県議会定例会(平成27年12月)
印刷用ページを表示する 掲載日:2015年12月10日更新
平成27年12月福島県議会定例会知事説明要旨(平成27年12月10日)
12月県議会定例会が開催されるに当たり、当面する重要な議案を提出いたしました。
以下、そのあらましについて御説明いたしますが、それに先立ち、今般の県議会議員選挙におきまして、晴れて当選の栄誉に浴されました58名の議員の皆さんに、心から敬意を表し、お祝いを申し上げます。皆さんには、県民の代表者として、福島の復興再生に大いに力を発揮されますよう期待を申し上げる次第でございます。
知事に就任して1年が経過いたしました。県民の皆さんを始め、これまで御協力、御支援を頂きました全ての皆さんに、改めて心から感謝を申し上げます。
歴史上誰も経験したことのない未曽有の複合災害という福島県が背負った重荷、この難題に立ち向かうため、この1年間、様々な声に真摯に耳を傾け、未来を切り拓くための新たな取組に果敢に挑戦し、国や東京電力等に対して言うべきことを言うとの姿勢を貫いてまいりました。
また、福島が抱える課題の深刻さと複雑さ、そして復興に向け懸命な努力を続けている現状を、様々な機会・方法を尽くして、国内外に訴えてまいりました。
福島は着実に復興に向け歩みを進めておりますが、課題は山積しており、いまだ途上にあるというのが率直な思いであります。県民が一日も早く復興を実感できるよう、更に全力を尽くしてまいる覚悟であります。
この復興と合わせて取り組まなければならないのが地方創生であります。現在、人口減少の抑制と影響緩和を目指して、全国の自治体が知恵と工夫を凝らし、独自の取組を盛り込んだ総合戦略の策定を進めております。
復興へのプロセスそのものが地方創生とも言える福島県では、全国的に最も厳しい人口減少に加え、原子力災害のもたらす影響が問題解決への道筋を不透明にしており、より一層、真剣に向き合わなければならない状況にあります。
原発事故の収束、根強い風評など、福島県を覆う濃い影の払拭には相当の長期間を要します。5年という限られた戦略期間の中で、影を薄めつつ人口減少に歯止めをかけるためには、福島の持つ強みをいかしながら、県内で安定的雇用を創出する「しごとづくり」や担い手となる「ひとづくり」、さらには県外から「ひとの流れ」を呼び込み好循環を生み出す、より強い輝きを放つ施策を総合的・重点的に推進し、成果を上げる必要があります。
現在、そうした福島県に元気と活力を与える、即効的で実効性の高い施策を盛り込んだ地方版の総合戦略の策定とともに、影の払拭と光の創出の施策の全体像を示した復興計画の改定作業を、年内完了を目途に進めているところであります。
また、これらの計画を実行し復興の果実を確実に実らせるためには、財源確保が必要不可欠となります。そのため、先月、国への緊急提案・要望を実施したところであり、復興・創生期間の初年度にあたる来年度政府予算に具体的な本県の意向が確実に反映されるよう、最後までしっかりと働き掛けを行ってまいります。
福島の子どもたちや若者は、震災による過酷な状況を乗り越え、各方面で輝かしい成果を残し、県民に復興への希望と勇気を与える快挙を次々と成し遂げております。こうした将来の復興の主役となる子どもたちの夢や希望を実現できる古里を創り上げることが、「ふくしまの誇り」を取り戻すと同時に人口減少の克服にもつながってまいります。
福島の明るい未来を切り拓き、「生まれて良かった、住んで良かった、来て良かった」と思える福島県の実現を目指して、引き続き全力でチャレンジをしてまいりますので、県議会の皆さんにおかれましては、困難に直面する福島県を復興に導くため、県政運営に対する一層の御指導と御協力をお願い申し上げます。
それでは、当面の諸課題について所信の一端を述べさせていただきます。
以下、そのあらましについて御説明いたしますが、それに先立ち、今般の県議会議員選挙におきまして、晴れて当選の栄誉に浴されました58名の議員の皆さんに、心から敬意を表し、お祝いを申し上げます。皆さんには、県民の代表者として、福島の復興再生に大いに力を発揮されますよう期待を申し上げる次第でございます。
知事に就任して1年が経過いたしました。県民の皆さんを始め、これまで御協力、御支援を頂きました全ての皆さんに、改めて心から感謝を申し上げます。
歴史上誰も経験したことのない未曽有の複合災害という福島県が背負った重荷、この難題に立ち向かうため、この1年間、様々な声に真摯に耳を傾け、未来を切り拓くための新たな取組に果敢に挑戦し、国や東京電力等に対して言うべきことを言うとの姿勢を貫いてまいりました。
また、福島が抱える課題の深刻さと複雑さ、そして復興に向け懸命な努力を続けている現状を、様々な機会・方法を尽くして、国内外に訴えてまいりました。
福島は着実に復興に向け歩みを進めておりますが、課題は山積しており、いまだ途上にあるというのが率直な思いであります。県民が一日も早く復興を実感できるよう、更に全力を尽くしてまいる覚悟であります。
この復興と合わせて取り組まなければならないのが地方創生であります。現在、人口減少の抑制と影響緩和を目指して、全国の自治体が知恵と工夫を凝らし、独自の取組を盛り込んだ総合戦略の策定を進めております。
復興へのプロセスそのものが地方創生とも言える福島県では、全国的に最も厳しい人口減少に加え、原子力災害のもたらす影響が問題解決への道筋を不透明にしており、より一層、真剣に向き合わなければならない状況にあります。
原発事故の収束、根強い風評など、福島県を覆う濃い影の払拭には相当の長期間を要します。5年という限られた戦略期間の中で、影を薄めつつ人口減少に歯止めをかけるためには、福島の持つ強みをいかしながら、県内で安定的雇用を創出する「しごとづくり」や担い手となる「ひとづくり」、さらには県外から「ひとの流れ」を呼び込み好循環を生み出す、より強い輝きを放つ施策を総合的・重点的に推進し、成果を上げる必要があります。
現在、そうした福島県に元気と活力を与える、即効的で実効性の高い施策を盛り込んだ地方版の総合戦略の策定とともに、影の払拭と光の創出の施策の全体像を示した復興計画の改定作業を、年内完了を目途に進めているところであります。
また、これらの計画を実行し復興の果実を確実に実らせるためには、財源確保が必要不可欠となります。そのため、先月、国への緊急提案・要望を実施したところであり、復興・創生期間の初年度にあたる来年度政府予算に具体的な本県の意向が確実に反映されるよう、最後までしっかりと働き掛けを行ってまいります。
福島の子どもたちや若者は、震災による過酷な状況を乗り越え、各方面で輝かしい成果を残し、県民に復興への希望と勇気を与える快挙を次々と成し遂げております。こうした将来の復興の主役となる子どもたちの夢や希望を実現できる古里を創り上げることが、「ふくしまの誇り」を取り戻すと同時に人口減少の克服にもつながってまいります。
福島の明るい未来を切り拓き、「生まれて良かった、住んで良かった、来て良かった」と思える福島県の実現を目指して、引き続き全力でチャレンジをしてまいりますので、県議会の皆さんにおかれましては、困難に直面する福島県を復興に導くため、県政運営に対する一層の御指導と御協力をお願い申し上げます。
それでは、当面の諸課題について所信の一端を述べさせていただきます。
東日本大震災からの復旧・復興について
はじめに、東日本大震災からの復旧・復興について申し上げます。
「避難地域の復興再生」につきましては、いまだ10万人を超える県民が避難生活を続けており、避難者一人一人の事情に寄り添いながら、その生活再建を図っていくことが最優先の課題であります。
現在、事業者や農業者の事業再建、営農再開に向け、官民合同チームによる訪問活動を精力的に行っているほか、避難指示区域以外の避難者への仮設・借上げ住宅の供与期間終了を見据え、避難者に今後の生活の見通しを立てていただけるよう、帰還や生活再建に向けた支援策の検討を進めているところであります。
また、避難地域の復興・再生の道筋として策定した12市町村の将来像の実現に向けて、二次医療体制の確保や復興拠点の整備など具体的な取組をしっかりと推進してまいります。
さらに、住民が安全に安心して暮らせる環境づくりを進めるため、復興公営住宅の整備に力を入れるとともに、来年2月に開所するふたば復興診療所を始め、医療や地域公共交通などの広域的に推進すべき課題に対して、広域自治体として主導的に取り組んでまいる考えであります。
9月の3市町村の準備宿泊に続き、先月には川内村東部での準備宿泊が開始されるなど、ふるさと再生に向けた動きは着実に進んでおります。震災から既に4年9ヶ月が経過するという時の重みを深く胸に刻みながら、一日も早く避難地域の復興再生が進むよう、今後とも全力を挙げてまいります。
「廃炉に向けた取組」につきましては、汚染水対策や溶融燃料の取出しなど、乗り越えなければならない大きな課題があります。
汚染水対策については、10月末に海側遮水壁が完成し、サブドレン計画等と合わせ一定の前進をみたところでありますが、地下水の汲み上げにより建屋内の汚染水が屋外に流出しないよう適切に水位を管理していくことや、海域への影響を把握するための海水等のきめ細かなモニタリングを東京電力に対して求めてまいります。
溶融燃料の取出しに向けては、大型がれきの撤去や原子炉建屋上部の解体方針が示され、またロボットによる格納容器内の調査等が進むとともに、楢葉町に楢葉遠隔技術開発センターが開所するなど、安全かつ着実な廃炉作業に必要な技術研究・開発を支える体制整備への動きも出てきたところであります。
県といたしましては、引き続き、国や東京電力の廃炉に向けた取組を厳しく監視し、県民への分かりやすい情報発信に努めるとともに、世界の英知を結集して総力を挙げて取り組むよう、しっかりと求めてまいる考えであります。
また、県民の強い思いである県内原発の全基廃炉についても、新たに就任した経済産業大臣に、国が責任を持って進めるべきであることを早速申し上げたところであり、引き続きあらゆる機会をとらえて求めてまいります。
「環境回復」につきましては、県民が安心して暮らせる環境を取り戻すため、引き続き除染を迅速・着実に進めるとともに、仮置場等の適正な維持管理に努めてまいります。
また、中間貯蔵施設については、用地取得に関する地権者への個別訪問等は進んでいるものの、契約に至るまでに時間を要している状況にあり、国に対し施設の設置者として責任を持って総力で当たるよう、引き続き求めてまいります。
既存管理型処分場を活用した特定廃棄物の埋立処分事業については、8月に県と富岡・楢葉両町から申し入れた安全・安心の確保と地域振興策の具体化について、先月、国の考え方が示されました。その内容を精査・確認し両町とも協議を重ねた上、環境回復に必要な施設であるとの判断から、地元には大変重い負担となりますが、広域自治体の長として施設の活用を容認するという苦渋の決断を行ったところであります。今後とも、地元に対し国が責任を持って対応するよう求めるとともに、安全協定の締結や極めて自由度の高い交付金に関する措置等について、しっかりと取り組んでまいります。
10月下旬に三春町の環境創造センター本館、先月中旬には南相馬市の環境放射線センターが開所いたしました。本県の環境回復や創造に関する調査研究を国内外の研究機関と連携して推進するとともに、正確な情報発信を行うための拠点として、来年度設置される研究棟や交流棟と合わせ、県民が将来にわたり安心して生活できる環境を創ってまいります。
「風評・風化対策」につきましては、10月中旬にイタリアのミラノを訪問し、食の万博会場やミラノ大学などで、県産農林水産物の安全性はもとより県民生活の現状について丁寧な情報の発信に努めた結果、同大学との間で継続的な情報発信に関する協力の合意を得てまいりました。
その一方で、震災から4年半余が経過し、国内以上に国外での風化のスピードの速さを改めて実感したところであり、海外への情報発信を一層強化するとともに、福島への関心を国内外で高め、農林水産物を始めとした県産品の販路拡大や交流人口の増加へと結びつけてまいります。
また、9月から「チャレンジふくしま訪問」として、福祉や教育、観光、地域振興など様々な現場で前を見据え取り組む県民と触れ合う事業を始め、地域を、そして福島を元気にしたいという熱い思いを直接お聞きし、明るい未来へとつながる確かな手応えを感じました。こうした県民の努力一つ一つの積み重ねが福島の誇りを取り戻すための大きな原動力となってまいります。県民の復興に懸ける思いや本県の光と影の現状を、国内外の多くの方に発信をし、福島への共感と応援で結ばれた同志の輪を広げてまいります。
さらに、来年は震災発生から5年の節目を迎えることから、この間の様々な支援に対する感謝の思い、復興の新たなステージに向けた福島の決意を発信し、根強い風評の払拭や時間の経過とともに加速する風化の防止、さらには「ひとや物の流れの好循環」へとつなげてまいりたいと考えております。
「産業政策」は、福島の復興をけん引する大きな光となる施策であり、とりわけ新産業の創出は極めて重要な柱であります。
ロボット関連産業については、先月初めて開催したフェアでは4000人を超える県民が訪れ盛況となるなど、関心の高まりを感じております。今後、ロボットに関する国際的な標準の策定機能等を有したロボットテストフィールドの整備を始め、国や市町村と連携しながらイノベーション・コースト構想の具体化を図り、世界に冠たる「ロボット産業革命の地ふくしま」実現への挑戦を続けてまいります。
医療機器関連産業については、ドイツのノルトライン・ヴェストファーレン州や10月に覚書を締結した同州の医療機器認証機関等とも連携しながら、来年秋に整備予定の医療機器開発支援センターを中心とした産業集積を推し進めてまいります。
また、再生可能エネルギーについては、地域資源を活用したスマートコミュニティの構築の推進や、再生可能エネルギーを学ぶ体験学習や人材育成などによる普及啓発に取り組むなど、県民や地域と一体となって再生可能エネルギー先駆けの地の実現を図ってまいります。
さらに新たな重点産業として、今後の成長が期待される航空宇宙関連産業の育成を図るなど、若者が未来に夢や希望を持てる雇用の創出や産業の地産地消を力強く推進し、ひいては、「メードインふくしま」の製品や技術を福島の誇りと共に世界中に流通させることを目指して、今後ともまい進してまいる考えであります。
県内の中小企業や小規模事業者への支援については、関係機関や専門家の複層的なネットワークによりオールふくしまで経営改善を支援する体制を整備したところであり、実効性のある経営支援を進めてまいります。
「農林水産業の再生」につきましては、風評等により取り巻く環境が厳しい中にあっても、楢葉町の木戸川のサケ漁やふ化放流事業が5年ぶりに再開し、避難農業者が運営する東北地方最大級の復興牧場が稼働するなど、明るい動きが見えてきております。
そのような中、10月のTPP協定交渉の大筋合意が国内を揺るがし、本県の経済や県民生活の幅広い分野に大きな影響を及ぼすことが懸念されたことから、同月末に、情報の共有と今後の対策等について協議を行う「福島県TPP協定対策本部」を立ち上げ、特に大きな影響が懸念される農林水産分野については、関係団体との連絡会議等を開催したところであります。
今後は、国が取りまとめた「総合的なTPP関連政策大綱」に掲げられた農林水産業の体質強化対策などを最大限に活用しながら、TPP協定を契機に、本県農林水産業の再生はもとより新たなステージへ踏み出していけるよう、必要な振興策を講じてまいる考えであります。
「子ども・若者育成」につきましては、震災の影響で他県以上に人口減少が進む本県にとって、若者の育成・定着や県外からの流入促進は喫緊の課題であります。各産業における人材不足も深刻であり、担い手となる高い意欲と技術力を有した人材を中長期的に育成していかなければ、福島県が力強い復興を成し遂げることも覚束なくなります。
そのような中、ものづくり日本大賞など国内外の大会で優れた成績を残している工業高校や、全国電卓競技大会で毎年上位に名を連ね、地場産品をいかした商品づくりで成果をあげている商業高校など、専門高校の子どもたちの目を見張る活躍ぶりは、全国に福島の潜在力と可能性を発信してくれており、非常に頼もしい限りです。
産業の再生と人材の育成とは車の両輪であります。高校におけるキャリア教育の充実を図ることはもとより、大学や企業との連携による人材育成の取組を更に充実させるほか、小高工業と小高商業高校の発展的統合などを通じて、若者のチャレンジを後押ししながら新たな産業の振興につなげる環境づくりを進めてまいります。
また、10月の総合教育会議において、学力向上に向けた今後の取組や放課後活動の充実などについて協議を行ったところであり、引き続き教育委員会と一体となって、子どもに関する施策の充実に取り組んでまいります。
「県民の健康保持」につきましては、震災が県民の心身の健康に及ぼした影響、とりわけ子どもたちの心身に与えた影響には計り知れないものがあります。避難に伴う生活環境の変化等により、要介護認定者の増加など高齢者の健康悪化も顕在化しているところであり、県民の健康を保持・増進し、健康寿命の延伸を図る取組を待ったなしで進めていかなければなりません。
そのため、県民の生活習慣の改善につながる健康づくりに県全体で取り組んでいくほか、県民の放射線に対する不安の解消や心のケアを含め、県民の健康全般を支える拠点として来年度に本格稼働する国際医療科学センターを中心に、子どもから高齢者まで、健やかに安心して暮らすことのできる県づくりを進めてまいります。
また、現在検討を進めている次期県民運動においても、「運動」や「食」に関する取組など「健康」がテーマに選定されたところであり、県民自らが積極的に健康増進に取り組み、地域全体の活性化にもつながる仕組みづくりを図ってまいります。
「基幹インフラの復旧・整備」につきましては、避難者の帰還や県土の復興、広域的な連携・交流を進める上で、特に交通インフラの果たす役割は大きく、ふくしま復興再生道路など復興に欠かせない道路の整備を推進するとともに、JR常磐線・只見線の早期全線復旧に取り組んでまいります。
また、LNG基地としてエネルギー供給拠点となる相馬港やインバウンド観光の玄関口としての福島空港など、福島県の復興を前に進めるため、今後とも戦略的なインフラの整備と利活用に力を入れてまいります。
「避難地域の復興再生」につきましては、いまだ10万人を超える県民が避難生活を続けており、避難者一人一人の事情に寄り添いながら、その生活再建を図っていくことが最優先の課題であります。
現在、事業者や農業者の事業再建、営農再開に向け、官民合同チームによる訪問活動を精力的に行っているほか、避難指示区域以外の避難者への仮設・借上げ住宅の供与期間終了を見据え、避難者に今後の生活の見通しを立てていただけるよう、帰還や生活再建に向けた支援策の検討を進めているところであります。
また、避難地域の復興・再生の道筋として策定した12市町村の将来像の実現に向けて、二次医療体制の確保や復興拠点の整備など具体的な取組をしっかりと推進してまいります。
さらに、住民が安全に安心して暮らせる環境づくりを進めるため、復興公営住宅の整備に力を入れるとともに、来年2月に開所するふたば復興診療所を始め、医療や地域公共交通などの広域的に推進すべき課題に対して、広域自治体として主導的に取り組んでまいる考えであります。
9月の3市町村の準備宿泊に続き、先月には川内村東部での準備宿泊が開始されるなど、ふるさと再生に向けた動きは着実に進んでおります。震災から既に4年9ヶ月が経過するという時の重みを深く胸に刻みながら、一日も早く避難地域の復興再生が進むよう、今後とも全力を挙げてまいります。
「廃炉に向けた取組」につきましては、汚染水対策や溶融燃料の取出しなど、乗り越えなければならない大きな課題があります。
汚染水対策については、10月末に海側遮水壁が完成し、サブドレン計画等と合わせ一定の前進をみたところでありますが、地下水の汲み上げにより建屋内の汚染水が屋外に流出しないよう適切に水位を管理していくことや、海域への影響を把握するための海水等のきめ細かなモニタリングを東京電力に対して求めてまいります。
溶融燃料の取出しに向けては、大型がれきの撤去や原子炉建屋上部の解体方針が示され、またロボットによる格納容器内の調査等が進むとともに、楢葉町に楢葉遠隔技術開発センターが開所するなど、安全かつ着実な廃炉作業に必要な技術研究・開発を支える体制整備への動きも出てきたところであります。
県といたしましては、引き続き、国や東京電力の廃炉に向けた取組を厳しく監視し、県民への分かりやすい情報発信に努めるとともに、世界の英知を結集して総力を挙げて取り組むよう、しっかりと求めてまいる考えであります。
また、県民の強い思いである県内原発の全基廃炉についても、新たに就任した経済産業大臣に、国が責任を持って進めるべきであることを早速申し上げたところであり、引き続きあらゆる機会をとらえて求めてまいります。
「環境回復」につきましては、県民が安心して暮らせる環境を取り戻すため、引き続き除染を迅速・着実に進めるとともに、仮置場等の適正な維持管理に努めてまいります。
また、中間貯蔵施設については、用地取得に関する地権者への個別訪問等は進んでいるものの、契約に至るまでに時間を要している状況にあり、国に対し施設の設置者として責任を持って総力で当たるよう、引き続き求めてまいります。
既存管理型処分場を活用した特定廃棄物の埋立処分事業については、8月に県と富岡・楢葉両町から申し入れた安全・安心の確保と地域振興策の具体化について、先月、国の考え方が示されました。その内容を精査・確認し両町とも協議を重ねた上、環境回復に必要な施設であるとの判断から、地元には大変重い負担となりますが、広域自治体の長として施設の活用を容認するという苦渋の決断を行ったところであります。今後とも、地元に対し国が責任を持って対応するよう求めるとともに、安全協定の締結や極めて自由度の高い交付金に関する措置等について、しっかりと取り組んでまいります。
10月下旬に三春町の環境創造センター本館、先月中旬には南相馬市の環境放射線センターが開所いたしました。本県の環境回復や創造に関する調査研究を国内外の研究機関と連携して推進するとともに、正確な情報発信を行うための拠点として、来年度設置される研究棟や交流棟と合わせ、県民が将来にわたり安心して生活できる環境を創ってまいります。
「風評・風化対策」につきましては、10月中旬にイタリアのミラノを訪問し、食の万博会場やミラノ大学などで、県産農林水産物の安全性はもとより県民生活の現状について丁寧な情報の発信に努めた結果、同大学との間で継続的な情報発信に関する協力の合意を得てまいりました。
その一方で、震災から4年半余が経過し、国内以上に国外での風化のスピードの速さを改めて実感したところであり、海外への情報発信を一層強化するとともに、福島への関心を国内外で高め、農林水産物を始めとした県産品の販路拡大や交流人口の増加へと結びつけてまいります。
また、9月から「チャレンジふくしま訪問」として、福祉や教育、観光、地域振興など様々な現場で前を見据え取り組む県民と触れ合う事業を始め、地域を、そして福島を元気にしたいという熱い思いを直接お聞きし、明るい未来へとつながる確かな手応えを感じました。こうした県民の努力一つ一つの積み重ねが福島の誇りを取り戻すための大きな原動力となってまいります。県民の復興に懸ける思いや本県の光と影の現状を、国内外の多くの方に発信をし、福島への共感と応援で結ばれた同志の輪を広げてまいります。
さらに、来年は震災発生から5年の節目を迎えることから、この間の様々な支援に対する感謝の思い、復興の新たなステージに向けた福島の決意を発信し、根強い風評の払拭や時間の経過とともに加速する風化の防止、さらには「ひとや物の流れの好循環」へとつなげてまいりたいと考えております。
「産業政策」は、福島の復興をけん引する大きな光となる施策であり、とりわけ新産業の創出は極めて重要な柱であります。
ロボット関連産業については、先月初めて開催したフェアでは4000人を超える県民が訪れ盛況となるなど、関心の高まりを感じております。今後、ロボットに関する国際的な標準の策定機能等を有したロボットテストフィールドの整備を始め、国や市町村と連携しながらイノベーション・コースト構想の具体化を図り、世界に冠たる「ロボット産業革命の地ふくしま」実現への挑戦を続けてまいります。
医療機器関連産業については、ドイツのノルトライン・ヴェストファーレン州や10月に覚書を締結した同州の医療機器認証機関等とも連携しながら、来年秋に整備予定の医療機器開発支援センターを中心とした産業集積を推し進めてまいります。
また、再生可能エネルギーについては、地域資源を活用したスマートコミュニティの構築の推進や、再生可能エネルギーを学ぶ体験学習や人材育成などによる普及啓発に取り組むなど、県民や地域と一体となって再生可能エネルギー先駆けの地の実現を図ってまいります。
さらに新たな重点産業として、今後の成長が期待される航空宇宙関連産業の育成を図るなど、若者が未来に夢や希望を持てる雇用の創出や産業の地産地消を力強く推進し、ひいては、「メードインふくしま」の製品や技術を福島の誇りと共に世界中に流通させることを目指して、今後ともまい進してまいる考えであります。
県内の中小企業や小規模事業者への支援については、関係機関や専門家の複層的なネットワークによりオールふくしまで経営改善を支援する体制を整備したところであり、実効性のある経営支援を進めてまいります。
「農林水産業の再生」につきましては、風評等により取り巻く環境が厳しい中にあっても、楢葉町の木戸川のサケ漁やふ化放流事業が5年ぶりに再開し、避難農業者が運営する東北地方最大級の復興牧場が稼働するなど、明るい動きが見えてきております。
そのような中、10月のTPP協定交渉の大筋合意が国内を揺るがし、本県の経済や県民生活の幅広い分野に大きな影響を及ぼすことが懸念されたことから、同月末に、情報の共有と今後の対策等について協議を行う「福島県TPP協定対策本部」を立ち上げ、特に大きな影響が懸念される農林水産分野については、関係団体との連絡会議等を開催したところであります。
今後は、国が取りまとめた「総合的なTPP関連政策大綱」に掲げられた農林水産業の体質強化対策などを最大限に活用しながら、TPP協定を契機に、本県農林水産業の再生はもとより新たなステージへ踏み出していけるよう、必要な振興策を講じてまいる考えであります。
「子ども・若者育成」につきましては、震災の影響で他県以上に人口減少が進む本県にとって、若者の育成・定着や県外からの流入促進は喫緊の課題であります。各産業における人材不足も深刻であり、担い手となる高い意欲と技術力を有した人材を中長期的に育成していかなければ、福島県が力強い復興を成し遂げることも覚束なくなります。
そのような中、ものづくり日本大賞など国内外の大会で優れた成績を残している工業高校や、全国電卓競技大会で毎年上位に名を連ね、地場産品をいかした商品づくりで成果をあげている商業高校など、専門高校の子どもたちの目を見張る活躍ぶりは、全国に福島の潜在力と可能性を発信してくれており、非常に頼もしい限りです。
産業の再生と人材の育成とは車の両輪であります。高校におけるキャリア教育の充実を図ることはもとより、大学や企業との連携による人材育成の取組を更に充実させるほか、小高工業と小高商業高校の発展的統合などを通じて、若者のチャレンジを後押ししながら新たな産業の振興につなげる環境づくりを進めてまいります。
また、10月の総合教育会議において、学力向上に向けた今後の取組や放課後活動の充実などについて協議を行ったところであり、引き続き教育委員会と一体となって、子どもに関する施策の充実に取り組んでまいります。
「県民の健康保持」につきましては、震災が県民の心身の健康に及ぼした影響、とりわけ子どもたちの心身に与えた影響には計り知れないものがあります。避難に伴う生活環境の変化等により、要介護認定者の増加など高齢者の健康悪化も顕在化しているところであり、県民の健康を保持・増進し、健康寿命の延伸を図る取組を待ったなしで進めていかなければなりません。
そのため、県民の生活習慣の改善につながる健康づくりに県全体で取り組んでいくほか、県民の放射線に対する不安の解消や心のケアを含め、県民の健康全般を支える拠点として来年度に本格稼働する国際医療科学センターを中心に、子どもから高齢者まで、健やかに安心して暮らすことのできる県づくりを進めてまいります。
また、現在検討を進めている次期県民運動においても、「運動」や「食」に関する取組など「健康」がテーマに選定されたところであり、県民自らが積極的に健康増進に取り組み、地域全体の活性化にもつながる仕組みづくりを図ってまいります。
「基幹インフラの復旧・整備」につきましては、避難者の帰還や県土の復興、広域的な連携・交流を進める上で、特に交通インフラの果たす役割は大きく、ふくしま復興再生道路など復興に欠かせない道路の整備を推進するとともに、JR常磐線・只見線の早期全線復旧に取り組んでまいります。
また、LNG基地としてエネルギー供給拠点となる相馬港やインバウンド観光の玄関口としての福島空港など、福島県の復興を前に進めるため、今後とも戦略的なインフラの整備と利活用に力を入れてまいります。
関東・東北豪雨被害への対応について
次に、9月の関東・東北豪雨被害への対応について申し上げます。
豪雨災害としては、平成23年7月の新潟・福島豪雨を超える大規模災害となりましたが、南会津町においては河川の氾濫による集落の孤立状態の早期解消、国道115号においては通行止めの迅速な解除など、応急対策をしっかりと進め、被災から1ヶ月の間に109箇所全ての通行止め区間を解消いたしました。年内にも災害査定を終え、被災箇所の速やかな本格復旧を図ってまいります。
豪雨災害としては、平成23年7月の新潟・福島豪雨を超える大規模災害となりましたが、南会津町においては河川の氾濫による集落の孤立状態の早期解消、国道115号においては通行止めの迅速な解除など、応急対策をしっかりと進め、被災から1ヶ月の間に109箇所全ての通行止め区間を解消いたしました。年内にも災害査定を終え、被災箇所の速やかな本格復旧を図ってまいります。
提出議案について
提出議案について御説明申し上げます。
平成27年度一般会計補正予算案につきましては、復興・再生に向けて緊急に措置すべき経費などについて計上いたしました。
その主な内容といたしましては、避難者の方々の生活拠点づくりを進めるための基金への積立てを始め、除染を着実に推進するための市町村に対する交付金の増額、本年9月の関東・東北豪雨による災害に対応するための経費などを計上いたしました。
これによる一般会計補正予算の総額は、850億6千6百万円となり、本年度予算の累計は2兆85億8千8百万円となります。
特別会計等補正予算案につきましては、港湾整備事業特別会計など5会計につきまして、それぞれ所要の経費を計上いたしました。
その他の議案といたしましては、条例が「福島県東日本大震災復興交付金基金条例の一部を改正する条例」など34件、条例以外の議案が「工事請負契約について」など49件で、いずれも県政執行上重要な案件であります。
慎重に御審議の上、速やかな御議決をお願い申し上げます。
平成27年度一般会計補正予算案につきましては、復興・再生に向けて緊急に措置すべき経費などについて計上いたしました。
その主な内容といたしましては、避難者の方々の生活拠点づくりを進めるための基金への積立てを始め、除染を着実に推進するための市町村に対する交付金の増額、本年9月の関東・東北豪雨による災害に対応するための経費などを計上いたしました。
これによる一般会計補正予算の総額は、850億6千6百万円となり、本年度予算の累計は2兆85億8千8百万円となります。
特別会計等補正予算案につきましては、港湾整備事業特別会計など5会計につきまして、それぞれ所要の経費を計上いたしました。
その他の議案といたしましては、条例が「福島県東日本大震災復興交付金基金条例の一部を改正する条例」など34件、条例以外の議案が「工事請負契約について」など49件で、いずれも県政執行上重要な案件であります。
慎重に御審議の上、速やかな御議決をお願い申し上げます。