酪農科
酪農科の研究内容
東日本大震災の影響により本県の酪農は乳牛の飼養戸数・頭数ともに大幅に減少しましたが、これらに対応し生産力の強化を図るため、効率的な飼養管理技術や乳房炎予防等安定生産技術の開発に取り組んでいます。
1 牛群検定データを活用した飼養管理状況確認ツールの開発
牛群検定デ-タから飼養する乳牛の長命連産性(長く飼い連続して子牛を得ること)に関する要因をデ-タ解析しました。さらに長命連産性について酪農家が簡単にチェックできるようにするため、牛群検定成績確認シ-トを作成しました。
2 乳房炎ワクチンを用いた実証実験
乳房炎の新たな防除法の確立のため、農研機構動物衛生研究部門の基礎実験で実績のあるワクチン製剤を使用し、乳房炎の感染予防及び重篤化阻止の実証試験を実施し、効果を確認しています。
ワクチン効果の検証に必要な唾液を採材している様子
3 野生動物由来の感染症リスクに対応した防除対策の開発
野生動物や野生動物に寄生するダニやノミなどの外部寄生虫は、感染症の大きなリスク要因の一つで、牛が感染したことによる乳量減少や生乳出荷停止など酪農経営に及ぼす影響は大きいところです。そこで、農場周辺に生息する野生動物種と病原体の保有状況を調査しました。また、野生動物の侵入防止対策として侵入防止ネットの有効性を確認しました。
畜舎付近で撮影したイノシシ
4 山羊乳及び山羊肉の放射性セシウムの移行調査
山羊は牛と比較して放射性物質の体内への移行率が高いとされており、自給牧草の給与や放牧の自粛が求められています。このため放射性セシウムを含む牧草を山羊へ給与し、その影響を調べるため、生乳や骨格筋等に含まれる放射性セシウムを分析し、放射性物質の移行に関わる調査を行っています。
山羊への給与試験