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犯罪被害者等の置かれている状況

印刷用ページを表示する 掲載日:2024年10月9日更新

犯罪被害者やご家族・ご遺族などが抱える様々な問題

犯罪被害者やそのご家族・ご遺族は、生命を奪われる(家族を失う)、身体を傷付けられる、金銭などの財産を奪われるといった生命、身体、財産上の直接的な被害を受けるほか、被害直後には、直接的な被害に加え、心にも大きな深い傷を受けます。さらに、被害後には、心身の不調や生活上の問題、周囲の人の言動による傷付き、加害者からの更なる被害、捜査・裁判に伴う様々な負担など、多くの困難に直面します。

被害に遭うとどうなってしまうのかを知り、わかり、自分には何が出来るのか考えてみませんか?

犯罪被害者等支援リーフレット(令和6年度作成)

リーフレット1リーフレット2リーフレット3リーフレット4リーフレット5リーフレット6リーフレット7リーフレット8

犯罪被害者等支援リーフレット(令和6年10月作成) [PDFファイル/2.96MB]

 

犯罪被害者等支援パンフレット(令和5年度作成)

表面パンフレット中面

犯罪被害者等支援パンフレット(令和5年10月作成) [PDFファイル/1001KB]

心身の不調

被害直後

あまりに突然の予期できないことについては、人間は対処できません。体も心も頭も動かないものなのです。その場に立ちすくんでしまうような状況になります。

  • 信じられない、現実として受け止められない
  • 感情や感覚が麻痺してしまうために恐怖や痛みをあまり感じない
  • 頭の中が真っ白になる、何も考えられない、ぼうっとする
  • 周りのことが目に入らない、注意集中できない
  • 自分が自分でないような気持ちがする
  • 現実感がない、夢の中のような感じがする
  • 事件の時のことがよく思い出せない
  • 様々な気持ち(恐怖、怒り、不安、自分を責める気持ち)がわいてくる
  • 自分が弱い、何も対処できないという気持ちが強くなる
  • 気持ちが落ち込んだり、沈み込んだりしてしまう
  • 体の反応がある(どきどきする、冷や汗をかく、手足に力が入らない、手足が冷たい、過呼吸になる)

中長期

被害直後のショックが落ち着いた後も、様々な症状や反応が出てくることがあります。

<精神的な不調の例>

  • 気持ちがひどく動揺し、混乱していると感じる
  • 気持ちや感覚が自分から切り離されたような状態になる
  • 事件に関することが頭の中によみがえってくる
  • 神経が興奮して落ち着かない

<身体的な不調の例> 

  • 眠れない
  • 頭痛やめまい、頭が重い
  • 吐き気、嘔吐、胃がむかむかする、食欲がない、下痢をする、便秘になる
  • 身体がだるい、疲れやすい、微熱がでる
  • お腹や身体のその他の部分が痛い
  • 生理がない、月経周期の異常、月経痛がある

<子どもの場合>

言葉でうまく表現できないために、理解されづらく勘違いされる場合もありますが、概して下記のような様々な行動や反応を示す場合があります。

  • 突然不安になり興奮する
  • なんとなくいつもびくびくする
  • 頭痛、腹痛、吐き気、めまい、息苦しさ、頻尿等を訴える(身体の病気でなくても起きます。)
  • 著しい赤ちゃん返りがある、夜尿・指しゃぶりが始まる
  • 表情の動きが少なく、ぼうっとしている
  • 集中力がなくなる、上手にしゃべれない
  • 家族や友達と関わりたがらない、遊ばなくなる
  • 親への反抗、不登校、非行(性非行を含む)が始まる  など

生活上の問題

仕事上の困難

精神的・身体的被害のために、仕事上で小さなミスが増えたり、仕事の能率が落ちたり、職場の同僚との関係がうまくいかなくなることがあります。また、治療のための通院や捜査・裁判手続のためのやむを得ない欠勤などが続くと、周囲に気兼ねをすることになりがちです。このような状況について職場で理解を得られず、仕事を辞めざるを得ない場合もあります。

不本意な転居など住居の問題

犯罪被害のために、転居をしたり、自宅以外に居住場所が必要になることがあります。

(様々な理由)

  • 自宅が事件現場になり、再被害のおそれが強い(特に犯人が逮捕されていない場合)
  • 近隣のうわさなどによる耐え難い精神的な苦痛がある
  • 同居する家族から暴力等の被害を受け、安全な場所に避難する必要がある
  • 放火により、自宅に居住できなくなる
  • 自宅が事件現場になったため、捜査上の要請などにより一時的に自宅を使用できなくなる 

経済的な困窮(問題)

直接的被害のほか、犯罪被害により生計維持者を失う場合や犯罪被害による受傷・精神的ショックのため生計維持者の就業が困難になる場合など、収入が途絶え、経済的に困窮することがあります。生計維持者が死亡した場合、相続関係が確定しないため、その銀行口座は凍結されることがあり、そうなると遺族は現金を引き出すことができず、当面のお金の工面に困ることになります。

犯罪被害直後には、警察や病院などに急行するためのタクシー代、亡くなった場合の葬祭費などの当面の出費、治療のための医療費などが発生します。さらに、長期療養や介護が必要な場合には、将来にわたって経済的に負担がかかることもあります。

また、裁判所に出向くたびに交通費や、場合によっては宿泊費がかかるほか、訴訟記録の写しを得るための複写代、弁護士を依頼した場合の費用など、予期しない出費が必要となる場合もあります。

たとえ損害賠償請求に係る民事裁判で勝訴しても、加害者に支払い能力が無い場合には、損害賠償金を受け取ることはできず、何の補償も受けることができないおそれがあります。

家族関係の変化

犯罪被害を受けた本人ばかりでなく、家族もショックを受けて、お互いを支えあうという精神的な余裕を失いがちです。また、家族各人のストレスの感じ方、被害についての捉え方や考え方はそれぞれで、感情の表し方や対処方法も異なるため、家族の中でいさかいが生じたり、家族関係に危機をもたらしたりします。場合によっては、家族崩壊に至ることすらあります。

犯罪被害者が子どもで、兄弟姉妹がいる場合には、親が兄弟姉妹に十分な愛情を注ぐ余裕がなくなり、後に兄弟姉妹への影響が出てくる可能性もあります。

周囲の人の言動による傷付き

近隣や友人、知人の言動

犯罪被害者等は社会的に保護されているといった誤解や、被害者支援に関する情報不足などから、周囲の人たちからの支援を受けられず、社会的に孤立してしまい、更に困難な状況に追い込まれてしまうことがあります。

支援を受けられないだけでなく、周囲の人たちから中傷や興味本位の質問をされたり、決して金銭を求めて起こす民事裁判ではないのに「お金が欲しいだけ」などという誤った見方をされたりすることもあります。また、「早く元気になって」といった心情に沿わない安易な励ましや慰めで傷つけられることもあります。

支援者

日々被害者支援に携わっている機関・団体の対応であっても、事件によって疑心暗鬼になっている犯罪被害者等にとっては、必ずしも納得のいく支援を受けたと感じることができるわけではありません。

事務的な対応など犯罪被害者等の心情に配慮しない言動、説明不足や不適切な情報提供などにより、精神的に傷ついてしまい、更に人や社会への不信を募らせることにもなります。

加害者からの更なる被害

多くの犯罪被害者等は、加害者からの報復など危害が加えられるのではないかという不安や恐怖にさいなまれています。「加害者からの謝罪が全くない」、「加害者に反省の態度がみられない」、「裁判の中で、加害者が責任逃れの主張をする」などの事態に接すると、犯罪被害者等の苦痛は更に大きくなります。被害者が亡くなっている場合は特に、「加害者が事実と異なることを主張する」こともあります。

このように、加害者やその家族らの不誠実な言動に苦しめられることもあります。

捜査、裁判に伴う様々な負担

捜査や裁判にあたり、事件について何度も説明せざるを得ないため、その度に事件のことを思い出し、つらい思いをします。

捜査の過程では特に、事件に関する情報が犯罪被害者等に十分に提供されず、当事者である犯罪被害者等が捜査から置き去りにされているという感覚を強く抱くことがあります。

さらに、警察や検察における捜査、裁判の傍聴、証言、陳述などのために、時間的・身体的に負担を強いられるほか、刑事裁判では、慣れない法廷の場に身を置く、加害者の弁護人から、「被害者に問題がある」といった主張がされるなどの精神的負担を強いられることもあります。

損害賠償請求に係る民事裁判において、訴訟費用、労力、時間が必要とされるほか、とりわけ弁護士に依頼をしない場合には、加害者と法廷において直接向き合う可能性もあり、そのような場合には心身ともに更なる負担を与えられるのみならず、訴訟に関する知識不足、一人では証拠が十分に得られないなどの多くの困難に直面することもあります。

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