地球探検 パラグアイ共和国 廣瀬靖夫隊員 6
パラグアイ通信(6)
ここパラグアイでは12月8日、12月25日、1月6日と宗教行事がつづきます。12月8日はマリア様が懐妊を告げられた日で、また奇跡を起こして困っているパラグアイ人を助けた日ともされていてパラグアイの祝日となっています。これは、パラグアイ通信(5)で触れたのでここでは触れないこととし、後の二つについて書いてみます。90%以上がカトリックというパラグアイではキリストが生まれた12月25日が年を通じて最も重要かつ神聖な行事であり、異教徒、無神論者にはうかがい知れないところがあります。
ここパラグアイでは、24日の21時ごろから24時まで家族および親族全員で食事をするそうです。今年、私たち夫婦がその場に呼ばれました(写真1)。日本文化とパラグアイ文化交流の願いも込めて、妻が海苔巻寿司を作って持参しました。お世辞でしょうが「すごくおいしい」との評判をとりました。その食事は、日本の正月のようにお雑煮、お餅などのような特別なものではなく、平日に食べているものを食べていました。もちろんワインやビ-ルも一緒に飲みます。0時つまり25日になったとき、出席者全員でキリストの生誕を祝い、家族の幸せを願うお祈りをします。写真1の上の方にある「飾り物」の前に全員で行き、その前で聖書の一節をそらんじ、最後にアーメンと言って祈りました。
私たちはそこで引き揚げましたが、その後は、親戚や友人を訪問して挨拶をかわし、そこでも飲み食いをするようです。日本のように街中がジングルベルで浮かされ商業主義に徹したクリスマスとは打って変わって静かなクリスマスです。(田舎から出てきてる人たちは一斉に田舎に帰ります。)
街にはクリスマスツリ-やサンタクロ-スの姿はほとんど見られず、写真2に示されているように、誕生したばかりのキリストとそれを祝う人々の飾りが、スーパーマーケット、銀行、各家庭、そして私の行っている大学にまで飾られます。
写真1
12月24日夜10時~12時のある家族のパーティー (この家族はこのようなテーブルが3つあるこじんまりした家族の集まり。おばあさんの後ろに写真1と同じモチーフの小さな飾りが飾ってある。この前でお祈りをした。)
写真2
生誕祭(クリスマス)に飾られる典型的な飾り物(銀行の前で) (家の中の中央に天使が立っている、両側にマリア(母)、ジョセフ(父)、その間に生まれて2週間のキリストがオギャーと言って?寝ている。そこへ3人の王がラクダに乗って祝いを述べにやってくる。)
年が明けて、1月6日は生まれたキリストを祝うために中東から王がそれぞれ金、銀、香木をもって3人やってくる日です(写真2)。その言い伝えにちなんで、子供(子供のキリスト)にプレゼントを与えなければならないそうです。しかも3人、つまり祖父か祖母、父、および母からもらうのだそうです。
子供たちは、靴(長靴ではない)とラクダにやる食べ物と水を窓のところにおいて、翌日目を覚ますと、「らくだ」に乗った王がプレゼントを運んできているというわけです。日本で聞いていた話と違うのではないか、「サンタクロ-スがトナカイに乗ってきて煙突から入って、長靴の中にプレゼントを持ってくるのではないか」と聞くと、サンタクロ-スは14世紀になってからヨーロッパ・アメリカで作られたもので、われわれのものは聖書にもとづいているとのこと。何の反論もできません。ともかく、子供たちにとって1月6日は楽しい一日のようです。
ところで、パラグアイにはらくだはいないそうです。
廣瀬 靖夫 (シニアボランティア 環境工学)