ラウンド農ふくしまWeb-センター通信(R6トピックス)-
令和6年度 トピックス
県産農産物の機能性成分を調べています
こんにちは、生産環境部流通加工科です。
流通加工科では、県産農産物の消費拡大のため、機能性成分に着目した研究を行っています。
今年度は、ブロッコリーに含まれるルテイン(目の調子を整える機能)について、加熱調理法別(電子レンジ、蒸し、茹で)の含有量の変化や、一次加工(ペースト、チップス(熱風乾燥)、粉末(凍結乾燥))後のアミノ酸含有量の変化を調べています。
また、リンゴでは、本県育成品種である「べにこはく」に含まれるプロシアニジン(体脂肪減少機能)について、収穫後の貯蔵期間による含有量の変化と、どの部分に多く存在するかを明らかにするための調査を行っています。
これまで実施してきたアスパラガス、キュウリ、トマトやブドウなどの機能性成分に関する研究成果を、当センターホームページに掲載しております。ぜひ、県産農産物の機能性成分を意識して召し上がっていただき、健康な食生活を送りましょう。
図 機能性成分分析の様子 研究成果はこちらから
お米の原種※を生産しています ※生産者が栽培する水稲の元となる種のこと
こんにちは、農業総合センター作物園芸部稲作科です。
稲作科では、令和6年度においては、県オリジナル水稲品種の「福笑い」や、飼料用米の「ふくひびき」などの原種を生産しています。
原種生産では、その品種の持つ特性(草丈や葉の形など)と異なる特徴が現れた株や、病害虫の被害を受けた株を抜き取る「異型排除」を収穫までに計5回行い、形質の揃った籾のみを収穫します。
9月上旬には、「ふくひびき」の収穫を行いました。
収穫は稲株を刈り、紐で結束する「バインダー」という機械(図1)を使用し、刈り取り後はビニルハウス内で干す「ハセ掛け」を行います(図2)。今後、脱穀などの調製を行い、発芽率の確認や消毒を行った後に、「原種」として出荷します。
農業総合センターでは、今後も県民のみなさんに安心して福島県産の農産物を食べていただけるよう、質の高い原種の生産を行ってまいります。
図1 バインダーを使った刈り取りの様子 図2 ビニルハウス内でのハセ掛けの様子
ピーマンの簡易かん水システムの現地検討会を開催しました
浜地域農業再生研究センターでは、10月7日に川内村で農業総合センター技術移転セミナー「川内村におけるピーマンの簡易かん水システムの現地検討会」を開催しました!
今年度、露地ピーマンにおける省力的なかん水方法による安定生産のために、新規生産者や小規模生産者を対象にした安価で簡易的なかん水システムを市販製品を用いて構築し、実証試験を行っています。
現地検討会では、農業協同組合の担当者からピーマンの販売状況について説明いただいた後に、当該システムの概要や扱う際のポイント、試験の進捗状況について説明しました。
参加者からは、今後の普及に向けた貴重なご意見を多数いただきました。
図1 温度センサー内蔵のかん水タイマー 図2 一升瓶に装着した液肥混入機
※ペットボトルでも代用可能
「皮ごと食べやすいブドウ」って?
みなさんは、ブドウはお好きですか?
流通加工科では、果樹研究所で行われている皮ごと食べやすいブドウの品種開発の一環として、ブドウの「皮ごとの食べやすさ」とは何かを研究しています。
皮の硬さ? それとも皮の薄さ? はたまた果肉の硬さや渋さなど、ひと口に「皮ごと食べやすい」と言っても、いろいろな要因が絡んでいるようです。
ブドウ収穫期の9月は、実際に職員がいくつかの品種を食べて、皮ごと食べやすいかどうかを評価(官能評価)しています。果肉の硬さや皮残り、渋みなどの項目を1粒食べるごとに評価していきます。
そして、官能評価の結果を、機械で測定したデータと組み合わせて、「皮ごとの食べやすさ」とは何かを明らかにすることを試みています。
この研究が、魅力ある県オリジナルブドウ品種の開発を支える判断基準となるよう、引き続き研究を進めていきます!
図 官能評価試験の様子
畑作科って何をしているの?
畑作科では主に大豆、小麦(パン、麺などの原材料)、大麦(麦茶、ビールなどの原材料)などについて、県内に普及すべき品種(奨励品種)の特性、種子を播く最適な時期や量など栽培技術の研究を行っています。
今年3月に、新しく県の奨励品種になった小麦「さとのそら」に関する栽培技術を、農業総合センターホームページで公表しています。
研究成果はこちらから
図 小麦の播種の様子
本県育成オタネニンジン品種「かいしゅうさん」の採種を行いました
「オタネニンジン」は、いわゆる「朝鮮人参」、「高麗人参」と呼ばれるウコギ科の植物(タラノキやウドなどの仲間)で、生薬の原料として利用されます。
漢字では「御種人参」と書き、これは江戸時代に幕府が種子を配ったことに由来しており、会津地域でも江戸時代から栽培が始まりました。
オタネニンジンは多年生植物で、播種から収穫まで5、6年必要で、果実(種子)は3、4年目から採種することができます。会津地域研究所では、採種専用ほ場を設けており、毎年採種を行っています。
本年度の採種は、8月13日に行いました。
採種したばかりの種子は未熟であるため、播種しても発芽しません。種子に発芽能力を持たせるために、8月末までに催芽処理という作業を行います。
「オタネニンジン」の栽培方法については、まだ明らかになっていない部分が多いため、作業の都度検討しながら、栽培管理や研究を行っています。
図1 採種専用ほ場 図2 完熟した果実 図3 採種している様子
寒さにも負けず、病気にも負けず
こんにちは。浜地域研究所です。
浜地域研究所では、品種開発科で育成した水稲の新しい品種候補の特徴を調べています。
冷害に強いか弱いか(耐冷性)や、発病すると収量や品質が落ちるいもち病に対して強いか弱いか(いもち病抵抗性)を調査するため、試験を行う特別な施設に冷水を流したり、スプリンクラーで水を撒き発病しやすい環境を作りながら試験を行っています。
より良い品種開発に向けて、正確な評価ができるように、日々工夫をしながら試験を行っています。
図1 冷水をかけての試験(耐冷性) 図2 湿度を上げて発病を誘導(いもち病抵抗性)
農作物の病害診断に”ドローン”?
福島県の農業の現場では、すでに農薬散布や生育診断などに利用されているドローン。
当所では、農薬をなるべく少なく、かつ効果的に使うことで、環境にやさしく、生産者の作業負担を軽減するドローンの活用方法を検証しています。
農薬の効果的な使用方法としては、農作物の発病をできる限り早く見つけて、植物体を守ることがポイントです。
しかし、近年整備される田畑などのほ場の面積は以前に比べてますます大きくなり、その結果、発病の初期段階を畦畔から目視で見つけることはますます難しくなっています。
そこで、現在山形大学農学部と連携し、ドローンで上空から農作物を撮影し、その写真から病害の早期発見をする試験を実施しています。
ドローンによる発病診断実施中
より良い水稲原種(げんしゅ)生産のために、奮闘中
こんにちは。会津地域研究所です。
会津地域研究所では、県内各地の水稲採種農家(種子場:たねば)に配布する「コシヒカリ」「ひとめぼれ」「天のつぶ」の種子(原種)を、合計で約4ヘクタール生産しています。
原種生産では、純度が高く健全な種子を確保するために、突然変異株や病害株を除去する「異型排除(いけいはいじょ)」という作業を、稲の出穂前に2回、出穂後2回の計4回行います。
異型排除の都度、全てのほ場の全ての株を職員が一列になって確認して異型株の除去を行い、優良な種子を生産しています。
一列に並んで、異型排除実施中
アスパラガスとの日々
こんにちは。作物園芸部品種開発科です。
品種開発科では、水稲、イチゴ、アスパラガス、リンドウ、カラーの新しい品種を開発しています。今回は、アスパラガスの品種開発について紹介します。
開発の目標は3点。
1 品質に優れる(太い、緑色が強い、穂先が締まっているなど)品種
2 収量が多く採れる品種
3 病気に強い品種
これらの目標を満たすアスパラガスの新しい品種を開発するため、日々、朝から晩までアスパラガスと向き合っています。
アスパラガスの萌芽 福島県育成品種「ふくきたる」
↑この若芽が食用となります 目指せ!この色、姿
畜産研究所に酪農新牛舎が完成
畜産研究所では、大規模酪農経営に対応した試験研究を行うため、新しい牛舎を建設しました。
5月29日に旧牛舎からの引っ越しが完了し、6月より本格稼働しました。
新しい牛舎では、人の手を介さず牛乳を搾ることができる搾乳ロボットや、牛の乳量に応じて飼料の量を自動で調整して給与まで行う自動給餌機のほか、牛の首に装着したセンサーにより個体管理ができるなど最新のシステムが導入されました。
今後、新しい牛舎に導入された各システムが、牛の状態や乳量などにどのような影響を与えるかを調査していきます。
これから搾乳(乳搾り)です 自動給餌機稼働中
アグリカレッジ福島 学生実習の様子
農業短期大学校(愛称:アグリカレッジ福島)では、1学年42名、2学年55名の計97名の学生が水田、野菜、果樹、花き、畜産の5経営学科で学んでいます。
6月になり、1学年も学校生活に慣れて、実習を中心に農業に関する多くのことを学んでいます。
今回は、学校での実習の様子を写真で紹介します。
なお、学校の様子はホームページ(https://www.prer.fukushima.lg.jp/sec/oshirase.html)でも随時発信しておりますので、ぜひご覧ください。
会津地域研究所大田植え
令和6年5月21日に会津地域研究所の「大田植え」を実施しました。
「大田植え」では、水稲の特性評価や会津地域に適した品種の選定を目的に、本県等で育成した品種・系統を、一筆の水田に多くの品種を植えるため、田植えは手植えで行います。
今回は、当研究所職員だけでなく、会津農林事務所、ハイテクプラザ会津若松技術支援センターや農業総合センター本部から19名の応援を受け、計40名一丸となって丁寧に植え付けを行いました。
出来秋が楽しみです!