地球探検 パラグアイ共和国 廣瀬靖夫隊員 13
パラグアイ通信(13)
パラグアイには、キリスト教に関する休日がたくさんあります。昨年9月末に来たばかりの時は聖母マリア巡礼の日がありました(パラグアイ通信(5)参照)。12月にはクリスマス、そして4月8日(水曜日)・9日(木曜日)・10日(金曜日)・12日(日曜日)はセマナ・サンタ(聖なる週間)があります。このセマナ・サンタは毎年同じ日ではなく、昨年は3月だったそうです。どのようにして決まるのかと聞いたら、北半球の計算で冬から春にかけて太陽の光が強くなる日(春分の日の後にくる満月の次の日曜日)をイースター(復活の日・復活祭)とするとバチカンによって決められているそうです。
聖書によれば、8日(水曜日)はキリストがローマ軍につかまった日、9日(木曜日)は裁判にかけられた日、そして10日(金曜日)は十字架にかけられて殺された日だそうです。この金曜日が重要な日で、多くの南米の国で休日になります。ここパラグアイは9日(木曜日)・10日(金曜日)と国の休日となります。さらに、ここカトリック大学はさらに8日(水曜日)も休みとなります。そして、12日(日曜日)はイースター、キリストが復活してきます。「イースター・エッグ」で有名な復活祭です。この様に、この国ではクリスマス行事(パラグアイ通信(6)参照)をはじめ聖書に則った行事が多いようです。
パラグアイにおけるこの5日間の連続休暇は貴重です。したがって多くの人が田舎に帰ったり、旅行に行ったりで幹線道路は渋滞になり、アスンシオン市内は閑散とします。日本のゴールデンウイークですね。いや、休みの性格上はお盆休みですかね?
昔は、この週はキリストが亡くなったことを悼むために殺生はしない、肉は食べないことになっていたそうです。代わりにチパを食べます。チパと言うのは、鶏卵・トウモロコシの粉・チーズ・マンディオカ(イモの一種)を水でこねてドーナツ状にしたり、饅頭状にしたりしてオーブンで焼いたものです。スペインから持ち込まれたパンに使われた小麦粉の代わりに、トウモロコシやマンディオカを使って、植民地時代から作られてきたものらしいです。
我が家はこれがとても好きで、朝のパン代わりに買ってきたチパを食べています。写真1のように、ザルにたくさんのチパをいれ、頭の上に乗せて路上で売っています。店頭でも売っています。
ところが、セマナ・サンタが近づくと各家庭でもチパを作るためなのか、卵の値段が急に上がります。通常は12個入りパックが5,300Gs(日本円で約105円)が4月のはじめは、6,600Gsと約25%も上昇しました。
日ごろ肉食の多いパラグアイ人(アスンシオンの住人)が、肉なしの日を設けるのは彼ら彼女らにとっていいことではないかと考えています。かなり肥満の人が多いということです(写真2)。平均寿命も日本より10歳も若いのです。セマナ・サンタを機会に、もっと穀物を食べる習慣をつけたらいいのではと考えます。
写真1
路上でチパを売る人(このおばさんとは顔なじみになりしょっちゅうチパを買っています)
写真2
後ろ姿を失敬しました (若いうちはそれほどでもないが、中年以降にこのようになる人が多い)
廣瀬 靖夫 (シニアボランティア 環境工学)