福島県男女平等を実現し男女が個人として尊重される 社会を形成するための男女共同参画の推進に関する条例 を施行しました。
【データ・資料集】 福島県の男女共同参画の推進に関する条例です
福島県男女平等を実現し男女が個人として尊重される社会を形成するための男女共同参画の推進に関する条例(平成14年3月26日公布 福島県条例 第 17 号)
日本国憲法に個人の尊重と法の下の平等がうたわれ、様々な形で男女平等の実現に向けた取組が行われてきている。しかしながら、社会的、文化的につくられた性差、いわゆるジェンダーに起因する固定的な役割分担意識に基づく社会慣行、あるいは暴力的行為やセクシュアル・ハラスメントなどの女性に対する人権侵害が依然として存在し、人権の世紀といわれる21世紀においてなお取り組むべき多くの課題が残されている。
一方、少子高齢化の進展、社会の成熟化、国際競争の激化などの我が国を取り巻く社会経済情勢の急激な変化に対応するためにも、男女の別 なく持てる力を十分に発揮することができる社会の形成が求められている。
このような中、本県においては、地域コミュニティー機能が比較的保たれている反面 、 ジェンダーに起因する固定的な役割分担意識が根強いため、結果として男女の実質的な平等の実現が阻害され、また、女性に占める働く女性の割合が比較的高いにもかかわらず、様々な分野における方針等の立案から決定までの過程への女性の参画も進んでいない状況にある。
こうした現状を深く認識し、豊かで活力ある福島県を築いていくため、すべての県民が男女の別 なく一人ひとりの個人として尊重され、それぞれが持つ自己の個性や能力を自らの意思に基づいて発揮することができ、職場、学校、地域、家庭その他のあらゆる分野に共に参画し、共に責任を担うこと、すなわち、男女共同参画の推進に県民の総意として取り組んでいくことを決意し、この条例を制定する。
第1章 総 則
(目的)
第1条 この条例は、男女共同参画の推進に関し、基本理念を定め、県、県民及び事業者の責務を明らかにするとともに、男女共同参画の推進に関する施策の基本となる事項について定めることにより、男女の実質的な平等を実現し、もって男女一人ひとりが個人として尊重される社会の形成に寄与することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 男女共同参画 男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参
画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、か
つ、共に責任を担うことをいう。
二 積極的改善措置 前号に規定する活動に参画する機会に係る男女間の格差を改善するため必要な範囲内におい
て、男女のいずれか一方に対し、当該活動に参画する機会を積極的に提供することをいう。
(基本理念)
第3条 男女共同参画の推進は、男女の個人としての尊厳が重んぜられること、男女が直接的であるか間接的であるかを問わず性別 による差別的取扱いを受けないこと、男女が個人として能力を発揮する機会が確保されることその他の男女の人権が尊重されることを旨として、行われなければならない。
2 男女共同参画の推進は、性別による固定的な役割分担意識に基づく社会における制度又は慣行が、男女の社会
における活動の自由な選択に対して影響を及ぼすことのないよう配慮して行われなければならない。
3 男女共同参画の推進は、県における政策又は民間の団体における方針の立案から決定までの過程に、男女が共
同して参画する機会が確保されることを旨として、行われなければならない。
4 男女共同参画の推進は、家族を構成する男女が、相互の協力と社会の支援の下に、子育て、家族の介護その他
の家庭における活動及び職場、学校、地域等における活動に共に参画することができるようにすることを旨として、
行われなければならない。
5 男女共同参画の推進は、生涯にわたる妊娠、出産その他の生殖に関する事項に関し、男女が互いの意思を尊重
すること及び互いに健康な生活を営むことについて配慮することを旨として、行われなければならない。
6 男女共同参画の推進は、国際社会における取組と密接な関係を有することを考慮し、国際的協調の下に行われな
ければならない。
(県の責務)
第4条 県は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、男女共同参画の推進に関する施策(積極的改善措置を含む。以下同じ。)を総合的に策定し、及び実施するものとする。
2 県は、男女共同参画の推進に当たり、県民、事業者及び市町村と連携して取り組むものとする。
3 県は、県民、事業者及び市町村に対して男女共同参画の推進に関する情報の提供その他の必要な支援を行うも
のとする。
4 県は、第1項に規定する施策を総合的に企画し、調整し、及び推進するために必要な体制を整備し、並びに財政上
の措置その他必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(県民の責務)
第5条 県民は、基本理念にのっとり、職場、学校、地域、家庭その他の社会のあらゆる分野において、自ら男女共同参画の推進に努めなければならない。
2 県民は、性別による固定的な役割分担意識に基づく制度又は慣行の改善に努めなければならない。
3 県民は、県が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。
(事業者の責務)
第6条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、積極的に男女共同参画の推進に努めなければならない。
2 事業者は、男女が共に職場における活動と家庭等における活動を両立することができるよう職場環境の整備に努
めなければならない。
3 事業者は、県が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。
(性別による人権侵害の禁止)
第7条 何人も、職場、学校、地域、家庭その他の社会のいかなる場所においても、直接的であるか間接的であるかを問わず、性別 による差別的取扱いをしてはならない。
2 何人も、職場、学校、地域、家庭その他の社会のいかなる場所においても、男女間における暴力的行為(精神的な
苦痛を著しく与える行為を含む。以下同じ。)を行ってはならない。
3 何人も、職場、学校、地域、家庭その他の社会のいかなる場所においても、セクシュアル・ハラスメント(性的な言動
に対する相手方の対応によりその者に不利益を与えること又は性的な言動により相手方の生活環境を害すること
をいう。)を行ってはならない。
(公衆に表示する情報に関する留意)
第8条 何人も、公衆に表示する情報において、性別による固定的な役割分担意識又は男女間における暴力的行為を助 長させる表現を使用しないよう努めなければならない。
第2章 男女共同参画の推進に関する基本的施策
(基本計画)
第9条 知事は、男女共同参画の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、男女共同参画の推進に関する基本的な計画(以下「基本計画」という。)を定めなければならない。
2 基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
一 総合的かつ長期的に講ずべき男女共同参画の推進に関する施策の大綱
二 前号に掲げるもののほか、男女共同参画の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
3 知事は、基本計画を定めようとするときは、県民の意見を反映することができるよう適切な措置を講ずるとともに、
福島県男女共同参画審議会の意見を聴かなければならない。
4 知事は、基本計画を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
5 前2項の規定は、基本計画の変更について準用する。
(施策の策定等に当たっての配慮)
第10条 県は、男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、及び実施するに当たっては、男女共同参画の推進に配慮するものとする。
(県民及び事業者の理解の促進)
第11条 県は、男女共同参画に関する県民及び事業者の理解の促進を図るため、学校教育その他のあらゆる教育の分野において男女共同参画を推進するための施策を実施するとともに、広報活動その他必要な措置を講ずるものとする。
(調査研究)
第12条 県は、男女共同参画の推進に影響を及ぼす社会における制度及び慣行並びに男女共同参画の推進に関する施策の策定に必要な事項について、調査研究を行うものとする。
(積極的改善措置への支援)
第13条 県は、あらゆる分野における活動において、男女間に参画の機会の格差が生じている場合、県民及び事業者と協力して積極的改善措置が講ぜられるよう努めるとともに、情報の提供その他必要な支援を行うものとする。
(政策等の立案から決定までの過程における共同参画の促進)
第14条 県は、県の政策の立案から決定までの過程に男女が共同して参画する機会を確保するよう努めるものとする。
2 県は、市町村及び民間の団体における政策又は方針の立案から決定までの過程に男女が共同して参画する機会
を確保することを促進するため、当該市町村及び民間の団体に対して情報の提供その他必要な支援を行うものと
する。
(女性の人材育成)
第15条 県は、女性の人材育成のための教育及び研修の機会の充実に努めるものとする。
(家庭生活と職業生活の両立への支援)
第16条 県は、男女が共に家庭生活と職業生活を両立することができるよう県民及び事業者に対して必要な支援を行うものとする。
(自営業に従事する女性に対する支援)
第17条 県は、家族経営による自営業に従事する女性が主体的にその能力を発揮し、その対等な構成員として方針の立案から決定までの過程に参画する機会が確保されるよう情報の提供その他必要な支援を行うものとする。
(性別による人権侵害の防止等)
第18条 県は、第7条に規定する行為の防止に努めるとともに、県民が性別 による差別的取扱いその他の男女共同参画の推進を阻害する要因により人権を侵害された場合は、その相談を受け付け、必要に応じ、一時保護その他の支援を行うものとする。
(報告の徴収等)
第19条 知事は、男女共同参画を推進するために必要があると認めるときは、事業者に対して男女共同参画の状況その他必要な事項について報告を求めることができる。
2 知事は、事業者における男女共同参画の推進に関する取組を普及させるため、事業者を表彰する等その取組を促進するための施策を講ずるものとする。
(実施状況の公表)
第20条 知事は、毎年、男女共同参画の推進の状況及び男女共同参画の推進に関する施策の実施状況を公表するものとする。
第3章 福島県男女共同参画審議会
(設置及び権限)
第21条 知事の附属機関として、福島県男女共同参画審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、この条例の規定により定められた事項を審議するほか、知事の諮問に応じ、男女共同参画の推進に関
する事項を調査審議する。
3 審議会は、男女共同参画の推進に関する事項について調査し、知事に意見を述べることができる。
(組織)
第22条 審議会は、委員20人以内で組織する。この場合において、男女のいずれか一方の委員の数は、委員の総数の10分の4未満であってはならない。
2 委員は、学識経験を有する者その他知事が適当と認める者のうちから、知事が任命する。この場合において、知事
が適当と認める者のうち5名以内を公募するものとする。
3 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
4 委員は、再任されることができる。
(規則への委任)
第23条 この章に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。
第4章 男女共同参画の推進に関する施策等に対する県民等からの申出の処理
(施策に関する申出等)
第24条 県民及び事業者は、県が実施する男女共同参画の推進に関する施策又は男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められる施策について意見があるときは、当該意見を知事に申し出ることができる。
2 知事は、前項の規定による申出を適切に処理するため、男女共同参画推進員を置く。
3 男女共同参画推進員は、次に掲げる事務を行う。
一 第1項の規定による申出を受け付け、当該申出に関する必要な調査等を行うことにより、当該申出を適切に処理
すること。
二 第1項の規定による申出に係る施策について、必要に応じ、関係する県の機関に対して意見を述べること。
(規則への委任)
第25条 この章に定めるもののほか、男女共同参画の推進に関する施策等に対する県民等からの申出の処理に関し必要な事項は、規則で定める。
附 則
この条例は、平成14年4月1日から施行する。ただし、第4章の規定は、同年7月 1日から施行する。