ドメスティック・バイオレンスとは?
ドメスティック・バイオレンス(DV)とは?
暴力は、身体的なものだけでなく、精神的、性的、経済的、社会的、子どもを巻き込んだ暴力など、あらゆる暴力が含まれます。
DVは、加害者や被害者の個人的な問題と捉えられがちですが、ジェンダー(社会的、文化的につくられた性差)に由来する男女の固定的な役割や経済的な格差などによる政治的・経済的・社会的優劣関係が、私的関係において発現したものであり、性的差別に根ざす構造的な問題です。
DVは、犯罪ともなり得る行為を含む重大な人権侵害です。
DVの形態と内容
暴力の形態 |
暴 力 の 内 容 |
身体的暴力 |
殴ったり蹴ったりするなど、身体に対する暴力を行うもの。ほとんどの場合、刑法の傷害罪や暴行罪などに該当する違法な行為で、たとえ配偶者間で行われたとしても、処罰の対象となります。 足で蹴る、平手・げんこつで殴る、物を投げつける、首を絞める、髪の毛を引っ張る、刃物などを身体に突きつける など |
精神的な暴力 |
言動等により相手の心を傷つけるもの。精神的暴力の結果、PTSD(心的外傷後ストレス障害)に至った場合には、刑法上の傷害罪として処罰されることもあります。 大声で怒鳴る、無視する、脅す(「別れたら自殺する」、「実家に火をつける」)、見下す(「誰のおかげで飯が食えると思っているんだ」)、大切にしている物を壊す など |
性的暴力 |
性行為を強要する、避妊に協力しない、アダルトビデオや雑誌を無理やり見せる など |
経済的暴力 |
生活費を渡さない、働かせない、お金の使い方を細かくチェックする、借金を負わせる など |
社会的暴力 |
社会的生活をするうえで、人間関係や行動を制限する。 親族や友人などとの付き合いを制限する、電話・メールの内容を細かくチェックする、行動を監視する など |
子どもを利用した暴力 |
子どもを利用して精神的苦痛を与える。 子どもに暴力を加えたり、暴力を振るう場面を見せたりする、「子どもがけがをしてもいいのか」といって脅す、子どもを取り上げる、子どもに他方の親を非難することを言わせる など |
DV被害者を守るための法律があります
「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(DV防止法)」には、DV被害者の保護と自立支援などについて規程されています。また、DV被害者等を保護するための「保護命令」の仕組みが設けられています。
配偶者暴力相談支援センター(DVセンター)
福島県では、DV防止法に基づき、女性のための相談支援センターを含む9機関が、DVセンターに指定されており、次の支援を行っています。
保護命令制度について
配偶者(生活の本拠を共にする交際相手、元配偶者を含む)からの、身体に対する暴力を受けている被害者が更なる身体に対する暴力により、又は生命等に対する脅迫を受けた被害者が身体に対する暴力により、その生命または身体に重大な危害を受けるおそれが大きいときに、被害者が裁判所に申立を行い、加害者に対して発令される命令を「保護命令」といい、「接近禁止命令」「退去命令」「電話等禁止命令」があります。保護命令に違反した加害者は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられます。
○接近禁止命令:
加害者に、被害者の身辺へのつきまとい、または被害者の住居、勤務先などの付近のはいかいを禁止するもの。期間は6か月。再度の申立も可能。また、被害者と同居している未成年の子及び被害者の親族等への接近禁止命令の申立も可能です。
○退去命令:
加害者に、被害者とともに住む住居からの退居及びその住所付近のはいかいの禁止を命じるもの。期間は2か月。再度の申立も可能。
○電話等禁止命令: 加害者に、被害者に対する以下のいずれの行為もしてはならないことを命じるもの。
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- 相談(または相談機関の紹介)
- 被害者の自立を支援するための情報提供、助言、連絡調整などの援助
- 保護命令制度の利用についての情報提供、助言、連絡調整などの援助
- 被害者を保護する施設の利用についての情報提供、助言、連絡調整などの援助
- 面会の要求
- 行動の監視に関することを告げることなど
- 著しく粗野・乱暴な言動をすること
- 無言電話・連続しての電話、Fax、メール(緊急やむをえない場合を除く)
- 夜間(午後10時~午前6時)の電話、Fax、メール(緊急やむをえない場合を除く)
- 汚物・動物の死体等の著しく不快、または嫌悪感の情を催させるものの送付など
- 名誉を害する事項を告げることなど
- 性的しゅう恥心を害する事項を告げることなどまたは性的しゅう恥心を害する文書・図画の送付など