地球探検 パラグアイ共和国 廣瀬靖夫隊員 19
パラグアイ通信(19)
三国同盟戦争前はパラグアイのものだったイグアスの滝が、首都アスンシオンの東約300kmのところ、ブラジルおよびアルゼンチンとの国境の向こう側せいぜい10km程度のところにあります。30年近く前に、ナイヤガラの滝を見にアメリカ側からカナダ側にスタンプひとつで行けたことを覚えていたので、今回も気軽に考えていました。
しかし、ブラジルがビザを必要としているということで、ちょっと国境を越える観光が非常にわずらわしいものになりました。このブラジルという国、誇り高き国で、日本がブラジル人に対してビザを要求しているので、相互主義でブラジルも日本人に対してビザを要求しているのです(アルゼンチンは日本が要求しても、短期だと日本人に要求せず)。
しかも、これは旅行業者に聞いた話ですが、アメリカ合衆国がすべての国の人にアメリカ入国時に指紋押捺を要求していますが、これに対して、ブラジルはアメリカ人だけを集めて、アメリカ人のブラジル入国に指紋の押捺をさせているそうです。
そんなわけで面倒だからイグアスの滝なんか見に行くのをやめようと思ったのですが、世界第二のイタイプ-発電所およびイグアス居住地(日本人居住地)の3つをセットで見に行くことで旅行に踏み切りました。 結果として、この3つともそれぞれ特徴があって面白い旅でした。特にイグアスの滝の迫力はすばらしいものがあり、写真ではなかなか表現できません(写真1)。
30年も前なので記憶が薄いのですが、ナイヤガラを超えていると思います。このイグアスの滝、ブラジル側からとアルゼンチン側の両方から見るのです。ブラジル側からは比較的遠景から見て、ボ-トに乗って濡れながら滝の下から眺め、翌日はアルゼンチン側から、滝のすぐ真上から見る迫力もすごいものです。「悪魔の喉笛」と呼ばれる、3方から落ちる水(コの字型になって落ちている滝)も見ものでした。このイグアスの滝はイグアス河(アルゼンチンとブラジルの国境にある)に、そしてイタイプ-発電ダムはパラナ河(パラグアイとブラジルの国境)にあります。そして、この2つの河はパラグアイ、アルゼンチンそしてブラジルの国境付近(3点)で合流し、最終的にパラナ河となり大西洋に注いでいます。
この国境3点にも連れていってもらいました(写真2)。そして、解説されたのは「パラナ河の水量はイグアス河の9倍です」ということです。イグアスの滝を見て水量の多さにびっくりしていたのですが、イタイプ-発電所に利用されている水量はその9倍であるときかされ、世界は広い!と感じたしだいです。
写真1
イグアスの滝の一部 (ブラジル側から船に乗って、滝の真下まで行って全身ずぶぬれになりました)
写真2
ブラジル、アルゼンチン、パラグアイの国境3点がぶつかるところ 写真を撮ったのはアルゼンチン側から、家の陰に左から流れてくるのがイグアス河、左向こう岸はブラジル。右側にたてに流れているのがパラナ河、河の右向こうはパラグアイです。
廣瀬 靖夫 (シニアボランティア 環境工学)