地球探検 パラグアイ共和国 廣瀬靖夫隊員 33
パラグアイ通信(33)
日本はもうすぐ桜の季節ですね。
桜と言えばこちらにも桜に似た木があります(写真1)。日系人の間では「パラグアイ桜」と呼ばれているラパーチョの木です。こちらの春のはじめの8月から9月にかけて咲きます。花の色が3色あって、ピンク・黄色・白とありますが、ピンクの花の木が一般的です。木の葉が出る前に花をつけるとこなど桜と同じですが、散り方が違います。
ラパーチョの花は花びらが分かれていなく、つつじのような形をしており(写真1-2)、散るときは額のところから、パラシュートのようにくるくる回りながら落ちてきます。したがって、私が一番好きな花ビラ一枚一枚が「はらはら」雪のように落ちるあの桜の風情は見られないのです。
ところで、桜は日本の国花として扱われていますが、パラグアイの国花はこのラパーチョではなくMburucuja (ブルクジャ)の花(和名はトケイソウ)だそうで、写真に撮ろうとこの1年間探したのですが撮ることはできませんでした。
花に出会うことがかなわなかったので、ウェブサイトのフリー百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」で調べたところ次のことが分かりました。以下その引用です。「和名は3つに分裂した雄しべが時計の長針、短針、秒針のように見える特徴のある花を咲かせることに由来します。英名のPassion Flowerは、キリストの受難(Passion)に由来するそうです。それは、16世紀に現地に派遣されたイエズス会の宣教師たちがこの花を使ってアッシジの聖フランチェスコが夢に見たと言う「十字架上の花」と信じ、キリスト教の布教に利用したためです。」 パラグアイに来たイエズス会の宣教師たちは、この花を使って布教活動をしていたもので、90%以上がカトリック教信者の「国の花」としてふさわしいと言えます。
蛇足になるのですが、このブルクジャの実(写真3)はスーパーなどで売っており、ジュースやアイスクリームの原料としてとてもおいしいのです。写真で見るように種が多くて食べにくい面もあるのですが、マンゴーと酢を混ぜ合わせたような独特の風味は癖になります。 日本では食べたことはなかったのですが、日本でもパッションフルーツとして売っているとか? 試されてはいかがでしょうか。「精神や痛みを静める」作用があるといわれています。
ここカトリック大学の環境工学のシンボルマークにブルクジャの花(トケイソウ)が使われています(写真4参照)。
写真1
ラパーチョの花の木(カトリック大学内)
写真1-2
ラパーチョの一つの花 (花の長さは約5cm)
写真2
トケイソウ(Wikipediaより) (Mburucuja (ブルクジャ)ガラニー語)
写真2-2
正面から見たトケイソウ 花の子房柱は十字架、3つに分裂した雄しべが釘、巻きひげはムチ、副冠は茨の冠、5枚の花弁とガクは合わせて10人の使徒、葉は槍などと言われた。(Wikipediaより)
写真3
ブルグジャの実(パッションフルーツ)
写真4
カトリック大学・環境工学のシンボル(ブルグジャの花の半分が歯車になっている)
廣瀬 靖夫 (シニアボランティア 環境工学)