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地球探検 マダガスカル共和国 小倉貴美子隊員 3

印刷用ページを表示する 掲載日:2013年12月1日更新

地球探検

 第3回 100アリアリ

 私はマダガスカルの地図の真ん中辺にあるアンバンヌという村に住んでいます。ここでは車よりも牛車の方が多く、また村人の生活は日が昇る前に起きて沈むと寝る(5時に起床19時に就寝)という生活です。

 そんな村人の楽しみは世間話をする事。 よく、道やカフェでおしゃべりをしています。そして外国人の私は珍しいので、村人には関心の対象です。この様な状況は覚悟して来たのですが、想像以上に厳しくいつも日本に帰りたいと考えていました。

 そしてそんな時、今回の素敵なエピソードがありました。 日本の震災後の事です。私の故郷である福島県も災害に遭ったと聞きました。私は両親の安否の確認を、やっとすることができました。そして不安を抱え任地に戻ると、日本の震災の事は任地でも大きな話題になっていました。しかしこの状況でも私が日本人と知っていて「お金ちょうだい」と言う人がいたのです。私は任地の人に、失望と悲しさを感じてしまいました。

 そしてこのエピソードの日がやってきました。

 私は、診療の介助を終え休憩していました。すると隣に若いお母さんがいました。私達は自然と話を始めました。すると突然、このお母さんが100アリアリ(現地のお金:日本円5円)を差し出すのです。理由が分からなかったので私は受けとりませんでした。

 しかしよくよく聞いてみると、日本の震災の事を知り渡そうとしてくれていたのだという事が理解出来ました。でも彼女を見ると、服はボロボロで足は裸足。そしてこれから子供を抱きながら2時間かけて歩いて帰るのです。この100アリアリ日本円では5円ですが、任地では米粉のお菓子が1個とコーヒーを飲む事が出来、また食卓のおかず1品分の価値になります。それでも彼女が渡そうとした気持ちを考えた時、それ以上の価値のように私には思えて胸が熱くなり断ることができませんでした。そして残りの任期を全うしたいと思うようになりました。

 これが私のエピソードです。

 今回私は、人の心の温かさというものが民族や言葉を越え、人に勇気や元気をくれるものだという貴重な体験をする事ができました。私は今「栄養改善キット」という教材を使って、住民にバランスの良い食事を摂る指導をしています。今度は私がこのお母さんのような心の温かさを大切にした、任地の人の助けになるような活動を行っていきたいと思います。

任地の保健ボランティアの家庭訪問任地の保健ボランティアの家庭訪問

医師による衛生指導医師による衛生指導

乳幼児の体重測定後にみんなでバランスの良い食事を学び、食べている所乳幼児の体重測定後にみんなでバランスの良い食事を学び、食べている所

マダガスカル隊員の任地での啓発活動の風景マダガスカル隊員の任地での啓発活動の風景

マダガスカル共和国 H21年度4次隊 職種:看護師 小倉 貴美子 アンバンヌ基礎保健センター