自動車リサイクル法QA
平成16年9月
使用済自動車の定義
Q1 自動車リサイクル法では、どの時点から「使用済自動車」となりますか。
A1 自動車の使用目的が終了または使用できなくなった時点から使用済みと解釈しますが、実務的には、最終所有者が引取業者へ引き渡した時点から使用済自動車として取り扱います。
なお、使用済自動車として引き渡すか、中古車として売却するかについては、最終所有者の意思を踏まえつつ、最終所有者と引取業者の間で明確にすることが重要となります。
Q2 使用済自動車として引き渡した場合または中古車として売却した場合の金銭授受はどうなりますか。
A2 使用済自動車として引き渡した場合は、リサイクル料金が既に預託済みであれば、最終所有者は改正道路運送車両法に基づき抹消登録等の手続きが必要となりますが、自動車重量税還付制度の適用を受けることができます。
中古車として売却した場合は、売却費用と既に預託している自動車リサイクル料金の授受が発生します。
Q3 引取業者が使用済自動車を引き取った後に、中古車として販売・輸出は可能ですか。
A3 引取業者は、使用済自動車として引き取った場合、最終所有者に対して引取証明書(リサイクル料金預託証書の半券)を交付するとともに、自動車リサイクルシステム(電子マニフェスト制度)による引取報告を実施する必要があり、その後は、フロン回収業者または解体業者へ引き渡す義務があります。
このため、使用済自動車として引き取られた自動車を再び中古車として販売・輸出することは認められません。
Q4 自動車リサイクル法の本格施行(平成17年1月1日)前に、既に使用済自動車として解体作業中などのものは、本格施行後はどう取り扱えばよいですか。
A4 自動車リサイクル制度による対応はできないため、本格施行前に有価物として取り扱っていた廃自動車も廃棄物処理法に基づく処理が必要となります。
Q5 自動車リサイクル法の本格施行後に、販売目的で中古車として保管してあるものが販売できないで廃車する場合はどう取り扱えばよいですか。
A5 本格施行後に使用済になったものは自動車リサイクル制度により対応する必要があるため、中古車の場合、中古車販売業者が最終所有者として、リサイクル料金の預託をしたうえで引取業者へ引き渡す必要があります。
解体業の許可が必要な場合
Q6 解体業と自動車整備業・修理業との違いは何ですか。
A6 解体業は、使用済自動車として引取業者へ引き渡された自動車から、再利用部品・有用金属等の取外しを行うほか、エアバック類及びタイヤ、バッテリー、廃油・廃液等の回収を行う業務です。
一方、自動車整備業・修理業は、使用中の自動車について部品交換、塗装、補修等を行う業務で、この業務の中で分解、取外しする行為は、自動車リサイクル法の「解体」には該当しません。
Q7 中古自動車として保管している車両(自動車登録ナンバーが有る無しかかわらず)から部品取りすることは、解体業の許可が必要ですか。
A7 部品を取外すことで当該車両が自動車として使用できなくなる場合は使用済みとなるため、当該部品を取ろうとする段階で使用済自動車と判断され、事前に解体業の許可が必要となります。
Q8 使用済自動車からのカーステレオ、カーナビ等の取り外しについても解体業の許可が必要ですか。
A8 使用済自動車となった車両から部品等の取外し、または、燃料の抜取りは解体業の許可が必要です。ただし、最終所有者の依頼によりカーステレオ、カーナビ等の付属品を取り外す行為は、自動車リサイクル法の「解体」とは解釈しません。
Q9 許可のある解体業者の事業所内で、外部の者が部品取りすること(いわゆる「もぎ取り解体」)は可能ですか。
A9 許可のある解体業者の「標準作業書」に、もぎ取り解体に関する作業手順が記載され、当該解体業者の監督・責任のもと作業手順に従って行うのであれば、外部の者による部品取りは可能です。
解体業の業務
Q10 解体業の業務は有用部品類の取り外しのみでもよいですか。
A10 有用部品類の取り外しのみでは解体業の再資源化義務違反となります。解体業は、必ずエアバック類(指定回収物品)を回収し製造事業者へ引き渡すとともに、タイヤ、バッテリー、廃油(燃料、オイル類)・廃液(LLC、ウォッシャー液)及び大型バスにおいては蛍光灯を回収し、産業廃棄物処理業者等へ委託して再資源化することが必要です。ただし、義務品以外の再利用できる部品や有用金属を取り外して売却することも可能です。また、一部有用部品を取り外すことなく別の解体業者や破砕業者へ引き渡すことも可能です。
なお、エアバック類の回収には製造事業者から回収手数料が別途支払われます。
Q11 解体作業終了後の解体自動車を別の解体業者や破砕業者へ引き渡す際に、金銭の授受は生じますか。
A11 自動車リサイクル法では関係事業者や製造事業者等のものの流れを、引渡・引取義務により結び付けているため、引き渡す解体業者の意思により引渡先を決めることが可能です。タイヤ・バッテリー等の義務回収品の再資源化費用を含めて、引渡先へ売却することも可能となります。その外、運搬費の負担等もあることから引渡・引取については、当事者間で金銭授受等の商業的な取引を決めることが可能です。
引取業への使用済自動車の引渡し
Q12 引取業の登録のない事業者が、自動車の最終所有者から廃車手続きを依頼された場合、引取業者へ引渡しせずに、長期間保管することはできますか。
A12 自動車の最終所有者が廃車手続きを依頼した段階で、当該自動車は使用済に該当し、廃棄物とみなされます。このため、当該依頼を受けた事業者は廃棄物収集運搬業者でなければなりませんので、事前に県知事等の許可を受ける必要があります。また、廃棄物収集運搬業者であっても使用済自動車を長期間保管することはできません。
なお、自動車リサイクル法の引取業者であれば、当該引取りに関しては廃棄物収集運搬業の許可は不要ですが、引取りをした場合は3日以内に移動報告における引取実施報告を行い、速やかに次のフロン類回収業等へ引渡す必要があります。
無許可の営業に対する罰則
Q13 無許可で解体業をした場合の罰則はどうなるのですか。
A13 無許可及び無登録で業務をした場合、自動車リサイクル法上は1年以下の懲役または50万円以下の罰金となります。加えて、廃棄物処理法の業の許可を持っていないのであれば、無許可の廃棄物処理業として5年以下の懲役または1千万円以下の罰金の適用も受けます。