地球探検 パラグアイ共和国 廣瀬靖夫隊員 2
パラグアイ通信(2)
パラグアイの人口は500万人強と言われており、国土は40万6千平方キロメートル(日本の1.1倍)です。なんと人口密度の低いこと、日本からみればうらやましい限りですね。しかも国土のほとんどが平野です。私の泊っていたホテルからみる限り山は見えません。海のない国ですから平原から太陽が昇り平原に太陽が沈んでゆくのです(写真1参照)。
しかし人口が少ないことは独自の産業が育ちにくいといわれておりそれが悩みの種です。この国に日本からの移民が開始されて70年になりますが、移民者の若者はパラグアイに定着せず、日本へ出稼ぎに行ってしまうと嘆いていました(ホテルのフロントにいる女子社員も群馬県に出稼ぎに行っていたそうです)。しかし、日本人とJICAに対する信頼は厚く、私の職場(カトリック大学)の職員は、つい最近までトマト、ナス、カボチャ、ダイコンや大豆などの野菜類はすべて外国(アルゼンチンやブラジル)から輸入していたが、日本人が来てからパラグアイで作れるようになって自給できるようになった。感謝しているといわれました(写真2火曜の野菜市場)。
一方、エネルギーはほとんど電気です。なぜかと言うと、ブラジルとパラグアイ共同で建設した世界最大級の水力発電所があり(滞在中ぜひ見学したいと思っています)、ほとんど石油を輸入することなくエネルギーがまかなえているからです。ここも日本が学ばなければならないところです。自然エネルギーでほとんどすべてのエネルギーをまかなうなど国家の安全保障上重要なポイントです、しかも公害負荷に対しても非常に優れていますね。
もう一つインフラの件です。見た限り、ホテルもレストランも住宅もトイレはほとんど水洗です。流れた汚物はどうなっているのだろうと気になって大学で聞いてみたら、20~30%はポットみたいなものに固形物をためその上水だけを川に流しているとか(日本の一昔前のし尿処理)、他の70~80%はそのまま川に流しているとのことです。人口もさほど大きくないし、川(パラグアイ川)も大きいので水の冨養化はそんな大きな問題になっていないのかもしれません。現在、川岸近くで放流しているのを川の中央近くまで放流口を持って行けないかと検討しているようです。いずれ今後の環境問題として関心のあるところです。
写真1
ホテルの19階からみた 地平線への日没
写真2
アグロショッピング (農産物市場・火曜日のみオープン)
廣瀬 靖夫 (シニアボランティア 環境工学)