地球探検 インドネシア共和国 年野朋美隊員 4
マンドレベッパ! ~ブギスだより~
健康への関心
ワジョ県には全部で23か所のプスケスマスがあります。私はその全てを巡回指導するわけではなく、保健衛生局側と決めた数か所のみを1か所3~5か月程度でまわっています。1か所目を終え、現在は2か所目で活動しているところです。 ここで、6月上旬の嬉しかった話をひとつ。。。 地区の健康調査を終え、その結果、ある村では漁師さんの皮膚病が雨季になると急増することが判明しました。そこで、予防啓発担当や感染症担当の方とともに現状とその予防策についてお話させていただくべく、村の会議にお邪魔しました。 漁をするときに手袋を着用することなどおすすめしましたが、ある漁師さんから「そんなの買う金ねーよ!」とヤジが。それにつられて他の方々も口を揃えてお金がなーと。。。そこで私が「タバコ一箱よりも安いでしょう」と言うと、まさかの大ウケ!加えて、「皮膚炎にならないで欲しいのではなく、健康な手足で仕事をしたほうが楽だろうし長く仕事もできるのでは」と続けると、漁師さんたちの顔つきが変わり、その後は熱心に話を聞いて下さるようになりました。また、私たちに漁の現状を見て欲しいこと、実は加工作業をしている女性たちも皮膚炎に悩まされているということ、その上でどんな対策ができるかも教えて欲しいという話まで出ました。これから、同僚とともに漁師さんたちのもとを訪問する予定です。。。 ともすればヘタに取られかねない言葉だったかもしれませんが、嬉しかったのは漁師さんたちが自分や地域の人の健康に関して対策をしたいと自発的に訴えてくれたことです。働く世代の方は、日本でもそうですが自分の健康に関心が薄かったり、なかなか省みる暇もありません。なんといっても生活をしていくために収入への関心が一番高いわけですが、そんな中で健康への関心を示してくれたこと、切実な話を出してくれたことが嬉しかったのです。 人の行動変容を促すことは、私にとってはまだまだとても難しいことです。ただ、健康への関心を高めるために保健医職者が一方的に健康になりなさいというのは違うのかなと感じています。対象の生活を見て暮らしをつかんで、地域で暮らすときにどうしたら少しでも生きやすいようになるかを話しながら、その手段の一つとして健康をどう位置づけるかだけだと私は思っています。 同僚と仕事をする上でも、彼らも地域で暮らしている一住民ですから、その習慣や文化をつかみ、彼らの持てる力を引き出せるようアプローチしていくのが大切だと考えます。とは言っても、うまくいくことばかりではないのが本音ですが(笑)。 少しづつ少しづつ、けれど熱をもって、活動を続けていきたいと思っています。 | ||
地区調査時※本文と関係ないですが(生活用水になっているも水質改善が必要な川を視察) | 漁師さんたちへの健康教室 | 会が終わったとも熱心に相談にいらっしゃる方が!つながるために地域に出るのも大事だと考えさせられます |
インドネシア共和国 年野朋美 平成26年度1次隊 職種:保健師