地球探検
レポート7-2
巡礼―ロメリア― さて、ここからは活動とは異なりますが、コスタリカの宗教や文化について少しご紹介します。 コスタリカは国民の多くはキリスト教のカトリック教徒ですが、そのカトリック教徒たちにとって一年の中でも特に大事な日があります。 8月2日になると、およそコスタリカの国民の半分にも上る200万人が、ある教会に集まると言われています。その教会には、キリスト教の創始者であるイエス・キリストの母親のマリアの像が祀ってあり、その像がこれまでたくさんの奇跡を人々にもたらしてきたと信じられてきました。その像が発見されたと考えられているこの日に、多くの人々が歩いて教会まで向かい、家族や愛する人の健康を祈ったり、また幸せであることを神様に感謝します。これを宗教の言葉でいうと巡礼(スペイン語ではロメリア)と言います。遠いところになると一週間やそれ以上もかけて教会を目指す人もいますが、車やバスを使わずに歩くことには、その長い道のりを通じて苦しい思いをしている人々の心情を感じ、体感するという意味が込められています。 今年は、その巡礼に自分も参加しました。多くの人は前日の8月1日の夜に着くように計画して歩き始め、そして8月2日の朝にあるミサ(お祈りの儀式のようなもの)に参加します。自分は前日1日の午後4時くらいから、ちょうど目的の教会から20kmほど離れた場所から歩き始め、夜10時30分に到着しました。 興味深いのは、ただ暗い道をもくもく歩くのだろうと思っていた予想とは裏腹に、教会まで通じるメインの通り沿いには、食べ物や飲み物の屋台がずらりと並び、所々にはミニコンサートのようにステージで歌っている人、さらには無料のマッサージサービスなどもありました。 どこまでも続く道と途切れらない人の波。初めての巡礼はなんだか小さい頃の遠足のようなそんな楽しい道のりでした。 |
なんとピザがタダ! | 無料のマッサージサービス | 協会の中もすごい人! |
家族が一番 最後にですが、冒頭でも触れたようにコスタリカでは、日本よりも時間がゆっくりと流れていると感じることが多々あります。良く言えば人々は明るくて小さいことにこだわらず、日本人に比べるとストレスも少なく暮らしているように見えますが、日本人からすれば仕事や学校に平気で遅刻したり、期限を守らなかったりという姿は、少しいい加減に映るかもしれませんね。自分も野球の指導や学校での授業を通して、そのような生徒や保護者の姿を目にすることは多々あります。 しかし、ふと考えてみると、その背景には文化の違いも関係しているのかもしれません。練習を休んだりする子どもや親の理由は、ほとんど家族のイベントです。誕生日、家族旅行、テスト明けのお祝いなど等、日本では、誕生日でも部活動の練習があれば参加するのが当たり前ですが、こちらではありえません。家族のイベントは何よりも大切です。コスタリカ人にとっては仕事や学校は二の次であり、何よりも家族や家族と過ごす時間が大事なのです。ですから、仕事や学校に遅刻しても帰りはさっさと時間通りに帰っていきます(笑)。 ここでは仕事は一番ではありませんから、仕事のスピードも遅く、それが国の発展を妨げている要因の一つかもしれません。でも仕事より家族が大事って大きな声で言えるコスタリカの文化もとても素敵ですよね。 住めば住むほど大好きになっていくコスタリカでの生活も、残りわずかとなってきました。活動だけでなく、このような文化の面も悔いのないよう楽しんで、残りの時間を過ごしていきたいと思います。 アスタルエゴ!それではまた! |
コスタリカのパーティは屋外が基本。 | 子どもたちはプール。 | 家族大集合。 |
コスタリカ共和国平成25年度1次隊 職種:野球 加藤直樹 サントドミンゴ野球協会