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【ろうどうコラム】「働きがい」を考える

印刷用ページを表示する 掲載日:2016年6月15日更新

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H25.10.11  「働きがい」を考える

元労働委員会 使用者委員 北川 美和     

 先日、中古本屋で「世界でいちばん会社が嫌いな日本人」(斎藤智文著、日本経済新聞出版社)というタイトルを目にし、目次に1.日本の会社にはなぜ働きがいがないのか、2.世界の「働きがいのある会社」に共通する文化-とあり、「働きがい」がテーマとなっていることに興味を惹かれ購入しました。

 この本の中で著者は、「仕事のやりがい」と「組織における働きがい」とは別物であり、「仕事のやりがい」は「個人と仕事の関係」で、個人的な心がけで得ることができるが、「組織における働きがい」は個人の心の持ち方だけで得られるものではない、と述べています。その上で、職場が生き生きする条件として、次の10項目を挙げています。
 (1)対話のある職場 (2)誠実な職場 (3)任せる職場 (4)成長できる職場 (5)認める職場 (6)配慮のある職場(ワークライフバランスのとれる職場) (7)公平な職場 (8)仕事の意義が見出せる職場 (9)息抜きや楽しみのある職場 (10)将来の方向性が見える職場

 反対に、働きがいを失わせるのは経営者、管理者、従業員それぞれに原因があるものの、特に職場の働きがいを左右する管理者、会社全体でみる経営レベルに大きな原因があると述べています。とりわけ経営レベルでは原因を次の6つに集約しています。
 (1)「禁止事項」が多い (2)現場の生の声を知らない (3)経営者だけが特別ルール (4)悪い情報が隠される (5)何でもかんでも「革新」しようとする (6)前年対比ばかりで、将来のビジョンがない

 もちろん、これらの条件・原因が全てではないでしょう。でも、一度これらの視点で職場を振り返ってみてはいかがでしょうか。

 さて、「働きがい」については、「働きがいのある会社」ランキングが、Great Place To Work(R) Institute Japan(GPTWジャパン)により毎年発表されています。同社ホームページによると、この調査は従業員数や福利厚生といった基本的なデータのみならず、経営理念や社内コミュニケーションなど企業文化に関するほか、合計点の3分の2を占める従業員へのアンケート結果、従業員コメントと会社の主張に乖離がある場合やネガティブなコメントが多い場合などは、必然的に全体の点数は低く算出され、「社員の本音が反映される」採点の仕組みなど、外部の人や社内制度の充実度のみで判断しない特徴があるようです。

 また、「働きがいのある会社」の定義を、「従業員が勤務する会社や経営者・管理者を信頼し、自分の仕事に誇りを持ち、一緒に働いている人たちと連帯感が持てる場所」とし、「働きがい」を構成する要素として、マネジメントと従業員の間の「信用」・「尊敬」・「公正」、従業員同士の「連帯感」、従業員が仕事に持つ「誇り」の5つを挙げています。因みに、2013年1位に選ばれたのは前年に引き続いてグーグルでした。2014年はどの企業が1位になるのか?結果を待ちたいと思います。

 さらに、この調査は都道府県単位にも広がりを見せており、青森県では県内の「働きがいのある会社」2014年発表に向けて調査を実施しているようです。実施の背景として同社ホームページによると、「日本の新規就職希望者は、東京や大阪など大都市に本社のある大企業、有名企業を志望する傾向が強く、地方に本拠地を構える企業は知名度などの要因もあって就職先の候補に挙がりづらい状況があります。一方、生まれ住んだ地域に貢献したい、離れたくない、などの理由から、地域に根ざした企業で働きたいという想いを持つ人も増えています。しかしながら、そうした企業への就職を検討する際に必要な情報は十分とはいえません。これは、大都市、有名企業への集中を助長している一因ともいえます。このような就職状況の中、特定地域において、従業員に真摯に向き合い、「働きがい」を高めている企業を積極的に紹介することは、上記のようなミスマッチ解消の一助になると考えています。」とコメントしています。

 東日本大震災から2年6カ月以上経過し、発災直後の状況からは大きく変化しています。雇用環境をみると数字上は改善傾向にあるものの、多くの課題を抱えています。県内人口の減少が進み、とりわけ若年者の県内留保に向けては、官民一体となり長期的に真剣に取り組むべき難題です。そんな今だからこそ、個々の組織が労使一体となり「働きがい」の実現を目指し、組織としての価値を高めていくことが大切ではないでしょうか?

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