地球探検 パラグアイ共和国 廣瀬靖夫隊員 17
パラグアイ通信(17)
中南米に行くと誕生会があり歌を歌うことになると駒ケ根の研修所のスペイン語の先生に言われて、あまり得意でない歌を覚えたものです。
案の定ここパラグアイも例外でなく誕生会の誘いがあるのですが、大学の研究室内で行うためか、いたって簡素(写真1)であり、挨拶もなく始まり挨拶もなく終わります。ただし、ショートケーキはあるのですが、恐れていた歌はありません。そして私の誕生会がやってきたのですが、「日本では大人になったら誕生会はやらない」、一休禅師の「正月(門松)や死での門出の一里塚、めでたくもあり、めでたくもなし」の歌を引き合いに出し、「誕生日なんかそんなめでたいもんじゃないでしょう」と言ってやったら、「今まで生きてきたことに感謝しましょう」と言われ、キリスト教的考え方はこうゆうものかと納得させられました。
キリスト教的死生観を考えるついでに、こちらのお墓はどういうものか見てきました。アスンシオン市の街の真ん中、先にお話ししたマリスカル・ロペス通りに面したところに大きなレコレタ墓地があるのです。写真2がお墓なのです。家では?とお思いでしょうが、この家の中に遺体がそのまま安置されているのです。隙間から中をのぞいてみたのですが、中央にちいさな十字架と祭壇があり、左右に3段ずつお棺が積み重ねられていました。
また、こちらの人に、「日本ではすべて火葬にしており、その方がお墓のスペ-スも小さくなるし、衛生的でしょう」と言ってやったら、「私たちは死者の復活を信じているので遺体を壊すようなことはしない」との返事が返ってきました。その人もインテリなので、本気で信じているわけではないでしょうが、宗教上そうゆう風になっているといいたかったのでしょう。
また、元司祭であったルゴ大統領の隠し子問題が発覚した様に、人間の基本的欲望を抑えても抑えきれるものではないということをカトリック教徒も悟るべきでしょう(もう悟っているのでしょうが、巨大戦艦はなかなか舵が切れないのか?)。 日本では親鸞が800年も前に妻帯を容認して宗教活動に専念したように!
宗教を実用的かどうかで判断するのもなんですが、仏教のほうが実社会において実用的には優れていると感じます。いや私が仏教の影響の下に日本の社会で育ったせいなのかもしれませんが? 建前と本音。教条と現実。どのように調和をとるか・・・・・。
写真1
その時にもよるが、簡素な誕生会ではある
写真2
パラグアイのお墓(アスンシオン市にあるレコレタ墓地) この家の中にお棺が安置されている
廣瀬 靖夫 (シニアボランティア 環境工学)