街地における洪水被害の軽減を目的とした特定都市河川の指定などを着実に推進してきたところであります。
 さらに、こうした対策に加え、あらゆる関係者が協働して被害の軽減を図る「流域治水」の取組を進めており、特に、国が鏡石町と矢吹町、玉川村において取り組んでいる「阿武隈川上流遊水地群」の整備につきましては、流域全体の安全・安心を高める上で極めて重要な事業であることから、県といたしましても、庁内関係課等で構成するプロジェクトチームなどを通じて、地元自治体や国と連携しながら取り組んでまいります。
 また、先月23日には、会津縦貫北道路の一部である「国道121号若松北バイパス」の工事に着手いたしました。本バイパスは、県土の骨格を成す6本の連携軸の一つ、会津軸を形成する地域高規格道路であり、移動時間の短縮を始め、広域的な観光周遊ルートの形成による産業振興、災害時における迂回路や緊急搬送ルートの確保等につながるものと考えております。
 さらに、小名浜港と常磐自動車道を結ぶ自動車専用道路「小名浜道路」につきましても、令和7年夏頃に供用開始となります。小名浜道路は、ふくしま復興再生道路を代表する路線の一つであり、これにより、広域的な道路ネットワークの強化が図られ、避難地域の復興を強力に支援できるものと期待しております。引き続き、県土全体の将来像を見据えた社会資本の整備に力を尽くしてまいります。

地方創生・人口減少対策について

 次に、「地方創生・人口減少対策」について申し上げます。
 本県における出生数の減少には様々な要因が考えられますが、若者、特に若年女性の多くが進学時や就職時に県外へ流出する傾向にあり、このことが若者の出会いの機会を減少させ、婚姻数や出生数の低下を招いている大きな要因の一つと考えております。
 こうした中、先頃実施した県内企業に対するアンケート調査では、「担当できる仕事が限られる」などの理由で、女性の採用に消極的な企業が4割近く存在することが明らかとなりました。このため、私自身が、製造業の現場で活躍されている女性や県内で起業された女性などと直接お会いし、福島で働く魅力や課題などについて意見交換を重ねてきたほか、10月に開催した「人口減少危機対策セミナー」では、性別による役割分担意識の解消や、多様で柔軟な働き方の実現が、若年女性等の流出を抑制する上でも極めて重要であることを、県内の企業経営者や市町村長と共有したところであります。
 また、先月には、本県の現状を踏まえた将来推計人口と、目指すべき人口目標を盛り込んだ「福島県人口ビジョン」の更新案を公表いたしました。更新案では、2040年における将来の県人口を147万人と推計した上で、人口目標については、国や市町村、企業、団体など様々な主体と連携・共創しながら「福島ならでは」の地方創生の取組を更にシンカさせることにより、150万人程度の維持を目指すことといたしました。
 引き続き、現状に対する危機感を広く共有しながら、年度内に策定を予定している次期総合戦略において、出生数の増加等を目指す「自然減対策」と、若者の県内定着や移住・定住の促進等を目指す「社会減対策」の両面から具体の施策を盛り込み、目標の実現に向けて粘り強く着実に取り組んでまいります。

 「夢は見るものではありません。夢はつかむものです」
 これは、10月17日に亡くなられた本県出身の俳優、西田敏行さんが、震災後、福島の子どもたちに贈ったメッセージです。
 西田さんが亡くなられた三日後、須賀川市で開催されたマラソン大会では、義足の中学生ランナーが仲間たちに囲まれながら見事完走し、沿道は大きな感動と歓声に包まれました。
 この中学生は、陸上競技の練習に励む中、昨年の夏、突然の病により、義足となりました。しかし、「もう一度、みんなと走りたい」とリハビリを続ける彼の姿を見て、友人たちが競技用の義足を作るためのクラウドファンディングを立ち上げてくれました。逆境に負けるな、また一緒に走ろう、そんな思いで結ばれた少年たちの“夢”。西田さんが生きておられたら、きっとあの優しい笑顔で、大きく頷いてくださったことでしょう。
 原発事故で県産農産物が深刻な風評被害に見舞われた際も、西田さんは、すぐに県内のスーパーへ駆けつけ、県産野菜を口いっぱいにほお張り、その安全性を全国に訴えてくださいました。
 「福島は負けない。中通りと会津が一丸となって浜通りを支えよう」
 涙ながらに呼び掛ける西田さんの姿を見て、その場にいた多くの方々も「がんばっぺ!福島!」と、目を潤ませながら声を上げておられました。
西田さんの言葉にどれほどの県民が勇気づけられたか知れません。
 また、西田さんは、避難所や仮設住宅を幾度も訪れ、避難されている方々を励まし続けてくださいました。ある避難所を訪れた際、西田さんは避難者の方から「福島のどこが好きですか」と尋ねられ、「全部好きです」と即答し、こう続けられたそうです。
 「胸をはって“福島県出身”と言える自分を本当に幸せに思う」
 原発事故により、誇りを失いかけていた私たち福島県民にとって、西田さんの言葉は、私たちが再び前へ進むための大きな力となりました。
 西田さんが心から愛した、ふるさと福島の復興。全ての県民の願いでもあるこの“夢”を、必ずこの手でつかみ取るため、私はこれからも「ふくしまプライド。」を胸に、県民の皆さんと共に力を合わせ、支え合いながら、全力で挑戦を続けてまいります。

提出議案について

 提出議案について御説明申し上げます。
 令和6年度一般会計補正予算案につきましては、帰還困難区域等への住民帰還を促進するため住宅再建に取り組む市町村への支援、避難地域等における営農環境を整備するための基金への積立、ベトナムチャーター便による誘客促進に向けた販売プロモーションの展開などに要する経費を計上いたしました。
 これによる一般会計補正予算の総額は、67億1千9百万円となり、本年度予算の累計は、1兆2,504億7千9百万円となります。
 特別会計等につきましては、福島県土地取得事業特別会計など7会計につきまして、それぞれ補正額を計上いたしました。
 その他の議案といたしましては、条例が「福島県高精度測位システム使用料条例」など14件、条例以外の議案が「当せん金付証票の発売について」など19件で、いずれも県政執行上重要な案件であります。
 慎重に御審議の上、速やかな御議決をお願い申し上げます。

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