年をとるごとにどんどん早くなっていく1年です。あっという間に1年が過ぎ、新しい年が幕を開けました。昨年を振り返ると、元号が平成から令和に変わり、新天皇が即位され国中が祝賀ムードに沸く一方、大きな自然災害が何度も日本を襲いました。特に10月に東日本を縦断した台風19号は、全国で100人近くの死者、行方不明者を出す甚大な被害をもたらしました。毎年のように異常気象と言われるようになって何年経つでしょうか。穏やかさが特徴だった日本の気候が急速に荒々しくなって、近年は台風や集中豪雨が強大化する傾向にあり、数十年に一度程度の極端な気象が日本列島全体では珍しくなくなっています。夏になると、観測史上最高気温を更新する地域が増え、冬も雪の量が減り、雪国でもめったに根雪にはならなくなったという。いやが上にも地球の温暖化を実感させられます。
命にかかわる危険な暑さや、寒すぎる冬にはならないでほしいですが、やはり夏は夏らしく、冬は冬らしくあってほしいものです。
季節に限らず、近頃、あらゆる面で「らしさ」が失われてきているように感じられます。そんなところにも、さまざまな問題が起こる1つの原因があるのではないでしょうか。かつては、男は男らしく、女は女らしく、親は親らしく、子どもは子どもらしく、教師は教師らしく、政治家は政治家らしくあれといわれたし、実際、そうあらねばと、みな何かしら心に留めていました。お互いがそうした「らしさ」を大切にする生き方をしてこそ、それぞれの役割意識や責任感も芽生え、世の中がうまく成り立っていくのではないでしょうか。人間はなぜこの世に生まれてきたのか。役割を果たすために生まれてきたのです。人にはそれぞれに与えられた役割があり、それぞれの持ち場で、自らの仕事、なすべきことに、「らしさ」を発揮して、自分の役割を日々誠実に、精いっぱい果たしたいものです。
金子みすゞさんの「わたしと小鳥と鈴」という作品に「みんなちがって、みんないい」という一節があります。この地球上に76億人もの人がいても、一人ひとりの顔はみな違います。顔が違うように、生まれも育ちも性格も、考え方も人はみな違いますが、違いがあるからこそ、個性があって面白いのであり、違いがあるからこそ足らないところを補い合うこともでき、学び合うこともできて、進歩発展が生まれるのではないでしょうか。
日本の美しい四季が近年は薄らいでいるとはいえ、世界の中で日本ほど四季のはっきりした国はありません。私の好きな言葉に「春夏秋冬」にたとえた言葉があります。
人に会う時は、春のように暖かい心で
仕事をする時は、夏のように情熱的な心で
物事を考える時は、秋のように澄んだ心で
自分に向かう時は、冬のように厳しい心で
こういう心で生きていきたいですね。
|