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令和4年度 県民提案・回答 道路、河川など土木に関すること

印刷用ページを表示する 掲載日:2023年1月26日更新

令和4年度 県民提案・回答 道路・河川など土木に関すること  


令和5年12月29日 性能発注方式について

性能発注方式について

(提案)

 福島県は、仕様発注方式(工事仕様書で施工を発注する方式)で工事を実施しています。「設計・施工の分離の原則」が、福島県にも浸透しているからです。その結果、性能発注方式(要求水準書で設計と施工を一括発注する方式)の活用が忌避されています。
 仕様発注方式は、昭和34年の建設事務次官通達「土木事業に係わる設計業務等を委託する場合の契約方式等について」の中で打ち出された「設計・施工の分離の原則」が端緒となって、法令上の根拠規定を欠いたまま全国に浸透し今日に至っているものです。
 問題は、今日では官民の技術力が逆転していることです。戦前の土木・建築の公共工事は官庁直営方式だったので、昭和30年代は、民間に比べて官庁の技術力が圧倒的に上でした。仕様発注方式は、このような時代に適合して生まれたのです。しかし、平成に移る頃に官民の技術力は逆転し、今日では民間が最先端の技術力を有しています。
 このため、仕様発注方式は、今日ではあたかも、技術力に劣る者が優る者に対して指図するような状況です。このことが、近年多発する「施工結果の責任問題」に直結しています。
 仕様発注方式では、工事仕様書に従った施工で生じた不具合の責任は、工事仕様書を示した発注者が負うことになるのです。
 2021年9月28日付の日経クロステック記事「調節池整備に伴う地盤沈下で大阪府に賠償命令、施工者は免責」によれば、大阪府が東大阪市に整備した宝町調節池の竣工から4年後に、調節池に隣接する民間工場の経営者から、整備工事で工場地盤が不同沈下して被害を受けたとして、損害賠償訴訟が提起されました。大阪地裁は判決で、設計段階での不同沈下対策の不備が原因として、大阪府の過失責任を認めて賠償を命じています。他方、施工業者の過失責任は否定しています。宝町調整池整備事業は、仕様発注方式でした。このため、工事仕様書を示した大阪府が責任を負うことになったのです。
 この問題は、性能発注方式で解決できます。性能発注方式では、要求要件を示す要求水準書を用います。そこで、宝町調整池整備事業を例とすれば、「現場での工事は、第三者及び既存施設に害を及ぼさないように実施すること」を要求要件の一つとすることにより、受注業者の責任で設計と施工を通じた工場地盤の不同沈下対策ができるのです。
                                                                                                 (令和4年12月29日 県外)

(回答)

 性能発注方式について、お答えいたします。
福島県が発注する公共土木工事では、ご指摘のとおり、国の規定に準じて「仕様発注方式(工事仕様書で施工を発注する方式)」を採用しております。これは、目的物の設計を行い、工事の仕様を定めることで、必要な予算の算出ができるため、事業評価など公共事業を進めるための必要な手続きや事業期間の設定、年度毎の事業費算出が可能となるためです。また、目的物の成果の良否等を工事の段階毎に確認することができます。
ただし、性能発注方式には、完成までの工程短縮や事業費の削減等のメリットもあることから、国等で採用した設計施工一括発注方式の事例など、先進的な取組事例の情報収集に取り組んでおります。

                                                                                                                                                                                                                                                      (令和5年1月26日 土木部技術管理課 電話024-521-7458)

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