点字広報ふくしま第308号
<県政の窓>知事インタビュー
内堀知事に、三期目の県政への思いを聞きました。
1 三期目の決意は
ふくしまの復興・創生に向け、これまで続けてきた挑戦の成果が目に見える形となって現れている一方で、未曾有の複合災害に加え、度重なる自然災害、新型コロナウイルス感染症や原油価格・物価高騰への対応、急激な人口減少など、さまざまな困難を抱えており、これまでの挑戦をシンカ(進める「進化」、深める「深化」、新しくする「新化」)をさせていかなければ未来は拓けないと考えています。
そのため、昨年4月にスタートした新しい総合計画の「ひと、暮らし、しごと」の3つの視点で政策をシンカさせながら、県民の皆さんと共に、ふくしまの未来を創っていきます。
2 「ひと」の視点で目指す将来の姿は
「ひと」を大切にするふくしまを創ります。
具体的には、結婚、出産、子育てまでの切れ目のない支援を行うとともに、次世代を担う子ども・若者の希望をかなえられるよう、魅力的な教育環境の整備に取り組みます。
また、食、運動、社会参加による健康づくりを三本の柱として、誰もがいきいきと暮らす、全国に誇れる「健康長寿県」を目指します。
3 「暮らし」の視点で目指す将来の姿は
安心・快適な「暮らし」のあるふくしまを創ります。
具体的には、避難地域の復興に向け、事業・生業の再生や帰還環境の整備、特定復興再生拠点区域外への対応、廃炉と汚染水・処理水対策などに力を尽くすとともに、交流や移住・定住も促進していきます。
また、新型コロナウイルス感染症や自然災害、原油価格・物価高騰の影響から県民の皆さんの暮らしと地域経済を守り、環境にも配慮した安全・安心で活力ある社会を目指します。
4 「しごと」の視点で目指す将来の姿は
働きたい「しごと」があるふくしまを創ります。
具体的には、既存産業の振興はもとより、福島イノベーション・コースト構想の更なる進化を図ることで、新産業の創出・集積等の魅力ある雇用の場づくりに取り組むほか、風評に負けない農林水産物のブランド化など、強くてもうかる農林水産業の実現を目指します。
また、港や空港の利活用促進、道路整備など地域を結ぶ社会基盤の整備を促進するとともに、福島の魅力を最大限に生かした「ふくしまならでは」の観光・交流を推進するなど、地域経済の活性化を図っていきます。
5 実現したいふくしまの未来は
私たちに過去を変えることはできません。しかし、私たちの行動によって未来を変えること、未来を創り出すことはできます。
震災と原発事故以降、福島は「被災の地」「原発事故の地」と定義されていますが、この福島の定義を「希望の地」、さらには「復興の地」へと変えていきます。
<県政の窓>幼かった震災当時のこと。高校生になった今、「ふくしま」を伝える。
今年度で3年目を迎えた福島県環境創造センターが主催する高校生による情報発信事業「ふくしまナラティブ・スコラ(「ナラティブ」は自分自身が主体となって語る表現技術。「スコラ」は学問の技法や思考の過程のこと。)」について紹介します。
1 「ふくしまナラティブ・スコラ」とは
震災から11年余りが経過しましたが、まだ、風評がなくなったわけではありません。
震災当時は幼かった高校生たちが、震災から今まで経験したこと、悩んだこと、考えたことなどを振り返り、自分の言葉で福島県に対する思いを発信することで、風評払拭はもちろん、風化防止にもつなげたいとの考えから、県では、令和2年度からこの事業を始めました。
全10回の講座のうち、前半のワークショップでは、東日本大震災と原発事故を経験した福島県のこれまでを振り返ります。後半はプレゼンテーションの専門家による講座を受講し、自分の「ふくしま」への思いを発信する力を身につけます。
2 令和4年度の活動風景
今年度は高校1年生~3年生まで19名が三期生として活動しています。今年度の1年生は震災当時4歳。震災についてあまり覚えていないと話す参加者が多いですが、それぞれの「ふくしま」への思いを持って取り組んでいます。前半は、さまざまなゲストによる被災経験・復興活動などに関する講話や東日本大震災・原子力災害伝承館および被災地の視察などから震災後の福島を学びました。現在、後半の講座で自分の思いをプレゼンテーションという「カタチ」にしています。
3 一期生・二期生の声
過去の「ナラティブ・スコラ」の参加者の声をご紹介します。
一期生 塩田 優莉(しおた ゆり)さん (福島県立あさか開成高等学校卒)
私たち福島県民でさえも震災後の福島県の状況に対して印象論に左右されてしまっている場合があることを学びました。大学では福島県や地域についての学びを深め、ナラティブ・スコラで学んだプレゼンの技法などを生かして、福島県についての情報発信をしていきたいです。
二期生 大原 日和(おおはら ひより)さん (福島県立白河高等学校)
「私とふくしま」について考えることが、自分自身と向き合うことにつながりました。これから先、自分の興味関心がある物事について深く学んで、そこから自分なりに課題を見つけて取り組んでいきたいです。
4 ふくしまの高校生が伝えるナラティブ・プレゼンテーション
「ナラティブ・スコラ」の集大成となるプレゼンテーション大会が令和5年1月7日に、けんしん郡山文化センターで行われました。参加者一人一人が、「自分」と「ふくしま」に向き合い、「ふくしまの未来に対する私の今の念い(おもい)」を自分の言葉で発信しました。
◆問い合わせ先 県環境創造センター総務企画部企画課 電話番号 0247(61)6129
情報ボックス
新型コロナウイルス感染症に関するお知らせ
オミクロン株に対応したワクチン接種について
県内でもオミクロン株に対応したワクチン接種が進んでいます。
「接種対象者」や「接種の効果」などについての疑問点をQ&A形式で解説します。
Q オミクロン株対応ワクチンの接種対象者は?
A 1・2回目の接種を終えた12歳以上の方が接種可能であり、これまでに接種した新型コロナワクチンの種類にかかわらず、1回に限り接種できます。
新型コロナワクチンの接種回数が2回より少ない方は、オミクロン株対応ワクチンの接種対象ではありません。従来のワクチンで1・2回目接種を行った後に、オミクロン株対応ワクチンによる追加接種が行われます。
Q オミクロン株対応ワクチンの接種の効果は?
A オミクロン株対応ワクチンの接種により、従来のワクチンの接種と比較して、中和抗体価(ウイルスの感染力または毒素の活性を中和できる抗体の数値)と中和抗体応答率(中和抗体価がベースライン値である1回目接種前の数値から4倍以上に上昇した被験者の数)が同等以上であることが確認され、重症化・感染・発症を予防する効果が期待されています。
Q オミクロン株対応ワクチンの副反応は?
A 主な副反応として、注射した部分の痛み、頭痛、疲労、発熱などがありますが、現時点で重大な懸念は認められないとされています。
霊感商法のトラブルにご注意ください!
「運が開ける、先祖を救うため」などといって、人の悩みや弱みにつけ込んで高額な祈祷や商品を勧誘する商法を、「霊感商法」といいます。
もし、不安をあおられても相手の言葉をうのみにせず、その場で契約するのは避けて、冷静に考え、きっぱりと断ることが大切です。
困ったときや、少しでも不安や疑問を感じたときは、下記までご相談ください。
◆問い合わせ先
県消費生活センター 相談専用ダイヤル 電話番号 024(521)0999
受付時間 月~金曜日 午前9時~午後6時30分
第4日曜日 午前9時~午後4時30分
進路アドバイザーによる県外に避難している高校生の県内企業への就職支援
福島県出身者で、現在県外に避難している高校生のうち、高校卒業を機に福島県内の企業へ就職を希望する生徒に対して、就職を希望する地区の企業求人情報を提供します。
希望する生徒は、現在通学している高校の進路指導担当(またはクラス担任)の先生を通して、下記の相談窓口にお問い合わせください。お知り合いに該当する方がいらっしゃいましたら、ぜひご周知をお願いします。
◇相談窓口
株式会社福島人材派遣センター 進路アドバイザー係 電話番号 024(521)5111
◆問い合わせ先 県教育庁高校教育課 電話番号 024(521)7773
点字図書館だより
1 触って、話して、見て楽しむ美術鑑賞ワークショップ「根本裕子さんの《野良犬》を鑑賞する」
■日 時 3月4日(土) (1)午前10時30分~正午 (2)午後2時~3時30分
■会 場 福島県立美術館講義室・企画展示室
(福島市森合字西養山1番地)
■講 師 根本 裕子 氏(陶芸家)
県立美術館学芸員
■参加費 無料
■対 象 高校生以上の視覚障がい者 各回5人程度
健常者(介助者含む) 各回5人程度
■内 容 福島の若手作家を紹介する展覧会「福島アートアニュアル2023」に出品される、根本裕子さんの陶で制作された《野良犬》がテーマです。じかに触れたり、作家ご本人のお話しを聞いたりしながら作品を感じてみましょう。
(午前、午後とも同じ内容です。どちらかの時間帯でご来場ください。)
■申込方法 点字図書館にお電話でお申し込みください(先着順)
■申込期限 2月17日(金)
2 デイジー図書の取り扱いについて
返却されたデイジー図書の中に、汚れが目立つものが増えています。デイジー図書の持ち方は、親指と人差し指で図書中央の穴と外側を挟むように持ち、ディスクの記録面を触らないように気を付けてください。記録面に指紋や汚れが付いてしまうと再生できない恐れがあります。また、プレクストークからデイジー図書を取り出す際にも注意が必要です。必ず停止ボタンを押してから取り出してください。再生中のまま取り出してしまうと、デイジー図書に傷が付き、うまく再生できなくなってしまいます。他館から取り寄せてみなさんに貸し出ししているものも多くありますので、取り扱いには十分に気を付けながら、読書をお楽しみください。汚してしまった場合は、汚れを拭きとってから返却し、貸し出し担当までお電話をいただきますようにお願いします。みなさんが気持ち良く読書ができるよう、ご協力よろしくお願いします。
3 貸し出しタイトル数について
当館から一度に貸し出しできるのは、
・点字図書は2タイトル
・デイジー図書は5タイトル までです。
貸し出し期間は、郵送期間を除いて15日以内です。期間内に読み終えることができる冊数と聞き終えることができる枚数でのリクエストをお待ちしています。
4 図書のリクエストには氏名を忘れずに
点字や墨字の手紙で貸出の依頼をするときは、必ず「氏名」を記入するようお願いします。また、メールでのリクエストも受け付けしています。図書のリクエストと分かるよう件名に「貸出希望」など、本文には差出人が分かるよう「氏名」も入力するようお願いします。
5 「レファレンスサービス」をご存じですか
当館では図書に関する質問をはじめ、分からない言葉の意味や身近な疑問などについて、できる限り迅速に回答や情報提供を行っています。
質問は電話や電子メール、郵送などで随時受け付けています。「あなたの身近な百科事典」として気軽にご利用ください。
◆県点字図書館 電話番号 024(531)4950
みんなの広場
サピエ図書館とヨガ
利用者 菅野 則夫(福島市)
私はまったく見えないわけではありませんが、緑内障で視野が欠損しており常に靄(もや)の中にいる状態です。中央部分の視野が特に欠損しているため目の前にあるものが見えません。探しているものが「目の前にあるよ」と言われても分からないのです。
もちろん本や雑誌、新聞も読めなくなりましたので、本が好きであった私にとって楽しみがなくなってしまいました。その時に教えていただいたのが「サピエ図書館」です。それはインターネットでアクセスする電磁的書籍を所蔵する図書館です。書籍は、国内各地の点字図書館やサポートセンターのボランティアの方々が読み下した音声データであり、私たち利用者は音声データをダウンロードし、専用の機器やアプリを使って聞くことができます。私は「サピエ図書館」を利用することで多くの書籍を楽しむことができ、これまで縁のなかったたくさんの作家に出会って読書の幅が広がっています。
また、私は会社勤めの間、デスクワークが多く、しかも運動らしいことをしていなかったので、日頃から肩や腰が痛く整骨院通いをしていました。少しでも体を動かそうと考え、ヨガでもやってみようと思っていた時に、福島県点字図書館で視覚障がい者向けに「チャレンジド・ヨガ」を開催していると聞きました。早速体験したところ、体が硬く、なかなか先生の言う通りに動けませんでしたが、皆さんが楽しく参加し明るい雰囲気であったこと、ほかの人と比べるのでなく自分の心と体の声を聴き自分なりにやればいいと言われ、始めてみようと思いました。それから6年半、中山先生や長山先生にご指導を受けて、現在も続けることができています。日常生活でも時間をみつけ「首肩手足」を回すなど簡単な動作を行ない、今は整骨院通いもなくなりました。
見えにくいことでの制限はいろいろありますが、できることを楽しみ毎日を過ごしたいと思います。
「みんなの広場」に原稿をお寄せください
点字広報ふくしまのコーナー「みんなの広場」では、皆さんからのご寄稿をお待ちしています。
○内容 体験記、自作の詩・エッセー、本の感想など
○字数 1ページ分 墨字600字(縦20×横30)程度
点字用紙1枚半(片面)程度
○題名・氏名を記載してください。
手紙・メールなどで、ぜひお寄せください!
協力会だより
1 「県議会ふくしま声のたより」第70号発行
福島県議会では、定例会終了後に定例会での主な質疑、可決された主な議案、議会の動き、委員会の活動状況などをまとめた新聞広報「県議会ふくしま」を福島民報と福島民友に掲載しています。
本会では、県議会事務局からの委託により、新聞広報と同じ内容で「県議会ふくしま声のたより」のCDを製作しています。
平成17年6月定例会を創刊号とし、今回で70号(9月定例会分)となりました。
このCDは、目の不自由な方や福祉事務所などの関係機関に無料でお届けしています。
また、CDの製作に当たっては、「福島県点友会」の皆さま方にご協力を頂いています。
これからも定例会終了後に毎回発行しますので、CDを希望される方は、事務局までお問い合わせください。
2 ~名刺・封筒への点字印刷~
本会では、名刺・封筒に点字の印刷を行っています。
点字を印刷した名刺は、点字の丸いふくらみを通して、渡された方に温かな気持ちが伝わります。
点字の封筒は、触っただけで「〇〇からの封筒」であることを視覚に障がいのある方に伝えることができます。
新たに作られる名刺・封筒に、点字を印刷してみませんか。
詳しくは、事務局までお問い合わせください。
◆県視覚障がい者協力会 電話番号 024(533)4085(FAX兼用)
生活支援センターだより
当センターでは、専門の講師による「教室」や「講座」の他に、皆さんが自主的に行っているサークルがあります。サークル活動への参加は随時受け付けていますので、参加してみませんか?
ICT交流サロン
当センターを訪れる視覚障がい者の中には、iPhoneやiPadを上手に使っている人が多くいます。しかし、いざ使用するとなると、なかなかハードルが高い機器でもあります。
晴眼者向けのiPhone教室もありますが、視覚障がい者に適切に教えてくれる教室は皆無です。
福島県点字図書館や福島県視覚障がい者福祉協会でも、視覚障がい者向けのiPhone教室、iPad教室を開催していますが、回数に限りがあります。
そこで、福島市にお住いの数名の女性が中心になり、支援センターの和室を使用して「ICT交流サロン」を行っています。月に2回程度、木曜日の午後に皆で集まってワイワイ・ガヤガヤ、iPhoneやiPadを持ち寄り学んでいます。初心者には初心者向けに、中級者にはそれぞれが普段使用しているアプリや便利な使用法などを披露しています。いつでも気軽な雰囲気で学べます。
興味があれば、ぜひ、お問い合せください。
◆県視覚障がい者生活支援センター 電話番号 024(535)5275
福祉協会だより
「音の出る信号機」が稼働
今年度もラジオ福島の「通りゃんせ基金キャンペーン」からのご支援をいただき、「音の出る信号機と音声案内装置」が本協会でお願いした2カ所に、新たに設置されることが決まりました。
「音の出る信号機」が新たに設置された場所は、福島市笹谷中谷地交差点です。
この交差点は、飯坂街道と農免道路が交差する場所で、飯坂街道と平行して福島交通飯坂線の線路があり複雑な交差点です。11月21日に県庁で寄贈式が行われ、本協会の阿曽会長が出席し謝辞を述べました。
早速、この交差点を通勤に使用している視覚障がい者の男性から、「音の出る信号機」が設置され、安心して道路を横断できるとの声が寄せられました。
また、「音声案内装置」が新たに設置される場所は、田村市のJR磐越東線船引駅前です。
また、来年度の設置に向けて、「音の出る信号機」や「音声案内装置」の設置希望場所を募集しています。多くの皆さまのご要望をお聞かせください。お待ちしています。
◆県視覚障がい者福祉協会 電話番号 024(535)5275