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地球探検 コスタリカ共和国 加藤直樹隊員 6-4

印刷用ページを表示する 掲載日:2015年3月23日更新

地球探検

レポート6-4

セミナー開催に至るまで 3

セミナーの本当の目的、待ち望んでいた言葉

 セミナーは4日間あり、日本を含めて計6カ国から連日60名から70名の参加がありました。どたばた劇で開始されたセミナーだけあって、その後も参加予定者が来ない、マイクがたびたび調子悪くなるなどいろいろイレギュラーなことがおきましたが、それでもセミナーの目玉であるジャイアンツアカデミーの指導書に沿った講習会は大好評で最終日を迎えることができました。

 ここにも書いたように、今回のセミナーの大きな目的はジャイアンツアカデミー指導書のスペイン語版の中南米各国との共有とその指導方法の講習会の開催でした。
 しかし、このセミナーの企画に際し、もう一つ自分の中で考えていたこと、思いがありました。それはコスタリカ野球関係者が一致団結し協力して野球発展に取り組んでいく、そのためのきっかけを作りたい、ということでした。なぜならこれまでの活動を通して、コスタリカでは野球関係者がそれぞればらばらに活動をしており、時には互いを批判し合っているということに気づいたからです。
 例えば地域によって野球をしている子供がいても、地域を越えて交流するというこはあまりありません。これはおそらく、各地域、個人がそれぞれで活動しているだけで、コスタリカ全体の野球関係者が一堂に介して将来の野球発展のために話し合うという機会がないからでしょう。さらに、特に政府の支援の少ない野球というスポーツの発展のためには、学校教育と連携するということがとても重要だと考えていました。
 そのため、企画当初から野球連盟、配属先の野球協会だけでなく、教育省関係者やその他個人で野球を教えている指導者も含め、コスタリカ全体からできるだけ多くの野球関係者に参加してもらいたいと考えていました。

 そしてセミナー最終日、各国ごとに今後の野球発展のためのアクションプランを話し合い、発表してもらうという時間がありました。セミナー開催国であるコスタリカからは、およそ40名ほどの参加者がいました。そこには学校関係者、大学関係者、野球連盟、各地方の野球協会関係者、個人で野球指導している人々、コスタリカ全土から集まった参加者たちが熱く議論を交わしている姿がありました。15分程度で予定していた話し合いの時間を30分に延長し、その後各国がその内容を発表していきました。コスタリカの発表者の言葉を聞いたとき、このとき心からこのセミナーを企画してよかったと思いました。

「今まで自分たちはそれぞれが孤立していて、それぞれがばらばらに機能していた。今後のコスタリカ野球のためにはもっとみんなが協力していかなければならない。特にもっと学校と連携していかなければいけない。」

この言葉によってセミナーのために費やしてきた努力がすべて報われた感じるほど感動しました。

セミナーの成果とこれから

 セミナーが無事終了し、セミナーの反響でその後ちらほらと自分のところに「自分の学校に野球部を作りたい」という連絡が入り始めています。嬉しいのは学校関係者が多いことです。コスタリカでは野球グラウンドも道具も近くにはありません。野球をするには自分の配属先のようなすべてがそろっているところに行く必要がありますが、そこが家から遠いと親に送迎してもらわないといけない、あるいは諦めるしかないということになります。
 しかし、学校で野球ができれば、わざわざ遠いグラウンドがあるところまで行く必要はありません。保護者が送迎する手間が省けるケースも多いでしょう。今後はこうした学校にコーチを派遣したり、あるいは道具を貸し出したりなど、配属先の協会と一緒にどのような協力、支援をしていけるか計画をしていくことになります。
 そして、一時的なことで終わらぬよう翻訳版の指導書とそのノウハウを、子供ではなくより多くの大人に伝えていくことが今後の大きな目標、課題となるでしょう。

中南米JICA野球ボランティアと技術顧問黒田氏
中南米JICA野球ボランティアと技術顧問黒田氏(セミナー3日目)

コスタリカと日本の国旗
コスタリカと日本の国旗(セミナー3日目)

倉俣氏から修了証書を受け取る加藤JV
倉俣氏から修了証書を受け取る加藤JV(セミナー4日目)

コスタリカ共和国平成25年度1次隊 職種:野球 加藤直樹 サントドミンゴ野球協会