地球探検 シリア・アラブ共和国 岡田眞一隊員 3
シリア・アレッポ便り 3
中東の国シリアのアレッポ市に派遣されているJICAシニア海外ボランティアの岡田眞一です。福島の皆さんお元気でお過ごしのことと思います。 昨年1月に赴任し、早1年半が過ぎ、残り任期は半年となりました。こちらの生活にももうすっかり慣れ、元気でやっていますのでご安心下さい。
さて前回はアレッポ市周辺の遺跡について報告しましたが、今回は現在シリアで世界遺産に登録されている古代都市ダマスカス(1979年登録) 及び古代都市ボスラ(1980年登録) について前回に引き続きご紹介したいと思います。
古代都市ダマスカス
首都ダマスカス
ダマスカスは現在のシリア(正式名シリア・アラブ共和国Syrian Arab Republic)の首都で地中海から約80km内陸に位置し、アンチレバノン山脈(最高峰2814m、平均標高1500m)により海から遮られており、海抜約700mの高原上にあります。カシオン山の山麓、バラダ川沿いに城壁で囲まれた古代から続く都市と新市街が広がっており、現在の人口は約200万人、都市圏全体では400万人に迫ると云われています。
世界一古い都市
ダマスカスは紀元前8,000年から10,000年もの昔から人が定住していたことが市周辺にある遺跡から分かって、「世界一古くから人が住み続けている都市」として知られており、古代からシリア地方の中心都市で、紀元前10世紀にはアラム人(アラビア半島から来たセム語派系の遊牧民)の王国の首都が置かれていました。
地下に眠る都市遺構
その後シルクロードの西の終点として東西交易で栄えたこの地は新バビロニア、ペルシア、セレウコス朝、ローマ帝国、イスラム帝国ウマイヤ朝、モンゴル帝国、オスマン帝国と幾多の帝国の支配の変遷を繰り返して現代に至っています。ダマスカスは、都市の歴史のさまざまな時代に遡る歴史的地区の宝庫ですが、過去の占領者ごとに増築されたため、現在の都市の約8フィート(約2.44m)地下に埋まっているとされるダマスカスのすべての遺構を発掘するのはほとんど不可能であると言われています。
カシオン山の中腹まで広がる住宅地とダマスカス市内の様子
現在のバラダ川とビル街
世界最古のモスクと云われるウマイヤドモスクの中庭
ウマイヤドモスクの内部の様子
岡田眞一 【平成20年度 第3次隊 工場管理と改善活動 】