地球探検 パラグアイ共和国 廣瀬靖夫隊員 10
パラグアイ通信(10)
こちらに来たばかりのころ、先輩たちに街を案内してもらった。その日は雨だったので、着替えのシャツと妻の帽子をビニ-ル袋にいれてもっていったが、バスの中でなくしてしまった。
忘れたのか盗まれたのかはっきりしない。なくなったのは事実である。そこで後日妻は日差しが強いので帽子を買いたいといって安いやつを買いました。安い物を売っているメルカドクワトロ(写真1)で日本円で200円程度の帽子を買って安かったといって喜んでいました。
しかし、その帽子を見るとなんと中国製である。日本の百均で売っているのをパラグアイで倍の値段で買わされたと地団太踏んで悔しがっていました。よく見ると中国製品が沢山出回っています。私たちもご飯を炊くために中国製の電気釜(2合炊き)を5,000円程度で買いました。もちろんこれは中国製であるのを承知で買ったのです。
しかし驚くなかれ、このように中国製品が街に出回っているのにパラグアイ政府は中国政府を正式承認していないのです。「ひとつの中国」をかかげている中国政府の政策のおかげで、逆に台湾政府を承認しています。もちろん街のメイン通りに中華民国(台湾)の大使館があります(写真2)。
南米で中国を承認していないのはここパラグアイだけなのです。今まで中道右派政権が長く政権を取っていたので、社会主義は嫌いだとばかりに承認してこなかったようですが、昨年8月に司祭さんだった人(野党連合)が政権に就いたので流れは中国承認に傾きつつあるようです。しかし、台湾も必死に中国承認を阻止すべく働いているようです。8月のルゴ新大統領就任式には、馬九英総統がわざわざ台湾からパラグアイに飛んできて出席したり、パラグアイ政府にいろいろな援助を申し出たりしているようです。
世界的流れからすると、中国承認へ動いて行くでしょうが、台湾にとって南米最後の砦をどう守るか?今後の動きに注目が集まっています。
写真1
安いものが売っているメルカドクワトロ ブラジル・アルゼンチン製品もたくさんある
写真2
中華民国(台湾)大使館に掲げられた国旗 メイン通り、マリスカス・ロペス通りにある
廣瀬 靖夫 (シニアボランティア 環境工学)