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2023年3月以降、2024年卒学生(現大学3年生)の就職活動が本格化する。彼らは、大学入学後、新型コロナ感染拡大禍によって対面での授業やサークル活動が大幅に制限されてきた世代である。
大学生の就活は、1997年卒の学生採用で「就職協定」が廃止され、その後は経団連がスケジュールを決めて会員企業に遵守を呼びかけてきた。2018年10月、経団連は「採用選考に関する指針」を今後策定しない方針を表明した。そのため、2021年卒学生からは、経団連に代わって政府が就活ルールを定めている。2024年に卒業する学生は、基本的に、「3月説明会解禁、6月選考開始、10月内定公布」のスケジュールで行われることになる。しかしながら、経団連に加盟していない企業や外資系企業などは、このルールに従わずに独自の早期採用選考を実施しているのが現状である。
今年度の就活では、「新卒一括採用」vs「通年採用」、「メンバーシップ型採用」vs「ジョブ型採用」といった具合に、採用の時期・方法の多様化がさらに進むことになるであろう。加えて、新型コロナ感染拡大及びコロナからの回復需要の影響を受けて、企業の二極化(採用を増やす企業と減らす企業)も依然として継続すると思われる。いずれにしても、長期的な若年労働人口減少の趨勢から、24年卒学生をめぐっても各企業の獲得競争の激化が予想される。
また、過去3年間の新型コロナ感染拡大禍の就活を踏まえると、今年度も採用選考における対面とオンラインの併用が大勢を占めるであろう。具体的には、多くの企業が会社説明会、一次面接等はオンライン、最終面接等は対面という2段階選考を採用するはずである。会社説明会等のオンライン実施により、地方在住の学生は時間と費用を大幅に節約できることになった。その反面、就活のオンライン化によって、当該企業との「カルチャー・フィット(希望企業の社風と自分自身の相性)」が就活生にとってわかりにくくなっていることは事実である。また、自分以外の就活生たちの動きを確認したり、彼らと情報交換する機会も激減し、大きな不安を抱えている学生も少なくない。
学生たちは3月になると希望する企業へのエントリーシート(ES)提出に忙殺されることになる。一日に複数の希望企業にESを提出しなければならなくなることも珍しくはない。3年生の夏以降という早い段階から就活3大質問である「自己PR」、「志望動機」、「ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)」を準備してきたのはそのためである。
大学教員として、3月以降、早々と内々定を獲得する学生たちに喜ぶ一方で、なかなか結果を出せずに精神的に落ち込んでしまう学生たちを見るのが何よりもつらい。
一人でも多くの学生たちが、就活から多くのことを学ぶことを願ってやまない。
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