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地球探検 ケニア共和国 伊藤淳一隊員 2

印刷用ページを表示する 掲載日:2014年11月12日更新

地球探検

ジュンガニレポート ~ルヒャ族との730日~

活動について 

 私が生活を送るケニア西部ビヒガ県ハミシ郡は赤道直下に位置しますが、標高が1500mあるため、暑過ぎず寒過ぎず生活するには丁度良い気候です。以前この地域はコーヒー栽培が盛んだったようですが、コーヒー豆の取引価格下落後に多くのコーヒー農家は茶栽培にシフトしました。そのため、メイズ(トウモロコシ)や他園芸作物を抑え現在はお茶の生産量が一番高いです。

 一方、ビヒガ県では、住民の多くは限られた土地で半自給的農業を営んでいます。そのため、私はそうした小規模農家/農家グループを対象に彼らの生活向上を目的に活動しています。
 まずは家計や彼らの生業である農業資金管理からサポートし営農意識の向上を図っています。その後、市場調査やマーケティングのサポートを通し、収入の向上を目指します。
 また、家族計画や収入向上の足かせとなるジェンダー関連問題にも地域の文化、習慣を考慮しながら農民の生活改善へ向け包括的なアプローチを計画実施する予定です。

 これまでの調査活動では初等中等教育新学期開始と重なる短雨季後の乾燥機(1月ー4月)に多くの農民が収入、食料不足に苦しむ事が解りました。まずは、同僚と協力しながら上記の活動の他に乾燥野菜等の保存加工等を実施し、この時期の食料不足を補う計画で活動しています。
 また、ハミシ群はバナナ生産も盛んななため、バナナ農家で組織されたグループのバナナチップス等の加工品ビジネスのサポートも現在実施しております。

赤道
赤道

茶葉収集所 
茶葉収集所

ルヒャ族について(割礼、結婚、迷信)

 ケニアに42 種族が存在します。私が生活を送るケニア西部ビヒガ県ハミシ郡は、ルヒャ族の住む地域です。彼らと生活を共にしていると宗主国イギリス初め、他文化を吸収しながらも、今尚、独自の文化/習慣が根強く残っているのを実感します。

 ルヒャ族は全18亜種族から構成され、ここハミシはティリキとマラゴリ亜種族が人口のマジョリティーを占めます。マラゴリを例に上げると、マラゴリは主に4氏族に分けられ、そこから61亜氏族へと派生します。ルヒャ族マラゴリ、キズング氏族アバカヤレの同僚によると、人々のアイデンティティは各氏族、時には亜氏族に及び、地域政治・社会に影響を及ぼすと言います。
 例えば、マラゴリは10年に一回10~12歳以下の男児が割礼を伴う加入礼を受けます。各亜種とも割礼儀式の作法も異なり、同じルヒャ族でも種族が異なればそれら作法はお互いに極秘事項です。女性となれば基本的にはその中身を知る事は許されません。これら割礼儀式は彼らの亜種族に対するアイデンティティを芽生えさせます。また割礼を受ける時の態度等も将来の地方政治選挙やリーダーの選出に少なからず反映されるようです。
 割礼に関しては来年8月にティリキ(亜種族)が5年に一回の割礼儀式を行うのでその時にもう少し詳しく書こうと思いますが、こうして私が割礼儀式について文字として記録する事もあまり許される事ではありません。

 また、父系社会であるルヒャでは女性は結婚後も父親の氏族に帰属します(部族、亜種族により異なりますが)。結婚後も女性は父方の氏を名乗ります。一方、今尚結婚時には婚資制度が残り、男性は結婚する際に相手方の父や兄弟と話し合い牛何頭を婚資として嫁の家に送るかを話し合います。

 一方で、ルヒャ族にも数多くの迷信が存在します。例えば、ルヒャ族には女性がバナナや木々を植えると夫が亡くなると言う迷信があり、女性のそうした行動は余り良いものとしては捉えられません。

 アフリカには56カ国が存在し、さらにケニアに42 種族が存在します。人々はアフリカやケニアと言った「枠」で物事を語る傾向がありますが、多文化との交流を経て尚、彼ら独自の多様な文化が生きています。

活動の様子 
活動の様子
ルヒャ族の女性 
ルヒャ族の女性

伊藤淳一 平成25年度4次隊 コミュニティ開発 ビヒガ県ハミシ郡農務官事務所