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本稿執筆時(2021年4月12日)、大学4年生(22年卒)の就職活動が本格化している。
仕事上、4年生から就活に関する相談を受け付ける機会が多い。ここ数年、大学生の売り手市場が続いてきたが、「今回のコロナ不況は1990年代半ば以降の就職氷河期以上に深刻になる」、「コロナ不況の影響は今後5年間は続く」など、不安を抱えている就活生は少なくない。
昨年1月以降の新型コロナ感染拡大が21年卒の就活に及ぼした影響は、希望する業界の不景気、入社したい企業の採用枠縮小、対面での情報収集機会の減少、オンライン面接など従来とは異なる選抜方式の導入など多岐にわたる。とりわけ、三密回避のため、対面でのイベント、説明会、集団面接などが軒並みキャンセルされることになった影響は大きい。「7・5・3現象(3年以内の離職率が中卒7割、高卒5割、大卒3割)」に示されるように、最近は有名企業に就職できた学生もすぐに辞めてしまうことも多い。今回のコロナ禍で、学生と企業のミスマッチが増えないことを願うばかりである。
振り返れば、新型コロナ感染拡大以前から、すでに大学生を取り巻く就職状況は大きく変化していた。終身雇用・年功序列・企業別組合・新卒一括採用などを特徴とする日本的雇用システムは、2000年代以降、急速かつ急激に流動化している。このような社会情勢を踏まえ、学生たちの就活に対する取り組みも近年大きく様変わりしていた。自分は将来何がしたいのか、何になりたいのかという「働きがい」だけでなく、この会社はブラックかどうかという「働きやすさ」を気にする学生がますます多くなっている気がする。
本来であれば、「働くとはどういうことか」、「人生の幸福にとって仕事とはどうあるべきか」といった本質的なテーマについて議論したいところであるが、いつも就活生たちには「テクニック」的なアドバイス中心になってしまう。エントリーシート、自己PR、志望動機の書き方や面接の乗り切り方。オンライン面接に際しては、「回線落ちしないネット環境を用意して」、「ディスプレイではなく、カメラを見るように」、「表情の印象を良くするために、照明のチェックは念入りに」、「カンペ(カンニング・ペーパー)は読むとバレるよ」等々。今日も学生に対するアドバイスが続く。
一人でも多くの就活生たちが今回のコロナ禍の就活から多くのことを学び、自分の目標に近づいていくことを願っている。
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