地球探検 パラグアイ共和国 廣瀬靖夫隊員 12
パラグアイ通信(12)
パラグアイの道路には、ほとんど必ず名前がつけられています。地方の都市に行ってもそうです。どのような名前かと言うと、人の名前、国の名前、木や花の名前とか。
写真1を見てください。アスンシオンを代表するメイン道路です。左側に見えるのがアメリカ大使館、この左側後方に大統領官邸、さらにずっと後方に日本大使館、JICA事務所、さらに多くの国の大使館が並ぶ一番の主要道路です。
この道路の名前が驚くなかれ前回報告したあの国を滅亡の淵に追いやった大統領・息子ロペス「マリスカス・ロペス」の名がついているのです。偉大な業績を残した、父ロペスの名前の道路もありますが、そんなに主要な道路ではないのです。「なぜか?」と、あるパラグアイ人に質問したら、「彼・マリスカス・ロペスはサダム・フセインのような存在だ」と言うのです。評価が分かれており、特に軍人・民族主義者には評価が高いとのことです。長い間軍事政権が続き、道路に軍人の名前が70%近くを占めるようになったとのこと。息子ロペスを支持する人たちの言は、イギリスに後押しされた大国ブラジルとアルゼンチンと果敢に戦って戦死した英雄だと言うのです。善政を施して評価されるのではなく、国を滅ぼす戦争をして評価される、そのような国の将来は暗いと感じました。日本にも似たような動きがあるのに懸念を感じるのですが。
しかしここパラグアイも少しずつ変わってきており、最近では詩人・ジャ-ナリストさらには木の名前や花の名前も増えてきているとか。ちなみに、国の名前ではブラジル通り、アルゼンチン通りはもちろんハポン(日本)通りもあります。舗装されたちゃんとした通りで、私の通っているカトリック大学の近くにあります(写真2)。国の名前も問題があるように感じます。
例えばこの国の名前の道路はあの国の名前の道路より立派だと感じる人がいるでしょう(ラテン系の人はそんなことは気にしないのかもしれませんが?)。 そういう意味でも、国の名前の道路も、軍人の名前の道路も早く変わってくれればいいなと感じる一人です。
いずれにしても、現在のマリスカス・ロペス通りが、ラパ-チョ(パラグアイの国木)通りあるいはブルクジャ(国花)通りとでも名前が変わり、きれいな花が咲く道路になれば最高ですね。
写真1
マリスカス・ロペス通り(アメリカ大使館付近)
写真2
ハポン(日本)通り(カトリック大学近くにある、バスの中から撮影)
廣瀬 靖夫 (シニアボランティア 環境工学)