ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
ホーム > 組織でさがす > 国際課 > 地球探検 コスタリカ共和国 加藤直樹隊員 3

地球探検 コスタリカ共和国 加藤直樹隊員 3

印刷用ページを表示する 掲載日:2014年4月30日更新

地球探検

レポート3

オッラ!コモレバア?(こんにちは、元気にしてますか)
中米コスタリカから野球隊員の活動報告第3弾です!

ということで活動開始からいよいよ今月で9か月目となりました。言葉も何もわからなかった赴任当初の1か月目はとてつもなく長く感じたものですが、今となっては一日が信じられないくらい早く感じます。これもやはり慣れてきたという表れでもあるのでしょう。9か月も経つと語学の方もある程度理解できるようになってきましたが、やはり話す方はまだまだだと感じています。特に自分の場合はこどもを相手に話すことが多いので、怒らなければいけない場面や少し強めに言わなければならない場面では、やはりまだまだすぐに言葉でてきません。ある程度指導者、コーチとしての威厳を保つためにも、話す方もなんとか早く上達させたいものです。

野球の授業
今回もまた首都から約6時間かけて田舎の小学校に野球の授業しに行ってきました。

野球普及の旅
バックパックにグローブ10個とボール15個、バットにバッティングTの野球セットを持って野球普及の旅に出ています。 

韓国人のホイアン
毎日夕方の練習にやってくる韓国人のホイアン。
さすがに同じアジア人、言うことは素直に聞いてくれる…笑  

1 少年野球指導

さて、前回も少しお話しましたように、今年の7月の日本の大会参加を目的に11-12歳カテゴリーの指導が昨年末から本格化してきた…はずでした。というのは結論として今回の日本派遣は中止となったからです。
これはやはり経済的な面での理由が一番大きいですが、コスタリカという国は日本に比べたらまだまだ発展途上の国です。日本への渡航費を払うというのは非常に大きな負担です。
もちろん日本の大会開催者や企業などの支援があればいいのですが、日本の経済もまだまだ余裕があるとは言えない状況だと思いますから、コスタリカ側が自分たちで旅費を集めなければなりません。もちろん各家庭では払いきれない金額になるので、コスタリカの企業や政府への支援を働きかける必要があったのですが、今年はコスタリカにとって大きな出来事が二つありました。 

8年ぶりの優勝
3月初めにあった国内の野球大会。
配属先のチームが8年ぶりに優勝!優勝の瞬間は涙、涙…。 

2 ワールドカップ出場と大統領選挙

一つは8年ぶりのワールドカップ出場。もう一つは4年に一度の大統領選挙です。まずワールドカップ出場に当たって、国内の多くの企業はサッカーのサポートに回ります。なぜならサッカーは、コスタリカで圧倒的に人気のスポーツだからです。また大統領が変わることによって政策等の変更も予想されるので、企業もお金を出すということに慎重になっており、マイナースポーツである野球が支援を受けられる可能性は極めて低い状況でした。そうして、残念ですが、選手たちの保護者との話し合いの結果、今年の日本遠征は中止となったのです。
日本の野球には、各年代、各学校、各クラブチームそれぞれにしっかりとした組織がいくつもあり、たくさんのサポートがあると思います。また、お金を理由に大会に参加できないということはあまりないのではないでしょうか。もちろん、海外遠征ともなると負担は大きくなると思いますが。
このような野球を取り巻く環境を改善していくことや、野球という競技の魅力をもっと大人たちに知ってもらってサポートを増やしていくことも、来年は日本遠征を実現させるための活動の一つとして、これから取り組んでいきたいと考えているところです。 

道具を自主的に拭く子どもたち
道具を自主的に拭く子供たち。すばらしい!

3 日本人として

またその一方で、野球をするということが簡単な状況ではない中で、コスタリカの子供たちが野球をすることができているのは数少ないながらも支えてくれる人たちの存在があるからです。例えばすぐ近くにグラウンドがないため、選手はみな仕事帰りの両親に送り迎えしてもらわなければなりません。子供たちが大会に出られるのは仕事の傍らボランティアで出場の手続きやユニフォームの手配、交通や食事の手配をしてくれる大人がいるからです。自分が日本人として彼らを指導するに当たって、周りへの感謝の気持ちを持つということも伝えていきたいことの一つです。
日本では野球=教育と考えられること多いと思います。しかし、ここコスタリカでは必ずしもそうではありません。野球=競技であって、上手か上手ではないかが重要視されがちだと感じています。ですから、極端に言えば練習に一度も来なくても、上手であれば試合に出られ、誰もそれに文句を言いません。プロであるならまだしも、やはり未成年を指導するに当たって、自分は野球を通して人を育てているんだという自覚も忘れずにいたいと思います。やはりそこが日本の野球のすばらしいところでもあると思うからです。 

首都サンホセの球場
コスタリカの名前の意味は”美しい海岸”です。 
ビーチでキャッチボール!

4 大学と連携、新プロジェクト

そして、今年に入ってもう一つ大きな活動が始まりました。それは体育学科の体育教師を目指す生徒に対して大学教授と協力して野球の講義を行っていることです。
これは野球普及活動の一環ですが、コスタリカで野球が、というよりサッカー以外のスポーツが人気がない要因の一つは学校体育のほとんどサッカーばかりが指導されているからです。指導というよりは、生徒にボールだけを与えて試合させて終わりというのも珍しくはありません。つまり、体育教師の好き嫌いや気分によって指導競技は変わってくるのです。サッカーが人気のためサッカーばかり教える、遊ばせる、子供たちもサッカーが好きだから文句を言わずやる、そういう流れで他のスポーツが扱われる機会はほとんどありません。
日本では体育の授業を通してたくさんの競技を学ぶことができますよね。例えば自分が子供のころはソフトボールや三角ベースボール、ハンドボールなどをやった記憶があります。みなさんも小学校くらいのときにいろんなスポーツを経験して、「自分の好きなスポーツは何か」が決まってきたのではないでしょうか。
小学校体育に野球を導入するというのは野球普及においてとても効果的なことだと思います。また自分ひとりが小学校に行って教えられる生徒の人数は限られていますが、未来の体育教師に指導することでそれは何倍にも広がっていきます。この講義を通して野球の魅力をたっぷり伝えて、未来の体育教師たちに野球を好きになってもらうよう頑張っています。

こんなふうに朝から晩まで毎日野球漬けの日々を送っています。好きなことを仕事にできている今に感謝しながら、まだまだ残りの活動期間、高校球児のようにはつらつと元気いっぱいに頑張っていきたいと思います。

アスタ ラ プロキシマ!!(また次回)

体育学科の生徒向けにプレゼンテーション
大学の体育学科の生徒向けに野球のプレゼンテーション。

野球の授業
野球の授業。まずはキャッチボールから。 

コスタリカ共和国平成25年度1次隊 職種:野球 加藤直樹 サントドミンゴ野球協会