点字広報ふくしま第314号
<県政の窓>知っていますか 「おうち」を必要とする子どもたちと、里親制度のこと
家庭の事情で保護者から離れ、乳児院や児童守る施設などで生活している子どもが、県内には約400名います。そのような子どもを、より家庭的な環境で生活できるようにするため「里親制度」があります。里親とは、子どもを家庭に迎え入れ、愛情を持って育ててくれる方のことです。現在、県内では129名が、里親の家庭(※ファミリーホームを含む)で暮らしています。(令和5年10月1日現在)
※ファミリーホームとは、里親と元施設職員などの養育者が、子どもを家庭に迎え入れて一緒に生活するおうちです。
どうして「里親制度」が必要なの?
子どもが心身ともに健康に成長するにあたって、信頼できる特定の大人との間で愛着関係を築くことは大切です。より家庭に近い環境での養育は、大人との信頼関係を深め、子どもが安心して過ごせる環境につながります。また、家庭的な環境を体験することで、将来大人になった時に自分が築いていく家庭のイメージを持てるようになります。
「養子」とは何が違うの?
法律上も自分の子どもとして迎え入れる養子とは違い、里親は一定の期間子どもを養育する制度です。期間は子どもが自分の家庭で暮らせるようになるまでの間だったり、子どもが成人して自立するまでの間だったりとさまざまです。長期間であっても短期間であっても、温かい家庭で生活できることは子どもにとって非常に重要です。
里親の種類
法律上も自分の子どもとして迎え入れる養子とは違い、里親は一定の期間子どもを養育する制度です。期間は子どもが自分の家庭で暮らせるようになるまでの間だったり、子どもが成人して自立するまでの間だったりとさまざまです。長期間であっても短期間であっても、温かい家庭で生活できることは子どもにとって非常に重要です。
・養子縁組里親
養子縁組を結ぶことを前提に、養子縁組が成立するまでの間、子どもを養育する里親です。
・親族里親
実親が死亡、行方不明などにより養育できない場合に、祖父母などの親族が子どもを養育する里親です。
・養育里親
子どもを一定期間、家庭へ迎え入れて養育する里親です。
毎日一緒に暮らすだけではなく、普段は他の里親に委託されている子どもを短期間養育したり、児童守る施設で生活している子どもを週末や長期休みなどの決まった期間養育したりすることもあります。
・専門里親
養育里親のうち、虐待や非行、障がいなどの理由により専門的な援助を必要とする子どもを養育する里親です。
インタビュー
人生が豊かになった里親制度
里父:安田 弘(やすた ひろし)さん、里母:安田 恵美子(やすた えみこ)さん
現在も里親として子どもを引き受けている安田さんご夫婦にお話を伺いました。
○里親になったきっかけを教えていただけないでしょうか?
子どもができなくて悩んでいる時期に、テレビで里親制度のことを知って、興味を持つようになりました。娘が生まれた後も、里親登録までは踏み切れずにいましたが、里親が足りないということをポスターで知って、登録してみようとなりました。
○里親になってみて
10年以上前に初めて子どもを受け入れましたが、家族みんなで大喜びでした。娘も中学生という多感な時期ではありましたが、弟や妹のように進んで面倒をよく見てくれていました。苦労することもありましたが、一緒に生活することで、人生が豊かになり、毎日がより楽しくなりました。
20人近くの子どもを受け入れてきましたが、受け入れ期間はさまざまで、短い期間だと3日間、最長で8年間ほどでした。社会で育てないといけない子どもが目の前にいる時に、里親として協力し、少しでも子どもの力になれたらと思います。
○里親を支えてくれる制度としてどのようなものがありますか?
各地域の児童相談所で、定期的に「里親サロン」というものが開催されています。里親同士が交流し、子どもとの生活についてお互いに悩みを共有しながら話し合うことで、不安や悩みを解消しています。
また、里親に興味がある方を対象に、「里親入門講座」を開催しています。10月に開催された講座には、講師として参加させていただき、少しでも皆さんの後押しになるよう、自分の体験などをお伝えしました。
○みなさんへメッセージをお願いします。
実子がいる方でも、里親になることはできます。子どもの受け入れにあたっては、国から生活費など金銭的な支援も出るので安心です。悩みごとがある場合は児童相談所がいつでも相談に乗ってくれます。
子どもは社会の宝です。社会全体で子どもや子育てを支えていくことがとても重要です。里親に少しでも興味がある方、温かい家庭環境で子どもを育ててあげたいと思う方は、ぜひ私たちと一緒に里親になってみませんか。
里親登録までの流れ
(1)児童相談所へ相談
制度について詳しく聞きたい方、登録したい方の相談を受け付けています。→登録を希望
(2)家庭訪問(家庭環境等調査)
児童相談所の職員が希望者のおうちを実際に訪問し、普段の生活の様子などについて伺います。(3)研修受講
里親として活動するにあたって必要となる基礎的な知識・技術について学びます。
(4)専門機関で認定について判断
(5)登録
登録後の流れ
(1)マッチング
(2)交流
面会や外出、宿泊など、子どもと一緒に過ごします。
(3)委託開始
子どもの状況と里親家庭の状況を考慮した上で、児童相談所が委託を決定します。
里親制度に関するQ&A
Q 子どもの生活費はどうなりますか?
A 生活費、医療費、教育費などの必要な費用は、毎月支払われます。
Q 実子がいても子どもを預かることができますか?
A 可能です。実子と十分に話し合い、家族のメンバーとして受託に前向きであることが大切です。
Q 共働き、独身でも登録は可能ですか?
A 可能です。子どもの養育に対応できる家庭状況であることが求められます。
Q 登録までに費用はかかりますか?
A 里親登録申請手続きや研修の受講に費用はかかりません。
(研修を受講する場合の交通費などはご負担いただきます。)
◆問い合わせ先
里親制度について知りたい方、里親になることを希望される方は、下記までお問い合わせください。
・県北エリアにお住まいの方 中央児童相談所 電話番号 024(534)5101
・県中・県南エリアにお住まいの方 県中児童相談所 電話番号 024(935)0611
・会津・南会津エリアにお住まいの方 会津児童相談所 電話番号 0242(23)1400
・いわき市・相双エリアにお住まいの方 浜児童相談所 電話番号 0246(28)3346
情報ボックス
新型コロナウイルスワクチン令和5年秋接種の期間について
令和5年9月20日より、生後6か月以上の全ての方を対象に、新型コロナワクチン接種を実施しています。
接種期間は、令和6年3月31日までとなります。この期間中は、無料で受けることができますので、まだ接種を終えていない重症化リスクの高い方をはじめ、対象者の方は接種をご検討ください。(ワクチンを受けるには本人または保護者の同意が必要です)
■対象者:生後6か月以上で、ワクチン接種を希望する全ての方
■費用:無料(令和6年3月31日まで)
■使用ワクチン:オミクロン株Xbb.1月5日対応1価ワクチン
■担当課:新型コロナウイルス感染症対策事務局
◆問い合わせ先
新型コロナワクチン接種に関するお問い合わせは、お住まいの市町村へお願いします。
感震ブレーカーを設置しよう
東日本大震災の揺れによる火災原因のうち約半分が電気関係の出火でした。
「感震ブレーカー」は地震発生時に設定震度以上の揺れを感知すると、自動でブレーカーを切ります。ご自宅のブレーカーに後付け出来るものもありますので、お近くのホームセンターや電気店にご相談ください。「感震ブレーカー」を設置し、地震火災に備えましょう。
◆問い合わせ先 県庁災害対策課 電話番号 024(521)7194
【障がい者差別解消相談専用ダイヤル】のお知らせ
障害者差別解消法が改正され、令和6年4月から事業者による合理的配慮の提供が義務化されます。福島県では、『障がいのある人もない人も共に暮らしやすい福島県づくり条例』に基づき、相談窓口として【障がい者差別解消相談専用ダイヤル】を設置しています。
代筆を断られたなど、障がいを理由とする差別にお困りの方は、遠慮なくご相談ください。差別解消推進員がお話を伺い、解決に向けて一緒に考えます。
ご本人だけでなく、ご家族や支援者の方からの相談もお受けします。
また、お電話の他に、メールやFaxでも対応しています。
◆問い合わせ先 県庁障がい福祉課 障がい者差別解消相談専用ダイヤル 電話番号 024(521)8740
月曜日から金曜日 8時30分から17時15分 ※祝祭日・年末年始(12月29日から1月3日)を除く
FAX 024(521)7929
メール:shougaifukushi@pref.fukushima.lg.jp
第17回声楽アンサンブルコンテスト全国大会
名から16名までの少人数編成の合唱団が「合唱王国ふくしま」に集結し、日本一を目指して美しいハーモニーを響かせます。全国トップレベルの美しい歌声をぜひお楽しみください。
■日時
3月21日(木曜日)中学校部門
3月22日(金曜日)高等学校部門
3月23日(土曜日)小学校・ジュニア部門、一般部門
3月24日(日曜日)各部門金賞受賞団体による本選
◎全日/9時30分開場、10時00分開演
■場所 ふくしん夢の音楽堂(福島市音楽堂)で開催、オンライン配信も実施
■申込方法 入場券・オンライン配信チケットについては、大会ホームページを御確認ください。
◆問い合わせ先 県庁文化振興課課 電話番号 024(521)7154
点字図書館だより
1 サピエ図書館停止について
点字広報ふくしま11月号でもお知らせしましたが、「サピエ図書館」を運営している全国視覚障害者情報提供施設協会より、機器やプログラム入れ替えのため「サピエサービス全面停止」の通知がありました。
●停止期間
令和6年3月4日(月曜日)午前3時から3月27日(水曜日)午前10時までの3週間
この期間は、図書の検索やコンテンツのダウンロード、オンラインリクエストも全て停止となります。
貸し出し業務については、当館が所蔵している図書の中からの貸し出しのみとなるため、大変ご不便をおかけいたします。ご理解のほど、よろしくお願いいたします。
2 テキストデイジー図書とマルチメディアデイジー図書について
デイジー図書の種類には、皆さんにお届けしているおなじみの音声デイジー図書のほかに、テキストデイジー図書、マルチメディアデイジー図書があります。
テキストデイジーは、見出しと本文のテキスト(文字情報)で構成されるデイジー図書です。音声データは入っていませんが、音声デイジー図書と同じく見出しやページ単位で読みたい箇所に移動できるナビゲーション機能があります。また、デイジー再生機などの音声合成機能でテキストを読みあげさせて聴くこともできます。合成音声で読み上げる際に漢字などを読み誤ることがあるという欠点はありますが、点字図書やデイジー図書より製作スピードが速いので、新作を早く手に取りたい方におすすめです。
マルチメディアデイジー図書は、本文のテキストに音声を同期して再生するので、どこを読んでいるのか分かりやすく、音声を聴きながらハイライトされたテキストを読み、画像や絵や写真などを同じ画面上で見ることができます。視覚障がい者だけでなく、学習障がいや上肢障がいなど、さまざまな理由で印刷された出版物を読むことが困難な人々にとって利用しやすい電子書籍です。
上記の図書は、プレクストークPtr2(販売終了)・Ptr3、再生ソフトをインストールしたWindowsパソコン、再生アプリをインストールしたタブレット端末やスマートフォンでの再生が可能です。また、自分が読みやすいように、文字の大きさと背景・音声のスピードを個人で調整することができます。
3 貸し出し期間について
当館の貸し出し期間は、郵送期間を除き自宅に届いてから15日以内です。新作や人気のある作家の作品は、次に予約が入っていることが多くあります。返却が遅れてしまう場合には、貸し出し担当までお電話をいただきますようお願いします。連絡なく延滞を繰り返している方には、ご利用を停止することもありますのでご注意ください。
◆県点字図書館 電話番号 024(531)4950
みんなの広場
趣味の仲間のお話(鉄道編)
利用者 野地 美行
私には、いくつかの趣味があります。鉄道、舞台鑑賞、コーヒーなどなど。その中から、今回は鉄道ファンの仲間の話をしたいと思います。
私には、老若男女、さまざまな鉄道ファンの友人がいます。仲間が増え始めたきっかけは、とあるヘアサロンに通い出したことでした。
そこは、鉄道ムードのお店をうたっているだけあり、店内には所狭しと鉄道グッズが並び、店主も筋金入りの鉄ちゃんなのです。
その店主と知り合ったことで、同じ店に通う仲間の輪がどんどん広がり、今や、毎回そのヘアサロンへ連れ立って散髪へ行く人もいるほどです。
また、私が現在住んでいる高円寺のアパートは、その店主のご親戚が営んでいる不動産屋で紹介してもらった物ですし、私が通っている歯医者さんも、同じ仲間と旅行に行った際、偶然知り合った人なのです。
先日は、その店主が企画した旅行に参加し、偶然知り合った参加者同士でグループラインもできました。なんと、私以外は、中学生と小学生の鉄オタくん達。年末には、そのグループで日帰りで乗り鉄しようという計画も、少しずつ動き出しています。さて、どんな珍道中になるでしょう。
こんな風に、同じことに夢中になれる、かけがえのない仲間達。これからも、この繋がりを大切に、また仲間の輪が広がっていってくれたらいいなと思っています。
協力会だより
「県議会ふくしま声のたより」第74号発行
福島県議会では、定例会終了後に定例会での主な質疑、可決された主な議案、議会の動き、委員会の活動状況などをまとめた新聞広報「県議会ふくしま」を福島民報と福島民友に掲載しています。
本会では、県議会事務局からの委託により、新聞広報と同じ内容で「県議会ふくしま声のたより」のCDを製作しています。
平成17年6月定例会を創刊号とし、今回で74号(9月定例会分)となりました。このCDは、目の不自由な方や福祉事務所などの関係機関に無料でお届けしました。
また、CDの製作に当たっては、「福島県点友会」の皆さま方にご協力を頂いています。これからも定例会終了後に毎回発行しますので、CDを希望される方は、事務局までお問い合わせください。
日常生活用品(用具)の相談・あっせん
本会では、視覚障がい者の日常生活自立支援のため、日常生活用品(用具)の入手などについての相談・あっせんを常時行っています。必要な用品(用具)がありましたら、事務局までご相談ください。視覚に障がいのない方でも使える、便利商品などがたくさんそろっています。
なお、本年度価格改定により多くの商品が値上がりしていますので申し添えます。
用品(用具)の一例
・点字機器類:標準点字盤、点字タイプライターなど
・便利商品:つめやすり、軽量特大折りたたみ傘など
・日用品:裁縫道具、財布、小銭入れなど
・その他:ロービジョン用品や時計、おもちゃ、ゲームなど
◆県視覚障がい者協力会 電話番号 024(533)4085(FAX兼用)
生活支援センターだより
11月1日から3日まで、東京都墨田区の「すみだ産業会館」で4年ぶりに開催された「サイトワールド 2023」に行ってきました。数多くの展示物の中で、「キザキケイン」から出品されていた白杖が目に止まりました。
この白杖は、T字白杖(いわゆる支持白杖)です。支持白杖とは、身体の側面で白杖を保持し、体重を支えて歩行するための白杖です。従来の支持白杖と異なる点は「自立式」という点です。自立式とは、白杖の石突き部分が広がっており、4点で支えるものです。介護の世界ではよく目にする杖ですが、白杖としては今まで販売されていませんでしたので、早速、支援センターの展示品として、購入してみました。
令和6年度の「見えづらさの相談会」に持ってくるして、皆さんに体験していただこうと考えています。また、支援センターにも常時展示してありますので、興味のある方はお声がけください。
ちなみに、現在の価格は本体価格で折りたたみタイプが6,000円、伸縮タイプが5,000円です。価格は変動する可能性がありますので、支援センターまでお問い合わせください。
◆県視覚障がい者生活支援センター 電話番号 024(535)5275
福祉協会だより
「音の出る信号機」の贈呈式に参加
今年度もラジオ福島の「通りゃんせ基金キャンペーン」からのご支援をいただき、「音の出る信号機」と「音声案内装置」が本協会でお願いした2カ所に、設置されることが決まりました。
「音の出る信号機」が新たに設置される場所は、会津若松市内の「会津武家屋敷前交差点」です。
去る10月16日に県庁副知事室で寄贈式が行われ、株式会社ラジオ福島の花見社長様から、福島県の佐藤副知事に目録が贈呈されました。本協会からは阿曽会長が出席し謝辞を述べました。
信号機の稼働時期については現在のところ未定であり、正式に決まり次第、点字図書館からのメールなどで皆さまにお知らせしたいと思います。
また、「音声案内装置」は会津若松駅前に設置されます。この場所は、以前に設置されていた機器が経年劣化し稼動しなくなったため、機器の入れ替えを行うことになりました。
また、来年度の設置に向けて、「音の出る信号機」や「音声案内装置」の設置希望場所を募集しています。多くの皆さまのご要望をお聞かせください。お待ちしています。
◆県視覚障がい者福祉協会 電話番号 024(535)5275